イギリス経済において、銀行口座間でイギリスポンド (GBP) を電子送金することは重要な役割を果たしています。このような送金によって、支払い、請求書の精算、家族や友人への送金、ビジネス取引など個人や事業者のさまざまな目的が満たされます。
この記事では、GBP 銀行振込の仕組み、費用、用途、GBP 銀行振込を決済手段として受け付けるための戦略的アプローチの取り方など、GBP 銀行振込について事業者が知っておくべきことをご紹介します。
この記事の内容
- GBP 銀行振込の種類
- GBP 銀行振込が利用されている場面
- GBP 銀行振込の利用者
- GBP 銀行振込の仕組み
- GBP 銀行振込を受け付けるメリット
- GBP 銀行振込のセキュリティ対策
- GBP 銀行振込を受け付ける方法
GBP 銀行振込の種類
GBP で銀行振込をする方法は複数あります。その主な方法を簡単にご紹介します。
Bankers Automated Clearing Services (Bacs) 送金
概要: イギリスの銀行口座間での決済に使用される標準電子システムです。
用途: 給与、年金、給付金、請求書の支払いなどの定期支払いによく使用されます。
重要なポイント
処理時間: ほとんどの場合、最大 3 営業日内に送信が完了します。
費用: 通常、利用者が支払う手数料は低額か、または無料です。
制限: 正式な限度額は設定されていませんが、ポリシーは銀行によって異なる場合があります。
セキュリティ: 金融行為規制機構 (FCA) による規制の対象となっています。
Faster Payments Service (FPS)
概要: 国内送金をスピーディーに行える電子的手段です。
用途: オンラインバンキングやテレフォンバンキングでの送金など、即時取引や同日取引に最適です。
重要なポイント
処理時間: 通常は数分以内に完了し、24 時間年中無休で利用できます。
送金限度額: 取引ごとに最大 100 万ポンドですが、銀行によって異なる場合があります。
サービス提供範囲: イギリスの銀行で広く利用できます。
費用: ほとんどの場合、個人の利用者は手数料無料で利用できます。
CHAPS (Clearing House Automated Payment System)
概要: 高額な銀行間決済の一種です。
用途: 不動産の購入や大企業の決済など、高額取引で利用します。
重要なポイント
処理時間: 締め切り時間までに指示を受け取った場合は同日内に処理されます。
最低決済額: 最低決済額や決済限度額はありませんが、一般的には 1 万ポンド以上の決済に利用されています。
費用: 通常は手数料がかかります。金額は銀行によって異なります。
セキュリティ: きわめて安全であり、重要な高額取引によく利用されています。
口座引き落とし
重要なポイント
柔軟性: 金額と日付は、利用者と事業者の合意に基づいて異なります。
消費者保護: エラーが発生した場合に返金を受けられる口座引き落とし保証の対象になります。
承認: 事業者との間で、口座引き落としの同意書を交わす必要があります。
普及度: イギリスの定期支払いによく利用されている決済手段です。
国際銀行送金
概要: 同一金融機関内の口座間での送金です。
用途: 個人の資金管理や個人口座間の送金に利用します。
重要なポイント
処理時間: ほとんどの場合は即時です。
費用: 通常は無料です。
利便性: オンラインバンキングやモバイルバンキングで簡単に設定して管理できます。
制限: 同一銀行内でのみ利用できます。
国際 GBP 送金
概要: イギリスの銀行から国外の口座に GBP を送金します。
用途: 海外からの購入、外国への送金、イギリス国外のサービスへの代金支払いに利用します。
重要なポイント
処理時間: 送金先によって異なり、数日かかることもあります。
費用: 通貨換算と中継銀行が必要なため、手数料は高くなる場合があります。
通貨換算: 為替レートが関係するため、最終的に受け取る金額に影響する可能性があります。
規制: 世界各国の銀行業務と通貨に関する規制が適用されます。
