買掛金と売掛金に関する基礎知識: 企業向けガイド

Revenue Recognition
Revenue Recognition

Stripe Revenue Recognition (収益認識機能) は発生主義会計の処理を効率化し、スピーディーかつ正確に帳簿の締め処理を実行できるようにします。収益レポートを自動化し、設定することで、IFRS 15 および ASC 606 の収益認識基準への準拠の負担を減らすことができます。

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  1. はじめに
  2. 売掛金と買掛金の違い
    1. 売掛金と買掛金の意味
    2. 貸借対照表上の分類
    3. 取引への影響
    4. 通常残高
  3. 買掛金に関するベストプラクティス
    1. 勘定管理の改善
    2. 決済フローの効率化
    3. 支払いの微調整
    4. 正確性と統制の強化
    5. テクノロジーの活用
  4. 売掛金に関するベストプラクティス
    1. 請求書の発行と請求の効率化
    2. 売掛金管理の改善
    3. 回収効率の向上
    4. 強固な顧客関係の構築
    5. データとアナリティクスの改善
  5. Stripe の活用方法
    1. 売掛金機能
    2. 買掛金機能

買掛金 (AP) とは、企業が売掛で購入した商品・サービスに関してサプライヤーや債権者に支払うべき金額を意味します。AP は貸借対照表に流動負債として記録されます。通常、買掛金は短期債務であり、企業は 1 年または 1 営業サイクルのいずれか長い方の期間内に支払うことを見込んでいます。

一方、売掛金 (AR) とは、企業が顧客に提供したものの、顧客から代金の支払いを受けていない商品・サービスに関して、顧客が企業に支払うべき金額を意味します。AR は、一般に 30 日、60 日、90 日といった短期間で回収できる、企業から顧客への信用枠です。売掛金は貸借対照表に流動資産として記載されます。これは、1 会計年度内に現金に変わる予定であることを示しています。

この記事では、買掛金と売掛金の意味と取り扱い方の違いについてご説明するとともに、買掛金と売掛金の管理に役立つベストプラクティス、ツール、ヒントをご紹介します。この記事には企業が知っておくべき重要な内容が記載されています。

この記事の内容

  • 売掛金と買掛金の違い
  • 買掛金に関するベストプラクティス
  • 売掛金に関するベストプラクティス
  • Stripe の活用方法

売掛金と買掛金の違い

売掛金と買掛金は会計上の重要な概念です。両者は混同されがちですが、会計プロセスの異なる部分を指しています。両者の主な違いについて以下にご説明します。

売掛金と買掛金の意味

  • 売掛金: 顧客が売掛で購入した商品・サービスに関して企業に支払うべき金銭。売掛金は入ってくるお金と考えることができます。
  • 買掛金: 企業が売掛で購入した商品・サービスに関してサプライヤーやベンダーに支払うべき金銭。買掛金は出ていくお金を指します。

貸借対照表上の分類

  • 売掛金: 売掛金は 1 年以内に現金に変わることが見込まれるため、貸借対照表では流動資産とみなされます。
  • 買掛金: 買掛金は 1 年以内に弁済しなければならない短期債務であるため、貸借対照表では流動負債とみなされます。

取引への影響

  • 売掛金: 売掛金は販売に伴って増加し、現金で支払いを回収すると減少します。
  • 買掛金: 買掛金は購入に伴って増加し、支払いを行うと減少します。

通常残高

  • 売掛金: 通常は借方残高があります。
  • 買掛金: 通常は貸方残高があります。

たとえば、飲食店を経営している企業を例にすると、顧客から料理の注文を受け、その場では代金の支払いを受けない場合、その金額は売掛金となります。一方で、サプライヤーから食材を購入し、その代金をすぐに支払わない場合、その金額は買掛金となります。

買掛金に関するベストプラクティス

買掛金プロセスの実施にあたり、正確性と効率性の確保に役立つベストプラクティスが複数あります。概要を以下にご説明します。

勘定管理の改善

  • 自動化ソリューションとデジタルトランスフォーメーション: AP 自動化ソフトウェアを購入します。多くの場合、請求書処理用の光学式文字認識 (OCR)、電子ワークフロー承認、自動 3 点照合 (請求書、注文書、納品書) などの機能を搭載しています。機械学習アルゴリズムを導入して、過去の支払いデータの分析、最適な支払い時期の予測、ミスや不正利用が疑われるパターンの特定を行います。

