中小企業がウェブサイトを作成するときは、実際のビジネス目標に役立つ有意義なオンラインプレゼンスを、どのように構築するかを考える必要があります。サイトを適切に設計すれば、新しい顧客にリーチし、事業の内容を説明し、競争の激しい市場で信頼性を高めるための、強力な武器となります。ゼロから始める場合でも、既存のサイトのアップグレードを目指している場合でも、中小企業のウェブサイトは、魅力的で目的意識があるものにしましょう。そうでなければ、効果は半減してしまいます。

以下では、適切なプラットフォームの選択から、ユーザーフレンドリーなデザイン要素の作成、対象者に語りかけるコンテンツの作成、検索エンジン最適化 (SEO) のベストプラクティスの理解まで、ビジネスウェブサイト作成のときにたどるべき各ステップを説明します。サイトを構成し、検索エンジン向けに調整し、訪問者の関心を維持するための、実用的な方法をご紹介します。これらの戦略により、あなたのウェブサイトは主要なツールとして事業成長に貢献するはずです。

この記事の内容

• 中小企業にウェブサイトが必須である理由
  
• 中小企業に適したウェブサイトプラットフォームの選び方
  
• 中小企業のウェブサイトをゼロから構築する方法
  
• ブランドイメージに合ったウェブサイトをデザインする方法
  
• 検索エンジン向けにウェブサイトを調整する方法
  
• 中小企業のウェブサイトを維持および更新する方法
  

中小企業にウェブサイトが必須である理由

オンラインファーストがますます進む世界で、事業を成長させ適応させていくには、適切に設計されたウェブサイトを運営することが、一番シンプルで役に立つ方法と思われます。実店舗を訪れる前に、約 80% の人がオンラインでその事業体について調べています。つまり、ウェブサイトは 24 時間年中無休で利用できるデジタルな玄関口として機能します。営業時間を確認したり、場所を探したり、サービスを調べたりと、オンラインにサイトがあれば見つけてもらえる可能性が高くなります。中心的なハブとしてウェブサイトを設けることで、ソーシャルメディアのページやオンラインディレクトリのリストなど、他のすべてのデジタルプレゼンスを結び付け、事業のイメージをコントロールすることができます。スタイル、価値観、ブランドメッセージを反映するようにカスタマイズして、顧客に知ってもらいたい内容に沿って一貫した体験を創出できます。

完成度の高いウェブサイトを持つ事業者は、より信頼できると見なされることが多いです。またごくシンプルなサイトであっても、まっとうな事業であると分かってもらえますし、実績あるプロフェッショナルな事業者であると潜在顧客に伝えられます。ウェブサイトは、あなたが何をしているのか、なぜそれが重要なのかを共有できる、白いキャンバスだと思ってください。画像、動画、説得力のある説明を駆使して、分かりやすく視覚に訴える方法で、商品やサービスをアピールしましょう。カスタマーレビュー、お客様の声、「会社概要」ページを追加して評判を高め、対象者とのつながりを深めましょう。

ウェブサイトを稼働させたら、それを利用して顧客を事業に引き付けることもできます。SEO によりウェブサイトは、貴社と類似のサービスを検索する人々を引き付けることができ、これにはすぐ近くの地域ではない人々も含まれます。関連性の高い検索結果に表示されるため、他の方法では貴社を見つけられなかった可能性がある顧客と、つながることができます。

中小企業に適したウェブサイトプラットフォームの選び方

どのウェブサイトプラットフォームを使うか、その選択肢は各々の目標とニーズによって異なります。まず、ウェブサイトで何を行いたいかを定義します。考慮すべき要素の例は以下のとおりです。

• 目的: 人々に事業の基本情報を知らせて、連絡のための窓口とするだけであるならば、設定がシンプルなウェブサイトを選択しましょう。ただし、ブログ投稿、リソース、最新情報といったコンテンツを定期的に追加する予定がある場合は、コンテンツの編集や追加を管理しやすいプラットフォームを選択してください。

• デザイン: 一部のプラットフォームでは、デザインの選択肢が限られています (色やフォントの変更機能など)。一方で、サイトの外観をカスタマイズするコードへのアクセスを、フルサポートしているプラットフォームもあります。ブランドイメージを大切にしている場合や特定のレイアウトが必要な場合は、より柔軟なオプションを探しましょう。ただし、構築と維持により多くの時間と専門知識が必要となる、という点を忘れないでください。

