ワンクリック決済 101: 事業者向け完全ガイド

  1. はじめに
  2. ワンクリック決済とは
  3. ワンクリック決済の仕組み
  4. ワンクリック決済は安全か
  5. ワンクリック決済のメリット
    1. 効率的な購入体験
    2. カゴ落ちの削減
    3. ブランド認知
    4. ウェブサイトとブラウザーの互換性
    5. 注文の正確さの向上
    6. 少額商品の頻繁な購入への対応
  6. ワンクリック決済のソリューションを選定する方法

カゴ落ちはオンライン小売業者を常に悩ませる問題であり、いくつかの調査によると、購入前にカゴ落ちとなる割合は 70% にのぼると推定されています。事業収益の面では一つひとつの購入すべてが重要であるため、顧客を呼び戻すシンプルなショッピング体験を提供すると同時に、カゴ落ちの削減に向けてすべての選択肢を検討する必要があります。

解決策になり得るのは、売上の拡大とカゴ落ち対策の両方に対応できるワンクリック決済です。

この記事の内容

  • ワンクリック決済とは
  • ワンクリック決済の仕組み
  • ワンクリック決済は安全か
  • ワンクリック決済のメリット
  • ワンクリック決済のソリューションを選定するための方法

ワンクリック決済とは

ワンクリック決済は、カートに入っている商品を顧客がクリック 1 回で購入できる機能です。氏名、メール、支払い情報、配送先住所などの詳細情報を手入力せずに決済プロセスが完了するため、決済体験の効率が向上します。ワンクリック決済であれば、顧客に「1 回のクリックで完了する」シンプルな体験を提供できます。

ワンクリック決済を想定どおりに運用するには、顧客が事業者の決済代行サービスのアカウントをすでに保有していて、有効な決済手段を登録している必要があります。顧客は、ログインするか決済代行業者にリピート顧客として認識されると、追加の情報を入力することなく、ワンクリックのテクノロジーを利用してカートから購入手続きを直接完了できます。

Amazon は「1-click 注文」とも呼ばれるワンクリック決済を 1999 年に導入しました。以後、このテクノロジーは Stripe を含む多数の決済代行業者が採用するに至っています。ワンクリック決済を提供している決済代行業者にアカウントを持つ顧客は、ワンクリック決済を提供している小売業者の EC ストアウェブサイトにアクセスし、ログインするだけで、シンプルかつスピーディーな決済体験を得られます。

ワンクリック決済の仕組み

ワンクリック決済の仕組みは、関係する事業者や決済代行業者によって多少異なりますが、おおむね次のようなものです。

  1. 顧客は、ワンクリック決済を提供しているオンライン事業者で初めて購入する際、自分のクレジットカード、デビットカード、または銀行口座に関する支払い情報を入力します。
  2. 決済代行業者はこの決済手段を保存し、顧客のアカウントに関連付けます。以降、顧客はメールアドレスを使用してアカウントにアクセスできます。
  3. その小売業者 (または、同じワンクリック決済プロバイダーを採用しているその他の小売業者) で購入しようとすると、顧客はただちに認識され、保存済みの支払い情報にすぐにアクセスできるため、ワンクリックで取引を完了できます。

ここで、一例として Stripe を取り上げます。自社の EC ストアのストアフロントで Stripe の Link を利用したワンクリック決済を導入している場合、顧客には、購入の決済を簡単かつスピーディーに完了する手段が提供されます。Link は即時通知が行われる再利用可能な決済手段です。決済フローでは、支払いと配送に関する顧客の詳細が自動で入力されます。顧客は、自分の支払い情報を Link アプリで保存し、保存済みの支払い情報を Link に対応するすべての事業者との取引で再利用して、ワンクリックという「ショートカット」のメリットをその後も活用できます。