GBP 銀行振込が利用されている場面
イギリス国内
利用者の動向
UK Finance のレポートによると、イギリスの消費者が 2021 年に FPS で 行った決済は 36 億件に上り、2011 年の 4 億 2,200 万件から増えています。このことから、イギリスでは請求書の支払いや給与管理、オンラインショッピングなどの日常的な活動で銀行振込を利用する傾向が強いことがわかります。また、同レポートでは、イギリスの成人の 86% が何らかのリモートバンキングを利用しており、デジタル送金手段が普及する要因となっていることも明らかになりました。ビジネストレンド
UK Finance によると、CHAPS は 2021 年に 4,800 万件の取引を処理しました。主に金融機関や企業向けの取引であり、取引総額は 86 兆 3,000 億円を上回りました。このように他の決済手段よりも圧倒的に優勢なのは、事業者が GBP 銀行振込の効率性、セキュリティ、可監査性を評価し、信頼していることの表れです。Bacs 決済システムも B2B 取引のかなりの量を処理しており、2021 年だけでも 19 億件のダイレクトクレジット決済が行われました。規制環境
FCA の決済システム規制機関 (PSR) はイギリスの決済インフラを監督する省庁であり、GBP 送金のための安定した安全な環境を維持することを目的としています。オープンバンキングの取り組みも、この分野のイノベーションを促進している要因です。UK Finance は、さらなる発展によって今度ますます銀行振込の総取引量が増えると予想しています。
イギリス以外
取引と投資
国際通貨基金の調査によると、GBP は世界の取引数第 3 位の通貨であり、クロスボーダー取引で好まれています。旅行と送金
国外に在留するイギリス国民からイギリスに送金された金額は、2021 年時点で推定 100 億ドルに上り、家族との財政的なつながりを維持する方法として GBP 送金に頼っていることがわかります。また、イギリスを訪れる旅行者も購入や支払いに GBP 送金をよく利用します。金融市場
ロンドンは金融の重要な中心地であり、海外からの投資を呼び込み、国境を越えた M&A 活動を促進しています。海外の投資家がイギリス上場株の 66% を保有しており、その取引の多くで GBP 送金が利用されています。
地域別
ヨーロッパ
欧州連合加盟国では主に EUR 送金が利用されていますが、イギリスとのクロスボーダー取引には GBP が依然として利用されています。北米
イギリスとアメリカとの貿易は 2022 年には総額が約 2,950 億ドルに上り、2 国間で GBP 送金の需要があることを示しています。新興市場
GBP 送金は、アフリカ、中南米、アジアの新興市場との貿易や金融フローで重要な役割を果たしています。法律で GBP の利用が規制されている国もありますが、イギリスの開発金融機関は国際支援や投資プロジェクトで GBP 送金を利用しています。アジアと中国
イギリスと中国の年間貿易額は、2023 年には 1,087 億ポンドに達しており、GBP 送金はこのような取引をスムーズに進めるために不可欠な手段です。一部の現地通貨と比較した場合の GBP の安定性も、中国の事業者が海外との取引の決済に GBP 送金を利用する要因となっています。
規制に関する考慮事項
国際金融基準: GBP 送金は、マネーロンダリング防止 (AML) や本人認証 (KYC) の要件などの国際規制に準拠しており、透明性向上と金融犯罪対策につながっています。イギリスは国際協力の輪に加わり、強力で安全な金融システムを維持しています。
EU 離脱後: イギリスが EU から離脱したことで、ヨーロッパとの国際送金に関する規制が変更されました。ここでは、EU 離脱が GBP 銀行振込に与えた影響についてご説明します。
主な変更点
パスポーティング権の喪失: イギリスの銀行は EU の単一市場における「パスポーティング権」を失ったため、ユーロ圏の決済インフラに直接アクセスできなくなりました。それによって次のような影響が発生しています。
