ペイメントゲートウェイの種類: 企業向けクイックガイド

  1. はじめに
  2. ペイメントゲートウェイの仕組み
  3. ペイメントゲートウェイの種類
  4. 様々なペイメントゲートウェイの比較
    1. 連携の簡素化
    2. 料金体系と手数料
    3. 取引のスピード
    4. セキュリティ
    5. 顧客体験
  5. ビジネスに適したペイメントゲートウェイの選び方
    1. ビジネスモデルと販売量の評価
    2. 技術的能力の考慮
    3. 総所有経費の評価
    4. セキュリティと規制遵守を優先する
    5. 自社の決済環境との連携について理解する
    6. 顧客体験を重視する
    7. グローバルおよびローカルのケイパビリティを確認する
  6. Stripe にできること
    1. セキュリティ
    2. 連携
    3. 使いやすさ

ペイメントゲートウェイとは、オンライン・ビジネスのための金融取引を認証・処理する技術プラットフォームです。Stripe は、企業のウェブサイトと取引に関わる金融機関とを仲介しています。世界の E コマース売上は 2023 年に 3 兆ドルを超えると予測されており、信頼性の高いペイメントゲートウェイはこの分野で重要な役割を果たし続けると考えられます。

ペイメントゲートウェイは、利用者の支払い情報を確認し、十分な残高があることを確かめ、企業が支払いを受け取れるようにしています。また、不正利用を防止するためのセキュリティ対策も取り入れています。例えば、クレジットカード番号などの機密データを暗号化することで、利用者、企業、決済代行業者の間で安全にデータを送信しています。

以下では、ペイメントゲートウェイについて、その仕組み、様々な種類、それらの比較など、企業が知っておくべきことを取り上げています。また、決済の受け付け方法やその場所、利用者が好む決済手段など、貴社のビジネスや利用者に特有のニーズに対応するためのペイメントゲートウェイの選び方についてもご説明します。

この記事の内容

  • ペイメントゲートウェイの仕組み
  • ペイメントゲートウェイの種類
  • 様々なペイメントゲートウェイの比較
  • ビジネスに適したペイメントゲートウェイの選び方
  • Stripe にできること

ペイメントゲートウェイの仕組み

ペイメントゲートウェイには、オンライン取引を仲介する役割があります。支払いプロセスとそこにペイメントゲートウェイがどのように関与しているかを以下に簡単にご紹介します。

  • 回収: 利用者がオンラインストアで注文をするとき、ウェブサイトの注文ページで支払い情報を入力します。

  • 暗号化: ペイメントゲートウェイは、利用者のブラウザから収集したデータを暗号化することで、取引の内容を機密化します。

  • オーソリのリクエスト: ペイメントゲートウェイは、セキュアソケットレイヤー (SSL) 接続を介して、ウェブサイトから企業のサーバーに暗号化されたデータを転送します。その後、ペイメントゲートウェイは、企業のアクワイアリング銀行と提携する決済処理業者に取引リクエストを送信します。

  • 処理: 決済代行業者はリクエストを受信すると、それをカードネットワーク (例: VisaMastercard) に引き渡します。クレジットカードネットワークは、取引のオーソリをリクエストするため、取引を利用者のカード発行会社に引き渡します。

  • 承認の合否: カード発行会社は、リクエストを受け取ると、取引の有効性を確認し、利用者に十分な残高またはクレジット利用可能額があるかどうかを確かめます。その後、決済代行業者に承認または拒否の返答を送り返します。

  • 取引のステータスを伝える: 決済代行業者は承認に関するレスポンスをペイメントゲートウェイに転送します。リクエストが承認された場合、企業は注文を履行し、ペイメントゲートウェイはウェブサイトに取引を完了させるよう指示します。

  • 売上処理: オーソリが行われた後、決済代行業者がカード発行会社から加盟店アカウントに送金します。このプロセスは売上処理として知られており、通常、取引ごとに即座に行われるのではなく、定期的に行われます。

ペイメントゲートウェイの種類

ペイメントゲートウェイにはいくつかの種類があり、それぞれが異なるビジネスニーズに対応しています。主なものは以下のとおりです。

  • サードパーティーホスト型ゲートウェイ
    これはサードパーティーサービスが提供するゲートウェイです。利用者は支払いを行おうとすると、決済サービスプロバイダーのプラットフォームにリダイレクトされ、そこで支払い情報を入力し、取引を完了します。支払いが処理されると、利用者は企業のウェブサイトに戻ります。このようなゲートウェイは通常、連携が容易で、データはプロバイダーのサーバーで処理されるため、セキュリティも強固です。しかし、決済処理が他社のウェブサイトで行われるため、顧客体験をコントロールしにくいという側面があります。

