近年、商品をすぐに購入でき、支払いは後日にできる後払い決済サービスの一種である BNPL に注目が集まっています。BNPL のビジネスモデルは、ユーザーに支払い方法の選択肢を増やし、販売業者にカゴ落ち防止や客単価アップのメリットを提供します。日本でもクレジットカードを持たない層を中心に普及が広まっており、EC サイト運営者の間でも EC サイトへ BNPL を導入する動きが見られます。
本記事では、BNPL とは何かという基本から、導入方法、代表的なサービス、メリット・デメリット、法的な留意点まで、ビジネスオーナーが知っておきたい BNPL 導入に関する実践的な知識をわかりやすく解説します。
目次
- BNPL (Buy Now, Pay Later) とは
- BNPL と一般的な後払い決済の違い
- BNPL とクレジットカード決済の違い
- BNPL の市場規模
- BNPL を導入する販売店側のメリット
- BNPL を導入する販売店側のデメリット
- BNPL を使う利用者側のメリット
- BNPL を使う利用者側のデメリット
- 日本の代表的な BNPL サービス
- 海外の代表的な BNPL サービス
- BNPL に関する法規制
- BNPL を導入する際の注意点
- BNPLの導入方法
- BNPL を活用し売上アップへ
BNPL (Buy Now, Pay Later) とは
BNPL (Buy Now, Pay Later) は、商品を今すぐ購入し、支払いは後日に行う、後払い型の決済手段です。クレジットカードなしでも分割払いを利用することができるのが特徴で、利息がかからないケースも多いため、利用者によって非常にメリットが大きい決済方法と言えます。
BNPL の仕組み
BNPL の基本的な流れは以下の通りです。
- ユーザーは、EC サイトでの購入時に BNPL サービスを選択する。
- BNPL 事業者はユーザーに分割払いや一括払いなどの支払い方法を提示する。
- ユーザーは、BNPL の中から自分に合った支払い方法を選択し、商品を購入する。
- BNPL 事業者は、販売店に代金を立て替えて払う。
- 販売店は、BNPL 事業者に決済手数料の支払いを行う。
- 販売店はユーザーに商品を配送する。
- ユーザーは後日、BNPL 事業者に支払いを行う。
つまり、販売店は未払いリスクを負う心配なく、安心して商品を販売することができます。
BNPL と一般的な後払い決済の違い
商品を先に受け取り後から支払いを行う、NP 後払いのような一般的な後払い決済は、インターネットが普及する前から通販などで日本でも受け入れられていました。今でも EC サイトや通販、アパレルなどを中心に多くの企業で導入されています。
それでは、BNPL は従来からの後払い決済とどのような違いがあるのか具体的に見ていきましょう。
BNPL は柔軟な支払い方法や利便性の高さが特徴で、EC サイトやデジタルサービスとの相性が良いと言えます。一方で、一般的な後払いは、紙の請求書や信頼性を重視した従来型の決済モデルと言えます。
BNPL |
一般的な後払い決済 |
|
---|---|---|
利用者の支払いのタイミング |
購入から数週間〜数か月後の支払い。分割払いにも対応。 |
商品到着後、一定期間内に一括払い。 |
貸し倒れの際の返済リスク |
BNPL 事業者が保証する。 |
保証オプションがない場合は、販売店の負担となる。 |
利用者の手数料 |
手数料はかからない場合が多い。 |
一括払い以外は基本的に手数料がかかる。 |
販売店の決済手数料 |
手数料は高め |
手数料は低め |
支払いのタイミング
BNPL では、利用者が商品やサービスを購入した当月末や翌月に支払いを行うことが多い設定となっています。また分割払いを選択することもできます。一方で、一般的な後払い決済は、商品を受け取った際に紙の請求書やメールで支払いの案内が届き、期日内に支払いを行います。
貸し倒れの際の返済リスク
万が一、利用者が代金を払わなかった場合でも、BNPL では、BNPL 事業者がリスクを負担します。一般的な後払い決済の場合、保証があれば決済代行会社が立替入金しますが、保証がない場合は、未収扱いになり販売店が損失を被ることになります。
利用者の手数料
BNPL は分割払いを利用した場合でも利用者の手数料は無料となる場合が多く、利用者にとって非常に魅力的な支払い方法です。一般的な後払い決済では、コンビニで支払う場合など手数料が発生するのが一般的です。
販売店の決済手数料
BNPL の販売店の決済手数料は、紙の払込票後払いに比べてやや高めの設定になっています。それに比べて低めの設定になっています。ただし、紙の払込票の場合は、請求書発行費用が別に発生する場合もあるため、注意が必要です。
BNPL とクレジットカード決済の違い
