決済の不正利用の検出と防止における機械学習の仕組み

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  1. はじめに
  2. 機械学習とは
    1. 教師あり学習
    2. 教師なし学習
    3. 強化学習
  3. 不正利用の防止と検知における機械学習の用途
  4. 機械学習による不正対策の認定資格
  5. 不正利用の検知に向けた機械学習の応用例
    1. 対面支払い
    2. モバイル決済
    3. EC ストア
    4. その他の関連するユースケース

2022 年、世界全体でのオンライン決済の不正利用による損失額は 410 億ドルに達し、この数字は、2023 年末までに 480 億ドルに膨れ上がると見込まれています。決済の不正利用に対処し、金銭および評判に及ぼす壊滅的な被害を減らすことは、事業者にとって最優先事項です。事業者はまた、決済の不正利用による直接的な金銭的損失に留まらず、顧客の信頼とロイヤルティを損なう恐れがあり、さらに規制当局と法執行機関からの監視が強化されることになります。増大するこうした脅威に対処するために、多くの組織が機械学習に注目しています。

AI の一分野である機械学習は、複雑で進化を続ける決済の不正利用に対処できる、強力で適応性があるソリューションを提供します。大規模なデータセットと先進のアルゴリズムを駆使した機械学習によって、不正な行為を示すパターンや異常を特定でき、不正利用をリアルタイムで検知・防止することが可能となります。最終的には、機械学習は決済をめぐる安全な環境の維持に役立ち、顧客、売上、評判を保護してくれます。

この記事では、不正防止に機械学習を利用するメリットと、さまざまな決済シナリオにおける機械学習の活用方法をご紹介します。

この記事の内容

  • 機械学習とは
  • 不正利用の防止と検知における機械学習の用途
  • 機械学習による不正対策の認定資格
  • 不正検知における機械学習の応用例

機械学習とは

機械学習は AI の一分野であり、コンピューターがデータから学習し、データ内からパターンを識別して、その学習結果を基に意思決定を行えるようにするアルゴリズムとモデルの開発に焦点を当てています。

機械学習には、主に以下の 3 つの種類があります。

教師あり学習

教師あり学習とは機械学習の一種で、コンピューターが例を基に予測や決定を行うよう学習させる手法をいいます。生徒が教師から学ぶようなものだと考えてみると良いでしょう。教師は生徒に一連の問題とその問題に対する正解を示し、生徒はそれらの例題を学習し、パターンの識別を習得します。そのため、生徒が新しい問題に直面しても、以前の知識を使って正解を見つけることができます。

教師あり学習では、コンピューターアルゴリズムに、入力データ (問題) と正しい出力 (回答) の両方を含むデータセットが与えられます。アルゴリズムはこのデータセットを検討し、入力と出力の関係を学習します。最終的に、アルゴリズムは過去に与えられたことのない新しいデータについて予測や決定を実行できるようになります。

教師なし学習

教師なし学習とは機械学習の一種で、コンピューターが、特定の例や正解を与えられない状態で、データのパターンや構造を識別することを学習します。これは、探偵が取っ掛かりなしに事件を解決しようとするのに似ています。すなわち、利用できる情報の中から手がかりやつながりを探し、隠れたパターンや関係を明らかにします。教師なし学習では、コンピューターアルゴリズムに、入力データだけが含まれたデータセットが与えられ、対応する正しい出力 (回答) は与えられません。アルゴリズムの仕事は、このデータを分析し、基底にあるパターンを発見することです。

強化学習

強化学習とは機械学習の一種で、コンピューターが環境とやり取りをし、報酬または罰という形でフィードバックを受けることを通じて、意思決定を行うことを学習します。犬を訓練して芸をさせる方法を考えてみると良いでしょう。犬が芸を正しくできたらおやつを与え (報酬)、芸をしなかったら優しくたしなめます (罰)。時間が経つにつれて、犬は受け取るおやつの数を最大化するために、芸を正しく行うことを学習します。

