ビジネスを経営されている方なら、非接触型決済について見聞きしたことがあるのではないでしょうか。ひょっとしたら、自社のビジネスにとって有益かどうか、あれこれ考えたことがおありかもしれません。ビジネスオーナーであれば誰でも、ある消費者トレンドが単なる一過性のものなのか、自社の市場や顧客には無関係なのか、取り入れる価値が本当にあるのかを判断しなければなりません。
非接触型決済は現在、もはやトレンドには留まらず、決済分野を席巻しているようです。2021 年のレポートによると、過去 12 カ月間に非接触型決済手段を利用した小売業者は 80% 以上に上ります。現在、デジタルウォレットは小売業者での採用が広がっていますが、それに留まらず、2024 年までに最も利用率の高いオンライン決済手段になるものと見られています。また、消費者の 15% が、いつもは財布を自宅に置いたまま外出すると回答しています。こうしたことからも、対面支払いのビジネスでは、非接触型決済を受け付ける方向で対応する必要があります。
NFC から RFID、トークン化まで、非接触型決済に関する話題は少しとっつきにくく感じられるかもしれませんが、実際のところ、理解するのはごく簡単です。ビジネスにおける決済の選択肢の 1 つとして利用するのは、もっと簡単です。それでは、非接触型決済について詳しく見ていきましょう。
この記事の内容
- 非接触型決済とは
- 非接触型決済の仕組み
- 非接触型決済にはどのような種類があるのか
- 非接触型決済は安全か
- 非接触型決済を受け付けるには
- 事業者にとっての非接触型決済のメリット
非接触型決済とは
非接触型決済とは、この決済手段に対応したクレジットカードやモバイルデバイスをカードリーダーにかざして、それらの間で決済情報を無線送信する方式のことです。クレジットカードの挿入やスワイプ、現金のやり取りは必要ありません。
非接触型決済の仕組み
非接触型決済は、「近距離無線通信 (near-field communication)」の略である NFC と呼ばれる技術を使用します。NFC では、RFID (Radio Frequency Identification) を使用して、顧客のクレジットカードやモバイルデバイスとカードリーダーの間で、物理的な接触を伴わずに通信を行います。
非接触型決済にはどのような種類があるのか
顧客が非接触型決済を行う場合、主に次の 2 つの方法があります。
NFC 対応のクレジットカードおよびデビットカード
一部のカードには NFC 技術が採用されいます。この技術によって、カードをカードリーダーに軽く触れる程度に近づけたり、カードリーダーの近くにかざしたりするだけで、非接触型決済を行うことができます。すべてのカードがこの機能を備えているわけではありませんが、将来的にはもっと対応カードが増えていくものと見込まれます。デジタルウォレット
デジタルウォレット技術は、ユーザーのクレジットカードやデビットカードの情報を、使用するモバイルデバイスに保存して、非接触型決済で利用できるようにします。顧客は NFC 対応クレジットカードを使う時と同じように、モバイルデバイスを NFC 対応カードリーダーに軽く触れる程度に近づけたり、その近くにかざしたりします。最も知名度が高く、最も広く使われているデジタルウォレットは Apple Pay で、iPhone、iPad、Apple Watch がこれに対応しています。非接触型決済が可能なデジタルウォレットとしてはこれ以外に、Google Pay、Android Pay、Samsung Pay、PayPal などが挙げられます。
非接触型決済は安全か
スマートフォンでの決済はそもそも安全でないように感じられるかもしれませんが、一般にはとても安全です。クレジットカード情報を送信する方法には、非接触型決済以外にも、カードの磁気ストライプと、現在ほとんどのカードに搭載されているチップというの 2 つの方法があります。非接触型決済は、これらよりもセキュリティと不正防止の面で優れています。
磁気ストライプにはクレジットカードの口座情報が物理的に記録されているため、不正利用の試みによる被害を受けやすいという特徴があります。口座情報を入手したら、カードを簡単に複製できます。
ほとんどの形式の非接触型決済では、暗号化されていないクレジットカード番号がトランザクション中に送信されることはありません。代わりに、トークン化によってクレジットカードデータを暗号化し、この暗号化されたデータを送信して決済を処理します。万一、決済端末のセキュリティ侵害があったとしても、このように暗号化しておくことで、犯罪者が顧客のクレジットカード情報を持ち去るのはさらに難しくなります。
EMV チップ搭載カードによる決済では、暗号化されたコードが、対面支払いの取引の際にもカードリーダーに送信されます。実際、EMV チップ搭載カードの多くが非接触型 NFC 決済にも対応しています。しかしながら、それでもなお、デジタルウォレットによる非接触型決済の方がより安全と言えます。物理的なカードを家に置いたまま外出できるという、EMV チップでは実現できない特長があるからです。カード保有者は物理的なカードを持ち歩く必要がなく、盗まれる危険性もありません。
非接触型決済を受け付けるには
すでに対面でのカード支払いを受け付けているのでしたら、非接触型決済を顧客の選択肢の 1 つとして加えるのは簡単かもしれません。POS システムやカードリーダーで非接触型決済を受け付けるために必要な手順が別途ある場合は、ご利用のプロバイダーにお問い合わせください。なお、古い機械でクレジットカードやデビットカードによる決済を受け付けている場合を除き、お使いの機器がすでに非接触型決済に対応している可能性もあります。
事業者にとっての非接触型決済のメリット
セキュリティや不正防止の他にも、非接触型決済を採用するメリットは数多くあります。
顧客が非接触型決済の利用を希望している
非接触型決済は消費者に大好評であり、消費者がこれを利用したいと考えているのは明らかです。アメリカン・エキスプレスによる調査では、非接触型決済も選択できるようにしてほしいとの要望が多くの顧客から寄せられていると回答した事業者は 70% に上り、また、もっと多くの場所で利用できるようになれば非接触型決済をもっと利用すると回答した消費者は 30% 近くに上る結果となっています。素早く簡単に購入できる
非接触型決済なら、他の決済方法よりも最大で 10 倍速く決済を完了できます。長蛇の列ができがちなビジネスであれば、購入プロセスにかかる時間を非接触型決済で短縮できます。また、長蛇の列ができるようなビジネスでなくても、購入にかかる時間が少し短縮されることを嫌だと感じる顧客はおそらくいないでしょう。追加費用は不要
非接触型決済は決済の選択肢として割高になると考えている事業者が多く見受けられますが、割高になるかは、利用する決済処理プロバイダー次第です。Stripe をご利用のお客様は、Apple Pay の処理のために追加手数料を支払う必要はありません。1 回の取引あたりの料金は他のカード取引と同じです。他の決済処理プロバイダーでは、Apple Pay を受け付けるための手数料を事業者に請求する場合もあります。現金よりも衛生的
新型コロナウイルス感染症が大流行した時期に、小売業界で働く人々とその顧客は、自分たちが物理的な接触をどれほど頻繁に行っているのか、さらには、細菌を拡散させている可能性がどれほどあるのかを痛感しました。73% の事業者が、新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大以降、キャッシュレスの決済手段を優先させるようになったと報告しています。
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