E コマースは、目の肥えた顧客の要求に対応すべく、日々進化しています。現代の顧客は、E コマースに関して、単に取引が完了できるだけでなく、直感的にサクサク操作でき、便利で使いやすくあるべきだと考えています。オートコンプリートは、検索や決済プロセスの最適化に有用性が一段と増してきている機能です。Baymard Institute の 2023 年のレポートでは、購入のプロセスに「時間がかかったりプロセスが複雑だったり」すると顧客の 18% がカゴ落ちする 実態が明らかにされており、商品の検索から購入完了までのカスタマージャーニーをシンプルかつスピーディにするためにはオートコンプリートがいかに重要であるかが示されています。
オートコンプリートを導入することで、E コマースのカスタマージャーニーはさまざまな方法で効率化できます。利用者が事業者のウェブサイトの検索バーに文字を入力しはじめるとすぐに、検索内容とほぼ一致する商品候補が表示されます。このような予測機能があれば、利用者の検索スピードが上がり、より広範な商品を紹介できます。
リピーターや、ブラウザーに自分の情報を保存している利用者の場合は、オートコンプリート機能があれば購入操作をさらに速めることができます。利用者が情報の入力を始めると、オートコンプリート機能によって、氏名、住所、決済手段などの関連フィールドが予測され、入力されます。利用者が手入力する情報が少なくて済むというのは、モバイルプラットフォームでは特に大きな価値があります。
オートコンプリートはあらゆるビジネスに欠かせない機能ですが、E コマースではとりわけ重要になってきます。E コマースの利用者は、購入をスピーディに済ませられることを求めているからです。まさに一刻一秒ならぬ 1 クリックを争う世界です。しかし、オートコンプリートが重要なのは手入力を省けるからだけではありません。利用者のニーズを瞬時に察知して先回りできることも重要です。
ここでは、E コマースで利用されているオートコンプリートの特徴を詳しくご紹介し、検索から購入までのカスタマージャーニーのあらゆる部分を可能な限りスムーズに進められるようにすることが、いかに購入完了率の向上に寄与するのかを説明します。
この記事の内容
- オートコンプリートとは
- E コマースにおけるオートコンプリートの利用
- E コマースにオートコンプリートを導入するメリット
- Stripe が果たす役割
オートコンプリートとは
オートコンプリートは、事業者が検索システムやテキスト入力のインターフェイスなどに導入できる機能です。利用者が検索バーに文字を入力したときに、以前に入力された文字や一般によく検索されているフレーズから、その後に入力される文字列を予測し、候補として表示することが主な機能です。この機能により、テキスト入力のスピードを速め、入力エラーを減らすことができます。高度なオートコンプリートシステムは、アルゴリズムと膨大なデータセットを使用して、より正確で適切な予測を提供します。
E コマースにおけるオートコンプリートの利用
オートコンプリート機能は E コマースでさまざまな役割を果たしていますが、とりわけ大きく貢献しているのがサイト内のナビゲーションと購入という 2 つのフェーズです。ここではそれらを詳しく見ていきます。
E コマースウェブサイトの検索
利用者が検索バーに商品名、商品カテゴリー、ブランドなどを入力すると、オートコンプリートにより予測候補が瞬時に表示されます。利用者は、この機能があることで検索スピードを速め、欲しいアイテムをすぐに見つけ、購入することができます。一方、E コマースを運営している事業者は、利用者を人気の商品や関連性の高い商品に誘導し、売上の拡大や顧客体験の向上につなげることができます。
高度な機能を有する E コマースのプラットフォームでは、データ分析を使用して、顧客の行動や季節のトレンド、在庫状況などに応じて調整を加え、オートコンプリートの候補を精密化できます。また、E コマースにオートコンプリート機能を導入することで、最初の検索文字列から完全に一致する商品が見つからなくても、代わりとなる商品を表示することで、検索結果に何も表示されない状態を回避することができます。こうした高い適応力は、顧客満足度および購入完了率の向上 に大きく貢献します。
E コマースの決済フロー
E コマースの購入プロセスにおけるオートコンプリートは、取引をシンプルかつスピーディにすることで顧客体験を改善し、それにより購入完了率を高めることに主眼がおかれています。では、決済フローでオートコンプリートがどのような機能を果たしているのかを詳しくみていきましょう。
フォームフィールドへの入力: 顧客が情報の入力を始めると、オートコンプリートにより、過去に入力されたデータに基づいて入力候補が表示されます。これは、氏名、メールアドレス、配送先/請求先住所などのフィ―ルドに適用できます。同じ情報を改めて入力する手間が省けるため、特にリピーターに便利な機能です。
