「コンビニ」とは、日本で普及しているコンビニエンスストアを指す用語です。コンビニは、ちょっとした買い物やおにぎりを購入するための場であるだけでなく、オンライン購入の代金や公共料金、さらには行政機関への支払いなどを現金で支払うことができる、決済拠点としての役割も果たしています。2022 年時点で、日本全国に 56,000 軒以上のコンビニがあり、日常生活においてコンビニが重要な役割を果たしていることがわかります。
このようなコンビニのネットワークは、従来型の小売業と現代の E コマースを融合させ、デジタル決済を採用する世界的な傾向をよそに現金取引を好む日本人のニーズに応えています。2022 年、日本における顧客取引全体の中でキャッシュレス決済が占める割合は約 36% であり、このことは、この国における決済のかなりの部分が依然として現物通貨に依存していることを示しています。
コンビニ決済は、観光客や外国人労働者がコンビニをさまざまなサービスに利用することを通じて、世界中にその利用範囲が広がっています。コンビニ決済は単に地域固有の便利な手段であるのではなく、日本の現金決済をクロスボーダー決済システムにつなげる手段なのです。
日本の決済システムにおけるコンビニ決済の役割は、ある国の文化や顧客行動がいかにその国の金融取引システムを形作るのかを示す典型例となっています。現金利用者に対応した決済ソリューションを提供し、高まるデジタル決済の推進への代替手段を提供しているコンビニは、状況への適応の好例です。コンビニはまた、多種多様な顧客にサービスを提供しており、地域固有の決済ソリューションが電子取引への移行の大きな流れと並存しうることを例証するものとなっています。
この記事の内容
- コンビニ決済とは
- コンビニ決済が利用されている地域
- コンビニ決済の利用者
- コンビニ決済の仕組み
- コンビニ決済の導入が事業者にもたらすメリット
- コンビニのセキュリティ対策
- 事業者がコンビニ決済の受け付けを開始するための要件
- コンビニ決済の代替となる決済手段
コンビニ決済とは
コンビニ決済という名称は、コンビニエンスストアを表す日本の用語に由来します。コンビニ決済は、主に日本で採用されている支払い方法です。このシステムは、全国に広く普及しているコンビニエンスストアをフルに活用して、さまざまなサービスの支払いを円滑にします。顧客はオンラインで購入した後、クレジットカードを使うのではなく、コードを受け取り、近くのコンビニエンスストアでこのコードを提示して現金で支払います。
この決済アプローチは、現金取引を好む人が依然としてかなりの割合を占める日本市場において好評を博しています。コンビニ決済は、E コマースを利用できるようにすると同時に、顧客が希望する支払い方法として現金を使用できるようにします。この取引プロセスにはセキュリティ上の確認手順が組み込まれており、コンビニエンスストアで決済が完了すると、事業者への確定通知が即時に送信されます。
日本のコンビニエンスストアの多くは年中無休で営業しています。そのため、コンビニ決済は、従来型のバンキングサービスを利用できない顧客や、オンライン取引にバンキングサービスの利用を望まない顧客にとって、利用性が高く便利なものとなっています。2021 年には、日本のオンラインショッピング利用者の 20% 以上が、オンラインで購入した商品の代金をコンビニ決済で支払ったか、支払おうとしていました。コンビニ決済を E コマースプラットフォームに導入することは、現地の顧客行動に賢く適応する手法であり、日本に住む人々の日常生活に自然に溶け込む決済手段を提供することになります。
コンビニ決済が利用されている地域
多くのアジア経済圏の顧客は現金での支払いを好むため、同様のコンビニ決済システムが日本以外にも広がる可能性には注目すべきです。しかし現在のところ、コンビニ決済モデルの大規模な導入は他の国で行われていません。
コンビニ決済は、日本の E コマースや公共料金の支払いのシステムに深く浸透しています。取引でコンビニ決済を選ぶ顧客は相当な数に上ります。コンビニ決済の魅力は、都市部でも地方でも日常生活で重要な役割を果たしている近くのコンビニエンスストアを利用できるという、親近性と利用のしやすさにあります。人口が 1 億 2,300 万人を超え、クレジットカードの利用を敬遠する人が比較的多いこの国では、コンビニ決済が現金志向の文化を反映しています。
コンビニ決済の利用者
コンビニの決済は、多岐に渡る商業活動と顧客層に対応しています。
コンビニ決済を利用するビジネス
小売業と E コマース