BNPL とクレジットカード決済には、今すぐ購入して後から料金を支払うという共通点があります。しかし、その仕組みやユーザーの利用体験は大きく異なります。具体的に何が違うか、日本の BNPL サービスに焦点をおいて比較していきましょう。
BNPL |
クレジットカード |
|
---|---|---|
利用者の手数料 |
原則無料。一部サービスで分割時に手数料あり。 |
一括払いは無料。分割払いやリボ払いには手数料が発生する。 |
販売店の決済手数料 |
クレジットカードより高め |
BNPL より低め |
利用開始までの期間 |
申請後即時 |
カード申請から数日から数週間 |
利用者の審査方法 |
電話番号やメールなど簡易信用チェック |
年収、職業、信用履歴に基づく審査 |
利用限度額 |
クレジットカードより少額 |
BNPL より限度額は大きい |
利用者の手数料負担
BNPL サービスの中には無料や少額の手数料を提供しているところや、Paidy のように 3 回分割までは手数料がゼロというプロモーションを行っているところもあります。一方で、クレジットカードは、一括払いの場合は利用者に手数料はかかりませんが、分割払いやリボ払いには年率 15% 前後の利息がかかることが一般的です。実質的な支払い金額は長期になればなるほど大きく変わってきます。
販売店の手数料負担
販売店の決済手数料は、利用者の手数料とは相反し、BNPL の方が高めになります。販売店が払う BNPL の手数料は、3〜6% となります。クレジットカードの決済手数料は 2%〜4% ですので、やや高めですが、BNPL 事業者が未回収リスクを負担してくれることを考えると十分に費用対効果が見込めます。一方、クレジットカードでは、チャージバックのリスクは保証オプションがない場合は、販売店の負担になります。
利用開始までの期間
BNPL は、ユーザーが電話番号やメールアドレスを入力した後で、簡単な審査が行われすぐに使えるのが魅力です。一方で、クレジットカードは申し込んでからカードが発行されます。それから自宅に郵送され、使用できるようになるまで 1〜2 週間ほどかかるのが一般的です。
与信審査
BNPL は電話番号、メールアドレス、過去の利用履歴などを元に、簡易審査が行われます。クレジットカードは、年収、職業、勤続年数、過去の信用履歴などを元に厳しい審査が行われます。そのため、中にはクレジットカードを作ることができない人もいます。
利用限度額
BNPL の利用限度額は、クレジットカードと比較して上限がやや抑えられている傾向があります。与信審査も厳しくないため、使いすぎによるリスクを防ぐために上限は低めに設定されています。クレジットカードの方は上限がかなり高く設定されていることもあるため、使い過ぎには注意が必要です。
BNPL の市場規模
世界、日本、それぞれの BNPL ビジネスモデルの市場規模や今後の成長予測について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
世界の BNPL 市場規模と成長予測
ResearchAndMarkets.com に行われた調査によると BNPL の世界の市場規模と成長予測は次のようになっています。
- 2024 年:世界の BNPL 市場規模は、約 2,315.1 億ドルに達しました。
- 2025 年:3,435.2 億ドルに成長する見込みで、年間の成長率は 48.4% と予測されています。
- 2029 年:1兆4,300 億ドルに達すると予測され、2024 年から 2029 年までの年平均成長率は 43.1% と見込まれています。
出典:Research and Markets「Buy Now Pay Later Global Market Report 2025」
日本の BNPL 市場規模と成長予測
株式会社 矢野経済研究所により実施された調査によると、BNPL の日本国内の市場規模と成長予測は次のようになっています。
- 2023 年度:日本国内の後払い決済サービス市場規模は、前年度比 121.5% の約 1 兆 5,317 億円と推計されました。
- 2028 年度:約 2 兆 8,000 億円規模までの拡大が予想されています。
出典:株式会社 矢野経済研究所「オンライン決済サービス市場に関する調査を実施(2025年)」
BNPL を導入する販売店側のメリット
それでは、BNPL を導入した際の販売店側のメリットを詳しく見ていきましょう。
新規顧客の獲得
クレジットカードを持てない、もしくは使用したくない層へリーチすることができるため、新規客の獲得を期待することができます。
カゴ落ち防止
