Zip: 徹底ガイド

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

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  1. はじめに
  2. Zip とは
  3. Zip が利用されている地域
  4. Zip の利用者
  5. Zip の仕組み
  6. Zip の導入が事業者にもたらすメリット
  7. Zip のセキュリティ対策
  8. Zip を導入するための要件
  9. Zip の代替となる決済手段

Zip は、幅広い利用者と事業者に柔軟な決済ソリューションを提供している、後払い (BNPL)の分野で世界的な大手企業です。Zip は、購入者の間で支払いオプションの柔軟性とアクセシビリティを重視する傾向が高まっていることを受け、従来のクレジットサービスに代わる決済手段を求める多様な購入者層に対応し、数多くの国にサービス提供先を拡大してきました。

Zip により、利用者は商品やサービスを即座に購入して、通常は無金利で、その金額を複数回の支払いに分散できます。このアプローチは、従来のクレジットカードの使用を好まない購入者や、管理しやすい返済プランを探している購入者の興味を引くことができます。なかには柔軟な支払いオプションがあれば購入を完了する可能性が高くなる購入者もいるため、事業者は Zip との提携によって、購入完了率の向上と平均注文額の上昇を見込めます。

Zip の世界戦略では、現地の市場状況と購入者の選好への適応も考慮されています。アメリカとオーストラリアでは、Zip は予算管理ツールなどの機能を提供したり、透明性の高い料金体系を提示したりすることで、他の BNPL プロバイダーとの差別化を図っています。従来の銀行事業の浸透性が低い地域では、Zip はそれに代わる金融ソリューションを提供することで、クレジットサービスを利用できなかった利用者もこうしたサービスを利用できるようにしています。

世界の BNPL 市場の規模は 2022 年に 230 億ドルを超え、2030 年までに 1,220 億ドルを超えるものと予想されています。これは年平均成長率で 22% に相当します。Zip が拡大を続ける中、事業者にとって重要なことは、Zip の仕組みとメリット、より広範な BNPL 市場のダイナミクスを理解することです。

この記事の内容

  • Zip とは
  • Zip が利用されている地域
  • Zip の利用者
  • Zip の仕組み
  • Zip の導入が事業者にもたらすメリット
  • Zip のセキュリティ対策
  • 事業者が Zip による支払いの受け付けを開始するための要件
  • Zip に代わる選択肢

Zip とは

2013 年にオーストラリアで設立された Zip は、購入代金の支払いを先延ばしにする手段を利用者に提供する金融サービスです。Zip が利用者に提供するのは、商品をすぐに購入できる利便性と、支払いを長期的に分散できる柔軟性です。

利用者は Zip を利用して買い物をし、その後、通常隔週で残高を分割返済できるため、給与サイクルや各自の予算の管理に合わせて利用できる、自由度の高いモデルとなっています。事業者にとっては、Zip を導入することにより、購入総数の増加だけでなく、顧客リピート率の改善にもつながります。

2023 年、Zip は 620 万件のアクティブユーザーアカウントがあることを公表しました。Zip は E コマースプラットフォームPOS システムと連携して、さまざまなタイプのショッピング環境でサービスを提供しています。Zip の成長の要因には、購入者が自分の資金計画や消費習慣に合った代替決済手段を求めるという傾向の広がりがあります。

Zip が利用されている地域

Zip には地域市場のダイナミクスに対応できる適応能力があるため、世界的にも確固とした地位を築いています。

  • オーストラリア:
    Zip が創業した地であるオーストラリアには、大きな顧客ベースがあります。このプラットフォームは当初、ZipMoney と ZipPay という 2 種類のサービスとしてブランド化され利用者からのより幅広いニーズに対応していました。

  • アメリカ:
    2020 年、Zip は QuadPay を買収して、アメリカでのシェアを拡大し、後払いサービスへの関心が高まる市場に対応できるようにしました。この買収により、Zip はアメリカの多様な小売業界に参入し、利用者の消費習慣や信用行動に適応できるようになりました。

  • ニュージーランド:
    ニュージーランドは Zip が強固な顧客ベースを誇る地であり、Zip の金融面での柔軟性を魅力に感じる多くのユーザーがサービスを利用しています。

