OXXO はメキシコの有名なコンビニエンスストアチェーンですが、請求書の支払いやオンライン購入の決済によく利用されているオンライン決済手段でもあります。1978 年にメキシコのモンテレイで設立された OXXO は、飲料と小売の大手企業 FEMSA が運営する中南米で最大規模のコンビニエンスストアチェーンです。メキシコで数多くの店舗を展開し、コロンビア、チリ、ブラジルにも拠点があります。
OXXO は小売に加えてオンライン取引の決済システムとしても知られています。OXXO 決済プラットフォームにより、顧客はオンライン購入商品の代金を 2 万件を超える OXXO の店舗で現金で支払うことができます。これはメキシコでよく利用されている決済手段です。特に、クレジットカードを使用したくない購入者や、バンキングサービスを利用できない購入者に支持されています。OXXO はデジタル決済オプションとオンラインサービスを新たに始めました。これはデジタル取引への関心が高まる中での重要な変化です。
ここでは、中南米で OXXO を決済手段として受け付けることに関して、ビジネスが知っておくべきことを取り上げ、中南米で人気のこのブランドの仕組みと利用者、ビジネスにとってのメリット、加盟申請方法を説明します。
この記事の内容
- OXXO の仕組み
- OXXO が利用されている国
- OXXO の利用者
- OXXO を受け付けるメリット
- OXXO のセキュリティ対策
- OXXO への加盟申請
- OXXO に代わる選択肢
OXXO の仕組み
OXXO システムは、現金取引を希望する購入者や、デジタル決済手段を利用できない購入者にサービスを提供しています。OXXO と E コマースプラットフォームの連携によって、デジタルの利便性と使い慣れた従来の支払方法の組み合わせが実現しました。決済手段としての OXXO は、次のような仕組みになっています。
決済手段として OXXO を選択: OXXO と連携しているプラットフォームでは、オンライン購入者は購入時に決済手段として OXXO を選択できます。これは電子決済手段を利用できない購入者や、現金払いを希望する購入者に最適です。
バウチャーの発行: 購入者が OXXO を選択すると、その取引専用のバウチャーが発行されます。このバウチャーには、購入の詳細を含むバーコードが記載されています。購入者はバウチャーを印刷するか、スマートフォンやタブレットに保存できます。
OXXO 店舗での現金払い: 購入者は取得したバウチャーをどの OXXO 店舗にでも提示して、購入代金を現金で支払うことができます。OXXO のレジ係が購入金額のバーコードをスキャンしてから、現金での支払いを受け付けて処理します。
OXXO の電子ウォレットアプリ: OXXO はモバイルデバイスで使える電子ウォレットアプリを提供しており、購入者はビジネスのデバイスに QR コードをかざしてスキャンさせることで、取引を完了できます。
支払いの確認: 決済完了後に取引確認通知を受信したオンラインビジネスは、注文のフルフィルメントを開始できます。このプロセスには最長で 1 営業日かかります。
OXXO が利用されている国
この地域における小売と金融の状況を十分に理解している OXXO は、コロンビア、チリ、ブラジルといったほかの中南米市場にも進出しています。これらの国々でのこのビジネスが成長していることは、中南米で現金取引が選好され続けていることを裏付けています。
OXXO の本国市場におけるこのブランドの高い普及率は、メキシコの顧客の習慣や小売の状況と関係しています。メキシコ人の多くは、バンキングサービスや信用枠の利用が限られているため、現金取引に依存しています。都会にも地方にもある OXXO は、オンライン購入の現金払いオプションを提供して、そのような需要に応えています。
同様の市場力学は、コロンビア、チリ、ブラジルでの OXXO の事業展開と決済システムにも生かされています。メキシコと同じように、これらの国々の大半の人は、従来のバンキングシステムのサービスを十分に受けていません。OXXO は利用しやすい現金払いオプションを提供して、この隙間に対応しています。
中南米全域で現金取引への依存が続く中でも、小売業におけるモダナイゼーションは強化されてきました。OXXO は E コマースと現金経済の隙間を埋めながら、便利な現代の小売体験を提供しています。これらの国々での規制条件も OXXO の普及に影響を及ぼしました。中南米の政府はファイナンシャルインクルージョンとアクセシビリティを促進するイニシアチブを一般的に支援しています。OXXO は銀行口座やクレジットカードを利用しない代替決済手段を提供して、それらの目標を達成します。
OXXO の利用者
OXXO の決済システムはメキシコ特有の決済慣習と E コマースの状況に対応しています。この決済システムは主に 2 つの顧客セグメントを対象としています。