住所の予測入力: E コマースプラットフォームによっては、住所を入力し始めるとオートコンプリートによって住所全体が表示される、予測入力を利用しています。こうしたシステムでは、位置情報のデータベースを使ってリアルタイムで入力候補を表示し、購入者がドロップダウンメニューから住所全体を選択できるようにして、手入力の手間やエラーを最小限に抑えています。
決済手段の保存: 複数のアカウントを使用したり、支払い情報が保存されるウェブブラウザーを使用したりする場合、オートコンプリートによって、保存したクレジットカード情報 (セキュリティ上の理由から多くの場合下 4 桁のみ) を入力候補として表示できます。セキュリティ強化のため、利用者にセキュリティコードやパスワードの入力が必要になることもありますが、主なクレジットカード情報は自動入力されるため、支払いのプロセスを効率化できます。
アカウントの作成またはログイン: リピーターがメールアドレスやユーザー名を入力しようとすると、過去に入力した文字に基づいてメールアドレス全体が入力候補として表示されるため、ログインやアカウント作成をすばやく行えるようになります。
エラーの削減: オートコンプリートがあれば、入力エラー、特に住所やメールアドレスの入力エラーを減らすことができます。住所やメールアドレスは打ち間違えやすいものです。入力候補が瞬時に表示されれば、顧客は正しい選択肢を選び、配送先や連絡先の情報を正確に入力できます。
国や地域の選択: ウェブサイト上で国や地域を選択する必要がある場合、最初の数文字を入力すると選択肢が絞り込まれるため、顧客はその中から自分の国や地域をみつけて、より速く選択することができます。
E コマースにオートコンプリートを導入するメリット
オートコンプリートは、購入完了に至るカスタマージャーニーのほんの一端を担っているに過ぎません。複雑な E コマースの世界では、一見それほど重要な機能には見えないかもしれません。しかし、優れた E コマース環境は、こうした、一見「それほど重要には見えない」無数の機能が精巧に連動して組み立てられており、オートコンプリートもそこで重要な役割を果たしている機能の一つなのです。何より、面倒な手間を省けます。サクサクとした操作感は購入完了率の向上に寄与します。投資価値は十分にあります。
オートコンプリートが E コマースビジネスにもたらすメリットを次にご紹介しましょう。
モバイルでの購入体験が向上
モバイルデバイスでの文字入力はデスクトップやノート PC に比べて能率が悪くなりやすいため、オートコンプリートの真価を発揮できます。手入力するデータを減らせることは、小型のスクリーンやタッチ式のインターフェイスではとりわけ大きな強味です。検索スピードが上がる
商品を検索するときに、購入者の頭の中には明確なイメージがあり、特定の商品を思い浮かべていることが大半です。オートコンプリートは、入力された文字に一致する商品の、名前、カテゴリー、ブランドなどを瞬時に表示して顧客をサポートし、目的の商品にたどり着くまでに入力しなければならない文字数を減らします。このすばやい反応がショッピングのプロセス全体を加速させ、顧客とのやり取りの反応性が向上します。入力エラーが減少
オートコンプリートがあれば、入力エラー、特に住所やメールアドレスの入力エラーを減らすことができます。顧客の住所やメールアドレスの打ち間違いは、珍しいことではありません。しかし、オートコンプリートにより、入力候補が瞬時に表示されれば、正しい選択肢を選び、配送先や連絡先の情報を間違えることなく入力できます。売上の増加
オートコンプリートは入力エラーの削減や検索スピードの効率化だけを目的とするものではありません。入力された内容に基づいて商品や関連アイテムを積極的に提案することで、顧客の閲覧範囲を微妙に広げ、クロスセルにつなげていくこともできます。顧客が、当初は頭の中になかった魅力的な商品を目にすることで、アップセルにつながることもあります。顧客満足度の向上
インタラクティブ性の高い流れるような検索体験は、顧客満足度に大きく影響します。プラットフォームが自分を理解し、ニーズを先取りしてくれていると感じると、顧客はそこでの体験を肯定的に捉え、再びそこで商品を購入する可能性が高くなります。融通性の高い商品検索
検索結果がゼロだと、商売はそこでおしまいです。オートコンプリートは、バッファとして機能して、検索と完全に一致する商品が見つからなかった場合に代わりの商品や関連商品を提案することができます。この融通性が顧客をつなぎとめ、購入を完了させる確率を高めます。データの収集と分析
