EC ストアが急増して決済手段が多様化する中で、企業が新たな取引方法に適応することの重要性が高まっています。Forbes Advisor が 2023 年に実施した調査によると、主に現金で買い物をするアメリカ人はわずか 9% にすぎません。調査対象者の半数以上 (54%) が物理的または仮想デビットカードを好んで使用し、36% が主な決済方法として物理的または仮想クレジットカードを選択しています。
高度な決済システムに適応することで、企業はシンプル、安全、効率的な取引を実現し、収益の増加や顧客体験の向上につなげることができます。以下では、システムを支える主要コンポーネント、クレジットカード処理手数料、高性能のクレジットカード決済システムを構築および維持するための定評のある戦略など、クレジットカード処理の重要な側面について説明します。知っておくべきことをご紹介します。
この記事の内容
- クレジットカード処理とは
- クレジットカード処理の主要コンポーネント
- クレジットカード処理の仕組み
- クレジットカード処理プロバイダー
- クレジットカード処理のコスト
- クレジットカード処理のベストプラクティス
クレジットカード処理とは
クレジットカード処理とは、企業が購入者からのクレジットカード決済の受け付けを可能にするシステムです。簡単で安全な取引を推進すると、クレジットカード処理で購入者が利用できる決済の選択肢が広がり、売上の増加につながります。
クレジットカード処理の主要コンポーネント
クレジットカード処理には、さまざまなコンポーネントが関与しています。ここでは、主な関係者の概要を説明します。
カード保有者
カード保有者とは、銀行または金融機関が発行したクレジットカードを所有する購入者です。加盟店
加盟店とは、商品またはサービスを販売し、クレジットカード決済を受け付ける企業または個人です。アクワイアリング銀行
アクワイアリング銀行 (アクワイアラー) とは、企業と提携してクレジットカード取引を処理する金融機関です。アクワイアリング銀行は企業から取引情報を受け取り、カード発行会社に伝えて承認を得ます。カード発行会社
カード発行会社とは、カード保有者にクレジットカードを発行する銀行または金融機関です。カード発行会社は、カード保有者の利用可能なクレジットまたは口座状況などの要因に基づいて取引を承認または支払い拒否します。カードネットワーク
カードネットワークは、Visa、Mastercard、アメリカン・エキスプレス、ディスカバーなど、クレジットカード取引を処理するためのインフラストラクチャやルールを提供する組織です。カードネットワークはアクワイアリング銀行とカード発行会社の間で仲介役を担い、取引の伝達、オーソリ、売上処理を円滑に進めます。ペイメントゲートウェイ
ペイメントゲートウェイとは、処理に向けて決済情報を企業の POS システムや EC ストアプラットフォームからアクワイアリング銀行に送信するツールのことです。カード保有者のデータを暗号化して、取引がセキュリティ標準に準拠していることを保証します。決済代行業者
決済代行業者 (決済処理プロバイダー) とは、アクワイアリング銀行に代わって取引プロセスを管理する会社のことです。決済ネットワークとのやり取り、オーソリ、売上処理プロセスの管理といったタスクを処理します。POS システム
POS システムとは、企業がクレジットカード決済を受け付けるために使用するハードウェアおよびソフトウェアのことです。対面支払いの場合は、カードリーダーや小売店の端末などがあります。オンライン取引では、EC ストアプラットフォームやペイメントゲートウェイなどがこれにあたります。
このような関係者が、安全かつ効率的に規制や業界標準に準拠してクレジットカード取引が行われることを保証し、購入者と企業に容易かつ迅速な決済経験を提供します。
クレジットカード処理の仕組み
クレジットカード処理には、企業がクレジットカード決済を受け付けて、その決済を処理する一連の手順があります。以下にプロセスの概要を示します。
1. 取引の開始
購入者は POS 端末にカードをスワイプ、挿入、またはタップするか、EC ストアのウェブサイトやモバイルアプリにカードの詳細を入力することによってクレジットカードの情報を企業に提供します。
2. オーソリリクエスト
ペイメントゲートウェイは、決済情報を暗号化して企業のアクワイアリング銀行に安全に送信します。アクワイアリング銀行は取引の詳細を適切な決済ネットワークに転送して、オーソリプロセスを開始します。
