China UnionPay Co.Ltd.は一般に:中国銀聯 (CUP) または銀聯と呼ばれる、銀行カードサービス業界の大手企業です。上海に本社を置く国営の銀聯は、カードベースの決済ソリューションを中心に、さまざまな金融サービスを提供しています。Stripe が提供するカードには、プリペイドカード、コマーシャルカード、テーマカード、プレミアムカード、デビットカード、クレジットカードなど、さまざまな種類があります。また、オンライン決済やモバイル決済、モバイル POS (mPOS)、IC カード、クロスボーダー企業間取引 (B2B) プラットフォームなどの決済ソリューションに加えて、クロスボーダー送金、加盟店サービス、緊急サポートソリューション、グローバルアシスタンス、税還付、VIP ラウンジ、グローバルトラベルサービス、中国ビザ申請のためのエクスプレスサービスのようなサービスも提供しています。
銀聯は、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカの各市場で大きな存在感を示しており、支店やオンラインポータルを通じて顧客や企業にサービスを提供しています。銀聯のカード利用額は世界市場の 45% を占め、Visa と Mastercard を上回っています。10 年前のグローバル市場におけるシェアがわずかだったことを考えると、この業績は特筆すべきことです。銀聯の成功の一因は、そのイニシアチブとパートナーシップにあります。
アメリカで銀聯カードは企業の間で受け入れられつつあり、そのネットワークは代行業者や加盟店アクワイアラーと契約を結んでいます。事業拡大の一環として Discover Financial Services と提携したことは重要な進展であり、銀聯カード保有者は、アメリカと中国でディスカバーを使って買い物ができるようになりました。銀聯の個人識別番号 (PIN) デビットカードは、アメリカではディスカバー傘下の Pulse Network でも利用することができます。
しかし、特に他の決済サービスプロバイダー (PSP) が確立している市場では、同ビジネスは課題や競争に直面しています。アメリカなどの新市場において銀聯が成功するプロセスは段階的で、乗り越えるべき規制や市場特有のハードルがあります。
ここでは、企業が銀聯を決済システムの一部として導入するために知っておくべきことについてご紹介します。銀聯を支払い方法として受け入れることを考えている場合は、以下のことを理解、計画、検討する必要があります。
この記事の内容
- 中国銀聯が使用されている場所
- 中国銀聯の利用者
- 中国銀聯の仕組み
- 中国銀聯を受け付けるメリット
- 中国銀聯のセキュリティ対策
- 中国銀聯を支払い方法として導入
- 中国銀聯 に代わる選択肢
中国銀聯が使用されている場所
銀聯の使用状況には、さまざまな市場の戦略が反映されています。中国でその優位性を後押ししているのは、政府所有、そして巨大な市場規模という事実です。世界的には、発展途上国に重点的に取り組んでいることが事業拡大に寄与しています。アメリカやヨーロッパなど、より確立された市場では、パートナーシップと現地の規制遵守が成長の鍵を握ります。ここでは、銀聯がさまざまな市場でどのように機能しているかを詳しく見てみましょう。
中国
RBR のレポートによると、2019 年、国内市場で銀聯は支払いカード利用額の 93% を占めています。この優位性は、中国政府のファイナンシャルインクルージョンの取り組みにも支えられています。Alipay や WeChat Pay など、国内のデジタル決済プラットフォームとの熾烈な競争があるにもかかわらず、銀聯の地位は揺るぎないものになっています。
銀聯の優位性を際立たせる追加の統計情報をいくつか次に示します。
カード枚数: 2021 年時点で 94 億枚以上の銀聯カードが世界で発行されており、カード発行枚数では世界トップです。銀聯カードの大半が中国本土で使われています。
カードの受け入れ: 銀聯カードは、中国全土のほぼすべての ATM や企業で利用できます。
大中華圏 (香港、マカオ、台湾): カードはこうした中国本土以外の地域でも広く受け入れられています。こうした地域は文化的なつながりがあり、中国人の人口も多いことが理由として挙げられます。香港では、ほとんどの ATM で CUP カードを利用できます。
全世界
中国国外で銀聯は大きく躍進しており、中国本土以外でのカード流通枚数は 2 億枚を超えています。この成長の大きな要因は発展途上国からの後押しで、このような国では政府によって銀行システムへの参入が奨励されています。それでも、中国以外における銀聯の利用額の市場シェアは非常に少なく、約 1% しかありません。この点に留意することが重要です。これは、同社のグローバル展開が、その強力な自国市場基盤に大きく依存していることを示しています。ここでは、その世界的な使用状況について詳しくご紹介します。
