適格請求書発行事業者とは?登録申請書・事業者登録番号の通知に関する基礎知識

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  1. はじめに
  2. 適格請求書発行事業者とは?
  3. 適格請求書発行事業者になるためには?
    1. 免税事業者の場合
  4. 適格請求書発行事業者の主な法的義務とは?
  5. 適格請求書の発行に求められる記載要件とは?
  6. 適格請求書発行までのステップガイド
  7. 適格請求書発行事業者の登録をしないとどうなる?

適格請求書発行事業者とは、日本におけるインボイス制度の導入に伴い、適格請求書 (通称: インボイス) を発行できるようにするために、事前に管轄地域のインボイス登録センターに登録した事業者を指します。

この記事では、適格請求書発行事業者について、適格請求書発行事業者となるためのインボイス制度への登録申請や、事業者登録番号の通知、適格請求書発行事業者としての法的義務などを踏まえて解説します。

目次

  • 適格請求書発行事業者とは?
  • 適格請求書発行事業者になるためには?
  • 適格請求書発行事業者の主な法的義務とは?
  • 適格請求書の発行に求められる記載要件とは?
  • 適格請求書発行までのステップガイド
  • 適格請求書発行事業者の登録をしないとどうなる?

適格請求書発行事業者とは?

冒頭にて紹介したように、インボイス制度のもと適格請求書を発行するにあたっては、適格請求書発行事業者となるための登録申請が必須となります。令和 5 年 (2023 年) 10 月 1 日から開始されたこのインボイス制度では、事業者が消費税の仕入税額控除を適用するためには、インボイス制度で定められた要件を満たす適格請求書の交付・保存が求められます。

適格請求書発行事業者の登録申請が完了すると、国から適格請求書の発行を認められた事業者として、適格請求書を発行できるようになります。また、登録申請の完了後には事業者に登録番号が付与されることから、適格請求書発行事業者とはすなわち「インボイス制度の登録番号を所有する事業者」とも言えるでしょう。

したがって、適格請求書を発行できるのは、インボイス制度の登録番号を所有する適格請求書発行事業者のみとなり、適格請求書発行事業者としての登録が済んでいない事業者は、適格請求書を発行することができないことを留意してください。

また、インボイス制度への登録申請によって適格請求書発行事業者になると、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイト上にて、自社の社名や所在地、登録番号などが表示されるようになります。これは、虚偽の登録番号の乱用などの不正行為や、登録番号の誤認によるトラブルを防ぐためで、これらの情報公開によって、正しい登録番号を確認することを目的としています。なお、個人事業主の情報が適格請求書発行事業者として公表される場合については、特に希望しなければ住所が公開されることはありません。

適格請求書発行事業者になるためには?

適格請求書発行事業者になる際に、個人事業主・フリーランス、法人など、事業者の形態が問われることはありません。よって、インボイス制度への登録申請が認可されると、どの事業者でも適格請求書発行事業者になることができます。

ただし、原則として適格請求書を発行できる事業者は、消費税の課税事業者のみとなります。そのため、適格請求書発行事業者になるということは、課税事業者になることを意味します。

適格請求書発行事業者となるための登録申請については、インボイス登録センターへの申請書の郵送、または e-Tax によって行うことができます。また、申請方法や登録申請書の記載例については、国税庁の適格請求書発行事業者の登録申請手続 (国内事業者用) をご覧ください。

免税事業者の場合

免税事業者は基本的に、適格請求書発行事業者の対象外となりますが、適格請求書発行事業者になることは必須ではなく、任意です。そのため、売上 1,000 万円以下の個人事業主などの免税事業者の方については、今後適格請求書発行事業者の登録申請をして課税事業者になるかどうか、十分にインボイス制度について理解したうえで考慮することが大切です。

なお、免税事業者が適格請求書発行事業者として登録申請を行うと、その事業者は自動的に課税事業者となり、消費税の納税義務が発生することをご留意ください。

適格請求書発行事業者の主な法的義務とは?

インボイス制度への登録申請をした適格請求書発行事業者は、同制度における適格請求書の要件を満たしたものを、取引先 (買い手側) の事業者に交付することが求められ、買い手側が適格請求書の発行を依頼した際には、その要望に応じることが義務付けられています。

また、発行及び交付と同時に、交付した適格請求書については、その写しの保存についても発行者側に求められます。国税庁では、交付した適格請求書の写しについて「交付した日の属する課税期間の末日の翌日から 2 カ月を経過した日から 7 年間保存する必要がある」と定めています。なお、令和 6 年 (2024 年) 1 月 1 日からは電子帳簿保存法に基づいて、電子データを用いて発行・交付された適格請求書の保存については、紙による保存ではなく、電子データを保存することが義務化されました。
(参考資料: 国税庁『電子帳簿保存法』)

この他の法的義務としては、交付した適格請求書の記載に誤りがあった場合、適格請求書発行事業者は、誤りを修正した適格請求書を改めて交付する必要があります。

一方、一部特例として、3 万円未満の公的公共交通機関による旅客の運送や、自動販売機・自動サービス機など、適格請求書の交付が困難な取引については交付義務の免除が可能となっています。詳しくは国税庁の適格請求書等保存方式の概要をご参照ください。

適格請求書の発行に求められる記載要件とは?