「どうしても今すぐ商品を購入したいけど、一括では払えない、しかしクレジットカードのリボ払いは手数料が高いため、なるべく使用したくない。」と考えているユーザーを想像してみてください。「今すぐ一括では払えないけれども分割払いで手数料がかからないなら。」と購入に踏み切る方も多いのではないでしょうか。価格で迷っているユーザーをもうひと押しすることができるため離脱 (カゴ落ち)を最低限に抑えることができます。
平均注文金額の増加
分割払いを手数料なしで購入できるということは、必然的に高額のものが多くなります。結果的に客単価の向上が見込めます。
BNPL を導入する販売店側のデメリット
BNPL には魅力的なメリットが多く、デメリットのことを軽視しがちですが、注意すべき点もいくつかあります。導入後に慌てることのないように、デメリットについてもしっかり把握しておきましょう。
手数料が高め
クレジットカード決済と比較した場合、手数料はやや高めになります。利益率が低い商品にBNPL が使えるようにすると収益が圧迫されるため注意が必要です。
法規制が実施される可能性
BNPL には、クレジットカードを持てない層でも分割払いができるという大きなメリットがあります。しかし、今後、規制が厳しくなり、今と同様の恩恵を受けられなくなる可能性はゼロではありません。BNPL を使用するメリットが少なくなれば、必然的に利用者数にも影響は出てしまいそうです。
BNPL を使う利用者側のメリット
それでは、次に利用者側から見た BNPL のメリットを確認していきます。
分割払いの利息がゼロになる場合も
多くの BNPL サービスでは、分割払いに手数料がかからないようになっています。高額な商品を購入する時など、クレジットカードの分割払いと比較すると、大幅にコストを抑えることができます。
すぐに購入できる
電話番号やメールアドレスなど、簡単な情報を入力するだけで、すぐに商品やサービスを購入することが可能です。
審査のハードルが低い
クレジットカードの信用問題等でクレジットカードを作れなくても BNPL を利用することが可能です。BNPL では与信審査のないケースも多いため、多くのユーザーにとても利便性が高い支払い方法と言えるでしょう。
BNPL を使う利用者側のデメリット
同時に利用者側の BNPL を使うデメリットについても把握しておきましょう。どのような理由で BNPL が敬遠される可能性があるか理解しておくことで、EC サイトを運営する際に、 BNPL を導入するかどうか決める際の参考になるかもしれません。
支払いが遅延した場合のペナルティ
うっかりして支払日を過ぎてしまった場合や、どうしてもお金が足りなくなってしまった時でも遅延手数料は発生してしまいます。
返済能力以上の利用
BNPL は審査も軽めで誰でも利用しやすいというメリットの反面、ついつい使い過ぎてしまうこともあります。
販売店によりルールが異なる
BNPL では分割手数料がゼロの店舗が多く見られますが、中には手数料がかかることもあります。また分割払いが不可能な場合もあり、販売店によりルールは少しずつ違います。利用者が商品やサービスを購入する際に、ショップごとによく規制を確認する必要があるため、煩わしさから BNPL サービスの使用を躊躇するユーザーも出てくるかもしれません。
日本の代表的な BNPL サービス
それでは、日本では実際にどのような BNPL サービスが成功を収めているか具体的に見ていきましょう。
Paidy
日本で最も広く使われている BNPL サービスのひとつで、日本の Amazon や Apple など、大手 EC も採用しています。メールアドレスと電話番号の簡単な審査だけで、すぐに商品やサービスを購入することができ、分割払いを選んでも 3 回までは手数料がかからない仕組みになっているのもプラスポイントです。
atone
atone は、ネットプロテクションズが提供する BNPL サービスで、簡単な会員登録と携帯電話番号のみで使い始めることができます。支払い方法は、一か月分の利用分をまとめて翌月 10 日までに支払う仕組みになっています。請求手数料は、口座振替を利用する場合は無料ですが、コンビニ払いや ATM などのその他の支払い方法では 209 円かかるため、手数料を節約したい場合は、口座引き落としができるように確認しておく必要があります。
アトカラ
アトカラは、GMO グループが提供する新しいタイプの BNPL サービスです。買い物の際に、アトカラを選択し、携帯番号とメールアドレスを入力、その後、携帯の SNS に届く認証コードを入力して完了と非常に簡単に利用することができます。当月にお買い物をした分は翌月、まとめて支払いを行います。
アトカラ会員になると上記の一般的なサービスに加えて分割払いも可能になり、3 回〜最大 36 回までの分割払いを利用することができます。しかも、6 回払いまでは分割払いの手数料は無料になるため、高額商品の購入にはとても適していると言えるでしょう。ただし、アトカラ会員になるには、本人確認と所定の審査が必要となり、申し込みをしてから審査が完了するまで、最短当日から最大 4 営業日ほどかかります。