コルレス銀行 (中継銀行) への依存度の上昇: イギリスの銀行は国際送金を処理するためにヨーロッパの銀行と提携する必要が生じ、手数料や遅延の増加につながっています。
SEPA の利用が困難に: これまで、イギリスの事業者や個人は SEPA のスピーディーで低コストな EU 域内送金による恩恵を受けていましたが、現在はコストの増加や複雑化の問題に直面しています。
EU 離脱後の規制の変更と合意
金融サービスに関する合意 (FSA): イギリスと EU は、クロスボーダー決済に関する条項を含む、金融市場へのアクセスを維持することで合意しました。ただし、この合意があっても、EU 離脱前のような送金のしやすさが完全に戻ってきたわけではありません。
FCA・ECB 間の基本合意書 (MOU): この合意書は、イギリスの FCA と欧州中央銀行 (ECB) との間で、決済システムと規制の枠組みに関する協力関係と情報交換体制を維持することを確約するものです。
全体的な影響と継続的な課題
コストの増加: 国際送金をするために、追加の手順や、場合によっては中継銀行が必要になるため、取引手数料が高額になる可能性があります。
透明性と予測可能性: 規制の先行きが不透明で、合意も変化するため、国際送金を計画している事業者や個人は今後も課題に直面する可能性があります。
効率の低下: SEPA やヨーロッパのその他の決済システムに直接アクセスできなくなったため、送金の処理に時間がかかることがあります。
今後の見通し
イギリス政府の取り組み: イギリス政府は既存のインフラに簡単に接続できるようにするため、FPS のアップグレードに取り組んでいます。
業界の連携: 金融機関とペイメントプロバイダーは、国際送金の効率化とコスト削減につながる解決策を模索しています。
継続的な交渉: イギリスと EU は規制の合理化や国際金融フローの円滑化をさらに進めるために、今後も交渉を継続する可能性があります。
総じて、ヨーロッパの他の国との国際 GBP 送金の処理は、EU 離脱前よりも複雑になっています。
GBP 銀行振込の利用者
個人は、請求書の支払い、給与の管理、モバイルデバイスでのショッピングなど日常の多くの活動で GBP 送金を利用できます。これらの送金の利便性と安全性が FPS やオンラインバンキングによって強化されたこともあり、日々の資金管理の手段として信頼されています。
事業者は B2B 決済、請求書の売上処理、給与処理に GBP 送金を利用しています。E コマースでは、GBP 送金は利用者にとって馴染みのある安全な決済オプションであり、購入完了率とオンライン売上の増加に貢献しています。
イギリス以外では、GBP 送金は、特にイギリスと長年の関係を持つイギリス連邦加盟国や、他の地域との国際貿易における橋渡し役を果たしています。GBP 送金によって、貿易取引の決済や国際取引の管理が円滑に進み、グローバル展開している事業者にとってはコスト効率の高い選択肢になっています。
以下では、GBP 銀行振込が利用される状況と利用方法について、さらに詳しくご紹介します。
B2B 決済
GBP 送金はイギリスの B2B 決済でよく利用されており、2021 年に事業者によって行われた全決済の 35% が Bacs ダイレクトクレジットによるものでした。FPS や Bacs による送金は効率が高く、安全で監査可能であるため、次のような場合に最適です。
サプライヤーへの支払い: 事業者はサプライヤーへの定期的な支払いに GBP 送金を利用することで、適切なタイミングでの売上処理とスムーズなキャッシュフローを実現しています。
請求書の売上処理: 事業者が請求書の支払いに GBP 送金を利用するのは、支払いの追跡が可能であり、監査が発生した場合に支払いの経路を明確に示すことができるためです。
給与処理: 大企業や中小企業は給与の効率的な給与支払いのために、GBP 送金を利用しています。
EC ストアでの決済
シンプルな決済: GBP 送金はイギリスのほとんどの E コマースプラットフォームと連携しているため、利用者は使い慣れた安全な決済オプションとして利用できます。
