Revenue recognition for subscription-based businesses explained

Revenue Recognition
Revenue Recognition

Stripe Revenue Recognition (収益認識機能) は発生主義会計の処理を効率化し、スピーディーかつ正確に帳簿の締め処理を実行できるようにします。収益レポートを自動化し、設定することで、IFRS 15 および ASC 606 の収益認識基準への準拠の負担を減らすことができます。

もっと知る 
  1. はじめに
  2. 収益認識とは
  3. サブスクリプション型ビジネスにとって収益認識が重要な理由
  4. サブスクリプション型ビジネスの収益認識における課題
  5. サブスクリプション型ビジネスの収益認識を効率化する方法
  6. サブスクリプション型ビジネスの収益認識に関するベストプラクティス
  7. Stripe の活用方法

収益認識は企業利益の記帳方法を左右するもので、納税義務、投資家へのアピールなどに影響を与えます。サブスクリプション企業は、継続請求サイクル、利用者の解約、複雑な契約など、他の企業にはない問題を抱えています。

最新のソリューションを導入すると、そのような複雑なプロセスを効率化しながら、事業運営に関する実用的なインサイトを得ることができます。ASC 606 や IFRS 15 といった会計基準に従う場合でも、多様な顧客基盤の複雑さに対処する場合でも、正確で適時な収益認識が重要な課題となります。2023 年に Stripe が実施したサブスクリプション企業のアンケート調査によると、回答した企業の 36% が内製の会計システムからサードパーティ製の請求プラットフォームへの切り替えを予定していました。

この記事では、サブスクリプション型ビジネスにとって収益認識が重要な理由、サブスクリプション型ビジネスの収益認識業務を最適化する方法、Stripe Revenue RecognitionStripe Billing などのソリューションを利用して収益認識プロセスを効率化する方法についてご説明します。

この記事の内容

  • 収益認識とは
  • サブスクリプション型ビジネスにとって収益認識が重要な理由
  • サブスクリプション型ビジネスの収益認識における課題
  • サブスクリプション型ビジネスの収益認識を効率化する方法
  • サブスクリプション型ビジネスの収益認識に関するベストプラクティス
  • Stripe の活用方法

収益認識とは

収益認識とは、企業が支払いを受けたタイミングではなく、収益を獲得したタイミングで利益を記録する会計手順です。収益認識の考え方は発生主義会計が基盤となっており、特定の原則や規制ガイドラインに準拠しています。そのような規則により、収入とその収入を得る際に発生した費用の整合性を確保することで、財務諸表の正確さを向上させ、より有益なものにすることができます。

サブスクリプション型ビジネスにとって収益認識が重要な理由

サブスクリプション型ビジネスでは利益が継続的に発生するため、収益認識が重要となります。サブスクリプション型ビジネスの多くは、長期にわたって提供されるサービス(通常は月または年単位)に対して、前払いで支払いを受けます。

収益を正確に認識することで、財務の健全性を正確に示すことができます。たとえば、ある月に年間サブスクリプションの支払いとして 1,200 ドルを前払いで受け取った場合、その全額を当月の収入として記録することはできません。その場合、1 年間にわたり毎月 100 ドルの収益認識を行います。このような方法を用いることで、収入と継続的に提供されるサービスとの整合性が保たれ、財務諸表の正確さの向上につながります。

収益認識に誤りがある場合、財務報告の正確さが損なわれる可能性があります。その結果、ステークホルダーに誤解を与え、法令違反のリスクが生じることで、評価や投資家への広報活動に問題が生じる可能性があります。収益認識に真剣に取り組むことで、株主や規制当局などのステークホルダーに対する説明責任を果たし続けることができます。

サブスクリプション型ビジネスの収益認識における課題

サブスクリプション型ビジネスの場合、収益認識を複雑にする要素が複数あります。たとえば、次のような要素が挙げられます。

  • 収益認識のタイミング: 収益認識は、企業が収益を認識すべきタイミングに左右されます。たとえば、顧客から 1 年分のサービス料金を前払いで受け取った場合、すぐにその全額を収益として認識することはできません。サービスの提供期間にわたって認識しなければならないため、会計業務が複雑化するとともに、月次報告や四半期報告に影響を与えます。