海外の代表的な BNPL サービス
近年、越境 EC を展開する日本の経営者が増える中、欧米での利用が拡大している BNPL サービスに対応しておくことは、将来的に大きな差別化ポイントになりそうです。
ここでは、海外で人気の高い代表的な BNPL サービスを 3 つご紹介します。
Klarna
Klarna はスウェーデン発の BNPL サービスで、ヨーロッパやアメリカを中心に、数多くの加盟店と提携しており、世界で高いシェアを誇っています。一括払いだけでなく、様々な分割払いなど、柔軟な支払いプランを提供し、顧客の利便性を高めています。
日本語の公式サイトはあるものの、現時点で日本国内の導入事例は確認されておらず、越境 ECサイト運営者が海外市場向けに導入するケースが主となりそうです。
Affirm
アメリカの代表的な BNPL プロバイダーである Affirm は、利息なしの 4 回払い (2 週間ごと) か、利息 0〜36% で 3、6、12、18、 24、 36、最大 60 回払い (1か月ごと) から選ぶことができます。支払い金額を事前に明示するなど、透明性が高いのが特徴で、Amazon や Expedia など、大手企業とも提携しています。アメリカ市場を目指している経営者にとっては有力な選択肢となり得ると言えるでしょう。
Afterpay
Afterpay は、オーストラリア初の BNPL サービスで、現在は、アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランドでも利用されています。2 週間ごとの 4 回払いで期限内に支払いを行った場合、利息は発生しない仕組みになっています。ファッションやコスメ業界の店舗が数多く導入しており、SNS との相性も良いため、D2C 企業で欧米へビジネスを拡大したいと思っているEC サイト運営者には必見の BNPL サービスです。
Klarna、Affirm、Afterpay のいずれも、Stripe と公式に提携しており、Stripe の決済プラットフォームを通じて導入することが可能です。すでに Stripe を導入している EC サイト運営者であれば、追加開発の手間をかけずに、Stripe Payments から複数の BNPL のサービスを簡単に統合することができます。
今後、海外進出を視野に入れている経営者の方は、競争力を強化するために、決済インフラをグローバル対応にしておくことが望ましいと言えます。これから海外向け EC を始める、あるいはすでに海外ユーザーからの注文があるショップを運営している EC 事業者の方は、ターゲット市場に合わせて参考にしてみてください。
BNPL に関する法規制
日本と主要な海外市場における BNPL サービスの法規制の現状をご紹介します。
日本における BNPL の法規制
日本では、BNPL を直接的に規制する明確な法律は、現在のところ存在していません。しかし、取引の内容や支払い期間によっては、既存の法律が適用される場合があります。
割賦販売法
消費者による支払い期間が 2 か月を超える場合、BNPL サービスは、「信用購入あっせん」に該当し、割賦販売法が適用されるため、経済産業省への登録が必要になります。
犯罪による収益の移転防止に関する法律 (マネロン・テロ資金供与対策及び疑わしい取引の届出)
クレジットカードを使用する BNPL サービスには、犯罪による収益の移転防止に関する法律も適用されるため、注意が必要です。
つまり、消費者による支払い期間が 2 か月を超えず、かつクレジットカードを用いない形でのBNPL であれば、割賦販売法や犯罪による収益の移転防止に関する法律は適用されないと覚えておきましょう。
海外における BNPL の法規制
BNPL は欧米でも消費者保護や過剰利用の懸念から各国で法規制の動きが進んでいます。
アメリカでは、これまで BNPL に対する連邦レベルでの明確な規制がなかったものの、消費者保護の観点から、2024 年に CFPB (消費者金融保護局) が BNPL をクレジットカードと同様に扱うとする規則案を公表しました。しかし、2025 年 5 月に CFPB はこの規則の執行を優先しない方針に転換したことを発表しています。
イギリスでは、金融行為監督機構 (FCA) の監督下に置く法整備が進められており、2026 年までに正式な規制導入が予定されています。与信審査や契約の明確化が求められる方向です。
オーストラリアでは、2024 年に BNPL に関する新たな消費者保護法案を導入しています。この法案により、BNPL 事業者は消費者信用と同様に規制されるようになります。
