サンタンデール国際起業センター (CISE) のデータによると、2024 年スペインにおいて、設立から 3 年半以内のイニシアチブに関連する起業活動率は 6.2% でした。この率をさらに高め、スペインでのビジネス発展を促すため、政府は 2026 年デジタル・スペイン (España Digital 2026) プログラムを立ち上げました。
この総括的な戦略は、起業家精神を育むと同時に、国のデジタルトランスフォーメーションを推進することを目的としています。このプログラムには、2025 年までにスペインの中小企業 (SME) の収益の 25% 以上を E コマースから得ることを目的とした、デジタルキットなどのイニシアチブが含まれています。この記事では、現行の法律を確実に遵守し、利用可能な助成金を活用しながら、スペインでオンラインストアを立ち上げる方法について説明します。
この記事の内容
- スペインでオンラインストアを作成する方法
- スペインでのオンラインストア設立に対する支援
- スペインでのオンラインストア設立に関する法的義務
- スペインでのオンラインストア設立に関するよくあるご質問
スペインでオンラインストアを作成する方法
スペインからオンラインで販売する E コマースビジネスを立ち上げるには、課題があるかもしれませんが、適切なツールを使用すれば難しくありません。オンラインで商品を販売するための手順は次のとおりです。
E コマースプラットフォームを選択する
独自のコードを作成してオンラインストアをゼロから構築することは可能ですが、すべてのビジネスオーナーが、必要な専門知識やリソースを持っているわけではありません。そのため、多くの企業が中小企業向けのウェブサイトの作成を支援する E コマースプラットフォームを利用しています。最も人気のあるオプションとして、PrestaShop、Shopify、WooCommerce などが挙げられます。ニーズに最もよく合うものを選択しましょう。セキュリティ基準に優れ、拡張性オプションがあり、既存のソリューションと簡単に統合できるかを確認してください。
ペイメントゲートウェイをストアに統合する
ユーザーフレンドリーで安全、かつ PCI DSS として一般に知られている Payment Card Industry Data Security Standards (ペイメントカード業界データセキュリティ基準) などの現行の規制に準拠しているペイメントゲートウェイをオンラインストアに組み込み、スムーズに購入できるようにする必要があります。たとえば、Stripe Payments のような最新の決済プロバイダーを使用すると非常に便利です。顧客が好む決済手段を採用して、オンラインと対面の両方の決済を受け付けることができます。Stripe Payments では、すべての収益を一元化された場所に統合できるため、会計と請求がシンプルになります。また、Stripe 決済ソリューション(OCS) は E コマースの成長を支援するように設計されています。
テストを実施する
オンラインストアが適切に機能し、最高のパフォーマンスを発揮していることを確認することが重要です。考慮すべき要素がいくつかあります。
- デバイス間での表示の一貫性: スペインの人口の約 92% がスマートフォンを使用してオンラインをナビゲートしている昨今、これは特に重要です。
- スムーズな購入体験: ショッピングカートに商品を追加し、割引コードを適用し、支払い情報を入力するという操作を、簡単かつ直感的に行えるようにしなければなりません。
- 読み込みの速さ: 顧客が買い物をしている間、ウェブサイトはスムーズに読み込まれる必要があります。ヨーロッパでの購入プロセスに関する Stripe 調査によると、2 分以内に完了できないと顧客の 62% がカゴ落ちすると回答しています。
オンラインストアを宣伝する
スペイン国立技術社会観測所 (ONTSI) によると、スペイン企業の 30% は、2022 年にすでにオンラインで製品を販売していました。E コマースビジネスの認知度を高めるには、検索エンジン最適化 (SEO) 戦略で検索結果でのストアのオーガニックランキングを向上させたり、ソーシャルメディアコミュニケーション計画を策定したりなど、さまざまなマーケティング戦術を実装することが可能です。
スペインでのオンラインストア設立に対する支援
スペイン政府および国内のさまざまな組織は、上記のプロセスを効率化するためのサポートを提供しています。利用可能な最も重要なリソースは次のとおりです。
- 定額税制: 定額税制のおかげで、事業活動の最初の 1 年間はフリーランスの税負担が大幅に軽減されます。また、この引き下げは通常、運用開始から 1 年以内にのみ付与されますが、場合によっては延長が可能です。
- デジタルキット: Red.es が管理するデジタルキットは、中小企業や自営業者向けのデジタルトランスフォーメーションプログラムです。スペインでのオンラインストアの設立、商品カタログの登録、輸入、アップロードの処理のために、最大 5,000 ユーロを助成します。
- 法律 18/2022: 創出と成長法 (Ley Crea y Crece) としても知られるこの規制は、オンラインストアの立ち上げをさまざまな方面からサポートします。たとえば、この法律では、有限責任事業 (SL) の設立に必要な最低資本金はわずか 1 ユーロです。
