インターネットが持つ利便性、スピード、情報伝達範囲を背景に、多種多様な事業者の間で、オンライン決済システムを自社のウェブサイトに取り入れる動きが広がっています。今日では決済処理のための選択肢が数多く用意されているため、自社のウェブサイトで決済を受け付けるのは、これまでにないほど簡単です。
オンラインで決済を受け付けて処理することにより、ビジネスの潜在顧客基盤を拡大し、事業運営を効率化して、デジタル決済の選択肢に対する顧客の好みを反映させることができます。Onbe のアンケート調査によれば、回答者の 70% がデジタルでの決済の受け付けを希望し、73% がデジタル決済 (アプリ内決済とピアツーピア決済を含む) による買い物・支払いを希望しています。 事業者は競争力を維持するために、ウェブサイトでのシンプルかつ安全な取引体験を実現させなければというプレッシャーを感じています。
オンライン決済をどのように導入するかは、事業者が何を販売し、どのような顧客層や市場をターゲットにしているかなど、それぞれの事業者に応じた多くの要因に左右されます。ウェブサイトでの決済の受け付けを開始する前に、自社のビジネスにおける具体的なニーズを理解しておく必要があります。この記事では、オンライン決済の仕組み、考慮すべきリスクとメリット、導入方法についてご紹介します。
この記事の内容
- ウェブサイトでのクレジットカード決済の受け付けは可能か
- ウェブサイトで決済を受け付ける必要がある業種
- ウェブサイトでの決済の受け付けに伴うコスト
- ウェブサイトで決済を受け付けることのメリットとリスク
- ウェブサイトで顧客の決済を受け付ける方法
ウェブサイトでのクレジットカード決済の受け付けは可能か
答えは「はい」です。ウェブサイトでクレジットカード決済を受け付けることは可能です。これは、顧客取引を処理する安全な決済処理システムを連携させることで実現できます。Stripe をはじめとする先進的なペイメントプロバイダーは、ウェブサイトでのこうした決済の処理をシンプルにし、事業者と顧客の双方にとってプロセスを安全で効率的なものにします。
ウェブサイトで決済を受け付ける必要がある業種
従来は、EC ストア小売業者や SaaS (Software-as-a-Service) ビジネスなど、特定のビジネスのみが、ウェブサイトを通じてオンライン決済を受け付ける必要がありました。しかし、デジタル決済技術が進歩し、機能とユースケースが多様化するにつれ、これまでよりも多くの種類のビジネスがオンライン決済を受け付けるようになりました。
以下のような業種では、決済をウェブサイトで受け付けなければならない場合があります。
- EC ストア小売業: 衣料品や電化製品などの現物商品を販売する場合は、オンライン決済を受け付ける機能が必要です。EC ストアの決済は即時に行われ、クロスボーダー決済にもなり得ます。
- デジタル製品・サービスを提供するビジネス: ソフトウェア、音楽、電子書籍、オンライン講座などを提供するビジネスは、オンラインで成功を収めており、決済処理がカスタマージャーニーにおける重要な要素となっています。
- サブスクリプションサービス: ストリーミングコンテンツか、オンライン雑誌か、会員制サイトかにかかわらず、オンライン決済システムが実現する機能である継続支払いの自動化に大きく依存しています。
- 非営利団体: オンラインで寄付を受け付けることで、資金調達活動の手軽さと範囲が拡大します。
- 旅行・ホスピタリティビジネス: (ホテルや航空会社など) : 予約システムをオンラインに移行することにより、予約プロセスを効率化し、よりスムーズな顧客体験を実現させています。
- 食品宅配・オンライン食料品販売サービス: スピーディーかつ安全に取引を完了して、顧客を満足させるために、オンライン決済システムを必要としています。
- イベント主催者: コンサート、演劇、スポーツイベントなどの主催者は、オンライン決済を利用することで、チケット販売を効率化し、参加者の決済プロセスを簡略化しています。
- 専門サービスプロバイダー: コンサルタント、フリーランサー、教育者など。予約やサービスのオンライン決済を受け付けています。
- 不動産業者: 現在では、賃貸や購入の決済をオンラインで受け付けることで、ペーパーワークを減らし、決済プロセスを効率良く処理しています。
上記のような種類のビジネスは、オンライン決済システムに対する要件がそれぞれ異なります。しかし、どのような種類のビジネスであっても、顧客や寄付者の決済をオンラインで受け付けるには、安全かつ効率的でユーザーフレンドリーな方法が必要です。
ウェブサイトでの決済の受け付けに伴うコスト