顧客とオートコンプリート機能とのやり取りのそれぞれが、データポイントになります。E コマースのプラットフォームは、こうしたデータポイントを集約することで、話題の検索語、新たなトレンド、さらには商品カタログに不足している領域などを把握できます。このような情報は、事業者にとって在庫状況の判断、マーケティング戦略の策定、進化し続ける顧客の嗜好の把握に不可欠なものです。在庫管理の支援
E コマースのプラットフォームは、商品の在庫状況やプロモーションのキャンペーンに応じてオートコンプリートの入力候補を微調整することができます。たとえば、在庫過剰品がある場合、オートコンプリートでその商品を優先的に表示し、間接的に販売を促進するいったようなことができます。トレンドを見きわめる
オートコンプリートは、目の前の売上だけでなく、より視野の広い、市場トレンドに関するインサイトももたらします。特定の商品やカテゴリーが検索クエリに頻繁に登場するようになったら、新しいトレンドの登場や、利用者の好みの変化を示す兆候である可能性があります。こうしたパターンを早期に認識できれば、E コマースビジネスは、調達やマーケティングの点で競争上の優位に立つことができます。
事業者は、オートコンプリートを効果的に使用することで、顧客の行動、自社の販売戦略、ビジネスのインサイトに対して影響力を持つことができます。いまやオートコンプリートは、E コマースの決済プロセスにおいて、購入時の負担をなくし、カゴ落ちを食い止めることで、顧客体験を改善し、エラーを最小限に抑え、購入完了率の向上に役立つ、欠かすことのできないツールとなっています。
Stripe にできること
Stripe の決済フローのオートコンプリート機能は、使いやすいだけでなく、購入完了率を高めてカゴ落ちを減らす強力な戦術としてその役割を果たします。このオートコンプリートは、堅牢なセキュリティプロトコルと高度なカスタマイズオプションに支えられ、Stripe の幅広い E コマースソリューションとスムーズに連携します。決済プロセスの使用性を高めながら収益の向上に貢献する強力なツールです。
Stripe のオートコンプリートの仕組みと、これが E コマースのビジネスにどのように利益をもたらすのかについて以下に詳しく説明します。
オートコンプリートを利用した決済フローの概要
Stripe のオートコンプリート機能は、顧客がメールアドレス、クレジットカード番号など、決済フローに必要な情報の入力を始めると、その内容を予測します。購入者が文字の入力を始めると、関連性の高い入力候補を画面に表示します。これによりデータ入力をスピーディかつ簡単にできるため、顧客は購入プロセスに要する時間を節約し、負担を減らすことができます。
購入完了率向上への影響
複雑な購入プロセスに遭遇した顧客は購入を途中で止めることが多い、ということはさまざまな調査で示されています。Stripe の最適化された決済プロダクトは、オートコンプリート機能を備えた効率的なインターフェイスを提供することでこの問題に対処しています。これにより、情報入力がさらにシンプルになり、顧客は購入完了までの時間を短縮できます。Stripe の効率的な決済システムによって強化された決済プロセスは、スムーズでスピーディであるため、購入完了率の向上にも大きく貢献します。
カゴ落ちの減少
Stripe が提供しているようなスピーディでシンプルな決済プロセスは、カゴ落ち率の減少にも効果があります。購入完了までにかかる時間と手間が少ないほど、顧客が購入を完了する傾向は高くなります。Stripe では、メールアドレスやクレジットカード番号などをいちいち入力する手間を省き、状況に応じて最適な決済手段を表示して決済プロセスをシンプルにすることで、顧客が購入を完了する可能性をさらに高めています。
セキュリティ
多層的なセキュリティ対策を導入している Stripe は、E コマース取引で最も安全なプラットフォームの 1 つとなっています。Stripe のオートコンプリート機能は、このようなセキュリティプロトコルと連動するような形で設計されています。たとえば、クレジットカード情報をトークン化してから Stripe のサーバーに送信することで、機密情報を確実に保護しています。
高度な機能
基本以上のサービスを求める事業者のために、Stripe のオートコンプリート機能には、カスタムスタイリングや、他の API やサービスと連携する機能など、高度なオプションも用意されています。たとえば、Stripe のオートコンプリートと在庫管理システムを連携させると、購入時に商品在庫の最新情報をリアルタイムで表示することができます。このレベルのカスタマイズでは、事業者は固有の要件に応じて機能を調整できます。
決済フローの最適化の一環として Stripe が提供しているオートコンプリート機能の詳細は、Stripe Checkoutをご覧ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。