アメリカとヨーロッパ: アメリカとヨーロッパにおける戦略として、銀聯は市場に受け入れられるように、パートナーシップと現地の規制遵守に重点を置いてきました。銀聯のカードは、主要な決済代行業者や金融機関との契約を通じて、このような地域でますます受け入れられるようになっています。こうした動きは、現地でのパートナーシップが、Visa や Mastercard などの他のカードネットワークが確立している欧米市場に参入するうえで重要な役割を果たすことを、銀聯が理解していることを示しています。
受け入れ: 銀聯カードの普及はまだ十分ではありませんが、アメリカやヨーロッパの主要な小売店、観光地、交通の要所での受け入れは進んでいます。ヨーロッパでは 90% 以上の国の企業、アメリカでは 80% 以上の企業が銀聯カードを受け入れています。
取引額: Visa や Mastercard に比べるとまだ多くはありませんが、銀聯の中国国外での取引額は着実に伸びています。
Discover Financial Services: このパートナーシップにより、銀聯カード保有者はアメリカのディスカバー加盟店でカードを利用でき、中国ではその逆が可能になります。これにより、銀聯のアメリカにおける利用範囲が大幅に拡大し、特に中国人観光客や留学生の間で広がっています。
グローバル ATM ネットワーク: 銀聯は PLUS や Cirrus などの主要 ATM ネットワークと提携しており、カード保有者はアメリカやヨーロッパ各地の ATM で現金を引き出すことができます。アメリカでは、90% 以上の ATM が銀聯カードに対応しています。
現地アクワイアリング銀行: 銀聯は自社のネットワークをアクワイアリング銀行のシステムに組み込むために、アクワイアリング銀行と積極的に提携しています。これにより中小企業でも受け入れやすくなり、銀聯の利用範囲が大手チェーン以外に広がります。
アジア
アメリカやヨーロッパにおける銀聯の参入はまだそれほど進んでいませんが、アジアでは既に広く受け入れられています。ここでは、銀聯が大陸全域でどのように機能しているかをご紹介します。
幅広い導入状況
東南アジア (タイ、マレーシア、ベトナム): 中国人観光客とデジタルウォレットの普及が急成長の原動力となっています。タイでは、銀聯カードは約 90% の企業で利用できます。
日本と韓国: JCB や BC カードとの提携により、人気のビジネスや交通の要所で利用できます。日本では約半数の企業と 8 万台以上の ATM で CUP カードを利用できます。
パートナーシップ
フィンテックコラボレーション: インドやインドネシアなどの市場では、現地のフィンテックビジネスと提携することで導入が加速し、既存のインフラストラクチャが活用されています。
小売業と旅行業: AirAsia や Booking.com などの大手小売業者や旅行代理店とのコラボレーションにより、限定割引やブランド認知度の向上が実現します。
成長を牽引するイノベーション
デジタルウォレット: 銀聯の QuickPass ウォレットは、非接触型決済、ロイヤルティプログラム、請求書の支払いなどの機能を備えており、テクノロジーに精通した利用者にとっては魅力的です。
クロスボーダー決済ソリューション: UnionPay International の「一帯一路」プログラムなどのイニシアチブはクロスボーダー取引を促進し、貿易を支援します。
ファイナンシャルインクルージョン: 銀聯は、非銀行利用者に手頃な価格の決済ソリューションを提供する取り組みを積極的に支援しています。
課題と機会
競争: Visa と Mastercard は、特に日本やシンガポールなどの市場では重要な役割を果たし続けています。
規制: 地域内の多様な規制環境に対応するには、適応と法令遵守が求められます。
観光業以外への拡大: 長期的な成功を収められるかどうかは、中国人観光客以外の地元の顧客やビジネスを獲得できるかにかかっています。
発展途上国: 発展途上国への銀聯の進出は、市場の可能性と規制環境の影響を受けます。これらの地域では、多くの場合、銀聯は地元の銀行と協力しながら、政府主導のファイナンシャルインクルージョンの取り組みを利用しています。このアプローチは銀聯の成長戦略に沿ったもので、こうした市場における現地パートナーシップと規制遵守の重要性を理解していることを示しています。
中国銀聯の利用者
銀聯の顧客は、さまざまな顧客セグメント、ビジネス、ユースケースにわたります。ここでは、銀聯の利用者について詳しくご紹介します。
