不正チャージバックに関する基礎知識: 事業者が知っておくべきこと

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Stripe ネットワークの力で不正利用を防止します。

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  1. はじめに
  2. チャージバックとは何か
  3. 不正チャージバックとは何か
  4. 不正チャージバックの影響を受ける事業者の種類
  5. 不正チャージバックを防ぐ方法
  6. 不正チャージバックが事業者に与える損害
  7. Stripe によるサポート

増加の一途をたどっている不正チャージバックは、あらゆる種類と規模の事業者に影響を与える問題です。Juniper Research の報告によると、不正チャージバックによる事業者の損失額は 2021 年に 200 億ドルであると予想されていました。チャージバックは、事業者のミス、商品やサービスへの顧客の不満など、さまざまな理由で行われます。

しかし、時折、チャージバックを利用して商品を返品せずに返金を申請する顧客や、チャージバックを利用して事業者から盗みを働こうとする不正利用者がいます。どちらの場合も、チャージバックによる悪影響は事業者の財務状況と評判に深刻な損害を与えかねません。

不正チャージバックを検出、防止して、対処するための最初のステップは、不正チャージバックの概要、仕組み、最も被害を受けやすい事業者について理解することです。ここでは、リスクを最小限に抑えるために実施できる対策や、不正チャージバックが発生した場合の対処法など、不正チャージバックについて事業者が知っておくべきことについて簡単に説明します。

この記事の内容

  • チャージバックとは何か
  • 不正チャージバックとは何か
  • 不正チャージバックの影響を受ける事業者の種類
  • 不正チャージバックを防ぐ方法
  • 不正チャージバックが事業者に与える損害
  • Stripe によるサポート

チャージバックとは何か

チャージバックとは、顧客が銀行やクレジットカード会社に対して不審請求の申請を行った場合に実行される取引の取り消しの一種です。チャージバックは、不正利用、商品やサービスへの不満、事業者のミスなど、さまざまな理由で行われます。チャージバックが発生した場合、顧客の銀行またはクレジットカード会社は、不審請求の申請額を顧客に返金し、事業者の口座からその金額を差し引きます。

事業者にとっては、チャージバックは経済的損失、評判の失墜、決済代行業者の手数料の引き上げにつながる可能性があり、さらにクレジットカードの支払いを受け付ける能力を失う場合すらあります。このような問題をさらに悪化させるのが不正利用者で、事業者から盗みを働くための手段としてチャージバックを使用することがあります。

不正チャージバックとは何か

不正チャージバックとは、顧客が商品やサービスを所有したまま、意図的に不審請求の申請を行って返金を受けようとする行為です。顧客は、商品を受け取っていない、商品に欠陥があった、取引を承認していないといった主張を行います。不正チャージバックには、次のような種類があります。

  • フレンドリー詐欺
    フレンドリー詐欺とは、カード保有者が正当な購入を行った後で、購入を承認していない、または商品やサービスが説明どおりのものではなかったと訴えて、不審請求の申請を行う行為です。これは、カード保有者が支払ったことを忘れ、請求明細書のその支払いに覚えがなく、詐欺と思い込んだために発生することがあります。また、カード保有者が商品を受け取ったのに、受け取っていないと主張してチャージバックを申請するケースもあります。

  • 不正な返品
    不正な返品とは、実際には良い状態の商品、あるいは既にいじられた (または使用された) 後の商品であるにもかかわらず、商品に欠陥や不具合などがあって満足できなかったと訴え、個人が小売業者に商品を返品することです。特に、小売業者の返品ポリシーが曖昧な場合に、チャージバック申請に伴って返品詐欺が行われることがよくあります。

  • デジタル商品のチャージバック
    デジタル商品の不正利用とは、顧客がソフトウェアライセンスやオンラインコースなどのデジタル商品にアクセスして使用した後で、支払いに対して不審請求の申請を行う行為です。事業者がこの不正利用を防ぐことは困難です。顧客が既に商品をダウンロードした可能性があっても、事業者がこれを確認することはできません。

  • サブスクリプションの不正利用
    サブスクリプションの不正利用とは、顧客がストリーミングサービスなどのサブスクリプションサービスを数か月利用した後で、定期請求に対して不審請求の申請を行う行為です。顧客は、定期請求を承認していない、またはサブスクリプションをキャンセルしたのにまだ請求が続いていると主張します。

