クレジットカード処理手数料について: 事業者が知っておくべきこと

  1. はじめに
  2. 決済処理とは
  3. 決済処理ではどのような手数料が発生するか?
  4. カードネットワークごとのクレジットカード処理手数料
  5. 決済処理手数料はどのように決定されるか?
  6. 決済処理手数料を交渉することは可能か?
  7. クレジットカードと決済処理の費用を削減する方法

決済システムが健全で長期的な利益率を維持することを望む事業者は、決済処理とクレジットカード処理の手数料についてしっかりと理解する必要があります。2022 年、アメリカの事業者は、前年度比 16.7% の増加となる 1,600 億ドル以上の処理手数料を支払いました。顧客がデジタル取引をますます利用するようになり、その決済手段が多様性を増す中、事業者は、ターゲット市場で広く利用されている決済手段に素早く対応する必要があります。それには、さまざまな種類の取引に関する手数料を理解する必要があります。

この記事では、決済処理手数料の種類と仕組みについて説明します。また、事業者が決済戦略を見直し、最適な決済ソリューションを選択し、主要なすべての販売チャネルを強化するのに役立つ知見を提供します。ここでは、知っておくべきことをご紹介します。

この記事の内容

  • 決済処理とは
  • 決済処理ではどのような手数料が発生するか?
  • カードネットワークごとのクレジットカード処理手数料
  • 決済処理手数料はどのように決定されるか?
  • 決済処理手数料を交渉することは可能か?
  • クレジットカードと決済処理の費用を削減する方法

決済処理とは

決済処理とは、支払人と受取人との間で売上を安全に転送することを可能にする取引手順のことを指します。通常、決済処理では、クレジットカードやデビットカードデジタルウォレットなどの電子決済手段が使用されます。決済処理では、カード保有者、事業者、アクワイアリング銀行カード発行会社決済ネットワークといったさまざまなエンティティの間で、取引のオーソリ、決済、売上処理が行われます。

決済処理において、ペイメントゲートウェイと決済代行業者は、これらのエンティティの間でスムーズに通信を行ってデータをやり取りするための仲介者として機能し、取引の効率、有効性、安全性を保証します。

決済処理ではどのような手数料が発生するか?

決済処理で発生する手数料は、利用する決済代行業者、取引の種類、事業者と代行業者との提携関係によって異なります。決済処理では、一般に以下の手数料が発生します。

  • 取引手数料
    取引が処理されるたびに発生する取引手数料は、通常、取引額に対する割合、および取引ごとの固定料金で構成されます。レートは、カードの種類、取引時のカードの読み取り方法 (スワイプ、挿入、キー入力)、業界、ビジネスの種類といったさまざまな要因によって異なります。

  • 月額料金
    決済代行業者によっては、口座のメンテナンス、レポート作成、カスタマーサポートなどのサービスに対して固定の月額料金が請求される場合があります。Stripe では、月額料金やセットアップ料金は一切かかりません。Stripe のわかりやすい料金体系 (定額制および従量課金制の料金体系) については、こちらをご覧ください。

  • 端末利用手数料または機器利用手数料
    事業者は、クレジットカード端末や POS システムなどの決済処理機器を購入またはリース利用しなければならない場合があります。その場合、1 回限りの手数料または継続的な手数料が発生する可能性があります。

  • ペイメントゲートウェイ利用手数料
    事業者は、オンライン取引を行うためにペイメントゲートウェイを利用しなければならない場合がありますが、ペイメントゲートウェイ自体に独自の手数料が設定されている場合があります。そのような手数料として、セットアップ料金、月額料金、取引ごとの手数料などがあります。

  • PCI 準拠手数料
    事業者は、カード保有者のデータを安全に取り扱うために、Payment Card Industry Data Security Standard (PCI DSS: 決済カード業界データセキュリティ規格) に準拠する必要があります。決済代行業者によっては、事業者によるコンプライアンス維持をサポートするための手数料、またはコンプライアンス違反時に課される罰金のための手数料が請求される場合があります。

  • チャージバック手数料
    顧客が取引に対して不審請求を申請した場合、または顧客が取引に対してチャージバックを要求した場合、不審請求の処理と調査の費用を埋め合わせるための手数料が請求される場合があります。