• コンテンツの種類: 公開を予定しているコンテンツの種類に、特化されているプラットフォームを選択しましょう。写真家やクリエイターなど紹介するメディアが多い場合は、速度を落とすことなく高解像度の画像や動画を処理できるプラットフォームであることを確認してください。大量の文章コンテンツを公開するビジネスでは、投稿や記事の整理や更新が、簡単にできるかどうかを検討してください。

• 販売オプション: サイト経由で販売を行う予定がある場合は、商品、在庫、決済フローの設定がしっかりいているプラットフォームであるかどうか、およびどの決済代行業者に対応しているかを確認しましょう。ほとんどの主要プラットフォームに、Stripe と連携できるオプションがあります。他のソフトウェアとの広い互換性と連携を求めている場合に便利です。

• SEO オプション: 検索で上位に表示されることを目指す場合は、ページのタイトル、URL、画像の説明を編集できるプラットフォームを選びましょう。この編集は SEO 対策に役立ち、検索エンジンを使うユーザーが貴社を見つけやすくなります。メールツール、ランディングページ、またはすでに使用している顧客へのアウトリーチ機能と互換性があるかどうかを確認します。

• 拡張性: 後で何かを追加するときに、まったく新しい設定が必要となっては大変です。その種の機能を追加できるプラットフォームを探してください。将来、販売する商品の数が増えたり、オンライン予約を受け付けたりするかもしれません。一部のシステムは他のシステムよりも、サードパーティソフトウェアと連携させたりアドオンで柔軟性を高めたりという点で優れています。

• モバイル体験: モバイル上でも見やすいサイトにしましょう。ほとんどのプラットフォームにモバイルレスポンシブオプションがありますが、サイトの見え方を再確認しておくことをお勧めします。

• サポート: 将来、どの程度の支援が必要であるかを検討します。一部のプラットフォームには、他のユーザーから助けを得られる優れたユーザーコミュニティがありますが、他のプラットフォームは自社のサポートに重点を置いています。

中小企業のウェブサイトをゼロから構築する方法

ウェブサイトをゼロから構築するには労力がかかりますが、その結果、事業に合った真にカスタマイズされたものとなり、サイトとともに成長していけます。最初のステップは、サイトの目的と構成を決定することです。すなわち、サービスの内容を伝えること、商品を購入してもらうこと、ニュースレターに登録してもらうこと、予約してもらうこと、などです。サイトの目的が決まったら、それに基に必要なサイトページの構成を考えます。考えられる例は次のとおりです。

• ホームページ: すっきりしていて、親しみやすく、分かりやすいものにしてください。あなたの事業名と業務内容を記載し、簡単な行動喚起 (「詳細を見る」、「商品一覧へ」など) を設置しておきます。

• 会社概要のページ: あなたのストーリーやミッションを共有し、貴社が他とは異なる点を述べます。人々は事業の背後に誰がいるのを知りたがっているので、親しみやすく明るい内容にしてください。

• 商品・サービスのページ: 実際に提供しているものを、事業の目的に合わせて詳細に表示します。商品の場合は、説明、価格、高画質の画像を付けて表示します。サービスの場合は、それぞれの内容、顧客にとってのメリット、料金を詳しく説明します。

• お問い合わせのページ: 連絡先 (電話、メール、フォーム、住所など) を記載します。ここからソーシャルメディアにリンクさせることも可能です。選択肢は多ければ多いほどよいですが、シンプルにして、必ず誰かが定期的に問い合わせをチェックしてください。

• お客様の声またはケーススタディ: 率直な証言や短いケーススタディは、信頼を得るのに役立ちます。また、実際の顧客が貴社で肯定的な経験をしていると知らせることができます。可能であれば、真正性を高めるため、写真や名前を追加します。

• ブログまたはニュースセクション: 最新情報、ヒント、ニュースを共有する予定がある場合は、ブログが役に立ちます。常に投稿する必要はありません。共有したいものがあるときに更新してください。少数でも役立つ記事があれば、あなたが専門知識を持っていることが伝わり、それを見た人が再訪するという流れにつながっていきます。

