決済サービスプロバイダー: そのタイプと選び方

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

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  1. はじめに
  2. 決済サービスプロバイダーとは?
  3. 決済サービスプロバイダーができること
  4. 決済サービスプロバイダーと加盟店アカウントプロバイダーの比較
    1. 決済サービスプロバイダー
    2. 加盟店アカウントプロバイダー
  5. 決済サービスプロバイダーを利用するメリット
  6. 決済サービスプロバイダーの選び方

E コマースとデジタル決済の急速な発展は、企業と顧客の関わり方を一変させました。デジタル決済の取引は、2024 年には約 11 兆 5,000 億ドルを占めると予測されています。顧客の 70% がデジタル決済手段を好むと推定される状況にあり、企業はデジタル決済手段に対応することで顧客の要求を満たすだけでなく、十分に機能し、信頼性が高く、安全な決済ソリューションを備える必要にも迫られています。

適切な決済サービスプロバイダー (PSP) を選択することは、企業全体の業績、顧客体験、成長の可能性に大きな影響を与える重要な決断です。理想的な PSP とは、決済処理の効率化、堅固なセキュリティ、複数の決済手段や通貨への対応、意思決定に役立つ価値あるアナリティクスの提供が可能であるプロバイダーです。

このガイドでは、企業が PSP を選択する際に考慮すべき要素をご紹介します。

この記事の内容

  • 決済サービスプロバイダーとは?
  • 決済サービスプロバイダーができること
  • 決済サービスプロバイダーと加盟店アカウントプロバイダーの比較
  • 決済サービスプロバイダーを利用するメリット
  • 決済サービスプロバイダーの選び方

決済サービスプロバイダーとは?

決済サービスプロバイダー (PSP) とは、顧客、企業、銀行など、さまざまな関係者の間で電子決済取引をサポートする会社です。PSP によって、企業は、単一のプラットフォーム、または統合されたプラットフォームを通じて、クレジットカード、デビットカード、デジタルウォレット銀行振込など、幅広い決済方法を受け付けることができます。PSP は、企業が安全かつ効率的に決済を処理するために必要なインフラ、セキュリティ対策、規制への準拠を提供します。

決済サービスプロバイダーができること

PSP は、企業と顧客間の電子決済取引を可能にする上で重要な役割を果たします。また、安全かつ効率的で、統合された決済処理を保証するさまざまなサービスを提供します。

以下は、PSP が提供するサービスの概要です。

  • ペイメントゲートウェイ
    PSP はペイメントゲートウェイと呼ばれる安全なオンラインポータルを提供し、企業のウェブサイトやアプリケーションを PSP の決済処理システムに接続します。これにより、顧客、企業、銀行間で決済情報の安全な伝送が可能になります。

  • 決済処理
    PSP は、取引の承認、決済、売上計上のプロセスを扱います。顧客の銀行やカード発行会社と連絡を取り、取引の詳細を確認し、十分な資金があるかどうかをチェックし、承認を得ます。取引が承認されると、PSP は顧客の口座から企業の口座へ売上の送金を行います。PSP と加盟店アカウントプロバイダーの違いについては、この後でご説明します。

  • 不正利用の検出と防止
    PSP は、不正な取引を特定し防止するために、高度なツールとシステムを実装しています。取引パターンをモニタリングし、機械学習アルゴリズムを使用して疑わしい行為を検出し、チャージバックや不正利用などに関連する潜在的リスクから企業を保護します。

  • 法令遵守とセキュリティ
    PSP は、そのシステムやプロセスが PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) などの必要な業界標準や規制に準拠していることを保証する責任があります。これにより、機密性の高い決済データが安全に保存、処理、送信され、データ漏洩や不正利用のリスクが軽減されます。

  • 通貨換算
    国際的に事業を展開する企業のために、PSP は通貨換算サービスを提供しており、これにより企業は複数の通貨での決済を受け付け、希望する通貨で取引を決済できます。

  • レポート機能とアナリティクス
    PSP は詳細なレポート機能と分析ツールを提供し、取引、顧客の行動、全体的な業績に関する重要なインサイトを企業に提供します。これにより、企業はデータに裏打ちされた意思決定を行い、決済処理を最適化できます。

  • 顧客サポート
    PSP は、一般的に企業に顧客サポートを提供し、決済処理中に発生するあらゆる質問や問題に対応します。

決済サービスプロバイダーと提携することで、企業は、幅広い決済方法を受け付け、グローバルな商取引を促進し、電子決済取引の安全性と効率性を確保できるようになります。

決済サービスプロバイダーと加盟店アカウントプロバイダーの比較

決済サービスプロバイダーと加盟店アカウントプロバイダーの両方とも、企業が電子決済取引を実現するうえで重要な役割を担っています。しかし、それぞれの目的は異なり、提供するサービスにも違いがあります。ここではそれぞれの役割についてご説明します。