  • サプライヤー関係管理: 主なサプライヤーと定期的なパフォーマンスレビューを実施して、納品のタイムライン、商品・サービスの品質、契約条件の遵守状況を評価します。場合に応じて、支払い期間の延長、取引量に応じた割引、サービスの向上、早期の支払いや前払いを行った場合の価格などの条件を交渉します。

  • 動的割引: 支払いまでの期間に応じて割引率が変動する、スライド制の動的割引を導入します。AP ソフトウェアを使用し、請求書の金額やサプライヤーの種類など、所定の基準に基づいて動的割引オプションをサプライヤーに自動で提供します。

  • 厳格な法令遵守と内部統制: 職務分掌 (請求書の承認、決済処理消し込みを別々の人物に担当させる) など、内部統制手順を定期的に更新して、テストします。監査に関する適切な文書の保管、マネーロンダリング防止 (AML) チェックの実施など、国際的な金融規制を遵守していることを確認します。

  • 決済手段の改善: 各種の決済手段の費用便益分析を行います。たとえば、ACH 決済は安価なものの処理が遅くなりがちで、電信送金は処理は早いものの費用がかかります。キャッシュバックやリワードプログラムなどの特典を活用するため、少額取引にコーポレートクレジットカードを使用することを検討します。

  • データアナリティクスとレポート: 買掛金支払い期間 (DPO)、請求書あたりの平均処理時間、人の介入なしに処理された請求書の割合など、主要な AP 指標に関するレポートを定期的に作成します。傾向分析を用いて請求書の量や支払いサイクルの季節的変化を明らかにし、それに応じて人員配置や支払い戦略を調整します。

  • キャッシュフロー管理: AP データを企業のより広範な財務システムに取り込んで全体を見渡せるようにすることで、キャッシュフロー予測と運転資本管理の改善を図ります。サプライヤーとの関係に悪影響を与えることなくキャッシュフローを改善するため、必要に応じて資金調達やファクタリングの方法を検討します。

決済フローの効率化

  • 請求書処理とデータ入力の自動化: OCR テクノロジーを導入し、異なる様式の請求書をデジタルデータに変換することで、手入力を減らすことができます。自動データ取得システムを導入してベンダー名、日付、金額といった請求書の主要項目を抽出し、自社の財務システムに入力します。

  • 請求書の承認と支払いの一元管理: あらゆる請求書のアップロード、承認、支払いが可能な統合 AP プラットフォームを導入します。これにより、プロセスの分散を排除し、ワークフローを効率化することができます。承認階層のデジタルワークフローを設定して、適切な承認者に請求書が自動送信されるようにします。

  • ペーパーレス化: 請求書処理システムを全面的にデジタル化します。これにより、物理的な保管場所が不要になり、請求書の検索と監査を効率的に行えるようになります。電子請求書を送信し、請求書の提出と追跡を行うためのオンラインシステムを構築するようベンダーに促します。

支払いの微調整

  • 早期支払い割引の導入: サプライヤーと交渉し、期日前に支払いを行った場合に割引を受けられるように求めます。支払いの早さに応じて割引率が変動するスライド制の採用も検討対象に入れます。AP システムが早期支払い規約を自動検出できるようにして、早期支払い割引が常に適用されることを保証します。

  • 支払い期間の延長の交渉: 企業のキャッシュフローを改善するため、サプライヤーから協力を得て支払い期間を延長します。たとえば、より期間の長い掛売規約や分割払いの適用などが挙げられます。合意したそれらの規約を AP システムに取り込むことで、規約の遵守と支払いのスケジュール設定を自動化します。

  • バーチャルカード支払いの使用: B2B での支払いに、取引ごとに 1 回限りのセキュアな番号が発行されるバーチャルカードを使用することで、セキュリティを強化できます。さらに、バーチャルカードの使用状況に応じてキャッシュバックや旅行ポイントといったリワードプログラムの特典も受けられます。