不正チャージバックの影響を受ける事業者の種類

不正チャージバックは、規模や業界を問わず、クレジットカードの支払いを受け付けるすべての事業者が被害を受ける可能性があります。特に不正チャージバックの被害を受けやすいのは、次のような事業者です。

  • 高額の商品やサービスを販売している事業者 (高級品や宿泊施設など)。不正利用者に、虚偽のチャージバック申請を行って商品やサービスを無料で手に入れる機会と捉えられるので、不正チャージバックの被害を受けるリスクが高くなります。

  • オンライン小売業者およびサービスプロバイダー このような事業者は、不正チャージバックの被害を受けるリスクが比較的高くなります。オンライン取引は、対面取引と比べて確認が難しいために、不正利用者が不審請求の申請をして返金を獲得しやすいことが理由です。ソフトウェアやオンラインコースなどのデジタル商品は、特に不正チャージバックの被害を受けやすくなります。商品を受け取っていない、または満足できなかったと顧客が簡単に主張できるからです。

  • サブスクリプションベースの事業者 (ストリーミングサービスやサブスクリプションボックスなど)。不正チャージバックのリスクが高い事業者です。顧客がサービスに登録したことを忘れ、クレジットカード明細書の定期請求に覚えがないと思い、不審請求の申請を行ってチャージバックを申請することがあります。実際は利用しているのに、サブスクリプションを承認していないと主張する顧客もいます。

以上が特にリスクの高い業種ですが、クレジットカード取引を扱う事業者であれば、どのような事業者でも不正チャージバックの被害を受けるリスクはあります。したがって、あらゆる種類や規模の事業者が、不正チャージバックへの意識を高め、自社を守るための対策を積極的に講じておくことが重要です。対策には、不正利用防止ツールの導入、優れたカスタマーサービスの提供、チャージバックへの効果的な対応などがあります。

不正チャージバックを防ぐ方法

さまざまな不正チャージバックの手法があるのと同様に、事業者が身を守る方法も多数あります。不正チャージバックを防止し、立ち向かうために事業者が取れる対策を以下に示します。

  • カスタマーサービスを向上させる
    カスタマーサービスを向上させることで、商品やサービスに対する不満がチャージバックにつながる可能性を抑えることができます。最上級のカスタマーサービスを提供し、疑問や問題が生じたときに顧客ができるだけ簡単に事業者業に連絡できるようにすれば、顧客の懸念に対応できるので、顧客によるチャージバックの申請を効果的に防ぐことができます。

  • 返品と返金に関するポリシーを明確に規定する
    チャージバックの多くは、返品や交換に関する事業者のポリシーに従うよりも、チャージバックを申請するほうが顧客にとって簡単だからという理由で行われます。不正チャージバックの件数を減らす方法の 1 つは、返品ポリシーをシンプルにして、チャージバックの申請と同じくらい簡単にすることです。詳細で柔軟な返品・返金ポリシーを作成し、それらのポリシーを顧客にわかりやすく伝えて、顧客が返品と返金のプロセスを理解できるようにすれば、不正な返品を防ぐことができます。

  • 強力な不正利用防止ツールを使用する
    Stripe Radar などの強力な不正利用防止ツールを利用すれば、チャージバックが行われる前に、不正取引を検出して防止することができます。Radar は、機械学習アルゴリズムを使用して取引データを分析し、不審なアクティビティーにフラグを立てます。

  • チャージバックを効果的に管理する
    チャージバックを効果的に管理することで、事業者は不正チャージバックに異議を申し立て、失われた売上を取り戻すことができます。事業者はチャージバックデータを追跡し、チャージバックの理由を分析して、不正なチャージバックまたは正当な理由がないチャージバックには異議を申し立てる必要があります。

事業者がチャージバックを防ぐ方法についてさらに詳しく知りたい場合は、Stripe のガイドをご覧ください

不正チャージバックが事業者に与える損害

不正チャージバックは、あらゆる規模の事業者に重大な損害を与える可能性があります。事業利益率が低い傾向の中小- 企業の場合、チャージバックによる経済的打撃はさらに大きなものになります。大企業の場合は、個々のチャージバックによる損害はそれほど大きくなくても、大量の不正チャージバックが行われる可能性が高く、その場合は瞬く間に損失額が膨れ上がります。以下に、不正チャージバックが事業者に与える影響をいくつか示します。

  • 経済的損失
    ほかの種類の不正利用と同様に、不正チャージバックは事業者に多大な経済的損失を与える可能性があります。不正取引による売上の損失に加え、チャージバック手数料などの関連費用も支払わなければならない場合があります。チャージバックの発生頻度や金額があまりに多い場合は、支払い不能になる可能性があります。