  • セルフホスト型ゲートウェイ
    この種のゲートウェイでは、取引データは自社のウェブサイトで収集されます。企業は決済プロセスと顧客体験を完全にコントロールできます。この種のゲートウェイは、企業がホストするため、決済データをセキュアな方法で取り扱い、PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) などのデータ保護基準に準拠することも求められます。このゲートウェイを選択する企業は通常、決済体験の完全なカスタマイズを求めており、それに伴うセキュリティ責任を管理する能力があります。

  • API ホスト型ゲートウェイ
    この種のゲートウェイは、簡単な決済プロセスを企業のウェブサイトやアプリ上で直接提供するものです。支払い情報は、アプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を介して収集されます。これにより、スムーズかつ連携のとれた顧客体験を実現しますが、データ保護基準を満たすために、企業はカード保有者のデータを扱うためのセキュアな環境を用意する必要があります。

  • 現地の銀行との連携
    この種のペイメントゲートウェイは、銀行自身の決済システムに直接接続するものです。特定の地域や国の利用者をターゲットとし、現地の銀行が信頼され馴染みのあるものであれば、このオプションは特に有用です。現地銀行との連携の有効性は、その銀行のテクノロジーと、その銀行がオンライン取引をどの程度サポートできるかに大きく依存します。

様々なペイメントゲートウェイの比較

様々な種類のペイメントゲートウェイを比較する場合は、主なビジネスニーズに対し、各ゲートウェイがどのように機能するかを評価するとよいでしょう。その後、それぞれの利点や欠点を検討し、貴社の業務能力、財務上の考慮事項、顧客体験目標に合致するペイメントゲートウェイを選択します。各ペイメントゲートウェイが、いくつかの重要分野でどのように機能するかを以下にご紹介します。

連携の簡素化

  • サードパーティーホスト型ゲートウェイ: これは最も簡単に導入できるゲートウェイです。企業は通常、ウェブサイトにボタンやリンクを埋め込むだけで、利用者を決済サービスプロバイダーにリダイレクトすることができます。

  • セルフホスト型ゲートウェイ: この種のゲートウェイは、決済インターフェイスとデータ取得を企業が管理する必要があるため、最初のセットアップと導入にかなりの技術的専門知識が必要となります。

  • API ホスト型ゲートウェイ: これもまた、導入のための技術的ノウハウ、特に API コールと自社のアプリケーション内でのレスポンス処理の知識を必要とします。

  • 現地の銀行との連携: 連携のしやすさは銀行によって大きく異なり、多くは銀行の技術インフラに依存します。プラグアンドプレイで連携が可能になる銀行もあれば、より複雑な手間がかかる銀行もあります。

料金体系と手数料

  • サードパーティーホスト型ゲートウェイ: 通常、取引ごとに課金され、初期セットアップ料は無料であるため、小規模企業や売上が散発的な企業にとっては費用対効果が高い選択肢です。

  • セルフホスト型ゲートウェイ: ソフトウェアの購入を含む初期セットアップ費用や、規制遵守やセキュリティ更新のための継続的費用が高くつく可能性があります。

  • API ホスト型ゲートウェイ: この種のゲートウェイの料金体系は、取引ごとに手数料がかかる場合から月額プランまで幅広く、取引量に応じて段階的な料金設定を提供するゲートウェイもあります。

  • 現地の銀行との連携: この場合の費用には、セットアップ手数料、月次サービス料、取引手数料などが含まれます。ビジネスの規模や取引量に応じて交渉可能な場合もありますが、各銀行の方針によります。

取引のスピード

  • サードパーティーホスト型ゲートウェイ: 利用者を外部のウェブサイトにリダイレクトするため、取引に時間がかかる要因となります。

  • セルフホスト型ゲートウェイ: スピードは、企業のサーバーとインフラに大きく依存し、自社で最適化して処理速度を上げることができます。

  • API ホスト型ゲートウェイ: 通常、企業のウェブサイトやアプリ上で決済が行われるため、迅速に処理し、リアルタイムの取引ができます。

  • 現地の銀行との連携: スピードは各銀行の処理時間によって異なり、取引の迅速な処理に特化して最適化されている他のゲートウェイと比べると遅くなる可能性があります。

