日本の請求書の要件とは?必須項目や注意点を解説

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  1. はじめに
  2. 請求書とは
    1. 請求書の役割
  3. 請求書の要件・必須項目
    1. 請求先となる相手側 (買い手) の宛名
    2. 請求書発行者 (売り手) の氏名または名称
    3. 取引金額 (税込の合計請求金額)
    4. 取引年月日
    5. 取引内容
  4. 請求書に追加で記載しておくとよい項目
    1. 書類のタイトル:「請求書」
    2. 請求書番号
    3. 請求書発行年月日
    4. 支払期限
    5. 振込先の口座情報
    6. 振り込み手数料の取り扱い
  5. 請求書の要件における注意点
    1. 押印がある方がトラブルの防止になる
    2. 入金に必要な情報が明記されているか送付前に確認する
    3. インボイス制度に対応した請求書を求められるケースが多い 
  6. 要件や項目が適切に記載された請求書を発行するために

請求書とは、商品やサービスを提供した売り手側の事業者が、買い手側の事業者に対価を請求することを目的として作成する書類です。日本でビジネスを展開している事業者の方であれば、この「請求書」と記された書類について幾度となく取り扱った経験があるのではないでしょうか。

日本において B2B や B2C のあらゆるビジネスシーンで幅広く用いられている請求書は、取引相手からの入金が適切に行われるために、なくてはならないものです。

本記事では、請求書の役割、要件や記載項目、注意点など、日本の事業者が知っておくべき基礎知識について解説します。

目次

  • 請求書とは
  • 請求書の要件・記載項目
  • 請求書に追加で記載しておくとよい項目
  • 請求書の要件における注意点
  • 要件や項目が適切に記載された請求書を発行するために

請求書とは

冒頭で解説したように、請求書とは、売り手側の事業者が提供した商品やサービスの代金について、納品先の取引相手に請求するために発行および提示する書類となります。請求書の発行そのものに対しては、法律上で義務付けられているわけではありませんが、取引先とのトラブルを回避するためには、業務上において必ずといっていいほど請求書を発行するケースが一般的となっています。

請求書の役割

請求書は、領収書や納品書などと同様、取引があったという事実を証明する証憑 (しょうひょう) として有効な書類となります。そのため、上述したように請求書発行そのものへの義務はないものの、請求書がないと取引の事実を証明できず、後々問題が発生する可能性があります。

税務上における役割

たとえば、税務上においては、所轄の税務署から税務調査の一環として証憑書類の提出を求められる場合があります。その際、取引の詳細を証明できる会計上の書類がないと、会計処理を正しく行うことができないだけでなく、税務署が求める情報を明確に提示できなかったとして、追加で課税される可能性があります。

また、請求書がないことで、本来適用されるはずの控除が受けられなくなってしまうケースもあります。一例としては、インボイス制度のもとで適用される仕入税額控除の観点からも、請求書は重要な書類として位置付けられています。

リスクヘッジとしての役割

あらゆる取引において請求書が必要とされるもう 1 つの理由がリスクヘッジです。請求したという事実や取引事実に関する証拠書類となる請求書は、事業者間で円滑なコミュニケーションを取るためにとても重要です。つまり、事業者同士、あるいは事業者・顧客間で請求書を適切に取り交わすことで、書面上の取引内容について把握し、合意ができていれば、誤解が生じることなくスムーズに支払いが行われることにもつながります。

たとえば、買い手側の取引先が請求金額をいつまでたっても入金せず、代金については「一度も請求されたことがない」と主張しようとする悪質なケースでも、売り手側がきちんと請求書を送付していれば、こうした偽りの主張はできなくなるでしょう。さらに、万が一買い手側が支払いを拒む場合は、代金の回収権の証明として用いることも可能です。

このように、取引の事実があったことの公的な証明として、また、売り手側と買い手側の双方における信頼関係の維持を目的として、請求書を発行することは当たり前といってよいほど常識的な習慣となっているのです。

請求書の要件・必須項目

請求書は、売り手側が買い手側に対し、請求金額をはじめとする請求内容を適切に提示するために発行されます。したがって、書面上に取引先に伝える必要性のある項目が記載されていれば、請求書の書き方に関する法的なルールはなく、書式は自由となっています。

ただし、請求書としての機能を果たすためには、記載が必須となる項目がいくつかあるため、注意が必要です。また、請求書の書き方は、フォーマットを気にせず自由な書式で作成しても問題はないものの、正しい請求内容を取引先に知らせるには、記載項目が明確でわかりやすく表示されていることがとても大切です。そのため、以下の請求書へ記載項目については、はっきり正しく記載するようにしましょう。