このコストは、選択する決済処理サービス、取引額、受け付ける決済の種類など、いくつかの要因によって大幅に異なります。ここでは、一般的にオンライン決済の受け付けに発生する基本的な手数料の概要をご紹介します。
決済処理手数料
ほとんどの決済代行業者は、取引ごとに手数料を請求します。通常、取引額の数パーセントほどの金額に固定手数料を加えたものとなります。Stripe の料金体系について、詳しくはこちらをご覧ください。月額料金
決済代行業者によっては、サービスへのアクセスの対価を月額料金で請求することがあります。特に、サブスクリプション請求、不正防止、その他の付加価値サービスなど、高度な機能を提供するサービスの場合にその傾向が見られます。このような手数料は、月額数ドル程度の場合もあれば、月額数百ドルにまでなる場合もあります。Stripe では月額料金は不要です。セットアップ料金
多くの決済代行業者はセットアップ料金を請求しませんが、請求する業者もあります。これは特に、ビジネスの加盟店アカウントを開設する場合に一般的です。Stripe ではセットアップ料金は不要です。チャージバック手数料
顧客が請求に対して不審請求を申請し、チャージバックとなった場合、決済代行業者から手数料を請求されることがあります。この場合、チャージバック 1 件につき 15 ドル~ 25 ドルまたはそれを超える手数料がかかります。Stripe では、チャージバックとなった場合に手数料を別途請求することはありません。ただし、事業者には、不審請求の申請の対象となった取引金額と、カードネットワークのチャージバック手数料を支払う責任があります。特定のカードタイプに関連する手数料
法人向けクレジットカードやリワード還元型クレジットカードなど、一部の種類のカードでは、処理手数料が高くなる場合があります。
上記の説明は、オンライン決済をビジネスに利用する際に発生する可能性のある代表的な手数料について、簡単にまとめたものです。料率も手数料も、それぞれのプロバイダーで異なる可能性があります。また、ビジネスの業種、販売品目、営業地域、売上高、一般的な決済手段によっても異なります。決済処理サービスを選ぶ前に、料金体系の詳細と利用規約を十分に確認しましょう。
ウェブサイトで決済を受け付けることのメリットとリスク
ウェブサイトで決済を受け付けることで、顧客にとっては取引が簡単になり、事業者にとっては市場拡大が可能となります。しかし、オンライン決済の受け付けには、メリットとリスクの両方が伴います。
メリット
利便性の向上
オンライン決済に対応することで、顧客はインターネットにアクセスできる場所ならどこからでも買い物をできるようになります。これにはモバイル取引も含まれ、多くの顧客がスマートフォンでの買い物を好みます。24 時間いつでも利用できるので、売上を大幅に伸ばし、顧客の期待に応えることができます。リーチの拡大
オンライン決済を受け付けることで、事業者は世界中の顧客に製品やサービスを販売できるようになります。そのようにしてリーチを拡大できれば、実店舗の地理的制約が解消されます。業務の効率化
通常、オンライン決済システムは、売上の追跡や、請求書の管理、顧客データのモニタリングなどのためのツールを備えています。こうした機能を活用することで、数多くの事務的業務を自動化でき、手作業に伴う負担を減らして業務効率を高めることができます。キャッシュフローの改善
オンライン取引はほぼ瞬時に処理されるため、事業者のキャッシュフローを改善し、より素早い財務管理が可能となります。
リスク
不正利用とセキュリティに関する問題
オンライン取引は、不正利用やデータ侵害などのサイバー脅威の影響を受けやすい傾向にあります。機密性の高い顧客情報を保護し、信頼を維持するには、堅牢なセキュリティプロトコルと暗号化技術への投資が欠かせません。これを実現する方法の 1 つは、こうした機能とサービスを提供しているペイメントプロバイダーを選ぶことです。決済の保護と不正利用の検出、防止、対応を実行する Stripe の包括的な対策について、詳細はこちらをご覧ください。チャージバック
チャージバックとは、顧客が取引に対して不審請求を申請し、返金を求めるもので、コストが発生する可能性があります。売上の喪失につながり、手数料も発生します。チャージバックが頻繁に発生すると、事業者の評判に悪影響を及ぼす恐れがあり、その結果、決済代行業者からの審査が厳しくなったり、場合によっては手数料が引き上げられたりする可能性があります。技術的な問題
ウェブサイトのクラッシュや技術的障害は、売上の喪失と顧客の不満につながるだけでなく、事業者の評判にも長期的な悪影響をもたらしかねません。スムーズなユーザー体験を確実に提供するには、定期的な保守管理と速やかな問題解決が不可欠です。これは、既存顧客のロイヤリティを維持し、新たな潜在顧客からポジティブな口コミを得るうえで重要です。規制遵守