正確性と統制の強化

  • 明確な内部統制の確立: 不正利用の防止を目的とする職務分掌など、AP 部門内の具体的な役割と責任を定めます。自動承認ワークフローを導入して、内部統制を徹底し、監査のためにすべての請求書の取り扱いを追跡します。

  • 買掛金記録の定期的な照合: AP 記録を銀行取引明細書と総勘定元帳への入力内容と定期的に照合して、不一致が見つかった場合は速やかに解消します。AP ソフトウェアに含まれる照合ツールを使用することで、このプロセスを部分的に自動化できます。

  • 主要な AP 指標のモニタリング: DPO、請求書あたりのコスト、電子的に処理された請求書の割合といった指標を注視します。それらの指標を用いることで、傾向を特定し、一定基準を用いてパフォーマンスを評価し、さらなる最適化が可能な部分を明らかにすることができます。

  • 適切な AP 手順に関する従業員のトレーニング: AP 担当者に対するトレーニングを定期的に実施して、ソフトウェアの高度な使用スキルを身につけ、最新の手順と統制を理解させます。参考用にトレーニング資料とベストプラクティスドキュメントを閲覧できるリソースライブラリを構築します。

テクノロジーの活用

  • AP 自動化ソフトウェアの購入: 電子請求書、自動ワークフロー、リアルタイムレポートといった総合的な機能を備えたソフトウェアを選びます。財務管理を一元化するため、自社の財務システムと連携できるソフトウェアを探します。

  • クラウドベースプラットフォームの使用: AP 業務をクラウドベースプラットフォームに移行します。クラウドベースプラットフォームには、リモートアクセスへの対応、セキュリティの向上、自動更新などのメリットがあります。データのバックアップ機能と障害復旧機能を備えたクラウドプロバイダーを選びます。

  • 新テクノロジーの検討: 人工知能 (AI) による請求書の消し込みの自動制御や、ブロックチェーンによる安全で明瞭な取引など、AP 分野の新テクノロジーに関する最新情報を入手します。新テクノロジーを本格的に導入する前に、その有効性と AP プロセスへの影響を検証するため、新テクノロジーを用いたパイロットプログラムの実施を検討します。

売掛金に関するベストプラクティス

売掛金プロセスの円滑な進行を確保することで、業務時間を節約し、不正確な財務報告を避けることができます。売掛金管理に関するベストプラクティスの概要を以下にご説明します。

請求書の発行と請求の効率化

  • デジタルソリューションの活用: 請求書の発行業務を効率化するため、電子請求書プラットフォームに移行します。データの自動取得や OCR テクノロジーなどの機能を導入することでミスを減らすことができます。リアルタイムの請求書発行を可能にするため、販売やサービスのプラットフォームと連携するシステムを導入します。

  • 請求書の様式の改善: 期日を目立つように表示し、支払い方法を明確に説明した、分かりやすい請求書を考案します。複数の発行チャネル (メール、オンラインポータルなど) を利用して、顧客の要望を満たし、素早く受領されるようにします。

  • リマインダーと通知の自動化: 支払い延滞を可能な限り防止するため、期日が近づくとメールまたは SMS で自動リマインダーが送信されるように設定します。顧客の反応を分析し、それに応じてリマインダー戦略を調整します。

売掛金管理の改善

  • 戦略的な顧客セグメンテーション: 正確なセグメンテーションを行うため、データを活用し、支払い履歴と信用度に基づいて顧客を分類します。各セグメントのリスクプロファイルと価値を考慮して、セグメントごとに回収戦略と掛売規約を調整します。

  • 早期支払いインセンティブの提供: 早期支払いに対するスライド制の割引または特典を設け、AR システムでそのプロセスを自動化します。

  • 多彩な支払い方法への対応: オンラインポータル、クレジットカードACH 送金、分割払いなど、さまざまな決済手段に対応し、それらを AR システムに統合します。

回収効率の向上

  • 勘定の効率的な優先順位付け: 予測分析を用いて優先順位付けを行い、過去に支払い延滞が起こったことがある高価値の勘定を優先的に回収します。回収の必要性と顧客関係の維持のバランスを保つことを忘れないでください。