  • 早期解約手数料またはキャンセル料
    事業者が契約期間終了前に契約を打ち切る決定をした場合、代行業者によって早期解約手数料が請求される場合があります。

  • その他の手数料
    その他のサービスに関する手数料として、口座開設手数料、明細書作成手数料、バッチ処理手数料などがあります。

手数料体系は、決済処理プロバイダーによって異なります。プロバイダーの候補を絞り込む際は、決済処理に関する契約を注意深く確認し、プロバイダーとの提携によって発生する手数料を理解し、複数のプロバイダーを比較して、コスト効率が最も高い方法でニーズに対応できるソリューションを見つけるようにしてください。次に、クレジットカード処理に関して交渉可能な費用と手数料について説明し、それらを効果的に交渉する方法について説明します。

カードネットワークごとのクレジットカード処理手数料

クレジットカード処理手数料は、決済処理手数料の一種で、クレジットカードが関係する取引で発生する手数料のことを指します。クレジットカード処理手数料を請求する当事者として、カードネットワーク、カード発行会社、決済代行業者などがあります。

クレジットカードの処理手数料は、主に 3 つのタイプに分けることができます。

  • インターチェンジフィー
    インターチェンジフィーは、カードネットワーク (アメリカの場合、Visa、Mastercard、Discover、American Express) によって設定され、カード保有者のカード発行会社に支払われます。インターチェンジフィーは、通常、取引金額に応じた一定割合の手数料と取引あたりの固定手数料を合わせた金額になります。この手数料は、カードの種類 (クレジットカード、デビットカード、ポイント機能付きカード、法人カードなど)、取引の種類 (スワイプ、挿入、キー入力、オンライン送信)、ビジネスの業種といった要素によって異なります。

  • 評価手数料またはネットワーク手数料
    これらの手数料も、カードネットワークによって設定されます。これは、カードネットワークのインフラストラクチャーの運用と保守にかかる費用を埋め合わせるための手数料です。評価手数料は、通常、取引金額に応じたわずかな割合の金額になります。この手数料は、カードネットワークによって若干異なります。

  • 代行業者または加盟店のサービス手数料
    代行業者または加盟店サービスプロバイダーは、クレジットカード取引を円滑にするという役割の対価として、これらの手数料を請求します。代行業者の手数料は、取引あたりの固定手数料、取引金額に応じた一定割合の手数料、またはそれらを合わせた金額になります。

各ネットワークが独自のインターチェンジフィーと評価手数料を設定しているため、クレジットカードの手数料はカードネットワークによって異なる可能性があります。各カードネットワークの手数料は、料金体系が複雑な場合があり、なおかつその金額が変更される可能性がありますが、ここでは、主要なカードネットワークの手数料の概要について説明します。

  • Visa
    Visa のインターチェンジフィーは、カードの種類、取引方法、業種といったさまざまな要因によって異なります。手数料は、1 取引あたり約 1.15% + $0.05 ~ 2.4% + $0.10 です。

  • Mastercard
    Visa と同様に、Mastercard のインターチェンジフィーはさまざまな要因によって異なります。手数料は、1 取引あたり約 1.15% + $0.05 ~ 2.5% + $0.10 です。

  • Discover
    Discover のインターチェンジフィーも、カードの種類、取引方法、業種によって異なります。手数料は、通常、1 取引あたり約 1.4% + $0.05 ~ 2.4% + $0.10 です。

  • American Express
    American Express の運営は、他のカードネットワークとは少し異なります。American Express は、カード発行会社とカードネットワークの両方の役割を果たします。American Express の手数料は、通常、1 取引あたり約 1.43% + $0.10 ~ 3.30% + $0.10 です。

これらはあくまで目安であり、実際の取引の厳密な手数料はこれとは異なる場合があることに注意してください。決済代行業者に問い合わせるか、カードネットワークの手数料一覧を参照し、クレジットカード処理手数料に関する最新情報を入手するようにしてください。

決済処理手数料はどのように決定されるか?