3. 取引のオーソリ
決済ネットワークがカード発行会社に取引を振り分け、カード発行会社がカード保有者の口座の確認、利用可能なクレジットまたは資金のチェック、取引に関連するリスクの評価を行います。これらの要素に基づいて、カード発行会社は取引を承認するか支払いを拒否します。
4. オーソリレスポンス
カード発行会社はオーソリレスポンス (承認または拒否コード) を決済ネットワークに送信し、決済ネットワークはそのレスポンスをアクワイアリング銀行に転送します。アクワイアリング銀行はこのレスポンスをペイメントゲートウェイに中継し、最終的にペイメントゲートウェイから企業の POS システムにレスポンスが送信されます。この時点で、企業は承認または支払い拒否のメッセージを受け取ります。
5. 取引の完了
取引が承認されると、企業は購入者に商品またはサービスを提供します。承認された取引は、売上処理を待つ取引の中に加えられます。
6. 売上処理
1 日の終わりまたは事前に定義された期間ごとに、企業は承認された取引をアクワイアリング銀行に送信します。アクワイアリング銀行は、決済ネットワークを通じてカード発行会社に売上をリクエストします。カード発行会社は必要な売上をアクワイアリング銀行に送金し、アクワイアリング銀行はクレジットカード処理に関連する手数料を差し引いた金額を企業の口座に入金します。
通常、オーソリには数秒かかり、売上処理には数日かかります。Stripe の企業向け入金タイムラインの詳細については、こちらをご覧ください。
クレジットカード処理プロバイダー
クレジットカード処理プロバイダーを選ぶ際、企業はいくつかの要素を考慮して自社のニーズに合ったパートナーを選ぶ必要があります。
企業のニーズを評価する
取引量や平均的な取引規模、そして対面、オンライン、モバイルのうちどの決済処理が必要なのかを把握します。現在ビジネスを展開している、または拡大を予定しているすべての市場、顧客層、チャネルを考慮してください。このような領域で好まれている決済手段と通貨のすべてに対応しているペイメントプロバイダーを選ぶ必要があります。料金体系と手数料を比較する
処理プロバイダーは、取引手数料、月額料金、セットアップ料金、ハードウェア料金など、さまざまな手数料を課す場合があります。複数のプロバイダーの料金体系を比較して、どのプロバイダーが企業に最も大きな価値をもたらすのかを判断します。Stripe の決済処理手数料体系については、こちらをご覧ください。顧客サポートを評価する
処理システムで問題が発生すると、販売や顧客体験に直接影響する可能性があります。必ず、信頼できる顧客サポートを提供するプロバイダーを選ぶようにしてください。Stripe のユーザーが 24 時間 365 日のサポートを利用できる各種チャネルの詳細についてはこちらをご覧ください。セキュリティと法令順守を考慮する
プロバイダーが PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) やその他の関連するセキュリティ標準に準拠し、購入者の機密データを保護して不正利用のリスクを最小限に抑えることを確認します。実装の互換性をレビューする
実装ができるだけシームレスに行われ、今後の業務がスムーズに実行されるように、プロバイダーの決済処理ソリューションと既存の POS システム、EC ストアプラットフォーム、会計処理ソフトウェアに互換性があるかどうかを確認します。プロバイダーの評判を調べる
他の企業によるレビューを探して、プロバイダーの評判と信頼性を判断します。同業他社に推奨企業を教えてもらうことも検討してください。新しい決済処理方法やアプローチを常に把握しておくことが推奨されますが、十分に調査したプロバイダーと提携することも重要です。追加機能やサービスを分析する
プロバイダーによっては、高度なレポート作成、継続請求、複数通貨の処理などの付加価値サービスを提供していることがあります。自社にとってどの機能が必要か、どの機能が付加価値となるかを判断してください。
これらの要素を入念に評価し、さまざまなクレジットカード処理プロバイダーを比較することで、情報に基づいて要件、予算、長期目標にかなう最善の決定を下すことができます。
クレジットカード処理のコスト