決済サービスプロバイダー

  • PSP は、顧客、企業、銀行など関係者の間で電子決済取引を行うために、さまざまなサービスを提供する会社です。
  • 企業のウェブサイトやアプリケーションを決済処理システムに接続する安全なオンラインポータルである決済ゲートウェイを提供します。
  • PSP によって、企業は、単一のプラットフォーム、または統合されたプラットフォームを通じて、複数の決済方法を受け付けることができます。
  • PSP は、決済処理、不正利用の検出と防止、通貨換算、レポート作成、分析、顧客サポートを行います。
  • PSP は通常、共有または集約された加盟店アカウントで運営されており、これは複数の企業が決済処理用の単一のアカウントを共有することを意味します。これにより、企業はより簡単かつ迅速に決済の受け付けを開始できます。例えば、Stripe は決済サービスの顧客に加盟店アカウント機能を提供しているため、企業は独自に加盟店アカウントを開設する必要がありません。

加盟店アカウントプロバイダー

  • 加盟店アカウントプロバイダーとは、一般的に銀行や金融機関であり、企業に専用の加盟店アカウントを提供しています。加盟店アカウントとは、企業がクレジットカードやデビットカードなどの電子決済を受け付け、処理するための専門アカウントです。
  • 加盟店アカウントプロバイダーは、取引の処理と売上計上に不可欠な加盟店アカウントの提供に加えて、ペイメントゲートウェイも提供する場合がありますが、必ずというわけではありません。
  • 加盟店アカウントを取得する場合、企業は、財務の安定性、信用履歴、潜在的なリスクを審査する、一段と厳しいリスク評価プロセスを受ける必要があります。
  • 加盟店アカウントプロバイダーは、一般的によりカスタマイズされた価格設定を提供し、PSP に比べて取引手数料が低い場合があります。
  • 加盟店アカウントプロバイダーは、大企業や PSP では対応できない特殊なニーズを持つ企業に、より適している場合があります。

PSP と加盟店アカウントプロバイダーの主な違いは、決済処理用に提供するアカウントの種類です。PSP は、集約された加盟店アカウントを使って、より効率的なワンストップショップのソリューションを提供します。一方、加盟店アカウントプロバイダーは、企業ごとに専用の加盟店アカウントを提供します。また、PSP は、加盟店アカウントプロバイダーが通常必要とするような申請やリスク評価プロセスが必要ありません。

決済サービスプロバイダーを利用するメリット

PSP を利用することは、特にオンラインビジネスや電子決済取引を行う企業にとって、いくつかのメリットがあります。PSP を使う場合、以下のようなメリットがあります。

  • セットアップと統合が簡単
    PSP は使いやすい API や統合ツールを提供するところが多く、企業は最小限のセットアップでウェブサイトやアプリケーションで決済の受け付けを始めることができます。そのため、専用の加盟店アカウントを開設したり、別の決済ゲートウェイと統合したりする必要がなくなり、時間と労力を節約できます。

  • 多様な決済手段の提供
    PSP によって、企業は、単一のプラットフォームを通じて、クレジットカード、デビットカード、デジタルウォレット、銀行振込など、幅広い決済方法を受け付けることができます。そのため、決済処理が簡素化され、便利で手軽な顧客体験が実現します。また、さまざまな市場の顧客が好む支払い方法を提供することで、企業は競争力を維持できるようになります。

  • グローバルなリーチの実現
    PSP は、各国で普及している複数の通貨や決済方法をサポートできるため、国際取引が簡単になります。そのため、企業はリーチを広げ、世界中の顧客を引き付け、新しい市場を開拓できます。

  • より簡単なセキュリティと法令遵守
    PSP は、そのシステムとプロセスが PCI DSS などの必要な業界標準および規制に準拠していることを保証する責任があります。そのため、取引処理のためのセキュアな環境が提供され、企業の法令遵守の負担が軽減されます。

  • 強力な不正決済の検知と防止策の提供
    PSP は、不正な取引を特定し防止するために、高度なツールとシステムを実装しています。取引パターンをモニタリングし、機械学習アルゴリズムを使用して疑わしい行為を検出し、チャージバックや不正利用などに関連する潜在的なリスクから企業を保護します。

  • レポート機能とアナリティクス
    PSP は、一般的に詳細なレポート機能と分析ツールを提供し、取引、顧客の行動、全体的な業績に関するインサイトを企業に提供します。これにより、企業は十分な情報に基づいて意思決定を行い、決済処理を最適化できます。PSP が独自に提供するレポートや分析に加えて、ほとんどの PSP はサードパーティーの分析ツールやレポートツールと簡単に統合でき、決済に関するさらに包括的で実用的なデータを得ることができます。

  • シンプルな価格設定と請求
    PSP は、一般的に透明性のある分かりやすい価格体系を採用しているため、企業は決済処理コストを把握し、管理しやすくなっています。一部の PSP は、企業の財務管理を簡素化する一括請求も提供しています。

  • 拡張性のサポート
    PSP はあらゆる規模のビジネスに対応し、ビジネスの成長に合わせて簡単に拡張できる機能を提供します。つまり、企業は、プロバイダーを切り替えたり、新たな決済処理の手配をしたりする必要がなく、ビジネスが拡大しても同じ PSP を使い続けることができます。