決済処理手数料は、ビジネスの内容やユースケースによって異なります。ここでは、手数料の種類によってその金額がどのように変わるかについていくつかご紹介します。

  • インターチェンジフィー
    カードネットワークによって設定されたインターチェンジフィーは、カード保有者のカード発行会社に支払われます。この手数料は、カードの種類 (クレジットカード、デビットカード、ポイント機能付きカード、法人カード)、取引手段 (スワイプ、挿入タップキー入力オンライン送信)、ビジネスの業種といった要素によって決まります。インターチェンジフィーは、通常、取引金額に応じた一定割合の手数料と取引あたりの固定手数料を合わせた金額になります。

  • カードネットワークの手数料
    カードネットワークの場合も、インフラストラクチャーの運用と保守にかかる費用を埋め合わせるために、評価手数料またはネットワーク手数料が請求されます。この手数料は、カードネットワークによって若干異なりますが、通常、取引金額に応じたわずかな割合の金額になります。

  • 決済代行業者の手数料
    決済代行業者は、取引を円滑にするという役割の対価として手数料を請求します。この手数料は、取引あたりの固定手数料、取引金額に応じた一定割合の手数料、またはそれらを合わせた金額になります。また、代行業者は、口座のメンテナンス、カスタマーサポート、チャージバック処理などのサービスに対して追加の手数料を請求する場合があります。

  • 決済手段
    手数料は、クレジットカード、デビットカード、デジタルウォレットなどの決済手段によって異なる場合があります。クレジットカード取引は一般にデビットカード取引と比べて手数料が高く、プレミアムカードやポイント機能付きカードによる取引はインターチェンジフィーが高くなる可能性があります。

  • 取引の種類
    取引手段は、処理手数料にも影響を与える可能性があります。オンライン取引やキー入力取引といった非対面取引は、不正利用のリスクが高くなるため、通常、カードをスワイプまたは挿入する対面取引よりも非対面取引のほうが手数料は高くなります。

  • ビジネスの業種と取引量
    不正利用やチャージバックが多い業界の事業者の場合、処理手数料が高くなる可能性があります。また、取引量が多い事業者や、平均チケット額が大きい事業者は、決済代行業者と交渉して手数料を安くできる可能性があります。

  • 決済代行業者の料金体系モデル
    決済代行業者は、定額料金体系、段階的料金体系、インターチェンジプラス料金体系、サブスクリプションベース料金体系といったさまざまな料金体系モデルを採用しています。代行業者がどのような料金体系モデルを採用しているかによって、事業者に請求される全体的な料金が影響を受ける可能性があります。

決済処理手数料に影響を与える数多くの要素が存在することを考えると、各プロバイダーの手数料体系を理解し、複数の決済代行業者を比較して、コスト効率が最も高い方法でニーズに対応できるソリューションを見つけることがビジネスにとって重要です。

決済処理手数料を交渉することは可能か?

簡単に言うと、答えはイエスです。決済処理手数料について、決済代行業者や加盟店サービスプロバイダーと交渉することができます。詳しく言うと、答えはもっと複雑になります。インターチェンジフィーやカードネットワーク手数料などの手数料は、カードネットワークによって設定されているため交渉できませんが、それ以外の手数料 (代行業者の手数料や追加サービスの手数料など) については、交渉によって値引きすることが可能です。

決済処理手数料の交渉を成功させるため、次の手順を検討してください。

  • 現在の手数料を理解する: 現在の決済処理手数料と明細書を確認し、どのような手数料を支払っているかを明確に把握してください。自分の立ち位置を知ることで、交渉に向けた確かなスタートラインに立つことができます。

  • 他の代行業者を調査する: 複数の決済代行業者の手数料とサービスを比較して業界の標準を理解し、利用者にとってより魅力的なレートを把握してください。そして、この情報を交渉の際に活用してください。

  • 取引量と取引履歴を評価する: 決済代行業者は、取引量が多い事業者、またはチャージバックや不正利用が少ない優良事業者を相手にした場合、手数料について交渉する意欲を示す可能性があります。ビジネスの価値と信頼性を示すことができれば、交渉を有利に進めることができます。

  • 具体的な情報を用意する: 決済代行業者と交渉する際は、綿密に準備することが重要です。相談したい具体的な料金やサービスに焦点を当てながら、懸念を明確に伝えてください。交渉の余地がどれだけあるかにかかわらず、調査を行ってデータを準備しておくことは決して無駄にはなりません。