  • 1 つのサブスクリプションに含まれる複数の要素: 1 つのサブスクリプションパッケージに、さまざまな商品・サービスが含まれる場合があります。その場合、サブスクリプションの合計金額を個々の構成要素に分割しなければなりません。たとえば、サービスとしてのソフトウェア (SaaS) サブスクリプションには、ソフトウェアへのアクセス、カスタマーサポート、ストレージ容量が含まれる場合があります。その場合、正確な収益認識を行うには各要素を個別に評価する必要があるため、会計プロセスが複雑になります。

  • 利用者の解約: サブスクリプション期間の途中で利用者を失った場合、収益認識に混乱が生じる可能性があります。年間サブスクリプションの料金を受け取ったものの、途中でキャンセルされた場合、企業はサブスクリプション料金の返金部分を会計処理しなければなりません。これにより業務が複雑化するうえ、財務報告に影響を与える可能性もあります。

  • 割引とプロモーションオファー: サブスクリプション型ビジネスの多くは集客のために割引やプロモーションを活用しています。割引やプロモーションが適用される取引で得た収入の場合、収益認識が複雑になる可能性があります。たとえば、年間サブスクリプションのうち 3 カ月分が無料になる場合を考えます。その場合、残りの 9 カ月分の収益を、年間を通して均等に分割しなければなりません。

  • 料金の変更: サブスクリプション型ビジネスでは価格戦略を変更することが多々あります。たとえば、長期契約に適用する料金を引き下げることがあります。そのような変更を行う際は、収益認識方法を調整しなければなりません。

  • 規制遵守: IFRS 15 や ASC 606 といった会計基準には、サブスクリプションのような顧客との契約から得た収益の認識に関する固有のガイドラインが設けられています。サブスクリプション型ビジネスにとってそのような規則の遵守が難しい場合があり、適切に遵守できないと厳しい罰則が科される可能性があります。

  • アップグレードやダウングレードへの対応: 利用者がサブスクリプションプランを変更することがよくあります。たとえば、利用者がベーシックプランからプレミアムプランに切り替えることがあります。そのような変更が生じた場合、提供するサービスと適切な収益認識の方法に影響を与える可能性があります。

  • 返金とキャンセル: サブスクリプション型ビジネスでは返金やキャンセルへの対応が必要になることが多々あります。返金やキャンセルが発生した場合、過去の収益認識を差し戻すことになり、適切な会計処理を行って財務諸表の正確さを維持しなければなりません。

  • 通貨変動: 世界的に事業を展開している企業の場合、収益認識が為替レートの影響を受ける可能性があります。たとえば、スペインに居住する利用者からユーロでサブスクリプション料金の支払いを受けた場合、それを自社で扱っている通貨に変換しなければなりません。その際、為替レートの変動によって認識される収益が変化する可能性があります。

正確な財務記録を維持するには、上記の課題一つ一つに細心の注意を払って対処するとともに、専用のソリューションを導入することが求められます。それが不十分な場合、不正確な財務報告、規制当局による罰則、ステークホルダーからの信頼の低下を招く可能性があります。

サブスクリプション型ビジネスの収益認識を効率化する方法

サブスクリプション型ビジネスの収益認識を効率化する方法をいくつかご紹介します。

  • 自動会計ソフトウェア: 専用の会計ソフトウェアを導入することで、収益認識プロセスがシンプルになります。多くの自動会計ソフトウェアには、収益認識のタイミングとパラメーターを企業が設定できる機能が備わっており、手動計算に伴う人為ミスと時間を削減できます。たとえば、ソフトウェアの設定により、年間サブスクリプションの 1 年間にわたる収益認識を自動化することで、月次報告と四半期報告の正確さを向上させることができます。

  • 要素の分離: サブスクリプションパッケージを個々の構成要素に細分化することで、正確な収益認識を可能にします。ベストプラクティスとしては、サブスクリプションに含まれる各商品・サービスの価値を明確化し、それに応じてサブスクリプションの合計金額を配分することが挙げられます。これにより、複数要素を伴う契約の会計処理を効率化し、財務記録の正確さを保つことができます。