  • 段階的なアプローチの採用: まずは、友好的なリマインダーを送ります。顧客からの信用を保ちながら、必要に応じて対策を強めていきます。

  • テクノロジーを用いた自動化: 決済の負担を軽減するため、自動決済プランやセルフサービスポータルを導入します。高度な債権回収戦略や顧客対応戦略を可能にするため、AI および機械学習ソリューションの導入を検討します。

強固な顧客関係の構築

  • オープンなコミュニケーションの維持: 顧客が支払いの問題を抱えている場合など、顧客と積極的に関わり、双方にとって有益な解決策を見つけます。顧客関係管理 (CRM) プラットフォームを利用して、顧客とのやり取りを管理し、文書に記録します。これにより、情報に基づく、パーソナライズされた戦略を立てることができます。

  • 明確な最新情報の提供: 勘定の状況や実施した回収行為に関する情報を顧客に提供します。

  • 得意顧客向けの特典: 延滞のない安定した支払いを行っている顧客に対するロイヤルティプログラムや特別割引を設け、それらのインセンティブを AR 戦略に取り入れます。

データとアナリティクスの改善

  • 顧客データの画一化: 複数のシステムから顧客データを収集してコミュニケーションとデータ分析の効率化を図ります。また、クラウドベースソリューションを使用してデータの管理とアクセスを一元化します。

  • 主要な AR 指標の追跡: 売掛金回収期間 (DSO)、回収成功率、償却率などの指標をモニタリングします。それらの指標に関するレポートを定期的に作成して、AR 戦略の有効性を評価し、データに基づく意思決定を行います。

  • 顧客行動の分析: データを活用して、支払い傾向と顧客行動に関する詳細な分析を実施します。分析から得られたインサイトを回収戦略、信用ポリシー、顧客エンゲージメントの改善に役立てます。

Stripe の活用方法

Stripe Billing は、簡単な請求書発行、サブスクリプション管理、自動回収によって売掛金を管理できる総合的なシステムを備えています。レポート機能やアナリティクス機能を備えており、企業は自社の財務業務を深く理解できます。Stripe Billing の買掛金に関する機能は限定的ですが、会計システムと自動消し込み機能と連携し、AP プロセスを間接的に管理します。

Stripe Billing を通じて利用できる機能の概要を以下にご紹介します。

売掛金機能

  • 請求書発行: Stripe Billing を利用することで、企業はダッシュボードから 1 回限りの支払いを直接行える請求書を作成して管理し、Stripe オンライン請求書を数分でカスタマイズして送付することができます。請求書発行用のアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) とその高度な機能により、支払いの回収と消し込みを自動化して AR 管理を効率化できます。

  • サブスクリプション管理: 継続請求モデルを採用している企業の場合、Stripe Billing を導入することで、サブスクリプションと 1 回限りの支払いの自動化と管理が可能になります。たとえば、ユーザー毎の価格設定や従量課金などに対応しており、さまざまな経常収益型のビジネスモデルをサポートします。

  • 売掛金の自動化: Stripe Billing には自動消し込みや自動回収などの機能が備わっています。それらの機能により、請求書の支払いとその支払いの適切な記帳を確保します。

  • 複数通貨への対応: Stripe は複数通貨での取引や国際的な請求書発行に対応しており、顧客の請求通貨を調整できます。これは、世界的に事業を展開している企業にとって重要な機能です。

  • データとレポート: Stripe Billing を導入すると、売掛金年齢表や、構造化照会言語 (SQL) ベースのレポートなど、サービスとしてのソフトウェア (SaaS) と請求アナリティクスを利用できます。このデータを活用することで、AR の追跡と管理を効果的に行うことができます。

買掛金機能

  • Financial Connections とデータ統合: Stripe の Financial Connections の利用と会計ソフトウェアとの連携により、買掛金を消し込み、外部への支払いを正確に記録して管理することができます。

  • 自動消し込み: 自動消し込み機能により、支払い額が取引記録と一致していることを確認できます。これは、AP 管理において重要な作業です。

  • Payment processing: 企業は、ACHカード支払いなど、Stripe が提供しているさまざまな決済手段を用いてベンダーやサービスプロバイダーへの支払いを行うことができます。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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収益レポートを設定して自動化することで、IFRS 15 および ASC 606 の収益認識基準への準拠が容易になります。

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Stripe の収益認識機能を使用して、発生主義会計プロセスを自動化します。