強化学習では、コンピューターアルゴリズム (一般的にエージェントと呼ばれる) が環境を探索して意思決定を行います。行われた意思決定ごとに、報酬か罰のどちらかのフィードバックを受け取ります。アルゴリズムの目標は、時間の経過とともに累積報酬が最大化される意思決定を行うための最良の戦略、すなわち最良のポリシーを学習することです。この過程は試行錯誤を通じて進められ、フィードバックを基に戦略を適応させ改善していきます。

機械学習技術は、自然言語処理、画像・音声認識、医療診断、金融分析、自動運転車など多種多様な場面で使用されています。

不正利用の防止と検知における機械学習の用途

大量のデータを分析し、パターンを識別して、新しい情報に適応する能力がある機械学習は、不正利用の防止と検知に活用される機会が増えています。不正防止における機械学習の一般的な用途には、以下のようなものがあります。

  • 異常検知
    機械学習アルゴリズムは、取引データの異常なパターンや、正常な行動からの逸脱を識別できます。アルゴリズムは過去のデータを「学習」することにより、正当な取引を見分け、不正利用の可能性がある不審な行動にフラグを立てることを学びます。

  • リスクスコアリング
    機械学習モデルは、取引額、場所、頻度、過去の行動など、さまざまな要素を基に、取引やユーザーアカウントにリスクスコアを割り当てることができます。リスクスコアが高いほど不正利用の可能性が高いことを示すため、これらのスコアを基に、リソースに優先順位を付け、追加調査が必要な特定の取引やアカウントに焦点を当てることができます。

  • ネットワーク分析
    不正行為者は、相互に協力してネットワークを形成し、活動を実施していることがよくあります。グラフ分析のような機械学習技術は、エンティティ (ユーザー、アカウント、デバイスなど) 間の関係を分析し、異常なつながりやクラスターを特定することにより、そのようなネットワークの存在を明らかにするのに役立ちます。

  • テキスト分析
    機械学習アルゴリズムは、メール、ソーシャルメディアへの投稿、カスタマーレビューなどの非構造化テキストデータを分析して、不正利用または詐欺的行為の可能性があるパターンやキーワードを識別します。

  • 本人確認
    機械学習モデルは、身分証明書の画像や顔認識データなど、ユーザーから提供された情報を分析して検証することにより、本人確認の徹底を図り、なりすまし犯罪を防止することができます。

  • 適応学習
    機械学習の主な強みの 1 つは、新しい情報を学習して適応する能力です。不正行為者が手口を変えるのに合わせて、機械学習モデルを新しいデータに基づき再トレーニングできるため、機械学習モデルを最新の状態に維持し、新たな不正利用パターンを検知する能力を向上させることが可能です。

不正防止に機械学習を活用することは、検知能力を強化し、誤検知が発生するリスクを低減して、セキュリティと顧客体験を全般的に向上させる強力な方法です。

機械学習による不正対策の認定資格

機械学習による不正対策の認定資格とは、専門認定資格またはトレーニングプログラムの一種で、不正利用の検知と防止における機械学習技術の応用に焦点を当てています。この認定資格の目的は、不正利用対策において機械学習を応用するために必要な知識、スキル、手段を身に付けられるようにすることです。

機械学習による不正対策の認定資格プログラムでは、一般に以下の内容を学びます。

  • 機械学習の基礎: 機械学習の基本的な概念と原理の紹介。教師あり学習、教師なし学習、強化学習技術、および最もよく使用されるアルゴリズムなどが含まれます。

  • データの準備と前処理: 機械学習モデルで使用するデータのクリーニング、変換、準備のための技術。欠損データやノイズの多いデータ (破損したデータ等の使用不能データ) の取り扱い方、特徴エンジニアリング、データの正規化などを含みます。

  • モデルのトレーニングと評価: 機械学習モデルのトレーニング、適切なアルゴリズムの選択、モデルパラメーターの最適化の方法、さらに正解率、適合率、再現率、F1 値 (適合率と再現率による指標) などの指標を使用したモデルパフォーマンスの評価方法。