銀行口座を持たない人: メキシコで銀行口座を持たない人は、成人の 63% と推定され、OXXO の顧客基盤の大半を占めます。このセグメントは、OXXO ネットワークの 2 万件を超える店舗で、公共料金やオンライン購入の代金支払いに OXXO を利用することができます。
E コマースの顧客: OXXO は E コマース利用者にオンライン購入の現金払いオプションを提供しています。メキシコのオンライン販売協会によると、2022 年のメキシコ国内の E コマース市場は前年比で 23% 成長しました。支払い用バウチャーが発行され、その代金を OXXO の店舗で現金で支払うことができる OXXO 方式は、人気の支払いオプションとなっています。この支払いシステムは、買い物にバウチャーを使うという文化的な傾向をより広く反映しています。多くのメキシコ人は、銀行口座やデビットカード、クレジットカードを持つ人もそうでない人も、OXXOのようなバウチャー支払いを選ぶことが多いのです。
OXXO を受け付けるメリット
ビジネスが OXXO を受け付けると次のようなメリットが得られる可能性があります。
顧客基盤の拡大: OXXO を決済手段として導入するビジネスは、銀行口座を持たない人や、バンキングサービスを十分に受けていない人を含めて、従来のバンキングサービスを利用していない大規模な市場セグメントを開拓できます。電子決済手段のみを利用しているビジネスは、この顧客基盤を大抵逃しています。ビジネスはそのような顧客に適した決済手段を受け付けることで、よりインクルーシブになり、さまざまな経済状態にある人々を含む幅広い購買層にリーチできるようになります。
取引保護の強化: OXXO による現金取引によって、チャージバックのリスクが低減します。チャージバックはクレジットカード取引でよく起こる問題です。購入者が代金を支払った時点で取引が完了する現金払いは、ビジネスの財務を守ることにつながります。そのような特長は、不正利用とチャージバックの発生率が重大な懸念事項である市場では特に有益です。
オンラインでの売上の増加: デジタル決済手段を利用したくない人や利用できない人でも、OXXO での現金払いが可能であれば、オンラインでの購入意欲が高まり、それがオンラインの売上増加につながる可能性があります。従来の小売業における習慣と成長する E コマースセクターを OXXO でつないで、オンラインショッピングへの関心が高まっていても現金払いを好む顧客基盤を開拓できます。
顧客満足度の向上: 中南米の顧客の好みに適した OXXO を導入することが、ショッピング体験全般の向上、顧客満足度の向上、便利で使い慣れた OXXO を好む顧客のロイヤルティの向上につながる可能性があります。よく知っていて信頼している決済手段を利用できることが、購入者がオンライン小売業者を選ぶ際の決め手になることがあります。
ブランド認知の向上: 国内の顧客選好や経済状況に配慮する自社の姿勢を OXXO の決済受付という形で示すことにより、自社のブランド認知が向上する可能性があります。
OXXO のセキュリティ対策
OXXO のセキュリティ対策は、取引を保護する環境の構築に役立ちます。OXXO を決済手段として利用することが、銀行口座を持たない顧客や現金払いを好む顧客に対する保護手段になります。OXXO のセキュリティ対策によって取引の詳細が確認され、決済が正確に記録されます。
取引固有のバーコードを含むバウチャー: OXXO の取引ごとに専用のバーコードバウチャーが発行され、各決済が特定の購入と関連付けられます。これにより、不正利用のリスクと決済処理エラーが最小限に抑えられます。
管理された支払いの検証: 店舗での OXXO の決済プロセスには、レジ係がバウチャーの詳細を確認してから現金を受け付けるという検証ステップがあります。このステップが、誤りや不正な店舗支払いを防ぐための追加チェックとなります。
直接対応窓口: OXXO は決済取引について確認するためのビジネス向け直接対応窓口を運営することで、決済処理全体の安全と信頼を高めています。
現金払い: 現金の取り扱いにはセキュリティリスクが伴いますが、現金払いはデジタルセキュリティを懸念する人にとっての代替手段となります。現金で支払うことにより、電子決済データや機密の金融情報が不要になり、オンライン決済の不正利用にまつわるリスクを回避できます。
OXXO への加盟申請
ビジネスが OXXO を決済手段として利用するには、以下の手順を完了する必要があります。
アカウントの作成: 最初に OXXO アカウントを作成して、セットアッププロセスを完了する必要があります。OXXO がこのプロセスをガイドし、OXXO システムを利用するためのハードウェアを提供します。