統計が示す状況: 2022 年の時点で、イギリスの EC ストアでの決済の 9% は銀行振込で行われており、後払い (BNPL)取引を上回っていました。
Stripe などの大手ペイメントゲートウェイと連携することで、GBP 銀行振込の導入がさらに進みます。
国際貿易
GBP は今もなお、貿易の主要通貨です。そのため、GBP 送金は次の目的で利用されています。
貿易決済: 国際貿易に関わるイギリスの事業者は、GBP 送金を決済に利用しています。
コスト効率: 他の通貨と比べると、GBP 送金は為替レートが有利で、国際貿易の取引手数料が低額です。
金融サービス
銀行、投資会社やその他の金融機関は、次の業務の際に GBP 送金に大きく頼っています。
クリアリングと決済処理: イギリスの金融システム内でのクリアリングと決済取引には GBP 送金が使われており、国際決済銀行のレポートによると、イギリスでの高額な自動振込では CHAPS が主要システムとなっています。
顧客口座管理: 金融機関は顧客口座を管理したり、入金、引き落とし、口座間送金をスムーズに実行するために、GBP 送金を利用しています。
大規模な金融取引: GBP 送金は安全性と信頼性が高く、監査証跡もあるため、依然として高額取引の決済手段として好まれています。
GBP 銀行振込の仕組み
事業者にとっても消費者にとっても、GBP 銀行振込を利用するのは簡単で、効率的です。その仕組みは次のとおりです。
決済ネットワーク
FPS: Pay.UK が運営する FPS は、年間 30 億件以上の取引を処理しています。B2B と B2C の支払いではほぼリアルタイムの決済 (通常は数分以内) が可能であるため、日常の購入や、請求書の処理、給与に最適です。
Bacs: このネットワークは Pay.UK が管理しており、給与、口座引き落とし、自動口座振替などの一括支払いを処理します。大量の少額取引に適したコスト効率の高いソリューションであり、年間 60 億件以上の決済を処理しています。
CHAPS: イングランド銀行が運営する同日決済システムで、高額取引に対応します。CHAPS は即時決済を保証しているため、有価証券取引や高額なクロスボーダー取引といったリスクの高い金融活動において重要な手段となっています。
国際銀行間通信協会 (SWIFT): このグローバルなメッセージングネットワークは、国際 GBP 送金を円滑に処理します。銀行は SWIFT を利用して支払い指示を海外のコルレス銀行に安全に送信することによって、国際貿易や国際送金を実現しています。
規制と監督
FCA はイギリスの決済システムの規制に関して重要な役割を果たしており、次の状況を監督しています。
金融の安定: FCA はシステムの安定稼働と消費者保護を維持するために、決済サービスプロバイダー (PSP)のモニタリングと規制を行っています。
透明性と競争の促進: FCA は決済業界内の競争を促すことで、イノベーションと、事業者と消費者のコスト削減を促進しています。
消費者保護: FCA は不正取引、不正行為、不公平な慣行から消費者を保護するための規制も施行しています。
事業者と消費者: ネットワークとのやり取り
事業者と個人は、次のようなさまざまなチャネルを通じて決済ネットワークとやり取りします。
オンラインバンキングポータル: ほとんどの銀行は利用者にオンラインバンキングプラットフォームを提供しており、利用者が送金や取引履歴の確認、口座の管理を行えるようにしています。
モバイルバンキングアプリ: モバイルアプリは便利でいつでも利用できるので、外出先でも支払いや残高確認、財務管理を行えます。
ペイメントゲートウェイ: E コマースプラットフォームはペイメントゲートウェイと連携しており、ペイメントゲートウェイから決済ネットワークに接続することで、利用者が安全にオンライン決済できる環境を実現しています。
自動口座振替や口座引き落とし: これらの事前に取り決めた決済によって継続取引を自動化できるため、請求書の支払いやサブスクリプションが簡単になります。