  • 不正検知技術: 不正検知に使用されるさまざまな機械学習ベースのアプローチの概要。異常検知、リスクスコアリング、ネットワーク分析、テキスト分析、本人確認などが含まれます。

  • 実装と展開: 機械学習モデルを本番環境に実装して稼働させるためのベストプラクティス。モデルのバージョン管理、監視、長期的なモデルパフォーマンスの維持などが含まれます。

  • 倫理と規制: 機械学習と不正防止に関連する倫理的考慮事項と規制遵守に関する議論。データプライバシー、公平性、説明可能性 (機械学習モデルが入力から出力までに何を行うかを人間に説明できる能力) などが含まれます。

機械学習による不正対策の認定資格を取得することで、専門家はこの専門分野における専門知識があることを証明できるため、不正検知能力を向上させたい組織にとって貴重な資産になります。このような資格の取得が役立つ専門家は、データサイエンティスト、アナリスト、不正利用の調査担当者、サイバーセキュリティスペシャリストなど多種多様です。

不正利用の検知に向けた機械学習の応用例

顧客の決済を取り扱う事業者は、機械学習に基づく不正利用の検知と防止を、以下のようにさまざまな決済シナリオに対して応用できます。

対面支払い

  • クレジットカードの不正利用の検知
    機械学習アルゴリズムは、取引データ (時間、場所、金額、取引相手など) を分析してパターンを識別し、不正利用の可能性がある取引にリアルタイムでフラグを立てることができます。たとえば、ある顧客のカードが、それぞれ距離が離れた 2 つの場所で短時間のうちに使用された場合、不審なものとしてその取引にフラグを立てられます。

  • POS の異常検知
    機械学習を利用して、POS 取引を監視し、異常なパターンを特定することができます。たとえば、ある従業員が異常に多くの返金や割引を処理しているのであれば、内部不正や盗難があったことを示している可能性があります。

モバイル決済

  • 指紋認証
    機械学習モデルは、デバイス固有の情報 (デバイスモデル、オペレーティングシステム、IP アドレスなど) を分析して、ユーザーごとに固有の「フィンガープリント」を作成できます。これを作成しておくと、アカウントの乗っ取りや、1 つのデバイスに複数のアカウントを関連付ける行為など、不正行為の検知に役立ちます。

  • 行動生体認証
    機械学習を利用して、タイピング速度、スワイプジェスチャー、アプリの使用状況といったユーザーの行動パターンを分析することで、ユーザーの本人確認を行い、不正行為であることを示唆している可能性のある異常を検知します。

EC ストア

  • アカウントの乗っ取り防止
    機械学習を利用して、ユーザーのログインパターンを監視し、何度もログインに失敗している、あるいは以前と異なるデバイスや場所からログインを試みているなど、アカウントの乗っ取り行為の可能性がある異常な行動を検知することができます。

  • フレンドリー詐欺の検知
    機械学習を利用することで、フレンドリー詐欺に関連するパターンも識別できます。フレンドリー詐欺とは、顧客が購入後に、その取引は不正であった、あるいは製品を受け取っていないと主張する手口を指します。モデルに基づいて顧客の購入履歴、返品率、チャージバックパターンなどの要素を分析することで、フレンドリー詐欺の可能性があるケースにフラグを立てることができます。

その他の関連するユースケース

  • 請求書に関わる不正検知
    機械学習を利用して請求書と関連文書を分析することで、不正利用があったことを示している可能性のある、請求書の重複、金額の不一致、不審なベンダー情報などの矛盾を特定できます。

  • ロイヤルティプログラムに関わる不正検知
    機械学習を利用して、ポイントの蓄積、引き換え、アカウントのアクティビティなど、ロイヤルティプログラム内での顧客の行動を監視し、不正利用や悪用の可能性がある行動を特定して、フラグを立てることができます。

機械学習ベースの不正検知・防止システムを導入することで、事業者は自社と顧客を不正利用から守り、金銭的損失を減らし、顧客の信頼と満足度を向上させることができます。

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