  • 評判の失墜
    チャージバックが頻繁に発生する場合、レビューやソーシャルメディアのコメントで悪評が書かれ、事業者のイメージや信頼性が損なわれるおそれがあります。ブランドに不正利用のイメージがつくと、顧客はその事業者を信頼できず、リスクが高いとみなし、顧客のロイヤルティが低下して、将来の売上を失う可能性があります。

  • 業務コスト
    チャージバックへの対応により、事業者の時間とコストが奪われる可能性があります。事業者は、チャージバックの調査、反証資料の提供、不正な申請に対する異議申し立てに多大な時間とリソースを費やさなければならず、顧客ベースの拡大、新しい商品やサービスの開発とリリース、顧客維持のための取り組みにリソースを割けなくなる可能性があります。チャージバックへの対応に時間を費やしている間、事業者は事業の育成に時間を使うことができません。

  • 不正利用防止コストの増加
    不正チャージバックを防ぐために、不正利用検出ソフトウェア、セキュリティシステム、スタッフのトレーニングなど、追加の不正利用防止対策への投資が必要になることがあります。このような追加コストがあっという間に膨れ上がり、事業者の最終的な収益に影響を与えます。

  • 高いチャージバック率
    チャージバック率 (販売数に対するチャージバック数の比率) が高い事業者は、決済代行業者やクレジットカード発行会社から罰則が課されることがあります。チャージバック率が高いと、処理手数料の増加や、加盟店アカウントの取り消しにつながることもあります。

Stripe によるサポート

Stripe のあらゆる規模と段階の事業者に対応する幅広いコマースソリューションでは、高度で積極的な不正利用防止手段と不正利用検出手段を用意しており、その中には不正チャージバックに対する保護もあります。不正チャージバックやその他のコマース関連の不正利用にお客様が立ち向かえるように Stripe が提供している手段をいくつかご紹介します。

  • 不正チャージバックに対する完全な保証
    Stripe のチャージバック保証は、不正チャージバックから事業者を保護するものです。不正チャージバックが発生した場合、Stripe が事業者の代わりに自動的に異議申し立てを行い、不審請求の申請対象となった金額を保証して、異議申し立て手数料を免除します。反証資料の提出は不要です。事業者が自社でチャージバックに対応しなくて済むため、時間とお金の節約になります。さらに、事業者の費用は各取引の 0.4% と低額です。

  • チャージバックへの自動対応
    Stripe では、チャージバックへの自動対応によって、事業者が迅速かつ効率的にチャージバックに対応できるようにします。チャージバックが申請されると、Stripe によって、事前定義されたルールと反証資料に基づいて自動的に対応が生成されるので、事業者は時間と労力を失わずに済みます。

  • チャージバック管理ツール
    Stripe のチャージバック管理ツールによって、事業者は、チャージバックの発生時に効果的にチャージバックを管理できます。これらのツールによって、チャージバックの理由や、チャージバックに異議を申し立てるために必要な反証資料など、チャージバックに関する詳細情報が事業者に提供されます。事業者はこれを利用して、チャージバックに異議を申し立てるか、返金を行うかを、十分な情報に基づいて決定できます。

  • 不審請求の申請に関する反証資料の提出が容易
    Stripe は、チャージバックに対する異議を申し立てるために必要な反証資料を提出するための、簡潔で合理化されたプロセスを提供しています。事業者は、領収書、配送情報、購入者とのやりとりといった反証資料を直接ダッシュボードにアップロードできます。これは、事業者が不正チャージバックに異議を申し立て、失われた売上を取り戻すのに役立ちます。

Stripe のチャージバック保証は、さまざまな不正利用検出ツールスイートの一部であり、Stripe Radar と連携して動作します。Stripe Radar は、チャージバックが行われる前に事業者が不正取引を検出して防止できるようにするものです。これらのツールは機械学習アルゴリズムを使用して取引データを分析し、不正利用を表している可能性のあるパターンを認識します。Stripe を利用して不正取引を検出、防止することで、不正チャージバックのリスクを軽減できます。

The content in this article is for general information and education purposes only and should not be construed as legal or tax advice. Stripe does not warrant or guarantee the accurateness, completeness, adequacy, or currency of the information in the article. You should seek the advice of a competent attorney or accountant licensed to practice in your jurisdiction for advice on your particular situation.

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