適格請求書の発行においてはまず、インボイス制度で制定された記載要件を満たしていることが大切です。国税庁による適格請求書の必須記載事項については、以下のとおりです。

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容 (軽減税率の対象品目である場合はその旨を記載)
  • 交付先 (買い手側) の氏名または名称
  • 適格請求書発行事業者としての登録番号
  • 税抜価額または税込価額を税率 (8%・10%) ごとに区分した合計額と適用税率
  • 税率ごとに区分してそれぞれ合計した消費税額等

インボイス制度開始後の適格請求書においては、上記のとおり登録番号の記載が必須なため、適格請求書の発行に際しては、くれぐれも登録申請を済ませておくことが大切と言えます。また、登録が完了すると税務署より登録番号に関する通知が届きます。通知の受け取り後は登録番号を大切に保管するようにしましょう。

なお、このようにインボイス制度に準拠した適格請求書を発行するには、消費税の自動計算機能を使うことで、事業の効率化を図ることができます。Stripe では、適格請求書に対応し、消費税の自動計算が可能な Stripe TaxTax Rate などの便利な機能・ツールを各種ご用意しています。Stripe アカウントから適格請求書を作成する際には、事前の設定が必要となるため、インボイス制度及び適格請求書の詳細・設定についてはインボイス制度対応ガイドとベストプラクティスをご参照ください。

適格請求書発行までのステップガイド

ここまでで、適格請求書発行事業者について理解を深めるために、ひと通り解説しました。また、適格請求書発行事業者となって適格請求書を発行するまでのステップについて、以下のようにまとめました。

1. 登録申請書の記入
郵送する際の書面の登録申請書については、国税庁が提供する適格請求書発行事業者の登録申請書 (PDF) をダウンロードして利用できます。また、e-Tax による登録申請も可能です。

2. 添付書類の準備
個人事業主の場合は、郵送による適格請求書発行事業者の登録申請において、マイナンバーカードの写しが必要となります。もしマイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー確認書類 (通知カード) と運転免許証などの身元確認書類の 2 点の写しを準備してください。
e-Tax の場合は、電子証明書 (マイナンバーカードなど) と利用者識別番号 (電子申告に必要な 16 桁から成る番号) を用意します。また、法人については、代表者氏名や所在地、法人番号などの情報を申請書に正しく記入できるよう、記入時にはこれらの情報を手元に準備しておきましょう。

3. 登録申請の提出
郵送による登録申請を行う場合は、提出先となる所轄のインボイス登録センターの住所を予め確認してから、登録申請書と必要な添付書類を同封して提出してください。

4. 登録番号の通知書が届く
適格請求書発行事業者の登録番号は、適格請求書を発行する際の必須記載事項となる大切な番号です。通知書の受け取り後は、大切に保管するようにしましょう。なお、通知書については、登録申請が郵送の場合は書面による通知、e-Tax の場合は e-Tax による通知を希望したうえで、 e-Tax を通じた通知を受け取ることができます。注意点としては、e-tax で申請しても、希望しなければ登録通知書は書面となるため、登録申請時の確認画面にて希望する旨について必ず確認しましょう。

5. 適格請求書の作成・買い手側への交付
適格請求書を作成する際は、必須記載事項が正しく記入されているか、買い手側への交付前に、今一度確認をするようにしてください。特に登録番号については、適格請求書発行事業者公表サイトにて必要に応じて確認するようにしましょう。

6. 交付した適格請求書の写しの保存
前述のとおり、適格請求書の写しについては、7 年以上の保存義務があります。また、電子帳簿保存法に基づき、電子データとして交付された適格請求書については、電子データとして保存する必要があることを覚えておきましょう。

適格請求書発行事業者の登録をしないとどうなる?

もし、適格請求書発行事業者への登録をしなかった場合、その事業者には適格請求書の発行が認めらません。よって、取引先となる買い手側は、適格請求書を受け取ることができず、仕入税額控除の適用ができなくなるため、買い手側にとっては消費税の納税額が増えてしまうことになります。そのため、売り手側は買い手側との取引においてマイナスな影響を与えることがないよう、予め双方が互いの立場を理解し、今後の意向について協議することが大切と言えるでしょう。

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