このアプローチを従来の決済フローと比較してみると、これまで、顧客はアクセスするすべての小売ウェブサイトで個別にアカウントを作成して、配送先と支払いの情報をすべて入力し、再確認してから [今すぐ支払う] ボタンをクリックする必要がありました。このような手順を踏んだ後、確認のページがさらに 1 つまたは 2 つ表示される場合もあり、顧客が心変わりして購入しなかったり、(さらに悪いことに) その最終確認のボタンをクリックし忘れ、意図せず購入しないままになることもありました。

よりシンプルなワンクリックのアプローチを採用すると、顧客にとって時間の節約になるばかりでなく、販売が失敗に終わる可能性も低減できます。決済プロセスで読み込まなければならない各ページで、エラーやインターネットの不調が生じたり、顧客の興味が失われたりするリスクがあります。顧客がカートの最終確認ページをプロセスの最後のステップであると勘違いして、最終確認ボタンをクリックせず、注文が完了しない恐れもあります。

支払いのポップアップ画面、追加のカード確認フォーム、アップセルの提案など、決済体験を複雑にする要素を決済プロセスに追加すると、これまでのような煩雑な決済フローがなぜ瞬時の顧客離れを招いていたのかが簡単にわかります。顧客はオンラインにアクセスして素早く注文を済ませ、次の用事に移りたいと考えているのです。ワンクリック決済であれば、オンライン顧客が好むだけでなく、顧客の期待度が高まりつつある効率的な体験が実現します。

ワンクリック決済は安全か

ワンクリック決済は、小売業者ではなく決済代行業者が提供するテクノロジーを使用するため、そのセキュリティレベルは決済代行業者のセキュリティレベルに左右されます。少なくとも、不正防止と PCI 準拠確認の機能を備えていることを必須と考えてください。Stripe の Link ソリューションでは両方の機能を利用できます。

ワンクリック決済のメリット

ワンクリック決済には多数のメリットがあり、小売サイトでの採用が増加している理由は明白です。

効率的な購入体験

ワンクリック決済の最も明確なメリットは、効率です。「ただの閲覧」から「購入」に至るまで、顧客はより手順が少ないシンプルな決済プロセスを体験できます。個人情報と支払い情報を時間をかけて入力することを面倒に感じている顧客も、購入を見送る理由が少なくなります。

カゴ落ちの削減

小売業者の観点から捉えると、ワンクリック決済は、販売達成件数の増加、カゴ落ち率の低減、購入体験全般に関する顧客満足度の向上に有効です。少額の投資で成長を望む事業者は、顧客ロイヤルティの強化および販売達成率の向上に向けて、ワンクリック決済を優先事項とすることをお勧めします。

ワンクリック決済によって、前述の問題をどの程度解決できるでしょうか。データを見てみましょう。カートを放棄した経験がある 4,000 人以上の買い物客を対象とした調査によると、理由の筆頭は価格です。ただし、回答者の 24% を占める 2 番目の理由は、アカウントを作成したくないというものでした。ワンクリック決済の場合、買い物客がワンクリック決済代行業者のアカウントをすでに保有していれば、そのような煩わしさはなくなります。

顧客の 17% は、これとは異なるものの似た理由でカートを放棄しています。決済のプロセスが複雑であったことです。ワンクリック決済のソリューションでは体験がシンプルになり、顧客が購入せずにページを離れる確率が小さくなります。

ブランド認知

顧客がある小売業者で初めて購入する場合、自分が知っていて信頼している決済代行業者のワンクリック購入ボタンがあれば安心感を覚えます。馴染みのない小売業者のサイトでクレジットカード情報を手入力することには気が進まない場合でも、Stripe のボタンがあればためらわずクリックするかもしれません。過去の支払い情報を保持している Stripe を信頼しているためです。

ウェブサイトとブラウザーの互換性

パートナーのスマートフォンや共用のコンピューターなど、新しいデバイスや慣れていないデバイスでのオンラインショッピングはストレスに感じることがあります。正常にログインするには、小売アカウントのパスワードを覚えていなければなりません。使用頻度が低いサイトの場合などは特に、プロセスの途中でパスワードリセットのメールに対応することになります。