クレジットカード処理のコストはプロバイダー、取引のタイプ、その他の要素によって変わる可能性があるため、さまざまな決済代行業者のクレジットカード処理手数料体系を把握しておくことが重要です。クレジットカード処理に関連する一般的なコストは次のとおりです。
取引手数料: 決済代行業者が取引ごとに課す手数料。通常は、取引金額に応じた一定割合の手数料に固定手数料を加えた金額で表されます。たとえば、カード決済が成立するごとに Stripe は 2.9% + 0.30 ドルを請求します。
月額料金: サービスの月額料金を請求するプロバイダーもあります。月額料金には、ペイメントゲートウェイ、レポートツール、その他の機能の使用料が含まれることがあります。
セットアップ料金: プロバイダーによっては、アカウントの作成と設定について 1 回限りのセットアップ料金を請求する場合があります。
端末または機器手数料: 対面で決済を受け付けるためにカードリーダーや POS システムなどの物理的機器が必要な場合、このハードウェアの購入またはリースに関連するコストが発生する場合があります。大規模な対面支払いを受け付ける必要がある企業では、この手数料を考慮することが特に重要になります。
PCI 準拠手数料: PCI 準拠の維持または企業の法令順守支援に年間手数料を課すプロバイダーもあります。
チャージバック手数料: 購入者が不審請求を申請した場合、チャージバック手数料が請求される場合があります。通常は、不審請求を申請された取引ごとに固定金額が請求されます。このような手数料は、リスクの高いビジネスやこれまでチャージバック率が高かったビジネスほど高額になる傾向があります。
クレジットカード処理のベストプラクティス
キャッシュレス取引が増加する中、事業者はクレジットカード決済に対して戦略的なアプローチを取る必要があります。決済処理システムや実際のやり方を入念に検討することは、コストの削減やリスクの最小化、顧客体験の向上につながります。スムーズかつ安全で最適なクレジットカード決済システムを立ち上げたい事業者は、以下のベストプラクティスに従う必要があります。
販売チャネルに合わせたアプローチを取る
1 つのクレジットカード処理戦略があらゆるユースケースに適合するわけではありません。たとえば、多くのグローバル市場で事業を展開し、対面式のクレジットカード決済を必要とするユーザーを多数抱えているようなプラットフォーム事業者と、対面の販売チャネルを持たない EC ストア小売業者では、要件が異なるものです。固有のニーズを理解することで、ビジネスに最善の選択肢を吟味することができます。不正防止策を講じる
ほとんどのクレジットカード処理ソリューションには不正防止が組み込まれていますが、それでも事業者は取引を行う場所や方法に応じて、常に不正利用から保護されている必要があります。住所確認システム (AVS)、Card Verification Value (CVV) チェックといった基本的なツールや、高度な不正検知ソフトウェアを使って、不正取引のリスクを最小限に抑えることができます。取引を監視および分析する
取引履歴を定期的にレビューし、異常なパターンを検出したり潜在的な問題を特定したりすることで、処理戦略をさらに練り上げていきましょう。決済代行業者がこうしたモニタリングを行っていることを確認してください。Stripe Radar は機械学習を活用して、不正取引を検出および防止します。明確で柔軟な返金およびチャージバックのポリシーを作成する
透明性が高く公正な返金およびチャージバックのポリシーを作成して、不審請求の申請を減らし、顧客満足度を維持し、不要な手数料の発生を防ぎます。複数の支払い方法を提供する
クレジットカードやデビットカード、デジタルウォレット、その他の代替決済手段など複数の決済方法を用意することで、購入者の多様な好みに対応できます。すべての決済手段を受け付ける必要があるという意味ではありません。購入者が好む支払い方法や、最も一般的な決済手段を商品やサービスの種類ごとによく調べることが大切です。ハードウェアとソフトウェアを最新状態に保つ
POS システム、ペイメントゲートウェイ、その他の処理コンポーネントを最新の状態に保ち、スムーズな業務、セキュリティの強化、顧客体験の向上を実現します。
Stripe はあらゆる顧客層、チャネル、あらゆる業種の市場に対応したクレジットカード処理戦略をサポートします。お問い合わせはこちらをご覧ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。