スペインでの VAT の罰則

Tax
Tax

Stripe Tax が国内外での税務コンプライアンス対応を一から十まで自動化するため、お客様は事業拡大に専念できます。納税義務の特定から税務登録、税額の計算と徴収、納税申告までを 1 カ所で管理可能です。

もっと知る 
  1. はじめに
  2. VAT の罰則とは
  3. VAT の罰則の種類
  4. VAT 申告に違反があった場合の罰則
    1. 遅延した VAT 申告結果がゼロまたはマイナスの場合
    2. 遅延した VAT 申告結果がプラスの場合
    3. 軽微、重大、または非常に重大な違反
  5. 事業者が VAT の罰則を回避する方法

スペインでは、企業と自営業者の両方が徴収代理人の役目を果たしています。すなわち、企業と自営業者はいずれも、付加価値税 (VAT) の対象となる商品またはサービスの代金を顧客に請求し、対応する税額を徴収して、スペインの税務当局である Agencia Tributaria (AEAT) に納付することになります。そのために、事業者は四半期ごとの VAT 申告に使用するフォーム 303 などの納税申告書に記入する必要があります。

VAT の徴収プロセスは比較的簡単ですが、AEAT への納付が期限内に行われない場合があります。そのようなケースで、AEAT は罰則を課す権限を有しています。この記事では、スペインの VAT の罰則について事業者が知っておくべきことをご紹介します。

この記事の内容

  • VAT の罰則とは
  • VAT の罰則の種類
  • VAT 申告に誤りがあった場合の罰則
  • 事業者が VAT の罰則を回避する方法

VAT の罰則とは

VAT の罰則は、企業の VAT 義務に関連する不正行為が発見された場合に AEAT が講じる措置です。これらの罰則には罰金が含まれる場合があり、VAT 徴収代理人の行為の重大性や故意性などの要因によって異なります。

AEAT は、未払い額を徴収して政府の損失を防ぐことを主な目的として、VAT の罰則を課します。これらの措置を適用するもう 1 つの理由は、他の徴収義務を負う納税者が罰則を恐れて義務に従うようになるという抑止効果です。

VAT の罰則の種類

スペインの VAT の罰則は 3 つのカテゴリーに分類されます。

  • _追徴課税: _未払い額の一定の割合に相当する罰則。この割合は、納税者が納付期限の過ぎた VAT への対処をどれだけ遅らせたかによって増加する可能性があります。
  • _罰金: _一定額または税額に応じた罰金。
    • _一定額: _支払い額は一定です。違反に応じて変動することはありません。
    • _比例: _支払い額は、AEAT に納付する必要がある VAT 額に応じて変わります。納付額が多いほど、罰金の額も大きくなります。
  • _刑事上の責任: _行為が犯罪として分類されるため、刑事罰の対象となる罰則。また、訴訟手続きの責任に金銭的な罰則も加算されます。

VAT 申告に違反があった場合の罰則

AEAT によって課される罰則は、違反内容、その重大性と、再犯であるかどうかによって大きく異なります。罰則は、遅延した VAT 申告が納付か還付か (事業者が AEAT に納税する必要があるか、AEAT から事業者に還付する必要があるか) によっても異なります。

遅延した VAT 申告結果がゼロまたはマイナスの場合

事業者は、四半期中に売上がなかった場合、VAT 申告書の提出が免除されると考えることがあります。ただし、VAT 法では、情報提供の目的で、課税期間中に経済活動が発生しなかったことを示す申告書を提出するよう義務付けられています。また、売上が登録されていなくても、事業活動のために商品やサービスを購入した場合、事業者は相殺または VAT 還付を申請できる点に注意してください。

申告結果がゼロまたはマイナスの場合は、事業者が徴収した金額よりも納付した VAT のほうが多く、AEAT がそれをすぐに相殺または返金する必要があるという意味であり、申告が遅れた場合、事業者はやはり罰則の対象となります。罰則の種類は、申告を終えたのが AEAT から支払い督促状を送る前と後のどちらだったのかによって決まります。

  • 支払い督促状を受け取る前: 100 ユーロの定額の罰金
  • 支払い督促状を受け取った後: 200 ユーロの定額の罰金

遅延した VAT 申告結果がプラスの場合

VAT 申告の遅延が発生した理由 (期限の間違いや忘れ、健康上の問題、資金不足など) にかかわらず、納税額に追徴課税と罰金が課されます。

支払い督促状を受け取る前

VAT 徴収代理人が遅延した VAT 申告を支払い督促状を受け取る前に行い、結果がプラスになった場合、納付額に一定割合の追徴課税が課されます。この割合は、申告期限後からどのくらいで VAT 申告が行われたかによって決まります。

  • 1 日 ~ 3 カ月: 5%
  • 3 カ月と 1 日 ~ 6 カ月: 10%
  • 6 カ月と 1 日 ~ 12 カ月: 15%
  • 12 カ月と 1 日以上: 20% + 4.0625% の延滞利息

これらの追徴課税を支払うには、VAT 徴収代理人が AEAT の事務所に直接出向くか、オンラインで手続きをするために特定のフォームに入力します。また、四半期ごとの VAT 申告では、通常どおりフォーム 303 に記入することもできます。すべてのデータを入力すると、「所得額」の下に未払いの納付額が表示され、対応する追徴課税も適用された状態で合計額に反映されます。

支払い督促状を受け取った後

AEAT から納税通知書を送付した場合、状況の深刻さに応じて罰金が課せられます。罰金は、軽微な違反に対する最低 50% から、非常に重大な違反に対する最高 150% までの範囲となります。違反の重大度については、以下をご覧ください。

