スペイン中央商業登記所の報告によると、2023 年初頭の時点で、スペインでは 320 万社以上の企業が活動しています。自営業者や従業員のいない中小企業 (SME) に関する 2024 年の公式データはまだ公開されていないため、この数字はさらに高くなる可能性がありますが、2023 年 6 月から 2024 年 6 月にかけて、従業員が 1 人以上いる企業の数は約 1% 増加しました。

これらの企業のほとんどは、付加価値税(VAT) の対象となる商品やサービスを販売しています。VAT は、購入者が購入時に支払う間接税です。企業は VAT を徴収し、スペイン税務庁 (AEAT) に申告・納付します。企業は、Form 303 (スペインでは「Modelo 303」として知られています) を使用して、四半期ごとに徴収総額を AEAT に開示する必要があります。このガイドでは、この納税申告書の仕組みについて詳しくご紹介します。

この記事の内容

• Form 303 の概要と目的
  
• Form 303 の提出が必要な対象者
  
• Form 303 の提出期限
  
• Form 303 の入手方法と提出先
  
• Form 303 の記入方法
  

Form 303 の概要とその目的

Form 303 は、VAT 四半期申告書を提出する際に使用します。企業は 3 カ月ごとに、販売時に徴収した VAT と仕入時に支払った VAT の金額を AEAT に報告する必要があります。これにより、購入者に請求した金額よりも多くの VAT を支払ったかどうかを判断できます。請求額よりも支払い額が多い場合は、返金または補償を受ける権利があります。そうでない場合は、差額を AEAT に納付する必要があります。

Form 303 には、売上 VAT (購入者に請求した金額) と仕入 VAT (事業に必要な商品やサービスに対して支払った金額) を、その他のデータ (後述) とともに記入します。

Form 303 の提出が必要な対象者

自営業者、起業家、企業、不動産開発業者、地主など、VAT の対象となる専門取引に携わる者は、課税期間中に事業を行っていたかどうかに関係なく、Form 303 を提出する義務があります。たとえば、夏季 (5 月～ 9 月) のみ営業する季節限定の事業を運営している場合でも、第 1 四半期の Form 303 を提出し、請求書の発行がなかったことを AEAT に報告する必要があります。

ただし、医療サービスや教育など、VAT 非課税活動については、納税義務が異なります。Form 303 の提出が不要なのは、VAT 非課税サービスのみを提供する企業だけです。

Form 303 の提出期限

この申告書は、事業活動の有無に関わらず、四半期ごとに提出する必要があります。各四半期申告書の提出期限は次のとおりです。

• 第 1 四半期: 4 月 1 日から 4 月 20 日まで
  
• 第 2 四半期: 7 月 1 日から 7 月 20 日まで
  
• 第 3 四半期: 10 月 1 日から 10 月 20 日まで
  
• 第 4 四半期: 翌年 1 月 1 日から 1 月 30 日まで
  

期限内に Form 303 を提出しない場合、VAT の罰則を課せられます。この罰則には、未納額の 50% ～ 150% の罰金 (AEATから遅延の通知があった場合)、または 5% ～ 20% の課徴金 (AEAT から通知を受ける前に自己申告した場合)、さらに 4.0625% の延滞利息が含まれます。

Form 303 の入手方法と提出先

Form 303 は、AEAT のウェブサイトからオンラインで記入し、Cl@ve、DNIe、デジタル証明書、または eIDAS (スペイン以外の EU 市民のみ) を使用してポータルからデジタル形式で提出できます。

Form 303 の各セクションを記入する際に変更内容を保存できるため、1 回で記入し終わらなくても、後で申告を続けることができます。持参による提出はできなくなりましたが、オンライン申告の完了後に納税申告書の PDF コピーをダウンロードできます。

Form 303 の記入方法

Form 303 には 8 つのセクションと 80 を超える入力ボックスがありますが、記入はそれほど複雑ではありません。まず、発行したすべての請求書と、それぞれに対応する VAT 額を確認します。Stripe Tax などの税金の自動計算ツールを使用すると、すべての請求書の VAT 計算が正しいことを確認できます。Stripe Tax を使用すると、ビジネスの売上に対する VAT を自動的に計算して徴収できます。さらに、自動更新を使用することで、Stripe Tax が利用可能な 50 以上の国の税率変更に常に対応できます (除外対象地域の一覧をご覧ください)。

まず、Form 303 の電子提出用の AEAT ウェブサイトから、希望する電子識別方法を選択します。名前と納税者番号 (NIF) が正しいことを確認したら、この Form 303 を提出する会計年度と四半期を選択します。その後、AEAT ポータルの説明に従って必要なボックスに記入していきます。

特定のボックスについてさらに情報が必要な場合は、AEAT のウェブサイトの Form 303 セクションで公開されている手順をご覧ください。