サイトの構成が大体決まったら、技術的な詳細について検討する必要があります。

• プラットフォームを選択する: サイトの目的と共有する予定のコンテンツの種類に基づこき、ニーズに最も適したプラットフォームを選択してください。

• ドメイン名を選択する (例: mybusiness.com): 覚えやすく、ビジネスに関連し、簡潔なドメインを選択します。

• ウェブホスティングを処理する: ウェブホスティングとは、サイトをオンライン上に保つことです。多くのウェブサイトプラットフォームにはホスティングが含まれていますが、オープンソースオプションを選択した場合は、ホスティングを別途購入する必要があります。

• デザインを選択する: あれこれデザインしたくなるものですが、通常はすっきりとした見栄えにする方が成功します。ブランドに合った色をいくつか選び、どのページでも使用して統一感を出します。読みやすいフォントを使用し、ボタンやリンクは見てすぐに分かるようにします。

ウェブサイトのコア要素が整ったら、以下の機能の追加を検討しましょう。

• 決済処理: 商品やサービスを販売している場合は、決済を可能にする方式が必要です。Stripe などのサービスと連携するオプションを探してください。Stripe は、ほぼすべてのウェブサイトプラットフォームで機能し、便利なアドオンがたくさん用意されています。

• SEO 設定: 各ページに SEO タグ (タイトル、メタディスクリプションなど) を追加すると」、あなたのサイトが検索エンジンの結果に表示されやすくなります。

• データ分析: ユーザーがサイトをどのように利用しているかを知るには、Google アナリティクスまたは同様のプラットフォームを連携させて、訪問者の行動、ページビュー、その他の有用なデータを追跡しましょう。

公開する前に、各ページを調べて、ボタン、フォーム、リンク、決済フローのすべてが正しく機能するか確認します。多くの訪問者が携帯電話やタブレットを使用している可能性が高いため、モバイルデバイスでのサイトの見え方をテストしてください。問題がなければ公開して、新しいサイトをできるだけ広く共有しましょう。具体的には、ソーシャルメディアに投稿したり、連絡先にメールで知らせたり、名刺や対象者の目につくその他の場所にリンクを追加したり、などが挙げられます。

サイトを公開したら、定期的に新しいコンテンツを加えて更新し、商品やサービスの情報を最新に保ちます。戦略の一環であれば、ニュースやブログ投稿を不定期に投稿するのもよいでしょう。サイトの鮮度が高いほど、訪問者にとって見る価値があるものになります。

ブランドイメージに合ったウェブサイトをデザインする方法

あなたのブランドにふさわしいウェブサイトをデザインするには、まず、事業の属性と、訪問者に伝えたいメッセージの内容を明確に定義します。ここでは、デザインを最大限に活用するためのヒントをいくつか紹介します。

• 親しみやすいもの、プロフェッショナルなもの、ミニマリストなもの、大胆なものなど、ブランドのトーンとスタイルを確立します。ロゴやブランドカラーからタイポグラフィ、画像、ボタン、アイコンまで、全ページで統一されたカラーパレットとフォントを選択して、ブランドの個性を反映させます。

• ホームページを使用して、核となるメッセージを強調し、ブランドを表すビジュアル (アイキャッチ画像など) を表示します。訪問者が商品を閲覧したり、あなたの経歴を読んだりというように、各種トピックに行き来できるシンプルな構成にしましょう。

• ブランドの魅力に合った高品質のビジュアルを使用します。また、要素が多すぎてデザインがうるさくならないようにします。ブランドが人々の印象に残り、商品・サービスに自信が感じられるような、オンライン体験を創出しましょう。

検索エンジン向けにウェブサイトを調整する方法

SEO とは、あなたのウェブサイトをオンラインで検索する人々の目に触れやすくする方法です。ここでは、初期バージョンのウェブサイトで SEO の基本にどのように取り組んでいくかをご紹介します。

