EC ストアの世界的な売上が 2023 年には約 6 兆ドルに達すると予測されており、カード非提示 (CNP) 取引が企業の取引構成の大部分を占めるようになるのは明白です。ただしカード提示 (CP) 取引も、とりわけ実店舗を保持する企業にとっては重要な存在であり続けるでしょう。取引方法のメリット、潜在的な課題、異なるビジネスモデルへの適合性を検討するにあたり、まず企業はそれぞれの取引タイプに対する理解を深めなければなりません。
ここでは CP 取引と CNP 取引の違いについて解説するとともに、それぞれが持つ独自の特徴を調査し、企業がニーズに応じて最適なオプションを評価および選択する方法について検証します。また、この意思決定プロセスにおいて決済処理プロバイダーが果たす役割と、複雑な環境下に置かれる企業に対しパートナーがもたらすメリットについても概説します。
この記事の内容
- カード提示取引とは?
- カード提示取引のメリットと課題
- カード非提示取引とは?
- カード非提示取引のメリットと課題
- カード提示取引とカード非提示取引: 企業ニーズに合った最適な選択方法
カード提示取引とは?
カード提示 (CP) 取引とは決済方法の 1 つであり、カード保有者が物理的なクレジットカードまたはデビットカードを、販売時点で企業に提示する場合を指します。多くの場合この方法は実店舗にて用いられ、顧客はカードリーダーでカードをスワイプ、挿入、またはタップします。
CP 取引ではカード保有者と決済用のカードがどちらも物理的に存在し、企業がリアルタイムに取引を検証できるのが特徴です。また CP 取引では電子カードリーダーまたは POS 端末を用いてカード情報が読み取られ、取引を完了するにあたってはカード保有者の署名または PIN が必要となることが多くあります。
カード提示取引のメリットと課題
CP 取引は日常的なコマースの中心であり、消費者の大部分が店頭での購入時に用いる取引手法です。他の取引手法と同じく CP 取引にも独自のメリットと課題があり、企業はこれを把握する必要があります。
メリット
セキュリティの強化
セキュリティを高められることが、CP 取引の主なメリットの 1 つと言えます。販売時点でカード保有者とカードの両方が物理的に存在するため、販売員がカード保有者の身元を確認することができ、これにより不正取引の可能性が低減します。取引コストの削減
CP 取引はカード非提示取引より低リスクだと考えられているため、CP 取引の処理手数料は低く設定されることがほとんどです。これにより企業は長期にわたり大幅なコスト削減を図ることができます。即時決済処理
CP 取引はリアルタイムで処理されるため、企業は決済が正常に実行されたことを即時に確認できます。これにより取引が速やかに完了し、顧客のショッピング体験も高められます。
課題
物理的ハードウェアの必要性
CP 取引では決済用のカードを処理するための、物理的な POS システムが必要です。小規模企業や遠隔地の企業にとって、このようなシステムを取得または維持することは困難な場合があります。ハードウェア障害の可能性
POS 端末などのハードウェアでは誤動作や故障が生じる可能性があるため、業務に支障をきたす恐れもあります。企業は売上の損失を防ぐために、これらの課題に素早く対処できるよう備えなければなりません。カード提示取引における不正利用
CP 取引はより安全性が高いと考えられていますが、 不正利用を完全に回避することは不可能です。偽造カード、盗難カード、また不正利用者が磁気ストライプからカードデータを取得するカードスキミングのリスクは依然として残されています。対面販売への限定
定義上 CP 取引は顧客が物理的に存在する場合にのみ可能であるため、オンライン取引に比べて企業の市場範囲が限定されることになります。
カード非提示取引とは?