  • 複数年にわたる契約を検討する: 決済代行業者によっては、長期契約を結ぶとより安いレートが提示される場合があります。代行業者のサービスに満足しているのであれば、これは手数料を抑える効果的な方法となります。

  • 料金の見直しを依頼する: 取引量と取引履歴に基づいた最良のレートでサービスを利用できているかどうかを検証するため、決済代行業者に対して料金の見直しを依頼してください。

決済処理手数料の交渉が常に手数料の削減につながるわけではありませんが、手数料の交渉によって得られた知見が費用の削減に役立ちます。

クレジットカードと決済処理の費用を削減する方法

費用や手数料によっては全く変更できないものもありますが、企業やプラットフォームはいくつかの手順を講じることで、クレジットカードや決済処理の費用を削減できる可能性があります。以下に、検討すべきいくつかの戦略をご紹介します。

  • 料金を比較して交渉する
    複数の決済代行業者とその手数料体系を比較し、現在の決済処理および将来のビジネス成長計画にとって最も現実的な選択肢を見つけてください。既に説明したように、取引量が多い場合、またはチャージバックが少ない優良事業者である場合は、より良いレートを求めて決済代行業者と遠慮なく交渉してください。

  • 適切な料金体系モデルを選ぶ
    ビジネスに適した料金体系モデルを提供する決済代行業者を選択してください。たとえば、インターチェンジプラス料金体系は、多くの場合、段階的料金体系よりも透明性があり、コスト効果に優れています。一方、定額料金体系は、取引量が少ない事業者に有利となる場合があります。

  • 不正利用やチャージバックのリスクを減らす
    住所確認サービス (AVS)セキュリティコード (CVV) チェックなどのセキュリティ対策を導入することで、不正取引やチャージバックのリスクを最小限に抑えることができ、処理手数料を削減することが可能となります。チャージバックを減らす方法については、こちらをご覧ください。

  • 安全な処理手段を選択する
    可能な限り、コスト効率が最も高い処理手段を使用してください。たとえば、カードリーダーを使用する対面取引は、一般に非対面取引よりも手数料が安くなります。お使いの決済端末が EMV チップカードに対応できるように更新されているか確認してください。これにより特定の種類の不正利用による賠償責任のリスクを減らすことができます。

  • より低コストな決済手段を利用する
    可能な場合は、デビットカードやデジタルウォレットといった低コストの決済手段の利用を顧客に促してください。これらを利用すると、クレジットカードよりも処理手数料が安くなる場合があります。

  • 処理手数料を定期的に見直す
    決済処理手数料や明細書を定期的に確認し、不要な手数料を請求されていないか、当初の契約時よりも高い料金を請求されていないか確認してください。手数料体系が変更されている場合や、知らないうちに代行業者が追加の手数料を導入している場合があるため、常に注意してください。

  • 取引を一括処理する
    各取引を個別に処理する代わりに、1 日の終わりに取引を一括処理するようにしてください。これにより、取引ごとの手数料が最小限に抑えられ、全体的な労働経費が削減されます。

  • PCI 準拠を維持する
    PCI DSS に準拠していることを確認することで、コンプライアンス違反に伴う手数料の発生が回避され、高額な罰金や手数料の値上げにつながるおそれのあるセキュリティ侵害のリスクが減少します。

  • 業界固有のプログラムを利用する
    カードネットワークによっては、特定の組織 (特定の種類の非営利団体や教育機関など) に特化したプログラムが用意されており、それを利用することで処理手数料を削減することができます。これらのプログラムを利用する資格があるかどうかを確認してください。

クレジットカードの決済手数料により、ビジネスの収益に大きな影響が及ぶ可能性があります。ビジネスの成長とともにカード決済量が増えれば、この影響はさらに大きくなります。効率性とコストの面でどの決済処理が最も優れているかについて、じっくり時間をかけて見極めてください。そうすることで、投資額に応じた最も強力かつ高速な機能を利用できるようになります。Stripe の手数料体系、および Stripe により、ビジネスを効率よく成長させる仕組みについては、こちらをご覧ください。

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