顧客セグメント
中国居住者: 銀聯は、オンラインおよびオフラインの取引において中国の顧客の間で人気があります。中国トップクラスの決済アプリであり、中国本土で 45% の人が銀聯を利用していると報告していますが、これは Alipay や WeChat Pay などの企業の約 90% という数字には及びません。
Z 世代の顧客: 特に中国で急成長を遂げているソーシャルコマース分野では、Z 世代 (1995 年から 2010 年生まれ) の顧客が市場を牽引しています。この世代は、動画やライブストリーミングのショッピングサイトなど、手軽さと利便性を提供するプラットフォームに魅力を感じており、それが銀聯などのさまざまな支払い方法の利用に間接的に影響を及ぼしています。
観光客と海外旅行者: 銀聯は、特にアジア、ヨーロッパ、北米の観光客や海外旅行者を対象に大きく躍進しています。人気観光地におけるビジネスパートナーシップと受け入れ態勢が、この層による利用を促進しています。
非銀行利用者: 銀聯はファイナンシャルインクルージョンの取り組みを積極的に支援し、サービスが行き届いていないコミュニティに手頃な価格の決済ソリューションを提供しています。
海外の中国人観光客: 銀聯は、国際ネットワークや現地銀行とのパートナーシップを通じて、海外で手間のかからない取引を提供しています。銀聯カードは 180 カ国以上の国と地域でご利用いただけます。
中小企業 (SME): 銀聯は、コスト効率の高い決済処理ソリューションを SME に提供し、こうした SME のデジタル市場における競争力を高めています。
ビジネス
小売業と E コマース: 中国の E コマース市場は大規模であるため、銀聯はオンライン小売業者に広く利用されています。また、特に中国人観光客がよく訪れる地域や、中国人の人口が多い地域では、実店舗でも強い存在感を示しています。
銀行と金融機関: 中国の大手銀行は金融業界で優勢を保ち、銀聯カードを主要サービスとして提供しています。銀聯カードは、主に中国での消費に牽引され、世界のカード利用では圧倒的な強さを見せており、これは銀行部門でカードが広く普及していることを示しています。
ソーシャルコマースのプラットフォーム: 中国でソーシャルコマースが急成長したことで、銀聯を含む複数の支払いオプションの利用環境が醸成されました。Tmall Luxury Pavilion や JD.com のようなプラットフォームの国際的高級ファッションブランドやその他の小売業者では、多くの場合、銀聯を支払い方法として選択できます。
クロスボーダー B2B 取引: 中国では中国元 (CNY) を基本単位とする人民元 (RMB) と呼ばれる通貨システムのクロスボーダー利用が奨励されています。海外の輸入業者や中国の「一帯一路」融資の受取人は CNY で支払いを行うことが奨励され、これに銀聯のサービスが含まれている可能性があります。
小売ビジネス: Suning や JD.com のような大企業から、Carrefour や McDonald などの国際的なブランドまで、大手小売業者が銀聯の広範なネットワークを利用して中国の顧客にアプローチしています。
旅行とホスピタリティ: Air China などの航空会社や Hilton のようなホテルチェーンが銀聯と提携し、限定割引やサービスで中国人観光客に対応しています。
E コマースプラットフォーム: Alibaba、JD.com、Pinduoduo など、中国の有名な E コマース企業すべてが銀聯と連携して、オンラインでの支払いを行いやすくしています。特にオンライン決済は、QuickPass などのデジタルウォレットで人気があります。中国ではモバイルウォレットの受け入れが進んでおり、2022 年の GlobalData の調査によると、84% の人が利用しています。
公共サービスと公益事業: 請求書の支払いから交通機関のチケット発券まで、銀聯はさまざまな公共サービスのキャッシュレス取引を促進し、利便性とアクセスのしやすさを提供しています。
ユースケース
モバイル決済とオンライン決済: 銀聯はカードベースの取引だけに限定されません。モバイルウォレットや QR コード決済などのモバイル決済ソリューションを採用し、進化する顧客の好みに対応しています。
クロスボーダー取引: 銀聯カードは、クロスボーダー取引に幅広く使用され、クロスボーダー人民元決済システムを強化する中国の取り組みと銀聯カードの国際的な普及によるメリットを得ています。
旅行や観光関連の支払い: 銀聯カードは、航空券やホテルの予約から、海外でのショッピングや食事まで、旅行関連の費用の支払いによく使用されています。
マイクロペイメントと日常的な取引: 露天商から公共交通機関での非接触型決済まで、銀聯によって少額の日常的な取引が促進されます。