軽微、重大、または非常に重大な違反

違反が発生した場合は、状況の重大性を判断して、適用される罰則が決まります。事業主が AEAT から通知を受け取った場合、罰則は違反の種類によって異なります。

軽微

違反を AEAT に対して隠蔽したのが故意か過失だったかどうかを問わず、違反による未払いの VAT 納付額が 3,000 ユーロまでなら軽微と見なされます。違反により延滞した VAT 納付額が 3,000.01 ユーロを超える場合も、情報が隠蔽されていないのであれば、違反は軽微と見なされます。どちらの場合も、罰金は未払いの VAT 納付額の 50% です。

重大

延滞した VAT 納付額が 3,000.01 ユーロ以上で、情報が AEAT に対して隠蔽されていた場合、違反は重大と見なされます。金額がそれより少なくても、納税者が以下の行為を 1 つ以上行っているなら、重大であると見なされます。

  • 延滞した合計金額のうち 50% 以下が売上 VAT (発行された請求書を通じて顧客に請求する VAT) に関連するものである。
  • 延滞した合計金額のうち 10.01% から 50% が、VAT 記録簿の作成ミスにより AEAT に支払われていない。
  • 納税者が、不正確ではあるが不正とは見なされない請求書またはその他の会計書類を使用しており、それらが延滞した合計金額の 10% を超えていない。別の言い方をすると、故意に AEAT を欺く目的で書類を使用していないということです。

重大な違反の場合、罰金は VAT 納付額の 50% から 100% の範囲に応じた金額になります。この割合は、納税者が違反を犯した頻度や政府が被った経済的損失によって変わります。

非常に重大

事業者が顧客に請求する VAT を隠蔽し、その金額が申告した売上 VAT の 50% を超える場合、または法律58/2003 で定義されている不正な手段が用いられている場合は、非常に重大な違反に分類されます。このカテゴリに分類される行為は次のとおりです。

  • 他人の身元情報を使用して VAT 申告を行う (情報を利用された本人が認識しているかどうかは問わない)
  • AEAT に対する未払いの VAT の少なくとも 10.01% に相当する虚偽の請求書やその他の会計書類を使用している
  • ビジネスアカウントの維持を怠るなど、重大な不正行為を意図的に行っている

非常に重大な違反の場合、罰金は、発生した損害とそのような違反の再発状況に応じて、未払いの VAT 納付額の 100% から 150% の範囲に比例した金額になります。

事業者が VAT の罰則を回避する方法

VAT の罰則は非常に高額になる可能性があるものの、抑止力となるように設けられているため、回避するのは難しくありません。ここでは、事業者が VAT の義務を常に遵守するためのヒントをいくつか紹介します。

  • 期限内に VAT を申告する: 事業者が商業活動を行っていない場合でも、期日までに必要な納税申告書を提出して VAT を申告します。具体的には、VAT 徴収代理人が VAT 納税者資格証明書を取得する際に、申告に必要な フォーム 036、フォーム 037、フォーム 035、フォーム 347、フォーム 349、フォーム 390 などを含めた書類を使用することを表します。なお、即時情報提供 (SII) を通じて情報を提出する場合、フォーム 390 は不要です。
  • スペインの VAT 率について詳しく知る: スペインのさまざまな VAT 率を確認し、ビジネスの請求書に正しい税率を使用するようにします。Stripe Tax のような、すべての売上に対する VAT を自動的に計算して徴収する自動化ツールを使用すると、このプロセスがはるかに簡単になります。Stripe Tax は、事業者が徴収した税金に関するレポートを作成するのにも役立ち、申告プロセスも簡単になります。
  • フォーム 347 を忘れず使用する: 事業者は VAT の対象とならない取引に対して税金を納付する必要はありませんが、フォーム 347 を使用して申告する必要があります。
  • 正しい情報を入力する: 請求書の情報が正確に入力されていることを確認してください。正確に入力しないと、無効と見なされます。
  • 正しい VAT 額を請求する: すべての取引に正しい VAT 額が適用されていることを確認します。
  • 規制の変更に関する最新情報を入手する: AEAT は自己申告の方法が根本から変わるような変更を随時行う可能性があります。たとえば、E コマースの VAT に関して 2021 年 7 月 1 日に導入された措置などがその一例です。最新の変更内容を知らなかったからといって、VAT 徴収代理人がそれを遵守しなくてよい理由にはなりません。Stripe Tax などのツールは法律の変更を反映して定期的に更新され、事業者の納税義務を常に監視するため、このようなツールを使用すると、最新の税制改正を常に把握して対応するうえで大きな助けになります。また、Stripe Tax は利用可能な 50 カ国以上 の国と地域のいずれかで納税申告のしきい値を超えた場合にも、事業主に通知します (除外地域のリストをご覧ください)。
  • 必要に応じて補足申告書を提出する: 以前に提出した VAT 申告書に誤りが見つかった場合は、すぐに補足申告書を提出する必要があります。
  • 請求書作成ソフトウェアを使用する: VERIFACTU システムと、スペインの企業や自営業者に電子請求書の発行を義務付ける不正防止法に準拠したソフトウェアに投資してください。

VAT の罰則を回避するのはかなり簡単ですが、意図的であろうとなかろうと、VAT 申告で誤りを犯した事業者に対して AEAT が講じる措置を理解しておくことが重要です。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

今すぐ始めましょう

アカウントを作成し、支払いの受け付けを開始しましょう。契約や、銀行情報の提出などの手続きは不要です。貴社ビジネスに合わせたカスタムパッケージのご提案については、営業担当にお問い合わせください。
Tax

Tax

登録が必要な場所を把握して、適切な税額を自動徴収できるほか、申告書の申請に必要なレポートにアクセスできます。

Tax のドキュメント

ローコードまたはノーコードの実装機能を利用して、消費税 / 売上税、VAT、GST の収集とレポート作成を自動化することができます。