開始から売上処理までの決済プロセスの流れ
GBP 銀行振込のプロセスを簡単にご紹介します。
開始: 支払人が銀行のオンラインプラットフォームまたはモバイルプラットフォームで送金を開始し、受取人の詳細と取引額を指定します。
ネットワーク経路選定: 銀行が受取人の銀行を識別し、支払い指示を適切なネットワーク (FPS、Bacs、CHAPS、または SWIFT) に振り分けます。
クリアリングと決済処理: 該当する決済ネットワークが支払い指示を処理し、十分な資金があることと法令を遵守していることを確認します。
送金: 支払人の銀行が取引額を引き落とし、受取人の銀行口座に入金します。
通知: 支払人と受取人の双方に、取引が成功したことを知らせる確認通知が届きます。
法人向けの決済手段
事業者は GBP 送金ネットワーク内で、次のような法人向けのさまざまな決済オプションを利用できます。
一括支払い: Bacs ダイレクトデビットを利用すると、事業者は利用者から継続支払いを回収できます。一方、Bacs ダイレクトクレジットでは、給与支払いや返金を一括で処理できます。
FPS 法人口座: 事業者は大量取引に使用する専用の FPS 口座を開設し、ほぼリアルタイムの決済を実現できます。
CHAPS 法人口座: 高額取引向けに、CHAPS は同日決済とファイナリティ保証を提供しています。
クロスボーダー決済: 事業者は SWIFT を使用して国際 GBP 送金を行うことができます。一方、CHAPS クロスボーダー決済などのサービスでは、高額なクロスボーダー取引向けにさらにスピーディーな決済オプションが用意されています。
GBP 銀行振込を受け付けるメリット
高い普及率と知名度
市場に浸透: GBP 銀行振込はイギリスの決済分野で圧倒的なシェアがあります。イギリスの成人の 86% はリモートバンキングサービスやオンラインバンキングサービスを利用しているため、銀行振込を決済手段として簡単に利用できます。
信頼度と知名度: 銀行振込は利用者にとっては使い慣れた、信頼できる決済オプションです。そのため、利用率が高く、馴染みのない決済手段と比べてカゴ落ちが少なくなります。
効率性とスピード
FPS: この高速なネットワークでは、ほとんどの送金でほぼリアルタイムの決済が可能になるため、売上を早く受け取ることができ、事業者のキャッシュフローが改善します。FPS 取引は数分で決済が完了するので、他の決済手段と比べて待ち時間が大幅に短縮されます。
事務負担の軽減: Bacs などの自動決済機関は一括支払いを効率的に処理するため、事業者は手動での消し込みや事務作業を最小限に抑えることができます。それによって、コスト削減と業務効率化につながります。
セキュリティと不正防止
強力なセキュリティ対策: 銀行振込は暗号化、不正利用検知アルゴリズム、強力な認証メカニズムなどの多層的なセキュリティプロトコルで保護されています。そのため、不正取引やチャージバックのリスクが下がり、事業者と利用者の双方を保護できます。
法令遵守: FCA の監督の下、AML 規制と KYC 規制に厳格に準拠することが義務付けられているため、銀行振込を受け付ける事業者の財務リスクが軽減されます。
コスト効率と透明性
低額な取引手数料: クレジットカード決済では事業者に加盟店手数料が課せられますが、銀行振込では取引にかかる費用が安くなるため、収益性が高まる可能性があります。
明確で予測可能な料金体系: 銀行振込の手数料は通常は定額であるため、決済処理費用に関する予算を正確に見積もることができます。他の決済手段では手数料が引き上げられるかどうか見通しがつかず、売上も変動する可能性がありますが、そのような心配がなくなります。
利用しやすさとリーチ
どこでも利用可能: 銀行振込はイギリスで広く受け付けられているため、事業者は幅広い利用者層にアクセスできます。そのため、クレジットカード利用者以外にもリーチを広げたい E コマース事業者にとっては特にメリットがあります。