セキュリティ

  • サードパーティーホスト型ゲートウェイ: 一般に、プロバイダーのセキュアなサーバーを使用しているためセキュリティが強固で、規制遵守も保証されるため、企業はセキュリティ面での負担から解放されます。

  • セルフホスト型ゲートウェイ: 企業はセキュアかつ規制に準拠した環境を維持することに全責任を負い、セキュリティ対策に投資する必要があります。

  • API ホスト型ゲートウェイ: この場合、セキュリティの責任は分担されます。企業は取引データを自社側で保護する必要がある一方、ゲートウェイは API を通じてセキュアなエンドポイントを提供する必要があります。

  • 現地の銀行との連携: サードパーティーホスト型ゲートウェイと同様、現地の銀行パートナーが強固なセキュリティを提供してくれるため、企業はセキュリティに関する負担から解放されます。

顧客体験

  • サードパーティーホスト型ゲートウェイ: サイトのリダイレクトがあるため、ショッピング体験がスムーズでなくなり、購入完了率に影響を与える可能性があります。しかし多くの場合、利用者に馴染みのある、信頼性の高い決済プロセスが提供されます。

  • セルフホスト型ゲートウェイ: 決済プロセスを完全にカスタマイズおよび合理化することができ、利用者は取引の全過程で企業のウェブサイトに留まり続けることができます。

  • API ホスト型ゲートウェイ: 企業のブランディングに合わせて見た目をカスタマイズできるため、スムーズかつ一元化された決済体験を提供できます。

  • 現地の銀行との連携: 銀行の評判が高ければ、利用者にとってこのオプションは特に信頼される可能性がありますが、他の種類のゲートウェイに比べてカスタマイズしにくい可能性があります。

ビジネスに適したペイメントゲートウェイの選び方

決済インフラの他の側面と同様、貴社のビジネスに適したペイメントゲートウェイを選ぶには、貴社固有のニーズ、運用能力、顧客の期待を分析する必要があります。ペイメントゲートウェイを選ぶ際に重要な情報を以下にご紹介します。

ビジネスモデルと販売量の評価

  • スタートアップまたは小規模ビジネス: 起業したばかりの頃、または取引量が少ない場合は、サードパーティーホスト型ゲートウェイが最も現実的かもしれません。通常、短時間でセットアップが完了し、メンテナンスも少なくて済むため、ビジネスの成長に注力することができます。

  • 取引が増加していて成長段階にあるビジネス: 取引量が増えてきたら、API ホスト型ゲートウェイを検討してみましょう。より優れた顧客体験を提供し、取引あたりの費用を抑えられる可能性があります。

  • 大規模または既に確立されたビジネス: 取引量が多く、支払いのカスタマイズを求める企業には、セルフホスト型ゲートウェイが最適かもしれません。自社でのコントロールが可能で、特定のニーズに合わせて最適化できます。

技術的能力の考慮

  • 技術的リソースが少ない: 少人数のチームで作業している場合は、複雑な技術面の大部分を管理してくれるサードパーティーホスト型ゲートウェイを選ぶとよいでしょう。

  • テクニカルチームがいる: 専門の技術チームがあれば、社内で管理できる API ホスト型ゲートウェイまたはセルフホスト型ゲートウェイを採用することで、取引のプロセスをよりコントロールすることができます。

総所有経費の評価

  • あらゆる費用を確認する: 取引手数料以外の料金も確認しましょう。セットアップ費用、月額、コンプライアンスコスト、チャージバックまたはクロスボーダー決済にかかる追加料金を考慮しましょう。

  • 長期的費用を考慮する: セットアップ料金が無料でも取引料金が高いゲートウェイは、特に販売量が増えるにつれて、長期的には割高になる可能性があります。

セキュリティと規制遵守を優先する

  • データ保護基準: 顧客データを保護するため、ゲートウェイが PCI DSS などの必要なセキュリティ基準に準拠していることを確認しましょう。

  • セキュリティに関するインフラ: 決済データをセキュアに処理するインフラが不足している場合は、強力なセキュリティ機能を提供するサードパーティーホスト型ゲートウェイまたは API ホスト型ゲートウェイを利用するのがよいでしょう。

自社の決済環境との連携について理解する

  • 現在利用しているシステムとの互換性: ゲートウェイは、現在のウェブサイト、会計ソフト、その他のシステムとうまく連携させる必要があります。

  • 必要な決済手段のサポート: ゲートウェイが、クレジットカードデジタルウォレット代替決済手段など、利用者が好むすべての決済手段をサポートしていることを確認しましょう。