国際貿易と投資: 銀聯の国際的なネットワークとパートナーシップにより、企業や個人のクロスボーダー取引を簡単に行うことができます。
寄付と慈善活動: 銀聯は、慈善活動や非政府組織 (NGO) への安全で透明性の高いオンライン寄付を促進しています。
中国銀聯の仕組み
銀聯は、顧客や企業に幅広い決済ソリューションを提供しています。たとえば、デジタル銀行カード、商用カードソリューション、B2B ソリューション、グローバル決済ネットワークなどです。ここでは、デジタルイノベーション、グローバルな相互運用性、セキュリティに焦点を当てたビジネスが、企業や顧客にどのように貢献しているかをご紹介します。
顧客向け
デジタル銀行カード: 銀聯は、銀聯アプリ、銀行アプリ、携帯電話メーカーが開発したデジタルウォレットを通じて、オンライン申請や管理を行うことができるデジタル銀行カードを導入しました。このカードは資産管理、購入、支払いなどのサービスを提供し、モバイル QuickPass 決済、QR コード決済、セキュリティ強化のためのトークン化などの機能をサポートしています。
世界中で利用可能: 銀聯カードは、海外の多くの企業、たとえば、ほとんどの大手百貨店で利用できます。また、北米やヨーロッパでの利用も増えています。
銀聯アプリ: 銀聯アプリでは、デジタル銀行カードをリアルタイムで管理し、世界共通のさまざまな限定特典を利用することができます。
モバイル決済: 銀聯には、QR コード決済、モバイル QuickPass などのモバイル決済オプションが用意されています。こうした機能により、顧客は画面をタップして非接触型カードや QR コードにアクセスして、非接触型決済を行うことができます。
企業向け
商業カードソリューション: 銀聯は、国際貿易に携わる専門家向け商業カードソリューションを提供することで、企業が従業員の出張経費を管理できるよう支援しています。これには、法人カード、コーポレートカード、購入カードなどの商品が含まれます。
組み込み型 B2B ソリューション: 銀聯の B2B ソリューションは、クロスボーダー E コマース向け「エンドツーエンド」機能、商業カードのデジタルカード発行、革新的な海外ビジネス向け決済ソリューションを提供しています。
Shop the World プラットフォーム: このプラットフォームは、国際企業が中国市場に参入するのを支援し、より多くの顧客を引き付けるための店舗管理サービスやマーケティングツールを提供しています。
機能と特長
クロスボーダー決済サービス: 銀聯は、訪中観光客の支払いを円滑に行うための決済機能を強化しました。中国本土以外で発行された銀聯カードは 2 億枚を超え、企業は、海外からの出展者や旅行者にさまざまな支払いオプションを提供しています。
ネットワークの相互接続と相互運用性: 銀聯は中国国内および国際決済ネットワーク間の相互接続を推進し、国内および国際決済商品の共同開発をサポートしています。たとえば、国際銀行や決済ビジネスとのコラボレーションによって、銀聯カードと互換性のあるウォレットや、アプリ内でバーチャル銀聯カードを発行できるウォレットをサポートしています。
取引手数料: 銀聯カードを利用してオフライン購入を行う場合、POS でカードスキャンデバイスが必要です。取引手数料は、銀行の手数料と銀聯の手数料を合わせて売り手 (オンラインまたはオフラインのビジネス) に請求されます。顧客側で手数料を払う必要はありません。銀聯の手数料体系については後で説明します。
セキュリティ対策: デジタル銀行カードによる支払いは、トークン化やリアルタイムのリスク監視などのテクノロジーで保護され、資金や個人情報の安全が確保されます。これについても以下で詳しく説明します。
相互運用可能なウォレット: 銀聯はまた、デジタルウォレットの利便性のために、国際的なカード発行会社や決済ビジネスとのコラボレーションを強化し、現地の銀聯カードと連携したり、バーチャルカードを発行したりすることで、中国本土以外のアプリでも、グローバルな銀聯 QR ビジネスへの QR 決済に対応できるようにしました。
中国における銀聯
銀聯のセキュリティ機能の中には、中国とその政府および規制環境に特有のものがあります。銀聯は中国の国有企業です。つまり、政府の直接的な影響と監督の下で運営されています。このことは、セキュリティ面で以下のいくつかの意味を含みます。
データセキュリティ基準の強化: 中国政府は厳格なデータセキュリティ規制を課しており、銀聯はその基準に準拠しています。こうした基準は、多くの場合、国際的なベストプラクティスを上回っています。これには厳しいデータローカライゼーション要件が含まれ、ユーザーデータのほとんどが中国国内に保存されます。