- 自治体からの支援: 一部の自治体では、デジタル起業家精神を奨励する制度が設けられています。たとえば、カタルーニャ州の ACCIÓ プログラムは、企業のデジタルトランスフォーメーションを促進し、商品のオンライン販売を検討している既存の企業にサポートを提供しています。
- エクイティローン: 産業観光省所管の公共事業である Enisa は、1996 年 7 月の勅令法 (Real Decreto Ley 7/1996) の下で規制されるエクイティローンを通して、革新的なビジネスプロジェクトに資金を供給しています。
スペインでのオンラインストア設立に関する法的義務
オンラインストア関連の義務の一部は、ビジネスの法的構造によって異なりますが (たとえば、自営業者は自営業者法 (Estatuto del trabajo autónomo) の適用を受け、有限責任会社 (SL) は 法律 2/1995 の対象になります) が全面的に適用される義務もあります。
財政上の義務
企業は次のことを行う必要があります。
- Form 036 に記入して、事業主、専門家、源泉徴収者の登録を行います。
- 付加価値税 (VAT) 納税者資格証明書を取得します。
- 販売した商品に基づいて VAT 率を徴収し、Form 303 を使用して四半期 VAT 申告書を提出し、正しい金額をスペイン税務庁 (Agencia Tributaria) に納付します。
- Form 349 を使用して、域内取引とも呼ばれる欧州連合 (EU) 内の売上を報告します。
納税者としてこれらの義務に従わない場合、スペインでオンラインストアを立ち上げる者に対して VAT 罰則が科せられる可能性があります。
法的な義務
また、企業は次のことを行う必要があります。
- 法律 11/2021 (Ley 11/2021) は、一般に不正利用防止法として知られています。同法律は、簿外会計を防ぐために電子請求書の使用を義務付けています。
- 法律 34/2002 (Ley 34/2002) は一般に LSSI として知られています。同法律は、企業に以下を義務付けています。
- 顧客がオンラインストアのニュースレターやその他の形式のメールマーケティングの購読を解除できるようにする。
- 支払い受領の確認を顧客対して行う。
- 顧客がオンラインストアのニュースレターやその他の形式のメールマーケティングの購読を解除できるようにする。
- 消費者および利用者の保護に関する一般法 (Ley General para la Defensa de los Consumidores y Usuarios) を遵守する。これは、消費者の撤回権を規定する他の要件の中でも特に重要です。
- 基本法 3/2018 (Ley Orgánica 3/2018) の要件を遵守し、特に、オンラインストアから購入する顧客のデジタル権利を保証する。
- Cookie (normas de uso de las cookies) の使用に関する規則を導入する。特に、Cookie をデバイスにインストールしてその後使用するには、ユーザーの明示的な同意が必要です。
スペインでのオンラインストア設立に関するよくあるご質問
スペインでオンラインストアを開設するには、フリーランサーとして登録または法人化する必要がありますか?
はい。スペインでオンラインストアを設立するには、フリーランスとして登録するか、法人化することが必須です。これらは、処理して発送する注文ごとに VAT 付きの請求書を合法的に発行する、唯一の方法であるためです。自営業者にならずにオンライン販売を営むという例外もあるにはありますが、こうしたケースはまれであり、ご自分のオンラインストアを立ち上げようとしている方には通常当てはまりせん。
スペインでオンラインストアを開設するのにかかる費用
オンラインストアの開設にかかる費用は、カタログの商品数や選択した E コマースプラットフォームなど、いくつかの要因によって異なります。たとえば、Shopify が提供しているプランは月額 32 ユーロからです (さらに、処理された支払いごとに少額の手数料がかかります)。デジタルキットなどのプログラムを通じて助成金を申請すると、初期投資のかなりの部分が助成されます。
オンラインストアで商品を販売するにあたり物理的な場所は必要ですか?
商品をオンラインのみで販売する場合、すべての物流を自宅から管理できるため、実店舗は必要ありません。ただし、法律 34/2002 (Ley 34/2002) により、ビジネスオーナーの郵送先住所をオンラインストアのウェブサイトに明確に表示することが義務付けられています。自宅からオンラインで商品を販売する場合は、自宅の住所をウェブサイトに表示する必要があります。
スペインのオンラインストアで推奨される決済手段
Stripe データによると、希望する決済手段が利用できない場合、顧客の 86% が頻繁に購入を断念すると答えています。オンラインストアの購入完了率を向上させるには、ターゲットとする消費者ベースが好む決済手段を認識することが重要です。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。