顧客体験を重視する

  • 簡単な決済プロセス: 購入完了率を最大化するには、注文をスムーズに行えるペイメントゲートウェイにする必要があります。

  • カスタマイズ: API ホスト型ゲートウェイまたはセルフホスト型ゲートウェイでは通常、より自由なカスタマイズが可能で、貴社のブランドに合わせてユーザーフレンドリーなインターフェイスをデザインできます。

グローバルおよびローカルのケイパビリティを確認する

  • 通貨と言語サポート: 国際市場でサービスを提供している場合は、複数の通貨と言語に対応しているゲートウェイを探しましょう。

  • 現地の銀行との連携: 特定の市場に重点を置く企業にとって、現地の銀行と連携することは、利用者の信頼がある、あるいは場合によっては手数料を安く抑えられるというメリットがあるかもしれません。

これらの要素を考慮することで、貴社のビジネス目標に合致し、必要な機能を提供し、優れた顧客体験を提供するペイメントゲートウェイを選択することができます。また、この決定は永続的なものではなく、ビジネスが進化するにつれて、選択する決済処理ソリューションも変わってくる場合があることも念頭に置きましょう。

Stripe にできること

Stripe のペイメントゲートウェイソリューションは、トップクラスのセキュリティ機能、適応性の高い導入オプション、企業と顧客の特定のニーズに応えるユーザーフレンドリーな体験を提供します。Stripe のペイメントゲートウェイが企業にとって強力な選択肢となる主な機能をご紹介します。

セキュリティ

  • 暗号化
    Stripe は、SSL やトランスポート層セキュリティ (TLS) などの業界標準プロトコルを使用して、対称型および非対称型の暗号化を行い、利用者のブラウザ、企業のウェブサイト、決済プラットフォームの間でのセキュアなデータ転送を保証します。この強固な暗号化により、機密性の高い顧客データや金融取引を不正アクセス、改ざん、盗難から保護します。

  • トークン化
    Stripe のトークン化プロセスでは、機密性の高い支払い情報を固有のトークンに置き換えます。たとえこれが流出したとしても本質的な価値はないので、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを大幅に軽減することができます。

  • 認証
    Stripe では、単一要素認証、二要素認証、多要素認証など、様々な認証方式を採用し、不正取引からの保護を強化しています。

  • 不正利用の検知と防止
    機械学習アルゴリズム、行動分析、リスクスコアリングなどの高度な技術により、不正取引を防止します。

  • PCI DSS 準拠
    PCI DSS に準拠することにより、クレジットカード情報の処理、保管、送信のためのセキュアな環境を保証します。

  • 稼働時間と信頼性
    取引処理を中断させないためには、ペイメントゲートウェイの稼働時間と信頼性の高さが重要です。定期的なモニタリング、冗長化の手法、強固なインフラにより、ダウンタイムが最小限に抑えられます。。

連携

  • 連携の柔軟さ
    Stripe は、様々なビジネスニーズに合わせて複数の連携オプションを提供しています。例えば、Stripe Dashboard を使用したノーコード版と、決済をよりコントロールしたい企業向けのローコード版とがあります。

  • 決済と支払い要素
    Stripe Checkout では、埋め込み可能な決済フォームや、Stripe がホストする決済ページへのリダイレクトを追加できます。Stripe の Payment Element は、ウェブサイトやアプリに埋め込める UI コンポーネントで、API またはダッシュボードから設定できます。

  • 支払い方法の動的ディスプレイ
    Stripe は、通貨や場所、その取引固有の要素に基づいて、各利用者に最も適切な支払い方法を自動的に表示します。これにより、顧客体験と購入完了率が向上します。

使いやすさ

  • ユーザー重視のデザイン
    顧客体験を重視して設計されたペイメントゲートウェイで、企業と利用者の両方にとってシンプルで直感的なインターフェイスを提供します。

  • カスタマイズ可能な実装
    企業は、ゲートウェイの実装方式を、特定の要件や技術的能力に応じてカスタマイズできます。

  • 広範なサポート
    Stripe は、企業がペイメントゲートウェイのセットアップを改善し、問題を効率的に解決できるよう、広範なドキュメントとサポートを提供しています。

Stripe の決済プラットフォームに関する詳細は、こちらでご覧いただけます。

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