政府との強力な協力関係: 銀聯は中国の法執行機関や政府のサイバーセキュリティ機関と緊密に連携しています。これにより、サイバー脅威や不正利用の調査に迅速かつ容易に対応でき、顧客にとっては、それがより迅速な解決につながる可能性があります。
国際市場へのアクセスが限定的: 銀聯は海外への事業拡大を積極的に進めていますが、主な焦点が中国であることに変わりはありません。これにより他の地域で発生する可能性のある特定のセキュリティ脆弱性にさらされる危険が抑えられています。
独自のテクノロジーとインフラストラクチャ: 銀聯では、中国の環境に固有の特定のテクノロジーとインフラストラクチャを採用しています。
国内決済ネットワーク: 銀聯は、独自のクローズドループネットワークを中国で運営しています。このネットワークは、Visa や Mastercard などの国際的なネットワークの影響を受けません。これにより、セキュリティと取引の監視をより厳密に制御することができます。
政府システムとの連携: 銀聯は、政府や国の金融システムとのつながりを利用して、ユーザー認証や不正防止を強化しています。これには、銀行口座と国民 ID 番号を関連付けてセキュリティを強化する機能などが含まれます。
モバイル決済に注力: 中国のモバイル決済システムは急成長しており、銀聯はその最前線にいます。UnionPay QuickPass などのモバイル決済プラットフォームでは、生体認証やトークン化などの高度なセキュリティ機能が採用されています。
しかし、こうした環境には懸念事項もあります。それに注意することが重要です。
透明性が低い: ネットワークのクローズドループの性質と政府との密接な関係により、中国国外の顧客に、透明性とデータプライバシー慣行に関する懸念が生じる可能性があります。
政府の影響力の可能性: 政府が密接に関与することで、取引データの操作や監視が可能になる可能性があり、それを懸念する顧客もいます。
クロスボーダー相互運用性の制限: 銀聯は国内市場に重点を置いているため、国際的な受け入れや他の決済ネットワークとの相互運用性に制限が課される場合があり、これが世界の顧客のアクセスに影響する可能性があります。
中国銀聯を受け入れるメリット
銀聯を支払い方法として受け入れることで、特に中国人顧客向けのビジネスにメリットがいくつかもたらされます。ここでは主な利点をいくつか紹介します。
巨大な顧客基盤へのアクセス: 銀聯は世界最大の支払いカードのプロバイダーであり、90 億枚以上のカードが流通しています。これは Visa と Mastercard を合わせた数を上回っています。銀聯カードを受け入れた企業は、中国および世界中の広範なカード保有者ネットワークを利用できます。
中国人顧客への影響力が大きい: 移民、学生、旅行者など、中国人は重要な市場になっています。在米中国人移民は 200 万人以上、中国人留学生は 30 万人近くに上り、その多くが銀聯カードを好んで利用します。こうしたカード保有者は、支払いカードとして銀聯カードしか持っていないことが多いため、銀聯カードを受け入れていない企業は、このような顧客基盤を取り込むチャンスを逃す可能性があります。
グローバル展開: 銀聯のグローバルな事業展開はかなり進んでおり、現在 181 の国と地域で利用することができます。このように幅広く受け入れられているため、企業は中国だけでなく、海外の多様な顧客に対応できます。
パートナーシップの機会: 銀聯は Trip.com のような大規模プラットフォームとのコラボレーションによって、銀聯カード保有者の支払い体験を向上させています。たとえば、オンラインによる受け入れを拡大したり、主要市場における旅行者の支払いニーズに対応したりしています。こうしたパートナーシップは、銀聯の利用顧客を引き付けることで企業に利益をもたらすことができます。
国際デジタルウォレットユーザーの利便性: UnionPay International (UPI) により、中国で銀聯を受け入れている企業で 170 の国際ウォレットが使えるようになりました。これにより、世界各地から中国本土に訪れる観光客の決済プロセスが簡素化され、顧客体験が向上します。これは外国人観光客に頼ったビジネスに競争上の優位性をもたらします。
決済セキュリティの強化: 銀聯は、トークン化や 3D セキュア 2 などの高度なセキュリティ対策を重視し、不正使用取引のリスクを低減しています。これにより、企業は安全な決済処理オプションを利用できるようになり、顧客の信頼が醸成され、不正利用に伴うコストを削減できる可能性があります。
