インフレと金利上昇を背景に、消費者は支出に対して慎重な姿勢を示しています。商品に関心を持つサイト利用者を購入完了へと導くためには、一層の努力が必要です。その鍵となるのは、スピーディーでわかりやすい決済フローを提供し、カート放棄につながりかねない負担を買い物客に与えないことです。このことは、ただでさえ買い物客が財布のひもを締めがちな厳しい経済情勢下において、特に重要です。
Stripe は Edgar, Dunn & Company と提携し、大手 EC およびサブスクリプションビジネスの決済フローを分析しました。その結果、注目すべき事実が判明しました。ヨーロッパの EC サイトの 91% には、決済フローにおいて少なくとも 5 つの基本的な問題点があるということです。たとえば、広く普及している決済手段に対応していない、次回の使用に備えた決済情報の保存ができない、といった問題が挙げられます。こうした問題は最終的に、多大な機会損失につながります。
また、大半の企業は、収益を生む重要な機会を決済フローに組み込むことを軽視していました。たとえば、Stripe の調査では、ヨーロッパの EC サイトの 88% が決済時にお勧めの商品を表示していないことがわかりました。これは、平均注文金額を増やせることが証明されている手法が見過ごされていることを意味します。
Stripe では、企業が決済フローを改善してより多くの顧客獲得と収益拡大を実現できるよう、調査から得られた知見をまとめました。このレポートでは、決済フローのベストプラクティスと、Stripe を活用してそれらを実践している企業をご紹介します。
このレポートは次の 4 つのセクションに分かれています。
- 購入率向上に関する戦略
- 好まれる決済手段
- モバイル最適化
- サブスクリプションのベストプラクティス
購入率向上に関する戦略
最も優れた決済フローは、スピード、セキュリティ、利便性を最適化します。迅速な決済の重要性は計り知れません。顧客の 62% が 2 分後に購入をあきらめており、決済完了に平均 3.3 分かかるヨーロッパではこれは深刻な問題です。つまり、購入を意図するオンライン顧客の半分以上を失っていることになります。
安全性も重要な要因です。調査対象の顧客は、企業ウェブサイトが安全または信頼できると感じられない場合、その企業に対してネガティブな印象を抱くと回答しました。ブランドに対する消費者の信頼を高めるには、安全な決済フローを提供するだけでなく、「Verified by Visa」や「Mastercard SecureCode」といったロゴや認証サービス情報を表示することが重要です。
さらに、次回に備えて決済情報を保存するかどうかを顧客が選択できるようにする、アップセルとクロスセルを通じてお勧めの商品を表示する、買い物客がカートを放棄した場合には購入完了を促す、といった対策で決済フローを最適化できます。
決済フォームに関する上位のエラーと見逃された機会
ヨーロッパのウェブサイトの 91% が、決済プロセスにおいて少なくとも 5 つの基本的なエラーを抱えていました。特に一般的な問題点と見逃された機会は以下のとおりです。
- 63% が、決済画面にセキュリティロゴを表示せず、買い物客の信頼を損ねていた。
- 64% が、次回の購入に備えて買い物客が決済手段を保存できるようにしていなかった。
- 83% が、カートを放棄した買い物客へのフォローアップをしていなかった。
- 88% が、アップセル (より高価なバージョンの商品やサービスの提案) を行っていなかった。
- 51% が、クロスセル (関連商品やサービスの提案) を行っていなかった。
また、カードの取引処理に関して、多くのウェブサイトには次のような不備がありました。
チェックリスト: 決済体験を最適化する方法
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エラーメッセージ: 無効なカード番号、有効期限、不正確な個人情報など、決済情報の誤りをリアルタイムで強調して表示します。
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決済情報の保存: 顧客が決済情報を保存して、次回購入時にワンクリックで決済を完了できるようにします。
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アップセルとクロスセル: 関連商品やおすすめの商品をパーソナライズして表示することで、平均注文額を増やします。
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フォローアップ: カゴ落ちに至った買い物客に、その当日か翌日にメールを送信します。
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セキュリティに関する視覚的要素: 信頼性のあるセキュリティ対策が取られていることを示すロゴや認証サービス情報を表示して、ページの安全性を強調します。
好まれる決済手段
どの決済手段を利用するかは人によってさまざまであり、地域によっても異なります。企業がグローバルに展開するには、顧客に好まれる決済手段や支払いのタイミングを十分に把握しておく必要があります。たとえば、市場によってワンクリック決済の提供、iDEAL などの地域固有の決済手段の提供、あるいは後払いが人気の地域では分割払いの提供を検討することも考えられます。
ただし、決済体験をカスタマイズすることは、単に決済手段の選択肢を増やすだけではなく、適切な決済手段を表示できるようにすることも大切です。買い物客の 95% が、利用するウェブサイトが自国で普及している決済手段に対応していることは重要と回答しており、86% は希望する決済手段が利用できない場合にカートを放棄する可能性が非常に高いと回答しています。
地域固有の決済手段だけでなく、平均注文額が高い場合は分割払いを選択可能にすることも検討すべきです。Klarna や Affirm のような後払いの決済手段が広く利用されるようになってきており、ヨーロッパの顧客の 68% が、後払い決済を利用できれば購入を完了する可能性が高くなると回答しています。しかし、こうした決済手段に対応しているヨーロッパの EC サイトはわずか 37% でした。