日本では、オンラインショッピングの際に、その便利さから多くの顧客がコンビニ決済を選んでいます。中小企業から大手の E コマースプラットフォームに至るまで、さまざまな小売業者がこの支払い方法に対応しており、現金払いを好む買い物客の希望に応えるために、デジタルの決済手段と同時にコンビニ決済も受け付けています。ゲームとデジタルコンテンツ
ゲームは、漫画やストリーミングサービスなどのデジタルコンテンツプロバイダーと同様に、支払いにコンビニ決済がよく利用されています。これらの商品の主な顧客である若年層がコンビニ決済に自然と引き付けられているのは、その使いやすさのため、そして銀行口座やクレジットカードを必ずしも必要としないためであるとも言えるでしょう。電気・ガス・水道とサービスのプロバイダー
電気通信やエネルギー分野も含め、各地域の公共事業者もコンビニ決済を導入しています。そのため、現金取引を希望する顧客も、日本全国の至るところにあるコンビニエンスストアで請求書に支払うことができます。交通サービス
日本の鉄道会社とバス会社は、コンビニ決済を自社のシステムに組み込んでいます。通勤・通学客はこのシステムを使ってコンビニエンスストアで交通カードにチャージすることができ、多くの人にとって毎日の移動に欠かせないものとなっています。中小企業とベンダー
中小企業と独立系ベンダーは、コンビニ決済を利用して、キャッシュフローを管理し、バンキングサービスをさほど利用しない顧客に対応しています。このシステムは、従来の POS システムを使用しなくても決済を受け付けることができるようにすることでこれらの事業者に対応します。旅行業界
国内小売業内ほど普及はしていませんが、コンビニ決済は、日本国内での旅行関連費用、たとえば、現地の宿泊施設や国内航空券の予約の際の決済オプションとして利用されるほか、現金払いを好む旅行客やクレジットカードを使わない旅行客の取引を円滑化しています。
コンビニ決済を利用する顧客
青年層と学生
これらのグループの人々は、クレジットサービスを十分に利用できなかったり、現金での取引に慣れていたりすることがあるため、多くの場合、コンビニ決済を優先的に利用しています。このシステムでは与信審査が不要であるため、予算管理がしやすく、また経済的に自立した支払いが可能です。高齢者
高齢者は、コンビニ決済のシンプルさ、そして店舗が物理的に存在することを理由に、デジタルバンキングのプロセスよりもわかりやすく安全な決済方法と感じて、コンビニ決済を選ぶ場合があります。地方のコミュニティ
バンキングサービスがあまり集中していない地域では、それに代わるものとしてコンビニ決済が重要な手段となります。これらの地域に住む人々は、買い物から請求書の支払いまで、さまざまな取引にこの支払い方法を利用しています。現金払いを好む人々
日本の技術的な先進性にもかかわらず、人口のかなりの部分は依然として現金での取引を強く希望しています。コンビニ決済は、従来の現金決済と現代の E コマースの利便性のギャップを埋めることで、現金払いを好む人々に貢献しています。フリーランサーとギグエコノミーワーカー
従来とは異なる雇用形態で収入を得ている人々にとって、コンビニ決済は、これらの人々の一定でない収入スケジュールや金銭管理スタイルに合っていると言えるでしょう。
コンビニ決済の仕組み
コンビニの決済処理ネットワークは、買い手から事業者の銀行への資金移動を円滑にします。このシステムは、さまざまなデジタル決済の間の微妙な違いに対処できるように細かく調整されており、進化を続ける市場の変化にすぐに対応して動作することができます。
購入時の支払い方法の選択
顧客がコンビニ決済を利用して購入することにした場合、購入時に支払い方法としてコンビニ決済を選択した時点で取引が開始されます。この選択によって、取引のオーソリと完了のための一連の手順が開始されます。支払いコードと確定
顧客がオンラインショッピングでの購入でコンビニ決済を選択した後に自分の個人情報を入力すると、支払いコードと注文確定番号が発行されます。コンビニエンスストアでの現金払い
顧客がコンビニのキオスク端末に支払いコードを入力すると、店舗支払い用のバウチャーが印刷されます。そのバウチャーをレジに提示して現金で支払い、レシートを受け取ります。売上処理と決済
事業者には即座に支払い確認が届き、数日以内に売上の入金が利用可能になります。料金体系
コンビニ決済の料金体系は透明性が高く、通常、定額料金に取引額に対する割合が加算されます。各料金は、事業規模、取引額、業種などの要素に応じて異なる場合があります。一般に、これらの手数料は支払いを受ける事業者に転嫁されます。
コンビニ決済の導入が事業者にもたらすメリット
マーケットリーチの拡大
現在でも、日本では取引の 64% が現金に依存しています。コンビニ決済は、デジタル決済手段を利用できない、または利用しないようにしている顧客への対応にも役立ちます。