すべての事業者は、PCI DSS (Payment Card Industry Data Security Standard) などの法律や規制に準拠する必要があります。こうした要件への対応は複雑で、時間もかかります。しかし、準拠しないと、高額の罰金を科せられたり、事業者の評判に悪影響を及ぼすことになりかねません。
オンライン決済システムを導入する際には、こうしたさまざまなメリットとリスクを理解しておきましょう。熟慮された戦略を活用することで、利益を最大化して、潜在的な課題を減らし、最初から効率的な運用を実現することができます。
ウェブサイトで顧客の決済を受け付ける方法
ウェブサイトでの決済の受け付けには、適切なツールの選択や自社サイトへの導入といった、多面的なプロセスを伴います。利用できるソリューションは複数あり、それぞれ異なるビジネスニーズやユースケースに対応しています。ソリューションごとに、個別のセットアッププロセスが必要です。しかし、ほとんどの場合、ウェブサイト決済のセットアップとデプロイに含まれる全体的なステップは似ています。その概要を以下でご説明します。
1. ビジネスニーズを特定する
最初のステップは、自社のビジネス固有の要件を把握することです。貴社では、1 回限りの支払い、継続支払いのサブスクリプション、あるいはその両方を処理する必要がありますか?複数の国で事業を展開していて、異なる通貨と決済手段に対応する必要がありますか?支払いを複数の受取人の間で分割する機能が必要ですか?こうした質問に答えることで、自社に適した決済ソリューションのタイプを把握できます。
2. 決済代行業者を選ぶ
ビジネスニーズを特定したら、自社にとって重要な機能を提供し、できれば最小限の負担で既存の業務システムと連携させることのできる決済代行業者を選びます。取引手数料、セキュリティ対策、対応している決済手段、顧客サポートなどの要素を考慮に入れましょう。
3. 決済代行業者でアカウントを作成する
アカウントを作成する際には通常、ビジネスに関する情報をフォームに入力し、場合によっては確認プロセスを経る必要があります。新たに Stripe アカウントを作成するにはこちらにアクセスしてください。
4. 自社のウェブサイトに決済代行業者のサービスを導入する
このステップは、自社のウェブサイトと、選んだ決済代行業者によって若干異なります。ほとんどの決済代行業者は、導入のための構築済みプラグインまたは API を提供しています。Shopify、WooCommerce、Magento といった人気の EC ストアプラットフォームを利用しているのであれば、そのプラットフォームで既製の連携機能が提供されている可能性があります。カスタムサイトを構築する場合は、Payment API を実装するための開発者を雇う必要が出てくるかもしれません。幅広いビジネス規模とユースケースに対応できる能力を備えた決済代行業者をお探しなら、Stripe をご検討ください。Stripe は、開発者にとって使いやすい API ライブラリと、ローコードの構築済みソリューションをご用意しています。
5. 支払い設定を構成する
受け付ける通貨と決済のオプションを選択します。事業者によっては、この段階でサブスクリプションモデル、継続支払い、後払い (BNPL) のオプションも設定しておくとよいでしょう。
6. 決済システムをテストする
決済代行業者のテスト環境を使用して、取引のシミュレーションを行い、すべてが正常に動作していることを確認します。そうすることで、顧客が問題に直面する前にそれを特定して修正できます。
7. 決済システムを立ち上げる
決済システム全体をテストしたら、本番環境に切り替えて決済の受け付けを開始します。
8. 取引を管理する
取引を定期的に監視して、不審請求の申請やチャージバックがあれば対処し、販売実績を追跡します。大半の決済代行業者では、そうした対応に役立つダッシュボードや分析ツールを提供しています。
9. 法令遵守と会計の要件に従う
事業者がクレジットカードデータをどのように取り扱うべきかを定めた PCI DSS など、必要なすべての規制と基準を確実に遵守します。サブスクリプションを提供する場合や、遅延型支払いまたは継続支払いを受け付ける場合は、収益認識を適切に取り扱っていることを確認する必要があります。
ウェブサイトに決済システムを体系的に導入することで、自社のビジネスに適したモデルを選択して、顧客が好む決済手段に対応し、安全でわかりやすく、信頼構築につながる取引体験を提供できるようになります。Stripe がオンラインビジネスの決済をどのように支援しているかについて、詳細はこちらをご覧ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。