いずれの国でも、BNPL が消費信用として扱われつつあり、法的な位置付けが明確される流れが進行中です。越境 EC サイト運営者にとっては、進出先の規制に合わせた対応が求められます。
BNPL を導入する際の注意点
それでは、BNPL を導入するうえで、どのような点に注意すべきか見ていきましょう。
BNPL の説明を明確にする
日本では以前から公共料金などをコンビニで支払う従来型のコンビニ後払い決済が定着しており、オンラインショッピングでの支払いにも利用されていました。そのような従来からの後払いなどを含む、その他すべての後払い決済と共に広い定義で BNPL も単に「後払い」と呼ばれることがあります。また、クレジットカードの分割払いと類似する点もあり、特にBNPL を初めて使うユーザーにとっては、違いがわかりにくいかもしれません。そのため、EC サイトには、 BNPL についての詳細を記載することが求められます。ユーザーが、いつ、どこに、どう支払うかを明確に記載し、ユーザーに安心感を与える説明やサポート体制を整えることが重要です。
手数料や返品時のフローの確認
前のセクションでも説明したように、EC サイトが負担する BNPL の手数料はクレジットカード決済よりも高めになります。これは、未回収リスクを立替払いする保証など、BNPL ならではの付加価値があるためです。
そのため、販売する商品やサービスが、利益率が低い商品や安価の商品の場合は、手数料が収益に影響する可能性を考慮しなければなりません。販売店は以下のような対策を検討することで、手数料の負担を軽減することができます。
- 高単価商品のみ BNPL を適用する
- BNPL 利用時は、割引は利用できないようにする
- 複数の BNPL 事業者を比較し、自社の売上にあったサービスを導入する
また、返品やキャンセル時が発生した際の処理の仕方は、BNPL サービスにより異なります。返金のタイミングや売上の取り消し方も同じではないため、キャッシュフローに影響する場合があります。導入する前に、BNPL 事業者に具体的な手順を確認し、自社の運営に適しているかどうかチェックするようにしましょう。
BNPL 事業者の市場撤退の可能性
外部の BNPL サービスを利用する場合、そのサービスが突然の仕様変更や提供終了となる可能性を念頭に置く必要があるでしょう。実際にイギリスの NatWest やオーストラリアの Openpay など、BNPL サービスから撤退した企業もあります。規制強化への対応の困難や経営悪化など様々な理由により事業撤退する事例も出ているため、万が一の停止時に備え、複数の決済手段を併用したり、利用規約に明記するなどのリスクマネジメントを検討しておくことが大切です。
BNPL を導入する際には、上記の点を踏まえて慎重に判断することが求められます。
BNPLの導入方法
BNPL を導入する方法には、主にサービス提供会社と直接契約する方法と決済代行会社を通じて導入する方法のふたつがあります。
直接契約
Paidy、atone、アトカラなど、BNPL サービスと個別に契約し、自社サイトへ API やJavaScript を用いて組み込む形になります。柔軟にカスタマイズができる一方で、導入には技術的な対応が必要です。
以下は直接契約する際の導入ステップになります。
- 公式サイトから申し込みを行う
- 審査
- API 情報の取得とシステム連携
- テスト環境で確認
- 本番運用
決済代行会社
決済代行会社を利用する場合はどのようにしたらよいでしょうか。ここでは、日本で 越境 EC サイトをお持ちの方向けに、Stripe を通じて、Klarna、Affirm、Afterpayといった海外の BNPL を簡単に導入する方法をご紹介いたします。
以下は、Stripe を利用する際の導入ステップです。
- Stripe アカウントを作成し、初期設定を行う
- ダッシュボードの設定から Payments をクリックする
- 決済手段をクリックする
- 画面の下にスクロールし、BNPL サービスを有効化する
- テスト環境で確認
- 本番運用
導入手順は、BNPL 事業者や決済代行会社により少しずつ異なります。導入する際には公式サイトやカスタマーサポートを利用し、最新情報を確認するようにしてください。
BNPL を活用し売上アップへ
BNPL は、単なる後払いではなく、顧客体験を向上させる戦略的な決済手段です。導入の際には、自社の商材や顧客層、そして販売地域に合った最適な BNPL サービスを選び、ユーザーに安心を与え喜んでもらえるような運用体制を整えましょう。
BNPL だけでなく、自社 EC サイトにおける決済環境全般を強化したい方は、お気軽に Stripe までお問い合わせください。ニーズに合った最適な決済環境作りを丁寧にサポートいたします。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。