取引にかかる時間の短縮
コンビニ決済は、決済プロセスを効率化する役割も果たします。コンビニエンスストアのネットワークが広く存在することで、コンビニ決済を選択しやすくなり、購入頻度を高めることができます。
オンラインショッピングへの障壁を低減
事業者はコンビニ決済を導入することにより、クレジットカードを持たない顧客や、クレジットカードのオンライン利用に消極的な顧客も引き付けることができます。顧客のさまざまな支払い習慣に対応できるようになるため、E コマースの成長が後押しされます。
決済の追跡と管理の円滑化
コンビニ決済のシステムでは、取引ごとに一意の識別子が割り当てられるため、事業者はより効率的に決済を追跡、管理することができます。このように特定できるため、事業者は正確な財務記録の管理や関連業務を削減することができます。
戦略的ビジネスインテリジェンスの収集
コンビニ決済から収集される取引データは、顧客の行動や好みに関する実用的なインサイトを事業者に提供し、提供するサービスのカスタマイズや顧客体験の向上を可能にします。
多様なビジネスプラットフォームへの適応化
コンビニ決済は、デジタルビジネスのプラットフォームと柔軟に連携できます。事業者はこの決済手段を、自社の既存のシステムに大規模な変更を加えることなく追加でき、スムーズな購入プロセスを実現できます。
自発的購買の促進
コンビニエンスストアでの決済は、オンラインでの購入後に簡単に取引を完了できるため、顧客の衝動買いを促す場合があります。
信頼の醸成
オンラインで注文した後にコンビニ決済の場で支払うことができるので、顧客満足度が向上し、自分が決済プロセスを主体的に管理できるという認識が高まり、不審請求の申請やチャージバックを減少させる可能性があります。
コンビニのセキュリティ対策
コンビニ決済システムには、その内外の脅威から保護するためのセキュリティ対策が施されています。コンビニ決済のような安全な決済環境であれば、個人の取引を保護し、日本経済の基礎を構成する小売業界の信頼を守ることができます。
暗号化戦略
コンビニ決済で取引データを保護するには高度な暗号化が必要です。取引データがコンビニエンスストアと銀行の間で転送されているときも、小売業者や決済代行業者のシステムで保管されているときも、さまざまな暗号化方式が適用されます。複数のレイヤーによるこのような暗号化によって、仮に 1 つの要素のセキュリティ侵害があった場合でも、その他のレイヤーが顧客の機密情報の完全性を保つことができます。データの取り扱い基準
厳格なガイドラインによって、取引の各段階におけるデータの取り扱い方法が定められています。顧客がコンビニの端末で決済を開始した瞬間から、事業者の口座で最終的に照合されるまで、あらゆるデータポイントが高度なセキュリティで保護されて取り扱われます。これには、電子データの安全な取り扱い方式や、店舗での物理的なセキュリティ対策などが含まれます。定期的な監査と法令遵守
コンビニエンスストアの決済システムは、定期的な監査の対象であり、日本の金融サービス業界における厳格な基準に準拠しているかどうかが確認されます。これらの基準は、決済プロセスのあらゆる面を可能な限り安全に保つために、定期的なチェックとバランスを要求するものです。取引の監視
コンビニ決済システムには、不正行為の検知と防止のためのリアルタイムの監視が採用されています。これらのシステムには、不正利用の兆候を示す、通常とは異なるパターンを検知できるアルゴリズムが取り入れられており、不審な取引があればそれが完了する前に停止させるようにすることができます。スタッフのトレーニング
コンビニエンスストアのスタッフは、決済セキュリティプロトコルのトレーニングを受けています。この研修は、不審な挙動を認識し、現金やデジタル取引を安全に取り扱うための手順を理解することなどを目的に実施されます。このような最前線での防御は、全体的なセキュリティ体制にとって重要な役割を果たします。顧客教育
直接的なセキュリティ対策ではありませんが、コンビニ決済に関して、顧客教育への投資も行われています。自分の取引データを保護することや、支払い期限を頭に入れておくことなど、決済に関連して必要な安全のための対策・対応について顧客に伝えることで、決済システム全体の安全性が高まります。
事業者がコンビニ決済の受け付けを開始するための要件
事業者登録と書類
企業がコンビニ決済を導入するには、自社が属する管轄区域での適切な登録が必要であり、多くの場合、営業許可、住所証明、税務登録番号などの書類を提示する必要があります。これらの書類は、事業の適法性を確認するとともに、ビジネスを規制準拠基準に合致させるためのものです。
技術的連携