中国人観光客の増加と消費拡大: 中国人観光客の消費力は大きく、観光客の多い地域のビジネスでは、銀聯を利用できるようにすることで利益がもたらされる可能性があります。中国人観光客は、海外旅行中に多額の出費をすることで知られています。このような観光客が好んで利用する支払い方法に対応すれば、より多くの観光客を引き付け、収益を高めることができます。
拡大する中国人顧客層の獲得
銀聯カードの流通枚数が 94 億枚を突破: 中国を中心とした銀聯の巨大な顧客基盤は、非常に大きな市場潜在力を示しています。2022 年に銀聯が処理した取引数は 2,470 億件を超え、取引総額は約 252 兆元 (約 35 兆ドル) に上ります。これは銀聯カード保有者の消費力を裏付けています。
収益性の高いアウトバウンド観光の活用: 2023 年に中国のアウトバウンド観光支出が 1,680 億ドルに達すると予想され、特にショッピングが注目されています。銀聯を受け入れると、こうした観光客との取引が行いやすくなります。
中国人留学生と海外駐在員に対応: 中国人留学生や海外駐在員の多くが、支払い方法として銀聯をよく使用しています。中国国外で 2 億枚以上が発行されている銀聯カードは、主要な留学先や就職先で大きな存在感を示しています。
国際貿易と決済の合理化
効率的なクロスボーダー取引の促進: 銀聯の国際ネットワークとパートナーシップにより、中国とのビジネス取引の決済をスムーズに行うことができます。
為替のリスクと手数料を軽減: 銀聯の直接決済システムは、為替変動とそれに伴う手数料のデメリットを最小限に抑えます。決済が人民元で行われるため、これは中国ビジネスにとって予測可能でコスト効率の高い方法です。
取引の遅延と複雑さを最小化: 銀聯のリアルタイムの承認 / 決済プロセスによって、取引の遅延が少なくなり、クロスボーダー取引の決済プロセスを簡素化できます。
中国銀聯のセキュリティ対策
銀聯では、多岐にわたる技術と機能によって顧客データと取引を保護しています。世界で最も利用されている決済システムの 1 つであるため、そのセキュリティ基準には、幅広く利用されていることの重要性が反映されています。主なセキュリティ対策の内訳は次のとおりです。
カードのセキュリティ
チップと PIN テクノロジー: 銀聯カードのほとんどで EMV チップ技術が採用され、磁気ストライプに比べてセキュリティが強化されています。使用のたびに固有の取引コードがチップカードによって生成されるので、偽造が困難です。
トークン化: オンライン取引中、機密性の高いカードデータは固有のトークンに置き換えられ、潜在的な侵害からカード情報が保護されます。
リアルタイムのリスク管理: 銀聯では、高度なアルゴリズムを使用してリアルタイムで取引が分析され、疑わしい行為を特定し、ブロックします。これには速度チェック、場所の分析、行動プロファイリングが含まれます。
動的な認証: ワンタイムパスワードや生体認証などの付加的な認証方法が、高額取引やこのようなリスクが高いと判断される取引に求められる場合があります。
ネットワークセキュリティ
安全な通信プロトコル: 銀聯は、TLS (Transport Layer Security) などの強力な暗号化プロトコルを使用して、ネットワークとユーザーデバイス間で送信されるデータを保護しています。
データセンターのセキュリティ: 銀聯のデータセンターは、厳格なセキュリティ基準と物理的なアクセス制御に準拠して、機密情報を保護しています。
不正防止システム: 高度な不正利用の検出システムでは、疑わしいパターンやハッキングの試行の可能性がないかを確認するために、取引が継続的に監視されます。
PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) 準拠: 銀聯は PCI DSS と、データセキュリティに関する国際的なベストプラクティスに準拠しています。
中国銀聯を支払い方法として導入
ここでは、銀聯決済の受け入れ要件と開始プロセスの概要をご紹介します。
中国国内ビジネス向け
要件
ビジネスライセンス: 実際のビジネスの内容が反映された、有効な中国当局登録済みビジネスライセンスが必要です。
法定代理人: この人物には、企業を代表して行動し、加盟店アカウントを管理し、法的要件と規制要件を遵守するための承認が必要です。
銀行口座: 銀聯決済処理をサポートし、ビジネスニーズに合った中国の銀行口座を選択します。
技術的なインフラストラクチャ (2 つのオプション):
- POS 端末: 銀聯取引対応の認証済み POS 端末を入手します。その端末を、銀聯ネットワークに接続し、ビジネスに合わせて設定する必要があります。
- ペイメントゲートウェイ: 銀聯対応ペイメントゲートウェイをオンラインプラットフォームまたはモバイルプラットフォームに組み込みます。このオプションにより、E コマースビジネスの柔軟性と拡張性が向上します。