チェックリスト: 利用者が好む決済体験を提供する方法
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言語と通貨: 販売先として優先度の高い国を特定し、決済画面をその国の言語に翻訳して現地通貨を表示することで、決済体験を地域対応させます。
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地域固有の決済手段: 利用者の所在地や使用デバイスに適した決済手段を動的に表示します。
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動的フィールド: 国ごとに適切な情報を取得できるよう決済フィールドを変更します。たとえば、フォームでイギリスのカードが認識された場合は、郵便番号フィールドを動的に追加します。
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分割払い: 後払いサービスが顧客の地域で一般的に使用されていて、平均注文額が高い場合は、後払いサービスの導入を検討します。
モバイル最適化
調査対象となった買い物客のおよそ半数が、パソコンよりもスマートフォンを使用してオンラインでの商品閲覧やショッピングを行っています。また、ソーシャルメディアを通じて購入する人も多く、回答者の 72% が Facebook、Instagram、YouTube などのプラットフォームを利用して商品を購入していると回答しています。
こうした動向に対応するため、企業はモバイル決済体験を向上させる必要があります。調査した企業の 97% が携帯電話の画面に決済フローを適合させていましたが、その一方で、大半の企業はモバイル対応の決済手段であるウォレットをサポートしていませんでした。ウォレットは、デビットカードやクレジットカードなどの決済情報を携帯電話に保存できる便利な決済手段です。
買い物客の 4 分の 3 以上 (78%) が、ウェブサイトが Apple Pay や Google Pay などのワンクリック決済オプションに対応している場合に購入を完了する可能性が高くなると回答しています。また、決済手段を保存できるようにすることで、顧客は次回の購入時にワンクリックで決済できるようになります。しかし、この機能を提供していた分析対象ウェブサイトはわずか 36% でした。
ワンクリック決済の嗜好は国によって異なります。ポーランド、スウェーデン、ドイツ、スペインの顧客の 80% 以上が、ワンクリック決済が提供されていれば購入を完了する可能性が高まると回答しています。ワンクリック決済の普及率が低いイギリスとフランスでも、顧客の大多数 (フランスでは 62%、イギリスでは 57%) が、ワンクリック決済が提供されていれば購入を完了する可能性が高まると回答しています。
モバイル最適化に関する上位のエラー
- 89% の決済フローが Apple Pay に対応していなかった。
- 86% の決済フローが Google Pay に対応していなかった。
- 24% が、カード情報を入力する際にテンキーを表示できていなかった。
- 64% が、ワンクリック決済による次回購入に備えて決済情報を保存できる機能を備えていなかった。
チェックリスト: モバイルやユニファイドコマース (統合された商取引) 向けに最適化する方法
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レスポンシブ (応答力): 端末の画面サイズに合わせてフォームが自動的に変更される完全なレスポンシブデザインにより、モバイルデバイスでの購入率を最適化します。
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キーパッド: カード情報の入力を求める際にテンキーを表示します。
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ウォレット: モバイルウォレット決済手段 (Apple Pay、Google Pay など) に対応します。
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ワンクリック決済: ワンクリックの決済オプションで購入率を高め、利用者への負担を減らします。
サブスクリプションのベストプラクティス
サブスクリプションは価値の高いリピート顧客を得るための効果的な手段になり得ますが、その決済プロセスに不備があると、経常収益に悪影響をもたらします。
調査の結果、ヨーロッパの顧客の 75% がサブスクリプションで不満な体験をしたことがあると回答しています。また、世界上位 217 のサブスクリプションサイトのうち 21% では、カードの種類を確認していない (35%)、カード番号の自動認証を実行していない (30%) など、取引プロセスに少なくとも 3 つの基本的なエラーがありました。これは、41% のサブスクリプションビジネスがこの種のエラーを抱えていた前年と比較すると改善されています。
決済フローの改善が見られる中、サブスクリプションビジネスが競争力を強化するには、完全にシームレスな顧客体験を提供する必要があります。企業は、買い物客が決済情報を更新する際に、新規サブスクリプション購入の妨げや既存顧客の解約につながり得る要因に注意を払う必要があります。
サブスクリプション体験で特に改善が可能な項目
- 57% のサブスクリプションサイトが、購入前に試用できる無料トライアルを提供していなかった。
- 51% のサブスクリプションサイトが、クーポンやプロモーションコードの入力フィールドを設けていなかった。
- 58% のサブスクリプションサイトが、ソーシャルメディアのプロフィール (Facebook、Google など) と連携したアカウント作成オプションを提供していなかった。
- 39% のサブスクリプションサイトが、自動入力機能を提供することなく、買い物客に手動での住所入力を求めていた。
- 25% の買い物客が、サブスクリプションの変更やキャンセル (自己管理) をオンラインで実行できない場合、サブスクリプションの購入を思いとどまると回答していた。