  • 解約ポリシーの策定: 解約に関する明確なポリシーを設けることで、会計上の負担を減らすことができます。企業は、顧客によるサブスクリプションのキャンセルに備えて、未使用分のサブスクリプション料金の取り扱いに関するガイドラインを定めておく必要があります。これにより、正確な財務報告を維持し、監査中の混乱を最小限に抑えることができます。

  • 割引の会計処理における透明性の確保: 割引とプロモーションオファーに関する会計処理の透明性を確保しなければなりません。有料月から得た収益を、無料月と割引月を含むサブスクリプション期間全体に配分することで、収益認識プロセスの透明性が向上します。

  • 価格戦略の定期的なレビュー: 料金体系モデルを定期的にレビューすることで、会計チームは収益認識に影響を与える変更を常に把握できます。このように先を見越した対策を講じることで、料金体系に変更があってもミスを最小限に抑え、財務報告の正確さを確保することができます。

  • 規制の遵守: IFRS 15 や ASC 606 などの規制ガイドラインを厳格に遵守することで、収益認識に伴う問題を防止できます。会計チームへの勉強会を実施することで、罰則を回避し、ステークホルダーからの信頼を保つことができます。

  • プラン変更の詳細な追跡: 収益認識プロセスを効率化するため、アップグレードやダウングレードといったサブスクリプションの変更に関する記録管理を徹底します。追跡体制が適切に整備されていると、顧客がベーシックプランからプレミアムプランに移行した際、必要に応じて収益認識方法を簡単に調整できます。

  • 返金ポリシーの策定: 明確な返金ポリシーを設けておくと、顧客から返金を求められた際に不要な問題を回避できます。

  • 為替リスクの管理: グローバル企業の場合、為替リスクヘッジのための戦略を取り入れることで、収益認識が簡単になります。たとえば、通貨調整に関する契約条項や、為替レートを固定するための金融手段の使用が挙げられます。それらの戦略を取り入れることで、通貨変動に起因する収益認識の不安定さを大幅に減らすことができます。

上記のような課題に効果的に対処することで、サブスクリプション型ビジネスは関連規制を遵守しながら、財務諸表の正確さを保つことができます。

サブスクリプション型ビジネスの収益認識に関するベストプラクティス

  • 機械学習の活用による自動化: 機械学習アルゴリズムを活用することで、サブスクリプションの調整 (アップグレード、ダウングレード、一時停止) に関するパターンを追跡し、それに応じて収益の値を自動調整できるようになります。このレベルの自動化を行うと、手動ミスを減らし、財務チームの業務負担を軽減することができます。

  • サブスクリプション要素の明細化による正確な配分: サブスクリプションに複数の機能やサービスが含まれる場合、要素ごとに個別の金銭的価値を明細化する必要があります。これにより、契約期間を通して適切な配分で正確な収益認識を行うことができます。たとえば、サブスクリプションパッケージにストリーミングサービスと月ごとの電子書籍が含まれる場合、それぞれの単体価格に基づいて、各構成要素から得た収益を個別に認識する必要があります。

  • 利用者の解約に対する予測モデルの活用: 一般的な問題として、サブスクリプションの更新が予測できないということが挙げられます。予測分析を用いることで、現実的な収益認識スケジュールを立てることができます。たとえば、予測モデルによって特定の顧客セグメントの解約発生率が 10% と算定された場合、これを考慮して収益予測を行い、財務計画の改善に役立てます。

  • 明確な割引戦略: 季節割引と販促割引を文書化し、それを収益認識スケジュールに盛り込みます。休暇シーズン中、年間サブスクリプションに 20% の割引を適用する場合、割引後の金額を契約期間全体に分割する必要があります。

  • 料金体系モデルの定期的なレビュー: 料金体系を定期的にレビューし、それに応じて収益認識方法を調整します。たとえば、業界でサブスクリプション料金が下落傾向にある場合、それを考慮して価格設定を行い、収益計算においてその変更を反映させます。

  • 規制の変化のモニタリング: 収益認識に関する規制要件の変化に関する最新情報を常に確認します。規制要件の変化をできるだけ早く会計システムに反映させる責任を担当チームに負わせる必要があります。

  • プラン変更の具体的なポリシー: 利用者がサブスクリプションのアップグレードやダウングレード、時には一時停止を行うことがあります。変更に応じて収益を調整する方法を定めた明確なポリシーを設けることで、曖昧な点をなくし、財務追跡プロセスを効率化することができます。