• 関連するキーワードを選択する: キーワードとは、貴社に類似する事業者を見つけるのにユーザーが検索に使用する単語・フレーズです。まず、商品やサービスに関連する単語・フレーズをブレインストーミングします。Google キーワードプランナーなどのツールを利用して、どの単語・フレーズの人気が高いかを確認します。より広範な単語・フレーズと、より具体的な「ロングテール」キーワード (通常は 3 〜 5 語) を組み合わせてターゲットにします。

• ページタイトルとメタディスクリプションを強化する: サイトの各ページには、ターゲットキーワードを含む一意のタイトルとメタディスクリプションが必要です。タイトルは 60 文字程度でページを説明したもの、メタディスクリプションはページの内容を簡潔にかつ訴えかけるように要約したものです。

• 見出しと代替テキストを使用する: 各ページは、必要に応じてキーワードを含む見出し (H1、H2など) で整理します。画像に「代替テキスト」の説明も追加しましょう。検索エンジンによるコンテンツの理解が進むため、アクセシビリティが向上します。

• 高品質のコンテンツに焦点を当てる: 検索エンジンは、価値を提供するコンテンツを優先します。ブログ、商品説明、よくあるご質問などを通じて、訪問者の質問に答える有益で魅力的なコンテンツを作成します。質の高いコンテンツは、他のサイトからのリンクを引き付ける可能性が高いため、検索ランキングを上げられます。

• モバイル向けに調整する: これまで以上に携帯電話から閲覧する利用者が増えているため、モバイル上でサイトの見栄えがよく読み込みが速いことを必ず確認しましょう。モバイル最適化は、Google のランキングを左右する要素であり、ユーザー体験の核となる部分です。

• バックリンクを構築する: バックリンク (つまり、他のサイトからあなたのサイトへのリンク) があると、あなたのコンテンツは信頼できると、検索エンジンにより認識されます。地元の組織と連絡を取ったり、ブログにゲスト投稿を掲載したり、他の事業者と協力したり、という方法でサイトへのリンクを獲得しましょう。

中小企業のウェブサイトを維持および更新する方法

ウェブサイトを最新の状態に保ち運用することは、訪問者と検索エンジンの両方に対して重要です。以下の方法を行いましょう。

• コンテンツを更新する: 数か月に 1 回、主要ページを見直して、商品やサービスの詳細を更新し、古い写真を入れ替え、連絡先情報が最新であることを確認します。ブログを持っている場合は、頻度ではなく一貫性を目指してください。月に 1 回でもコンスタントに投稿があれば放置されていないと分かりますし、サイトをよい状態に保つのに役立ちます。

• リンクを確認する: リンクとフォームは、特に外部サイトへのリンクの場合、時間の経過とともに切れる可能性があります。定期的にリンクをクリックして、リンクがまだつながっていることを確認し、フォームを再確認して、送信が正しく届いていることを確認します。この小さな作業で、何人もの訪問者の不満の声を防ぐことができます。

• セキュリティを徹底させる: 開発者がパッチをリリースしたら、プラットフォームをアップデートします。プラグインやアドオンがあれば、そちらもアップデートして、新しいセキュリティリスクから身を守る習慣をつけましょう。決済処理を行っている場合は、最新のセキュリティ基準に準拠していることを確認してください。データ暗号化の規格である Secure Sockets Layer (SSL) で接続することが必須です。

• 指標を追跡する: 少なくとも月に 1 回は Google アナリティクス (またはご利用中のツール) をチェックして、ユーザーがサイトをどのように利用しているかを把握しましょう。どのページが人気か、トラフィックが減少しているのはどこか、特に注目を集めているブログ記事があるか、などを確認します。これは、どこを集中的に更新するか、どのコンテンツを更新するべきか、を判断するのに役立ちます。

• サイトを定期的にバックアップする: ホスティングプロバイダーがバックアップを自動作成する場合でも、手動で設定する場合でも、必ず必要十分であるか確認してください。大幅なアップデートのたびにバックアップを作成するようにしておけば、何か問題が発生してもサイトを復元できます。

• SEO を微調整する: SEO 設定を定期的に見直して、検索トレンドを把握しましょう。数か月に 1 回、キーワードとページの説明を見直します。それらが正確であるか、または最近の検索を反映し新しいものを追加すべきか、などを検討します。特定のページが検索結果で上位に表示されている場合は、サイト上の他のページからの内部リンクを追加してみるのも一考です。