  • 充実した顧客サポート
    PSP は、一般的に企業に専用の顧客サポートを提供し、決済処理中に発生するあらゆる質問や問題に対応します。これは、決済処理の問題を管理するリソースを自社で確保できない小規模企業にとって特に価値があります。

もちろん、すべての PSP が同じというわけではなく、他の PSP にはない機能やサービスを提供している場合もあります。企業には、以下の 2 つの課題があります。

  1. 決済サービスに対するお客様の正確なニーズ、期待、要件を把握しましょう。
  2. 候補となる PSP をすべてリストアップして絞り込み、短期的にも将来的にも、自社のニーズを満たす最適なプロバイダーを見つけましょう。

決済サービスプロバイダーの選び方

適切な PSP を選択することで、企業は業務効率と収益成長を最適化しながら、顧客にスムーズで安全な決済体験を提供することができます。

選択肢を検討する際に考慮すべき要素をいくつかご紹介します。

  • サポートする支払い方法
    PSP が、クレジットカード、デビットカード、デジタルウォレット、後払い (BNPL) など、対象とする顧客に好まれる支払い方法をサポートしていることを確認します。複数の支払いオプションを提供することで、顧客満足度を向上させ、顧客が購入する可能性を高めることができます。

  • 通貨サポート
    複数の国でビジネスを展開している、またはグローバル市場への進出を計画している場合は、複数の通貨に対応し、通貨換算サービスを提供する PSP を選択します。例えば、Stripe は 135 以上の通貨をサポートしており、国際的にビジネスを展開する企業やグローバル市場への進出を目指す企業に適した選択肢となっています。

  • 統合と互換性
    PSP と既存のウェブサイト、EC ストアプラットフォーム、またはアプリケーションとの統合が簡単にできるかを確認します。例えば、Stripe は、使いやすい API、プラグイン、SDK を提供し、既存のウェブサイト、EC ストアプラットフォーム、アプリケーションとの統合プロセスを簡素化しています。Stripe は、さまざまな技術スタックと互換性があるため、企業は迅速に決済を開始できます。

  • 料金体系と手数料
    異なる PSP の手数料や料金体系を比較します。取引ごとに定額手数料を請求するところもあれば、取引額に応じた一定の割合を請求するところもあります。また、セットアップ料金、月額料金、チャージバック手数料、通貨換算手数料などの付加的な料金についても確認しましょう。Stripe は、固定手数料、および取引ごとの割合に基づく手数料による、透明性が高くわかりやすい料金体系を提供しています。

  • セキュリティと法令遵守
    業界標準のセキュリティ慣行を遵守し、PCI DSS などの規制に準拠している PSP を選択します。これにより、機密性の高い決済データが安全に保存、処理、送信され、データ漏洩や不正利用のリスクが軽減されます。例えば、Stripe は、PCI サービスプロバイダーレベル 1 の認定を受けており、これは決済業界で最も厳しいレベルの認定です。

  • 不正利用の検出と防止
    強固な不正検出・防止ツールを提供する PSP を選びます。これは、企業の評判を維持し、経済的損失を最小限に抑えるのに役立ちます。機械学習ベースのソリューション Radar など、Stripe の高度な不正検出・防止ツールは、不正な取引やチャージバックから企業を守ります。

  • レポート機能とアナリティクス
    詳細なレポート機能と分析ツールを提供する PSP を選択することで、取引、顧客行動、全体的な業績に関する貴重なインサイトを得ることができます。これらのインサイトにより、十分な情報に基づいた意思決定と決済処理の改善を行うことができます。

  • 顧客サポート
    PSP の顧客サポートサービスの品質を評価します。問題に対処し、顧客にスムーズな支払いを体験してもらうために、対応が早く知識豊富な顧客サポートを探しましょう。Stripe のチャット、メール、電話サポートのオプションについては、こちらをご覧ください

  • 拡張性
    PSP がビジネスの成長とニーズの変化に対応できるかどうかを確認します。ビジネスが成長するにつれ、機能や決済方法の追加、取引量の増加などが必要になる場合があります。ビジネスの成長に合わせて拡張でき、変化する要件に対応できる PSP を選びましょう。Stripe はあらゆる規模の企業に対応し、ビジネスの成長に合わせて簡単に拡張できます。その機能と適応力は、企業の進化するニーズに対応することができ、信頼できる長期的な PSP ソリューションの要となっています。

  • 評判とレビュー
    PSP の業界での評判を調べ、そのサービスを利用している他の企業のレビューを読みましょう。そうすることで、PSP の信頼性、実績、顧客サポートのレベルをより詳しく把握できます。

適切な決済サービスプロバイダーを選択することは、ビジネスの成功に大きく影響します。さまざまな PSP を慎重に比較することで、自社のビジネスニーズに最も適した PSP を見つけることができ、顧客に安全でスムーズな決済体験を提供できます。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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