チェックリスト: サブスクリプションビジネスのためのベストプラクティス
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割引と無料トライアル: 商品やサービスを一定期間無料で試用できるようにすることで、新規顧客を獲得します。
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再利用可能な決済手段: ウォレットや口座振替など、再利用可能な決済手段を利用できるようにして、決済情報の入力を一度で済ませられるようにします。
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セルフサービス: 買い物客がサブスクリプションをオンラインで簡単に管理できるようにして、サポート担当への相談や多くの手順を経る必要をなくします。
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ソーシャルメディア: 買い物客がソーシャルメディアでのプロフィールからアカウントの作成やログインをできるようにして、サインインの方法を効率化します。
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住所のオートコンプリート機能: 住所のオートコンプリート機能で、買い物客が請求先住所や配送先住所を簡単に入力できるようにします。
Stripe がどのように役立つか
今後の不透明な経済情勢をうまく乗り切るには、すべての顧客にとってスムーズな決済体験を確実に提供する必要があります。このためには、お勧めの商品を表示して必要なものを顧客が自分で探す手間を省いた、負担のない決済フローが求められます。
しかし、時間とエンジニアリングリソースを費やして自社のソリューションを構築する必要はありません。Stripe の統合プラットフォームを導入することで、業界最高レベルの顧客体験を提供し、購入率をグローバルに向上させることができます。Stripe のプロダクトラインナップを活用することで、以下が実現可能となります。
シームレスな決済体験を提供する
- Stripe Checkout で構築済みのホスト型決済画面を使用して、最小限の開発時間で購入率に最適化された体験を開始できます。
- Payment Element の埋め込み可能な UI コンポーネントを使用すると、サイトに最適な安全な決済体験を設計できます。25 種類以上の適切な決済手段を動的に表示し、購入率を最適化します。
- Payment Links で決済画面全体を作成し、コードを記述せずにリンクを共有できます。
- 顧客が決済情報を保存し、Link を使用したワンクリック決済でより迅速に購入できるようにします。
グローバル展開と各地域に合わせた体験を可能にする
- カード会員サポートが 195 カ国以上に対応しており、世界中の顧客から決済を受け付けられます。
- IP アドレス、ブラウザのロケール (言語や国・地域の設定)、クッキー、その他のシグナルをもとに、適切な決済手段を動的に表示できます。
- 複数のフォームへの入力や 1 回限りのユーザー登録プロセスなしに、ウォレットや後払いなどの決済手段のサポートを追加・拡張できます。
モバイルやユニファイドコマース (統合された商取引) 向けに最適化する
- どのデバイスでも機能する、完全なレスポンシブデザインの決済フォームを使用します。
- Apple Pay と Google Pay をすぐに使用でき、追加の登録やドメイン検証は不要です。
- オンラインとオフラインのチャネル間でシームレスな体験を提供します (オンラインでの予約と店舗での受け取りなど)。
サブスクリプションをすぐに立ち上げ、1 回限りの購入を経常収益に移行させる
- カード、ACH など広く使用されている決済手段で継続課金を即座に徴収できます。
- ユーザー数に基づく料金体系から従量課金ベースまで、あらゆるタイプの請求に対応できる柔軟な請求ロジックを駆使して料金体系をテストできます。
- ポータルサイトでのセルフサービスを通じて、顧客がサブスクリプションのアップグレード、ダウングレード、一時停止、再開を簡単に実行できるようにします。
- Smart Retries、決済失敗を知らせるメールの自動送信、自動カード更新機能により解約を減らします。
決済フローを最適化し、ビジネスを成長させる方法について、今すぐ Stripe の専門家にお問い合わせください。
調査方法
Stripe は Edgar, Dunn & Company と提携し、Statista のオンライン販売額に基づいて、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、スペイン、スウェーデン、イギリスの 8 カ国それぞれにおける上位 100 の EC サイトを分析しました。ウェブサイト数が十分でない場合は、Similarweb によるオンライントラフィックで上位のサイトを組み入れてサンプルを補強しました。
商品をショッピングカートに入れてオンライン購入のシミュレーションを行い、場合によっては VPN を使用して決済プロセスを完了し、さまざまな国に所在する顧客を再現することで、各サイトに不備がないかをテストしました。決済フローの分析は、決済フォームのデザイン、モバイル最適化、地域対応、買い手の信頼とセキュリティに関連する合計 26 の基準に照らして実施されました。
また、Crunchbase のウェブサイトトラフィックに基づき、デジタルコンテンツと有形商品を提供する世界の上位 217 の B2C サブスクリプションサイトを分析しました。サンプルには、メディアとストリーミング、ファイル共有、フィットネスアプリ、フードデリバリー、eラーニング、ニュースの各カテゴリーのサブスクリプションサイトが含まれます。個々のクライアントに応じて料金設定が調整されることの多い B2B サブスクリプションサイト、成人向けエンターテインメントのプラットフォーム、オンラインギャンブルのサイトは対象外としました。
さらに、8 つの市場のヨーロッパの 870 人の消費者を調査し、現在の購買行動と傾向、決済の動向、決済体験に影響を与える要因に関するインサイトを獲得しました。