ペイメントゲートウェイとの連携: ビジネスは、OXXO に対応している Stripe などのペイメントゲートウェイに登録する必要があります。このゲートウェイが仲介役となって OXXO 決済の処理を支援します。ゲートウェイによって対応可能な機能が異なる可能性があります。たとえば、Stripe などのプラットフォームで処理できるのは 1 回限りの支払いに限られ、継続的なサブスクリプションの支払いは処理できません。セットアップのために追加のソフトウェアやハードウェアを必要とするゲートウェイの場合は、そのシステムを利用するために必要なツールがビジネスに提供されることがあります。
支払いインターフェイスのカスタマイズ: Stripe などのプラットフォームでは、顧客向けの OXXO 決済 UI をカスタマイズして、画像や色といったブランド特有の要素を店舗支払い用ページに取り入れることができます。
決済セッションの作成: OXXO の決済セッションを作成するには、決済手段タイプのリストに「oxxo」を加えて、すべてのラインアイテムにペソ (MXN) 通貨が適用されるようにします。
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パラメーターで、OXXO のバウチャーの有効期限までの日数を指定することもできます。決済の受け付け: OXXO を利用した購入の決済を受け付けるには、発行されたバウチャーをスキャンして、表示された購入金額を現金で受け取ります。購入者に携帯電話で QR コードをスキャンしてもらって取引が完了する場合もあります。
決済ステータスの確認: OXXO は通知遅延型の決済手段であることから、ビジネスは注文フルフィルメントのために Webhook などの手段で OXXO の決済ステータスを確認する必要があります。
OXXO に代わる選択肢
中南米にはビジネスが OXXO の代わりに利用できる決済手段がいくつかあります。OXXO が事業を展開している各国には、それぞれに特有の決済の環境、金融インフラ、最も普及している決済手段があります。OXXO のほかによく利用されている決済手段について、その利用の方法や地域などの概要を以下にまとめました。
Rapyd: Rapyd はメキシコで OXXO と似たようなサービスを提供しています。7-Eleven や Walmart など 15 万カ所を超える現金取り扱い店舗で、デジタル注文の現金払いが可能です。
モバイル即時決済: BBVA Wallet (メキシコ、コロンビア、ペルー、チリに普及)、PagSeguro (ブラジルに普及)、Mercado Libre (アルゼンチンに普及) といったモバイルプラットフォームでは、購入代金を携帯電話で支払うことができます。
電子資金振替 (EFT): オンライン銀行振込はコロンビアなどの国でよく利用されている代替決済手段です。PSE (Pagos Seguros en Linea) といったサービスでは、オンライン購入の代金を銀行口座から支払うことができます。
プリペイドカード: 現金をチャージしてクレジットカードのように利用できるプリペイドカードは、銀行口座を持たない顧客の代替決済手段としてよく利用されています。
Efecty: Efecty は OXXO に類似するサービスです。商品購入時に Efecty を選択すると、バウチャーが発行されて、Efecty を取り扱う店舗で代金を現金で支払うことができます。このサービスはコロンビアでの公共料金の支払い、オンライン購入の代金支払い、送金によく利用されています。
Pix: Pix はブラジルでよく利用されている即時決済システムで、取引の処理には QR コードまたは取引 ID が使用されます。
SafetyPay: SafetyPay では OXXO と同じようにオンライン購入の代金を現金で支払うことができます。購入者はオンライン決済プロセスの際に決済手段として SafetyPay を選択できます。その後には、直接銀行振込で決済を完了するか、生成された取引固有の決済コードを使用して、SafetyPay の取り扱い店舗で購入代金を現金で支払うことができます。
Webpay: Transbank の Webpay はチリでのオンライン購入の決済手段です。購入者は Webpay の安全なサーバーを利用して、代金を銀行口座から支払うか、クレジットカードで支払うことができます。
SPEI: SPEI はメキシコ国内の銀行間電子決済システムで、主に銀行口座間の即時送金に利用されています。
その他の現金払いソリューション: 現金払いソリューションは、中南米全域での主要な決済手段であり、それぞれの国に特有の決済手段が普及しています。たとえば、アルゼンチンには Rapipago、ブラジルには Boleto、チリには Servipag、コロンビアには Baloto、ペルーには PagoEfectivo、ウルグアイには Redpagos があります。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。