国外市場への進出: SWIFT で国際 GBP 送金を円滑に処理できるため、事業者は国際市場に進出して利用者層を広げることができます。PYMNTS と Visa のレポートによると、イギリスの事業者の売上のうち 25% がクロスボーダー取引によるものです。
導入と拡張性
シームレスな導入: ほとんどの E コマースプラットフォームと会計ソフトウェアは銀行振込システムとシームレスに連携しているため、決済処理がシンプルになり、ワークフローを効率化できます。
成長に対応できる拡張性: 銀行振込の場合、事業の成長に合わせてインフラを大幅に変更する必要がなく、増えた取引量を簡単に処理できます。柔軟な対応が可能なので、コスト効率と業務効率をそのまま維持できます。
GBP 銀行振込のセキュリティ対策
FPS
強力な認証: SMS 確認やモバイルアプリでの認証などの多要素認証 (MFA) を用いて、不正アクセスに対するセキュリティを大幅に強化しています。
データ暗号化: エンドツーエンド暗号化を採用して、取引データの送信中に傍受や改ざんが行われないよう保護しています。
リアルタイムの不正利用検知: 高度なアルゴリズムで取引に異常パターンがないか常に監視し、不正行為の可能性があればすぐに警告を出して対応します。
ネットワークの分離: 専用ネットワークで運用されており、他のバンキングシステムからは分離されているため、互いのデータの混入やサイバー攻撃のリスクを軽減できます。
Bacs
一括処理: 取引を集約して一括処理することで、個々の取引が漏洩するリスクを最小限に抑えて脆弱性を減らします。
デジタル署名: 電子署名で取引の発生元と整合性を確認し、データ操作を防止します。
消し込みと検証: 堅牢なプロセスで取引データが正確であることを確認してから決済に進むので、エラーや不正利用の可能性を抑えることができます。
サイバーセキュリティ対策: 脆弱性評価、侵入テスト、非常に厳格なインシデント対応手順が含まれています。
CHAPS
ファイナリティ保証: 取り消し不可の即時決済を提供し、資金の差戻しや転送中の損失に関連するリスクをなくします。
高額取引に対するセキュリティ: 高額取引の保護に特化した厳格なアクセス制御を備えた専用インフラを維持しています。
監査可能な証跡: 透明性を高めるために各取引の総合的な監査証跡を提供しており、インシデントが発生した際の調査に役立ちます。
継続的なリスク管理: セキュリティ対策の評価と更新を積極的に行い、新たなテクノロジーを活用して、進化する脅威に対抗します。
SWIFT
セキュアメッセージング: SWIFT のセキュアメッセージングフレームワークでは、強力な暗号化プロトコルと認証プロトコルを利用して、銀行間の金融メッセージを保護します。
法令遵守基準: KYC や AML などの厳格な規制基準に準拠し、マネーロンダリングや金融犯罪に関連するリスクを低減します。
サイバーセキュリティに関する協力体制: 脅威の検知と対応の手順を強化するため、加盟銀行間での国際的な協力と情報共有を奨励しています。
メッセージ形式の標準化: 標準化されたメッセージを使用することで誤解やエラーを最小限に抑えるとともに、データの整合性の強化や不正利用の低減を図っています。
口座引き落とし
口座引き落とし保証: 取引でエラーが発生した場合は即時返金するなど、利用者保護を提供しています。
本人確認の義務化: 本人確認プロセスを実施し、利用者が本人であることと、取引を許可していることを確認します。
法令遵守チェック: 定期的に法令遵守チェックを実施し、利用者が運用ガイドラインとセキュリティ基準を遵守していることを確認します。
国際銀行送金
銀行内セキュリティプロトコル: 銀行内にファイアウォール、侵入検知システム、多層型認証などの先進的なセキュリティ対策を導入しています。
データ暗号化: 銀行の既存ネットワーク内のセキュリティを確保するために、銀行の包括的な暗号化プロトコルを使用して送金を保護します。
海外 GBP 送金
SWIFT ネットワークのセキュリティ: 海外送金ではセキュアメッセージング、本人確認、メッセージの暗号化など、SWIFT ネットワークの多層型セキュリティを使用しています。