  • カナダ:
    カナダもまた Zip にとっての戦略的市場であり、パートナーシップと顧客中心の製品提供を通じて事業進出を果たしています。

Zip の利用者

Zip の利便性と柔軟性を評価して、さまざまなタイプの個人と事業者が Zip を利用しています。

  • 小売業と E コマース: 小さなオンラインストアから大手の E コマースプラットフォームまで、さまざまな小売業者が Zip を決済手段として導入しています。導入した事業者は、購入費用を長期にわたって分散する金銭管理を好む顧客に対するサービスを向上させることができます。

  • 家庭用品・日用雑貨: 家具、電化製品、ホームセンターなど、家庭用品・日用雑貨業界の事業者は、Zip を導入して、顧客に大きな買い物をしてもらうための資金調達手段を提供することで、平均注文金額と購入完了率を向上させています。

  • 医療健康・美容サービス: 歯科クリニック、美容サービスプロバイダー、ウェルネスセンターは、Zip を導入して、患者や顧客に治療や製品に対する支払いの分割払いも選択できるようにすることで、サービスをより利用しやすくしています。

  • 接客サービス・旅行: ホテルや旅行代理店などの接客サービス業界では、旅行や宿泊の代金を一定期間にわたって支払いたい旅行者に Zip のオプションを提供することで、予算管理を優先させる旅行者を引きつけています。

  • 自動車サービス: 自動車修理店や自動車サービスプロバイダーは、予想外に高額になりがちな修理やサービスの代金の支払いオプションとして Zip を受け付けています。

  • 予算重視の買い物客: 自分の金銭の管理をしっかりと維持したい買い物客は、Zip の分割払いを自分の予算管理ニーズに適した支払い方法と考えています。

  • ミレニアル世代と Z 世代: 借金をできるだけ控えたいと考える若い世代の購入者は、支払いを一定期間に分散して商品をすぐに利用できる Zip を好んで利用しています。

  • ギグエコノミーワーカー: フリーランサーやギグエコノミーワーカーなど、収入源が一定でない人々は、変動する収入に見合った支出に抑えるために Zip を利用しています。

  • クレジットを敬遠する人々: 金利や借金に対する懸念を理由に従来型のクレジットサービスを敬遠している人々は、それに代わるものとして、より透明性が高く無金利である Zip を選んでいます。

Zip の仕組み

  • 取引の開始と経路選定
    Zip による取引は、利用者が事業者のオンラインまたは店舗内の決済フローで Zip を支払い方法として選択した時点から始まります。利用者の情報は暗号化され、承認を求めて Zip に送信されます。このリクエストには、購入の詳細と利用者の信用価値が含まれます。利用者が承認されると (多くの場合即座に承認されます)、Zip は手数料を差し引いた全額を事業者に支払い、利用者の返済スケジュールを設定します。

  • データセキュリティ
    セキュリティは Zip の業務の中核をなすものです。利用者と事業者のデータを保護するため、Zip は暗号化プロトコルを取引プロセス全体で採用しています。個人情報や財務情報が不正アクセスと不正利用から確実に保護されるようにするためのデータセキュリティ対策が実施されています。Zip では、取引データをリアルタイムで精査する先進的なリスク評価アルゴリズムが使用されています。そのため、不正取引のリスクが効果的に軽減されます。

  • 料金体系
    Zip の料金体系は、従来の決済ネットワークとは異なります。取引ごとに顧客に料金を請求するのではなく、事業者がこのサービスを利用して行われた購入ごとに料金を支払います。また、Zip は、利用者とのユーザー契約に従って、支払い遅延や、アカウントがアクティブでないことを理由として、利用者に料金を請求する場合もあります。

  • 事業者の既存の決済システムとの連携
    事業者が Zip を支払いオプションに導入するには、多くの場合、このサービスを既存のペイメントゲートウェイまたは POS システムに追加する必要があります。Zip の API と SDK がこの連携をサポートし、事業者の決済フローにスムーズに追加できるようにします。このプラットフォームは、多様な E コマースプラットフォームおよび店舗内システムとの互換性を確保して、さまざまなビジネスモデルに対応できる柔軟なソリューションを提供できるように設計されています。