請求先となる相手側 (買い手) の宛名

宛名の欄には、請求書受け取り側の法人名 (個人事業主の場合は屋号または氏名) を記載します。また、宛名は、法人名なら「株式会社」や「有限会社」、「合同会社」についても括弧で省略せず、登記されている正式名称を、氏名ならフルネームで記載することが大切です。法人名や屋号のみを記載する場合は「御中」を、氏名の記載が必要な場合は「様」を必ず付けましょう。

このほか、より詳しい情報 (担当者氏名や部署など) については、取引先と確認して調整します。また、取引先の住所を併記する場合もあります。

請求書発行者 (売り手) の氏名または名称

請求書の発行者として、自社の法人名 (個人事業主の場合は上記同様に屋号または氏名) を記載します。通常は、請求書発行年月日や請求書番号の下に記載し、書式によっては任意で住所や電話番号、部署名、担当者氏名を記載することもよくあります (請求書発行年月日や請求書番号については、次章「請求書に追加で記載しておくとよい項目」にて紹介します)。

なお、住所などと同じく任意ではありますが、日本のビジネスにおいては、発行者氏名・名称と併せて社判や担当者印を押印することが習慣となっています。

取引金額 (税込の合計請求金額)

商品やサービスの代金すべてを合計した小計に消費税を加えた税込の合計金額を「ご請求金額」として大きめの文字サイズで記載します。また、合計金額は、税込であることがわかるように記載することも忘れないようにしましょう。

取引年月日

実際に取引が行われた年月日を記載します。商品の場合は納品日、サービスの場合はサービスが提供された日付となります。特に、ひと月の間に何度も取引があるケースでは、掛売り方式 (決まった期間内で発生した取引分をまとめて請求する方式) によって、月ごとにまとめて請求することが一般的です。そのため、それぞれの取引年月日については忘れないよう記録しておき、請求書に正しく記載するようにしましょう。

取引内容

商品やサービスにかかった上述の合計請求金額について、より細かい具体的な情報を記載します。まず、商品やサービスの品名 (品番があれば品番も記載)、単価、数量に分けて記載し、これに加えて、小計、消費税のみの合計金額、請求総額 (小計 + 消費税) を記載します。また、軽減税率が適用される商品の場合は「軽減税率の対象品目である旨」がわかるように明記します。

請求書に追加で記載しておくとよい項目

前章にて紹介した、請求書として必須となる記載項目だけでなく、以下のような追加で請求書に記載しておくのがのぞましい項目があります。これらの項目は、取引先からの入金をスムーズに実行してもらうという目的を果たすには、事実上欠かせないものとなります。

書類のタイトル:「請求書」

受け取った側がひと目見ただけで請求書であることがわかるように、書類のヘッダーとして「請求書」と大きく記載しましょう。

請求書番号

請求書番号を割り振っておくと、社内でのデータ管理や、領収書などとの照合がしやすくなります。

請求書発行年月日

発行年月日については請求書の右上箇所に記載されることが多く、請求書を発行する日付を記載します。ただし、重要ポイントとしては、取引先の締め日に合わせることが一般的となっているため、必ずしも請求書を実際に発行する日付を用いるとは限らないということを覚えておきましょう。そのため、初めて取引を行う際には、取引先にあらかじめ発行年月日について確認をとっておくことが大切です。

たとえば、取引先が「月末締めの翌月払い」の場合、発行年月日は納品月の末日に設定します。具体的に説明すると、8 月 1 日に納品された商品に対して請求書を発行する場合、請求書の作成および送付が 9 月 1 日でも、発行日は 9 月 1 日ではなく、月末の 8 月 31 日となります。

支払期限

支払期限については通常、契約を交わす時点で合意しているはずとなるため、合意内容にそって支払期限を記載します。

振込先の口座情報

振込先情報は、取引先から合計請求金額を振り込んでもらうためには、なくてはならない記載項目です。そのため、銀行名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義 (カタカナ表記) に加え、銀行コードや支店コードなどについて記入漏れや書き損じのないように注意して記載しましょう。

振り込み手数料の取り扱い

振込手数料については、請求者か代金を支払う側のどちらが負担するのか、あらかじめ取り決めておくことが、ビジネス上の信頼関係を築くためにとても大切です。

また、振り込み手数料を買い手側に負担してもらう場合は、請求書書面上の備考欄などにその旨を追記するのが一般的です。たとえば、「誠に恐れ入りますが、振り込み手数料はお客様でご負担いただきますようお願い申し上げます」のように、丁寧な一文を添えるようにし、取引先への配慮を心がけるようにしましょう。