世界各国の法令を遵守: AML と KYC の規制など、国際金融セキュリティ基準が適用されます。
GBP 銀行振込を受け付ける方法
事業者が GBP 銀行振込による決済の受け付けを開始するには、いくつかの要件を満たす必要があります。要件は決済のタイプや事業者の拠点がイギリスにあるかどうかによって異なります。GBP 銀行振込を受け付ける方法をご紹介します。
イギリスを拠点とする事業者
Bacs、FPS、CHAPS (イギリス国内の取引の場合):
銀行口座の要件: 事業者の銀行口座は Bacs、FPS、CHAPS の取引を扱える口座である必要があります。そのためには通常、イギリスに所在する銀行口座が必要です。
ソートコードと口座番号の使用: すべての取引で、イギリスの標準のソートコードと口座番号の体系を使用します。これは、イギリス国内で正確な処理をするために不可欠です。
KYC 書類: KYC の規制を遵守するために、事業登録に関する書類、会社所在地を証明する書類、事業主と主要な利害関係者の本人確認書類など、詳細な書類を提出する必要があります。
ダイレクトデビット同意書の管理: Bacs ダイレクトデビットの場合、同意書の参照番号や利用者の銀行の詳細情報など、書面による許可を利用者から得る必要があります。
SWIFT 送金 (GBP でのクロスボーダー取引の場合)
国際銀行との関係: SWIFT ネットワークに加盟している銀行との関係を築く必要があります。
為替に関する契約: 通貨換算サービスを利用する必要がある場合は、為替レートを交渉し、取引にかかる手数料を把握します。
世界各国の決済規則の遵守: AML 法やテロ資金対策法など、世界各国の決済規制についての最新情報を把握します。
イギリス以外の国を拠点とする事業者
GBP での決済 (イギリス国内の取引の場合)
GBP 建て銀行口座の開設: 自国またはイギリスで GBP 建ての口座を開設します。そのためには、イギリスのコルレス銀行と提携している現地の銀行を見つける必要があります。
イギリスの決済システムの理解: Bacs、FPS、CHAPS など、GBP 取引用のイギリス固有の決済システムを理解しておく必要があります。
SWIFT 送金 (GBP でのグローバルな取引の場合)
SWIFT ネットワークの理解: SWIFT ネットワークを使用して海外 GBP 送金指示を送受信する方法について、理解を深めておきましょう。
料金体系の把握: 送受金にかかる手数料や、該当する場合は通貨換算手数料なども含め、料金体系を把握する必要があります。
すべての事業者に共通する要件
AML と法令遵守に関するスタッフ研修: 国際金融基準を遵守するため、スタッフに AML ポリシーの研修を行います。
技術面のセットアップの実施: GBP 取引に対応している決済ソリューションを導入します。その中では、Bacs、FPS、SWIFT 取引に対応していて信頼できるペイメントゲートウェイの選定も行います。
データセキュリティプロトコルの確立: イギリスや EU の利用者のデータおよびすべての取引の詳細を保護するために、GDPR などのデータ保護規則に準拠し、綿密に練られたサイバーセキュリティ対策を導入します。
定期的な監査と法令遵守チェック: 定期的な監査を行い、地域と世界各国の金融規制を遵守していることを確認します。
明確なポリシーの策定: 返金手続き、チャージバックプロセス、取引に対する不審請求の申請の対処方法など、GBP 取引に対する簡潔なポリシーを策定します。
その他の考慮事項
市場調査: 決済に関する利用者の好みや銀行取引における地域の慣行などを含め、イギリスの市場のダイナミクスを把握しておく必要があります。
税務上の影響: GBP を受け付けることによって自国とイギリスでの納税義務にどのような影響があるか、税務アドバイザーに相談して確認します。
カスタマーサポートの開設: 為替レート、取引のタイミング、手数料など、GBP 取引に関する質問に対応するカスタマーサポートの体制を確立します。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。