  • 売上処理と決済
    取引の承認後、Zip は事業者との売上処理プロセスを開始します。事業者は速やかに支払いを受けることができるため、BNPL システムに対する信頼が高まります。決済取引はバッチ処理され、すべての関係者の入金と引き落としが適切に実行されます。

  • 顧客に関するインサイト
    Zip では事業者が取引データと分析データを利用できるため、顧客行動を理解し、売上データを効果的に管理することができます。

Zip の導入が事業者にもたらすメリット

  • 平均注文額の増加
    Zip を利用する事業者は、平均注文金額が増加する可能性があります。顧客は購入費用を長期的にわたって無金利で分散できる場合、大きな買い物でも安心して代金を支払うことができる可能性があるからです。

  • 購入完了率が向上
    Zip は購入時のカゴ落ち率を下げることができます。後払いオプションを提供することで、購入に対するよくある障壁 (即座に無理なく購入可能かどうか) に対処できるので、購入完了率を引き上げる見込みがあります。

  • 事業者への即時の支払い
    顧客が分割払いプランで支払っていても、事業者は Zip から全額を前払いされます。サービスにはこのような特徴があるため、事業者のキャッシュフローを改善し、支払い遅延に伴う財務リスクを軽減することができます。

  • 幅広い顧客ベースへのアクセス
    Zip は、クレジットサービスを敬遠する顧客や、従来型のクレジットサービスを利用できない顧客を含む、より幅広い顧客層を呼び込み、事業者の潜在市場を拡大することができます。

  • 顧客ロイヤルティの向上
    分割払いの利便性によって、顧客の満足度と維持率が向上します。顧客には、自分が希望する決済手段を受け付けているビジネスを再び利用する可能性が高い傾向が見られます。

  • データに基づくインサイト
    Zip は、購買傾向や顧客行動に関する貴重なデータを事業者に提供します。このような情報は、マーケティング戦略、商品開発、在庫管理に活用できます。

  • ロータッチの導入
    Zip のテクノロジーは、既存のペイメントゲートウェイや E コマースプラットフォームと簡単に連携できるように設計されているため、スムーズな導入プロセスを実現します。

  • マーケティングのサポート
    Zip と提携している事業者は、Zip のマーケティングチャネルを通じて露出度を高めることで、自社の店舗やウェブサイトへのトラフィックを増やせるというメリットを得られる可能性があります。

  • セキュリティと法令遵守
    Zip はセキュリティの維持と規制順守を高い水準で徹底させているため、これらの複雑な問題への対処で生じ得る事業者の負担が軽減されます。

Zip のセキュリティ対策

Zip は、利用者とビジネスパートナーに安全で信頼性の高い決済プラットフォームを提供しています。このプラットフォームは特に取引のセキュリティ保護に重点を置き、利用者の信頼を維持すると同時に、サービスの長期的な成功を確実なものにしています。Zip のセキュリティ対策には以下のものが含まれます。

  • 暗号化
    Zip は高度な暗号化技術により、取引プロセスのあらゆる段階でデータを保護します。これには、購入時などの転送中のデータや、保存されているアカウント情報などの保管中のデータなどが含まれます。これらの暗号化方式は定期的に更新され、潜在的なサイバーセキュリティの脅威に対して常に先手を打って対応できるようにしています。

  • 不正検知とリスク評価
    このプラットフォームは、高性能のアルゴリズムと機械学習技術を採用して、取引データをリアルタイムで分析します。これらのシステムは、不正利用の兆候を示す異常なアクティビティを特定してフラグを立てるように設計されています。取引を継続的に監視することで、Zip はセキュリティ上の潜在的問題に素早く対応することができます。

  • 利用者の認証
    アカウントへの不正アクセスを防ぐため、Zip では利用者認証プロセスが採用されています。多くの場合、これには多要素認証が含まれ、利用者はモバイルデバイスに送信される一意のコードなど、パスワードだけではなく、それ以外の認証も別途必要となります。

  • トークン化
    他の大手決済代行業者と同様に、Zip はトークン化により取引のセキュリティを強化しています。この方式は、クレジットカード番号などの機密データを、悪用されるおそれのない一意の識別子 (トークン) に置き換えるものです。そうすることで、データ漏洩や不正利用のリスクを大幅に軽減できます。