請求書の要件における注意点

押印がある方がトラブルの防止になる

請求書には社判の押印義務はなく任意であることを先ほど解説しました。つまり、押印の有無に関わらず、請求書の必須項目を記載していれば有効な証憑書類として認められることから、押印がなくても書面上の取引内容の事実が無効となることはありません。

しかし、日本においては押印されている請求書の方が、第三者による架空の請求書の作成や偽造がされにくいことから、取引先の安心感が高まるケースがあります。たとえば、日本の商習慣を重んじる取引先に対して請求書を発行する場合は、社判の押印によって、より真実味のある書類と受けとめられやすくなるため、トラブルの防止だけでなく信頼性の確保としても役立つといえるでしょう。

一方、コロナ禍以降リモートワークが普及している今日では、日本での押印の習慣も少しずつなくなりつつあるのが現状でもあります。そのため、かつては税務上において押印が義務付けされていた書類についても押印が不要となるなど、今後はますます押印を必要としないケースが増えていくと考えられています。

入金に必要な情報が明記されているか送付前に確認する

請求書の作成後は内容が正しく明確に記載されているかどうかを、しっかりと確認するようにしましょう。必須項目はもちろんですが、追加で記載しておくとよい項目についても、振込先の口座情報や支払期限など、取引先に金額を入金してもらうにあたって欠かせない項目となります。したがって、支払期限が明確でなかったことで取引先の支払いが遅れてしまったり、口座番号に記入漏れがあったことで振り込みができないなどのトラブルを避けるためにも、請求書の作成には十分に注意しましょう。

インボイス制度に対応した請求書を求められるケースが多い 

先ほど、「請求書の要件・必須項目」にて紹介した 5 点の項目については、一般的な請求書の必須記載項目となります。しかし、それ以外にも、仕入税額控除の適用を受けるためには、現行のインボイス制度についても対応する必要があります。よって、同制度の要件を満たす請求書を作成する必要がある場合には、通常の請求書の記載項目に加えて、インボイス制度で定められている項目の記載が必須となります。

インボイス制度とは 2023 年 10 月 1 日から開始された、消費税の仕入税額控除に関する制度です。現在日本では、事業者が仕入税額控除を適用するためには、このインボイス制度に準拠した書類、「適格請求書 (通称: インボイス)」の発行と保存が求められます。つまり、この適格請求書がないと、事業者は仕入税額控除を適用することができません。

売り手側の事業者が適格請求書を発行するにあたっては、所轄のインボイス登録センターにて適格請求書発行事業者としての登録を事前に済ませておく必要があります。

また、適格請求書の記載要件には、適格請求書発行事業者であることの証明となるインボイス制度の登録番号や、税率ごとに区分した税抜または税込の合計金額と適用税率 (10%・8%) の表示など、通常の請求書に加えて、より細かな必須項目があります。そのため、各事業者は、インボイス制度への知識を十分に深めたうえで、同制度に対応するようにしましょう。

なお、保存については、インボイス制度の要件を満たした適格請求書と、それ以外の通常の請求書がある場合は混在させずに、それぞれに分けて適切に管理することも大切です。

要件や項目が適切に記載された請求書を発行するために

今回は請求書の要件について、役割、注意点を踏まえて解説しました。請求書は、取引先から代金を請求することを第一目的として発行する大切な書類です。また、請求書発行年月日や振り込み手数料を負担する側など、さまざまな項目についても取引先と事前に確認をとるなど、発行者側の配慮が求められる書類でもあります。

このように一見細かな作業が必要とも思われる請求書ですが、要件や注意点をおさえたうえで、適切に記載された請求書を取引先に交付することで、事業者同士において透明性の高い良好な信頼関係を築くことができるといえるでしょう。

なお、請求書を作成する際には、作業を最適化できるオンラインツールが便利です。そのため、消費税の自動計算機能や会計ソフトなどの導入についても検討するとよいでしょう。Stripe が提供する Stripe Invoicing は、インボイス制度で定められている要件に対応しており、自動生成機能による請求書の発行と保存を適切に行うことができます。また、売掛金の管理、支払いの回収、取引の照合の自動化など、請求業務に関わるあらゆる機能が備わっているため、よりスムーズで効率的なバックオフィスの改善を図ることができます。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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