事業者は、コンビニ決済システムの連携に必要な技術的インフラを確保している必要があります。通常、これには API の互換性も要求されます。また、コンビニ決済システムを自社の POS やオンライン購入プラットフォームに導入できなければなりません。そのためには、多くの場合、コンビニ決済による取引に対応したペイメントゲートウェイとの提携が必要になります。
金融規制の順守
コンビニ決済は現地の金融規制を順守する必要があり、これには、データ保護法、マネーロンダリング防止 (AML) 基準、顧客保護のための権利などが含まれる場合があります。たとえば、コンビニ決済における顧客データの取り扱い方には日本の個人情報保護法 (APPI) が適用されます。
コンビニ決済サービスでの加盟店アカウント開設
事業者は、コンビニ決済サービスプロバイダーで加盟店アカウントを開設する必要があります。開設にあたっては、取引料金、売上処理期間、紛争解決手続きなどの概要を定めた利用規約に同意する必要があります。
顧客体験とトレーニング
スタッフは、顧客がオンラインショッピングの購入代金を対面で支払うという、独特の支払い確定プロセスを理解しておく必要があります。事業者は、コンビニ決済の取引に問題なく対応できるように、スタッフに対して十分なトレーニングを行う必要があります。そうすることで顧客体験がシンプルなものになります。
セキュリティ標準
事業者は、不正な取引やデータ漏洩から保護するためのセキュリティ対策を導入しなければなりません。一般に、コンビニ決済で顧客の機密情報を直接取り扱う機会は最小限ですが、それでも、事業者と顧客を保護するために、セキュリティ標準を守る必要があります。
サポート計画と緊急時対応計画
事業者は、取引の失敗、返金や、顧客の問い合わせに対処するためのサポート計画と緊急時対応計画を整備しておく必要があります。これには、コンビニ決済に特有の支払いの確定や照合の管理のための明確なプロセスも含まれます。
市場調査と適応化
事業者は、コンビニ決済の需要があることを確かめるため、現地全体の市場調査を実施し、顧客の好みに合わせて決済手段のオプションをカスタマイズする必要があります。
コンビニ決済の代替となる決済手段
コンビニ決済以外にも、事業者と顧客の多様なニーズに対応できる、決済手段がいくつかあります。コンビニ決済の代替となる決済手段は、市場の需要に対応するため、それぞれ独自の特徴をさまざまに備えています。
銀行振込
- 直接銀行振込: 銀行振込は、顧客が自分の銀行口座から直接資金を送金し、商品やサービスの代金を支払うことができます。三菱 UFJ フィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなどの日本の大手銀行がオンラインバンキングサービスを提供し、これらの送金を円滑化しています。
- Pay-easy (ペイジー): 日本のバンキングシステムと連携し、ATM や、オンラインバンキング、モバイルバンキングなどのサービスを通じて支払いができるサービスであり、直接銀行振込と似ています。
デジタルウォレットとモバイル決済
- 楽天ペイ: 顧客はこのモバイル決済アプリを銀行口座や楽天クレジットカードと関連付けることで、スマートフォンを使用して取引の支払いを行うことができます。
- LINE Pay: 人気のメッセージアプリである LINE と連携した LINE Pay は、オンラインでも実店舗でもトップアップ (資金を追加) して決済に使えるモバイルウォレットを提供しています。
- PayPay: QR コードを利用したモバイル決済プラットフォームで、Yahoo Japan、ソフトバンクと提携し、シンプルでスピーディーな決済を実現します。
クレジットカードとデビットカードでの決済
- Visa と Mastercard: Visa と Mastercard は、グローバルな決済ネットワークであり、日本でも広く受け入れられており、国際的なクレジットカードやデビットカードの使用を好む顧客に向けた決済ソリューションを提供しています。
- JCB: 日本で唯一の国際決済ブランドである JCB は、Visa や Mastercard と同様のサービスを提供しており、国内でも海外でも広く受け入れられています。
デジタルウォレットサービス
- Suica、PASMO: 当初は交通機関での決済用に考案された非接触型スマートカードでしたが、現在では小売業をはじめとするさまざまなサービス分野でも使用されています。
- Edy: 楽天が提供する電子マネーサービスで、日本全国の店舗で広く受け付けられており、タッチ決済が可能です。
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