  • 規制順守
    Zip は、事業を展開する各市場における関連金融規制を遵守しています。これには、PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) をはじめとする、データ保護と決済処理に対する世界的な標準の順守も含まれます。

  • 定期的なセキュリティ監査
    高度なセキュリティ標準を維持するため、Zip では定期的な監査とセキュリティ評価を実施しています。これらの審査により、潜在的な脆弱性を特定しやすくなり、セキュリティ対策が効果的かつ最新での状態であることが確保されます。

  • 継続的な改善
    Zip は、セキュリティ上の新たな課題や脅威に対して常に先手を打って対応できるように、継続的な研究開発に投資しています。

Zip を導入するための要件

  • 加盟店アカウントの開設:
    Zip の受け付けの開始を希望する事業者は、決済を処理する加盟店アカウントを開設する必要があります。開設するには、Zip との、または Zip での取引を処理する指定金融機関との契約に合意する必要があります。この契約では、通常、両当事者間の条件、権利、義務が規定されます。

  • 決済システムの連携:
    事業者は、Zip の決済システムを自社の既存のインフラストラクチャと連携させる必要があります。この作業には、Zip から提供される API と SDK の導入が含まれる場合もあります。連携のタイプはビジネスモデルによって異なります。たとえば、小売店では対面式の POS システムが必要となる場合がありますが、オンラインビジネスでは、Zip を自社の E コマースプラットフォームと連携させる必要があります。

  • 法律および規制標準の遵守:
    事業者は、金融取引や顧客保護に関連する国内外の規制を遵守しなければなりなせん。これらには、マネーロンダリング防止 (AML) 法や本人確認 (KYC) の要件の遵守も含まれます。また、欧州連合 (EU) の一般データ保護規則 (GDPR) など、事業を展開する地域に関係のあるデータ保護規制にも従う必要があります。

  • 技術面とセキュリティ面の準備:
    事業者は、Zip での決済処理のサポートに必要な技術インフラを備えている必要があります。これには、安全なインターネット接続、必要に応よっては POS システムとの互換性のあるハードウェアなどが含まれます。また、顧客の支払い情報を保護するため、PCI DSS への準拠を確保する必要もあります。

  • 財務の健全性と安定性:
    事業者の財務の健全性と安定性を Zip が評価する場合があります。この評価には、信用履歴、事業実績、財務諸表の審査などが含まれる可能性があります。

  • 料金と請求額の把握:
    事業者は、Zip の利用に関連する料金体系を把握しておく必要があります。これには、取引料金、月額料金または年額料金、チャージバックが発生した場合に請求される手数料などが含まれます。

Zip の代替となる決済手段

以下に挙げる後払いサービスのそれぞれに、さまざまな市場に対応する明確な特徴と事業モデルがあります。地域でのプレゼンス、顧客の選好、事業提携などの各種要因によって、各サービスの普及度と定着度はさまざまです。

  • Afterpay:
    Afterpay は、明快で無金利の支払いプランで知られ、利用者は購入代金を 4 回に分割して支払うことができます。この決済サービスを利用すると、オンラインでの購入と店舗での購入をシームレスに統合できるため、小売業界で人気のサービスとなっています。

  • Klarna:
    Klarna は、「Pay 30」、分割払い、従来型のクレジットサービスなど、支払い方法を柔軟に選択できる決済サービスです。ウィッシュリストや値下げ通知などの機能を含む、包括的な機能を備えたアプリを特徴としています。

  • Affirm:
    Affirm には、短期から長期の融資まで幅広い返済条件が用意されており、利息が付く場合もあります。この決済サービスはその透明性で知られており、金利や手数料に関する明確な情報を前もって提供しています。

  • Sezzle:
    Sezzle は、より少額で管理しやすい分割払いを中心とした決済サービスで、自分で責任を取れる範囲の支出がしやすくなります。また、適時の支払いを通じて利用者の信用スコアを高めることを重視しています。

  • PayPal Credit:
    この決済サービスは PayPal の拡張版として、短期の融資オプションを提供しています。多くの場合、これには無利子期間などのプロモーションオファーが付属します。PayPal Credit は、PayPal を受け付けている大規模な事業者ネットワークと連携しているため、PayPal ユーザーにとって便利な選択肢となっています。

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