  • 詳細な返金ガイドライン: 明確で分かりやすい返金ポリシーを定めておくことで、利用者がサブスクリプションを解約した際の利益喪失の会計処理に役立ちます。たとえば、開始から 6 カ月以内のキャンセルで 50% の返金を受けられる旨をポリシーに定めている場合、それを会計システムに明示する必要があります。

  • 外貨ヘッジ: 世界的に事業を展開している企業の場合、積極的なヘッジ戦略を取り入れることで、通貨変動リスクを相殺し、通貨変動に関係なく安定した収益認識を行えるようになります。

ここで紹介したベストプラクティスを実践することで、管理しやすく、ミスのない収益認識プロセスを実現できます。その結果、財務上の誤りや法令遵守の問題に煩わされることなく、サブスクリプション型ビジネスの成長に注力できるようになります。

Stripe の活用方法

Stripe の専門サービスを利用することで、サブスクリプション型ビジネスの収益認識がより管理しやすくなります。Stripe を通じて利用できる機能を以下にご紹介します。

  • リアルタイムの収益レポート: Stripe Revenue Recognition には、カスタマイズ性の高い正確なレポートをリアルタイムに作成する機能が備わっています。このレポートを使用することで、サブスクリプションの財務状況に関する概観を作成し、十分な情報に基づく素早い意思決定に役立てることができます。

  • ASC 606 と IFRS 15 の自動遵守: Stripe の会計方法は ASC 606 や IFRS 15 などの規制遵守を維持するために自動的に更新されます。そのため、新しい基準を満たすために利用企業が社内プロセスを調整する必要はありません。

  • 機能豊富な請求システム: Stripe Billing は Stripe Revenue Recognition と簡単に連携できるため、複雑な請求サイクル、複数のサブスクリプション価格帯、従量課金を簡単に管理できます。これにより、企業は自社の請求業務に沿った方法で収益認識を行えるようになり、財務報告の正確さが向上します。

  • 詳細な取引データ: Stripe では、タイムスタンプや地理位置データなど、各取引の詳細なデータを提供しています。詳細なデータを活用することで、地域ごとの税法規や時間ごとのサービスへのアクセスといった詳細情報に基づいて収益認識プロセスを微調整できます。

  • Smart Retries と督促管理: Stripe Billing が搭載している再試行ロジックと督促管理機能により、支払いの失敗やクレジットカードの支払い拒否による利益喪失を最小化できます。この機能によって収益源の信頼性が高まるため、予測とレポートに用いるデータの安定性が増し、収益認識プロセスが向上します。

  • 複数通貨への対応: Stripe は 135 種類以上の通貨での支払いに対応しているため、世界のさまざまな場所から支払いを受ける場合の収益認識の複雑さを大幅に軽減できます。通貨変動に関する会計業務を効率化したい世界規模のサブスクリプション企業の場合、この機能が特に役立ちます。

  • 拡張性: 企業のサブスクリプションモデルの進化に合わせて、Stripe を適応させることができます。新規企業でも既存企業でも、Stripe は企業の成長軌道に適応できます。企業が会計設定を頻繁に手動調整する必要はありません。

  • 勘定の消し込み: Stripe を利用すると、銀行取引明細書と相互に関連する消し込みデータを取得できます。この機能により、財務チームが帳簿と銀行取引を簡単に照合できるようになり、勘定の消し込みの効率が向上します。

  • Webhook によるイベント駆動型トリガー: Stripe の Webhook イベントを利用すると、サブスクリプションが変更された場合に会計システムで通知を受け取り、収益認識計算のリアルタイム調整をトリガーできます。

Stripe の活用により、収益認識プロセスの効率化、正確性の向上、法令遵守を実現し、サブスクリプション型ビジネスは成長と拡大に注力できるようになります。

この記事の内容は一般的な情報の提供と教育のみを目的としたものであり、法律または税金のアドバイスとして解釈されるべきものではありません。Stripe は、この記事の情報の正確性、完全性、適切性、および現行性について保証しません。具体的な状況について助言が必要な場合は、当該管轄地域の営業許可を有する弁護士または会計士に助言を求めてください。

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