ワンクリック決済の場合、顧客は個々の小売業者ではなく決済代行業者に対してログインを証明すれば済むため、ストレスを感じることはありません。また、Stripe のワンクリック決済におけるログインオプションはシンプルで、買い物客が入力を求められるのは Stripe アカウントに関連付けられているメールアドレスのみです。アカウント保有者のモバイルデバイスに送信されるテキストメッセージで、簡単に確認が完了します。

今後の購入に備えて、ログインを覚えておく必要や、同じデバイスを使い続ける必要はありません。時間や場所に関係なく簡単に購入できます。

注文の正確さの向上

入力されたクレジットカード番号の誤りや、存在しない住所への商品の配送といった注文エラーが生じた場合、事業者にとってはコストがかさみます。ワンクリック決済のソリューションを利用すると、支払いに関するデータがすでに確実に登録されている状態になります。また、カード情報は少なくとも一度は正常に利用されたものであるため、その後の取引で承認される可能性が高くなります。Stripe のワンクリック決済は外部でホストされるため、小売業者の自社ウェブサイトで技術的なエラーが発生して正常に決済できないというリスクも低減します。

決済エラーへの対処は、大多数の事業者が認識しているよりもはるかに重要である可能性があります。ヨーロッパでの決済の動向に関する 2021 年のレポートによれば、有力企業の 42% において、カード情報入力エラーまたは支払い表示エラーに関連した決済のエラーが 3 回以上発生し、61% は顧客情報の自動入力に対応しておらず、10% は「請求先住所を配送先住所として使用する」という一般的な機能に対応していません。アメリカでの決済の動向もあまり好ましい状況ではなく、有力企業の 46% でカード入力の問題が 3 回以上発生し、36% は入力支援のためにカード番号を 4 桁ごとにまとめるというフォーマットを採用しておらず、77% は将来の注文に備えた顧客の支払い情報の保存に対応していません。ワンクリック決済ではこうした問題の多くが解消し、事業者が実施するサイト設計の変更も最小限で済みます。

少額商品の頻繁な購入への対応

買い物客は、ある少額商品が 1 個あれば事足りる場合も、その商品 1 個のみを購入することをためらう可能性があります。1 個の商品をカートに入れて決済するという面倒な手続きを踏まずに、今後予定している大きい買い物まで待ったほうが無駄がないかもしれないと感じるのです。ワンクリック決済は手軽に利用できることから、顧客は少額の購入を頻繁に行うことへのためらいが和らぎます。

ワンクリック決済は、顧客が大量注文を済ませた後で、商品の買い忘れたに気づいた場合も効果的です。商品をカートに入れて 2 回目の少額注文を決済する手続きも、1 つのステップで簡単に完了します。

ワンクリック決済のソリューションを選定する方法

スピーディーなワンクリック決済を提供している決済代行業者を選定する際の選択肢は多数ありますが、すべての業者が同じメリットを提供しているわけではありません。

代行業者を選定する前に、以下の質問事項を自問してください。

  • その決済代行業者では Checkout のカスタマイズできるか。
  • そのワンクリックのソリューションは利用者に広く認知され、信頼されているか。
  • 決済ソリューションは、顧客がログインしていない場合であっても、あらゆるデバイスからの購入に対応しているか。
  • 決済ソリューションでは、どのセキュリティ対策が提供されているか。

Stripe ユーザーが利用する Link では、カード保有者の情報が Stripe を使用しているすべての小売業者にシームレスに接続されます。ブランドが幅広く認知され、最新のカードセキュリティテクノロジーが導入している Stripe であれば、小売業者としてのお客様の信用を強化して、カゴ落ちを削減し、手間のかからない決済体験を構築できるようお手伝いできます。

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