カード非提示 (CNP) 取引とは、オンライン、電話、または通信販売で行われる取引を指し、カード所有者は決済の時点で企業に対し物理的なカードを提示しません。この場合企業は顧客により提供されたカード情報 (カード番号、有効期限、CVV コードなど) をもとに、決済を処理しなければなりません。
このような取引では物理的なカードの検証ができないため、不正利用のリスクが高まる恐れがあり、通常では住所確認サービス (AVS) やセキュリティコードの使用など、追加のセキュリティ対策が必要です。
カード非提示取引のメリットと課題
デジタル化とリモート業務の拡大を受けて、CNP 取引はより広く普及しつつあります。Stripe によりスムーズなグローバルコマースが実現し、顧客が実店舗まで物理的に出向くことなく、いつどこでも柔軟に購入ができるようなサービスを利用できます。ただしこのような取引には固有のリスクが伴うこともあり、特に不正利用の可能性が高まるという点については留意が必要です。企業は取引を効果的に管理できるよう、CNP 取引のメリットとデメリットを把握することが重要です。
メリット
市場リーチの拡大
CNP 取引により企業は世界各国の顧客に対応できるため、地理的な障壁が取り払われることになります。これにより企業の顧客基盤と収益性が大幅に拡大します。顧客の利便性向上
CNP 取引により顧客はいつどこでも買い物ができるため、ショッピング体験全般の向上につながります。運営コストの削減
実店舗を維持するには賃料、光熱費、人件費などさまざまな間接費がかかります。CNP 取引では管理に必要なリソースが少なくて済むため、このようなコストの削減に有効です。販売機会の拡大
企業は CNP 取引により、オンラインでの衝動買い、アップセル、クロスセルなど、実店舗環境では得られない販売機会を獲得することができます。
課題
不正利用リスクの増大
取引時にカード所有者が立ち会わないため、企業は顧客の身元を確認することが難しく、これにより不正利用のリスクが高まることになります。高額な処理手数料
CNP 取引は高リスクであることから、決済代行業者はこの種の取引に対してより高額な手数料を請求するのが一般的です。顧客の信頼に関する課題
取引は遠隔で行われるため、カード情報を提供することに対し顧客がセキュリティ上の懸念を抱くこともあり、これがコンバージョン率に影響を与える可能性があります。不審請求の申請とチャージバックのリスク
CNP 取引では顧客が実店舗まで物理的に出向き、購入する商品を検証することなく購入できるということもあり、不審請求の申請やチャージバックが生じやすい傾向にあります。
コマースの大規模なオンライン移行を受けて、CNP 取引の普及が進み、その必要性も高まる一方で、CNP 取引がもたらす機会と課題の双方を検討することが、企業に強く求められています。CNP 取引を効果的に管理するためには、強固な不正防止メカニズムを導入し、安全な CNP 取引処理を提供する信頼性の高い決済代行業者を選択するなど、メリットを最大限に拡大しながらリスクを軽減することがカギとなります。
カード提示取引とカード非提示取引: 企業ニーズに合った最適な選択方法
CP 取引と CNP 取引のいずれかを選択する場合、企業はより広範な運用モデルと顧客の要望を考慮に入れなければなりません。
歴史的に見て CP 取引は実店舗とのつながりが深く、顧客または販売員が端末で物理的なカードをスワイプ、挿入、またはタップするという手法が取られています。一方 CNP 取引では、販売時点において物理的なカードは介在せず、代わりに顧客が決済情報を入力することから、EC ストアの発展とともに拡大を遂げています。しかしオンラインと対面販売の両方を手掛ける企業では、いずれか一方を選択するのは困難であり、多くの場合ハイブリッドアプローチが適しています。
これら取引タイプの主な違いは、顧客データの取り扱い方法、取引手数料、不正防止のニーズなどの点にあります。CP 取引においては取引手数料が安価である反面、実店舗での展開が制限されるほか、POS 機器への投資が必要となります。一方 CNP 取引では企業の世界展開が可能となりますが、不正利用のリスクも高まるため、より強固なセキュリティインフラが求められます。
取引形態は企業の規模、ターゲット層、販売環境に応じて選択する必要があります。たとえば、地元のブティックやレストランを運営する場合は、CP 取引が有力な選択肢と言えるでしょう。また EC ストアサイトやサブスクリプションベースのビジネスを運営し、異なる地域の顧客を対象とするのであれば、CNP 取引の方が業務に適している場合もあります。
オンラインショッピングを兼ね備える実店舗など、複数の販売チャネルを持つ企業では、両方の取引タイプに効率的に対応できる決済処理ソリューションが不可欠です。いずれか一方を選択するのではなく、総合的な販売戦略に基づき適切な組み合わせを見いだす必要があります。
信頼性の高い決済処理プロバイダーと協力の上、決定をくだすことが不可欠です。決済処理プロバイダーは、業界の専門知識に基づく高度なアドバイス、ビジネスニーズに応じて拡張可能なソリューション、またコンプライアンスの維持とセキュリティ課題への対処に向けたサポートを提供することができます。
最終的には決済プロセスの最適化にあたり、CP 取引と CNP 取引の主な違いと、それがビジネスに及ぼす影響を把握することが最も重要であると言えるでしょう。これらを検討することで、顧客体験を全般的に向上させながら、取引効率を高めることができます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。