- POS 端末: 銀聯取引対応の認証済み POS 端末を入手します。その端末を、銀聯ネットワークに接続し、ビジネスに合わせて設定する必要があります。
法令遵守: 決済処理、データセキュリティ、マネーロンダリング防止 (AML) 規則に適用される中国の関連規制についてよく理解します。また、銀聯の業務基準を理解し、貴社の業務慣行が準拠していることを確認する必要もあります。
スタートアッププロセス
アクワイアリング銀行の選定: 銀聯決済処理サービスを提供している中国のアクワイアリング銀行を調査し、比較します。手数料、サービスの品質、ネットワークの対応範囲、導入オプションなどの要素を検討します。
申請書の提出: アクワイアリング銀行に連絡し、加盟店アカウント申請フォームに記入します。一般的には、事業内容、法定代理人、銀行口座、技術インフラストラクチャに関する詳細な情報を提供する必要があります。
契約交渉: アクワイアリング銀行との加盟店契約に記載されている条件や手数料を慎重に確認し、協議します。たとえば、取引手数料、ネットワーク手数料、月額支払い、最低取引量などを取り決めます。
技術統合: 選択した POS 端末またはペイメントゲートウェイの方法に応じて、アクワイアリング銀行または技術サービスプロバイダーと連携し、必要なインフラストラクチャのセットアップと設定を行います。テストや認定手続きが必要になることもあります。
テストと承認: すべてのセットアップが完了したら、テスト段階に入り、取引をスムーズに処理できることを確認します。アクワイアリング銀行と銀聯によるテストと承認が完了したら、銀聯決済を受け入れる準備が整います。
中国国外ビジネス向け
要件
事業登録: 事業を運営する法人が反映された有効な事業登録を自国で行う必要があります。
PSP: クロスボーダー銀聯決済処理の経験があり、中国で強いコネクションを持つ信頼できる PSP と提携します。この PSP は、銀聯ネットワークとの仲介を行います。
法令遵守: 貴社の業務慣行が国の関連規制とクロスボーダー決済に関する国際規制を遵守している必要があります。また、クロスボーダー取引に関する銀聯特有の要件に準拠する必要もあります。
スタートアッププロセス
PSP の選択: 経験、手数料、対象地域、既存のシステムとの統合機能に基づいて慎重に調査し、比較します。
法令遵守に関する審査: 選択した PSP がビジネスに対して徹底的な法令遵守レビューを実施し、銀聯決済を受け入れるためのすべての法的要件と規制要件を満たしているかどうかを確認します。
アカウントのセットアップ: PSP と連携して、銀聯取引の受け取り専用加盟店アカウントをセットアップします。その際、追加の書類や財務情報の提出を求められる場合があります。
技術統合: PSP のペイメントゲートウェイをオンラインプラットフォームまたはモバイルアプリに組み込む必要があります。PSP は、このプロセスを通じて技術サポートとガイダンスを提供します。
テストとアクティベーション: PSP および銀聯と協力して厳格なテスト段階に入り、シンプルなクロスボーダー取引処理を確保します。すべてがテストされ承認されたら、中国の顧客からの銀聯決済を受け入れる準備が整います。
Stripe を使用した銀聯決済の受け入れ
Stripe を使用して銀聯を受け入れることで、中国および世界中のビジネスにメリットをもたらします。包括的な決済プラットフォームである Stripe は、UnionPay International との提携を拡大しました。これにより、30 を超える市場の企業が、銀聯カード保有者からの決済を容易に受け付けることができます。この導入は、中国やアジアの E コマース市場への参入を目指す企業にとっては特に有益です。
主な機能とメリット
グローバルなアクセシビリティ: オーストラリア、シンガポール、香港、カナダ、アメリカ、イギリス、欧州連合全域などの市場の企業が、世界中の銀聯カード保有者からの決済を受け付けることができます。この広範なリーチにより数十億人の銀聯ユーザーへのアクセスが可能になり、グローバルなコマースが促進され、ビジネスの市場アクセスが拡大します。
ローカライズされた柔軟な決済体験: Stripe との連携により、中国元を含む複数のグローバル通貨での取引が可能になり、ローカライズされた決済体験が実現します。この柔軟性は、さまざまな顧客の好みに対応し、海外の顧客のショッピング体験を向上させるうえで重要です。
返金と不審請求の申請管理の自動化: Stripe と銀聯の連携により、返金と顧客が申請する不審請求の管理を自動化する機能を利用できます。これにより、多くの場合、複雑なプロセスが合理化され、企業の管理負担が軽減されます。
決済管理のための強力なダッシュボード: Stripe には、銀聯取引を含むすべての製品において、支払い、レポート作成、決済を管理するための単一の強力なインターフェイスが用意されています。この一元化により、支払い管理が簡素化され、企業が財務運営に関する包括的なインサイトを得ることができます。
支払い成功率の向上: 銀聯と Stripe の連携により、地域固有の最適な決済手段を提供することで支払い成功率を高め、決済処理を微調整することができます。この強化は、グローバルな顧客基盤の獲得と拡大を目指す企業にとって重要です。
事業拡大の機会: 中国の顧客 (中国国外にいる中国人を含む) を対象に事業を展開したい企業にとって、Stripe と銀聯の提携は賢明な戦略です。銀聯の巨大なネットワークと、Alipay および WeChat Pay を利用する約 20 億人のウォレットユーザーを組み合わせることで、企業は、中国 E コマース市場の大規模な層を簡単に取り込むことができます。
売上の増加: 銀聯、Alipay、WeChat Pay を決済手段に追加することで、中国人顧客からの売上が大幅に伸びたことが企業から報告されています。たとえば、デジタルコンテンツのマーケットプレイスである Humble Bundle では、このような使用率の高い中国の決済手段を取り入れることで、中国からの売上が 600% 以上増加しました。
中国銀聯 の代替手段
中国における銀聯の 2 大競合他社は Alipay と WeChat Pay です。ここでは、それぞれの概要について説明し、比較します。
Alipay
人気とユーザー基盤: Alibaba Group が立ち上げた Alipay の中国におけるユーザー数は 9 億人で市場をリードしています。これは Alipay が広く普及し、中国の顧客の日常生活に取り入れられていることを示します。
提供されるサービス: Alipay は、Apple Pay や Google Pay などの他のデジタルウォレットと同様のサービスを提供しており、ユーザーは自身のアカウントを支払いのための 1 枚以上のカードと関連付ける必要があります。インスタントクレジット、分割払い、キャッシュバックなど 100 以上のサービスを提供しており、実店舗での支払いも組み込まれています。
国際的な連携: Alipay には、Visa や Mastercard などのグローバルなカードネットワークとの間に強力な提携関係があり、中国を訪れる外国人旅行者の決済を促進しています。
市場での地位と顧客の好み: Alipay が市場で確固たる地位を築いている主な理由が、早期参入と Alipay 環境との緊密な連携です。Taobao や Tmall といったプラットフォームと連携していることから、オンラインショッピングの有力な選択肢となっています。
メリット: Alipay の強みは E コマースで広く受け入れられていることと、多様な金融サービス (資産管理やクレジット機能など) を提供していることです。
デメリット: Alipay は多機能ですが、主にオンラインに特化したプラットフォームであるため、より統合された支払い体験を好む顧客にとっては実用性が制限される可能性があります。
WeChat Pay
WeChat アプリとの統合: WeChat Pay は、Tencent が所有するメッセージングアプリ WeChat によって導入されたもので、WeChat アプリとの連携によりユーザー基盤が広範です。10 億人以上の WeChat ユーザーがデフォルトで WeChat Pay を利用できるため非常にアクセスしやすく、広く利用されています。
サービスとアクセシビリティ: Alipay と同様、WeChat Pay はマーケットプレイスなどのさまざまなサービスを提供していますが、主にモバイルデバイス向けに設計されているため、ウェブサイトとの統合は難しいかもしれません。
ソーシャルメディアとの統合: WeChat Pay の人気は、中国最大のソーシャルメディアプラットフォーム WeChat との連携にあります。この連携により、社会的交流と金融取引の間を容易に行き来することができます。
メリット: WeChat Pay では、包括的なソーシャル体験と支払い体験を提供しています。アプリ内システムには、請求書の支払い、予約サービス、マーケットプレイスなどのサービスが含まれています。
デメリット: WeChat Pay は、モバイルプラットフォームに焦点を当てているため、Alipay と比較すると、純粋な E コマースシナリオには不向きです。
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