ASC 606 および IFRS 15: 収益認識について知っておくべきこと

  1. はじめに
  2. 収益認識とは
  3. ASC 606 とは
  4. IFRS 15 とは
  5. ASC 606 と IFRS 15 の比較
  6. ASC 606 収益認識の 5 ステップモデル
  7. Stripe を利用した収益認識

ほとんどのビジネスにとって、収益はその他すべての KPI データが取り入れられ役立てられる最終的なパフォーマンス測定値です。ビジネスが成長を追求する過程において収益は重要な指標ですが、収益を報告したり、財務諸表を準備したり方法はこれまで業界ごとに異なっていました。

収益認識に関するガイドラインが業界全体で断片化された状況では、他社とパフォーマンスを有意義に比較することは困難でした。こうした中、最近登場したのが ASC 606 と IFRS 15 です。これらの会計基準について耳にしたことがあるか、全く未知のものであるかに関係なく、自社のビジネスにとってこれらの基準が意味することや、および収益の会計と報告にどう対処すべきかなど、知っておくべきことは多くあります。

ここでは、全業界のあらゆる非公開企業と公開企業が収益の金額や性質、タイミング、顧客との契約からのキャッシュフローといった有意義な財務情報を報告するにあたり適用される原則に関するガイドをご紹介します。

この記事の内容

  • 収益認識とは
  • ASC 606 とは
  • IFRS 15 とは
  • ASC 606 と IFRS 15 の比較
  • ASC 606 収益認識の 5 ステップモデル
  • Stripe を利用した収益認識

収益認識とは

収益認識は一般に公正妥当と認められる会計原則 (GAAP) です。この原則は、企業がその財務諸表に収益を記録する時期と方法を定義しています。収益認識は、事業収益がいつ実現し、獲得され、お客様からの支払いをいつ受け取り、収益をどの会計期間に帰属させるかを規定します。

収益の認識と繰り延べを適切に行うことは、企業の収益性と財務の健全性を把握するうえで必須であるため、収益認識はすべての組織にとって重要な検討事項となります。それは、企業の財務実績、法令遵守、経営上の意思決定にとって重要な意味を持つだけなく、適切な収益認識は規制基準への準拠を維持するために不可欠です。正確で適時な収益認識は利害関係者の信頼を維持し、企業の長期的な成功を確実にするのに役立ちます。

ASC 606 とは

会計基準コード化体系 (ASC) 606は、企業が顧客からの売上から収益を認識するための統括的な枠組みを提供します。2014 年 5 月、米国財務会計基準審議会 (FASB) と国際会計基準審議会 (IASB) は、ASC 606 を発表しました。

ASC 606 は、現在あらゆる企業によって順守されている、収益認識に関する規定を簡略的にまとめた普遍的な枠組みです。旧来の業種別の収益認識基準に代わるもので、すべての業種で統一されています。標準化されたガイドラインへの転換により、透明性の向上と説明責任の改善が実現し、企業間および業界間での財務諸表の比較が容易になっています。

IFRS 15 とは

IFRS 15 は、商品またはサービスの購入に関する顧客との契約を対象とした収益認識基準です。これは公開、非公開および非営利の事業体に適用されます。ASC 606 と同じく、IFRS 15 の目的は同様の取引に対して事業体が採る会計アプローチが業界によって異なるという一貫性のなさを排除することです。

ASC 606 と IFRS 15 の比較

ASC 606 と IFRS 15 は共に、顧客契約からの収益を認識する際の包括的な枠組みを提供します。これらは同様の基本的な原則と目的を共有しており、さまざまな業界および地理的地域全体での財務レポートにおいて一貫性と比較可能性を実現することを目標としています。ただし、ASC 606 と IFRS 15 には以下のような小さな違いがあります。

  • 範囲
    ASC 606 は、顧客契約を締結するすべての事業体に適用される一方で、IFRS 15 は顧客契約 (IFRS 17 保険契約の範囲に該当するものを除く) を有するすべての組織に適用されます。

  • 公開要件
    これらの基準は収益認識に関連する同様の公開要件を設けていますが、IFRS 15 には顧客契約を起因とする収益と資金流入の性質、タイミング、不確実性に関連する追加の要件が盛り込まれています。

  • 契約コスト
    ASC 606 では、企業は販売手数料など、契約を獲得するにあたり要した特定の増分コストを計上し償却できます。IFRS 15 は、契約コストの計上に関して、それが将来的な経済的利益を生み出すことへの期待を条件とする、より厳格な評価を実施することを企業に対して求めています。

  • 収益の提示
    ASC 606 では、顧客への商品またはサービスの移管を反映する形で損益計算書に収益を提示する必要があります。一方 IFRS 15 では、企業が取引において本人または代理人として機能しているかに応じて、総ベースまたは純ベースで損益計算書に収益を提示する必要があります。

  • 移行手段
    ASC 606 では、前期の再記載が求められる全面的遡及アプローチと、内部留保の調整として新しい基準の累積的効果を認識できる修正遡及アプローチの 2 種類の移行手段から選択できます。IFRS 15 では、全面的遡及アプローチまたは現実的手段を用いた修正遡及アプローチのどちらかを使用することが求められます。

FASB は、表現の違いなどの詳細を含む ASC 606 と IFRS 15 のあらゆる相違点の説明を提供しています。

ASC 606 収益認識の 5 ステップモデル

FASB と IASB は、収益レポートの普遍的枠組みを構築するという共通の目標を支援するため、財務諸表の報告と準備のプロセスを分割した 5 ステップモデルを提案しています。5 ステップモデル

  1. 顧客との契約を明確にする。
  2. 契約における履行義務を特定する。
  3. 取引価格を決定する。
  4. 取引価格を配分する。
  5. 法人が履行義務を充足したときに、または充足するにつれて収益を認識する。

ASC 606 に従って収益を認識する方法については、各ステップを詳しく説明しているこちらの記事をご覧ください。

Stripe を利用した収益認識

Stripe Revenue Recognition は、サブスクリプションベースまたは継続購入モデルを導入している急成長中のビジネスに特化して構築されています。ただし、柔軟なカスタマイズが可能で操作が簡単であるため、導入している収益モデルを問わず、あらゆる成長段階にあるビジネスにとって理想的なソリューションです。Revenue Recognition は、Stripe を利用するビジネスに対し、以下を含む包括的な機能を提供します。

  • インサイトに富んだレポートツール
    Revenue Recognition には、経理部長から経営幹部に至るさまざまなユーザー向けに、賃借対照表、損益計算表、収益ウォーターフォール表など、企業の成長とパフォーマンスに関する実行可能なインサイトを提供する幅広いレポートが用意されています。

  • 自動更新
    Revenue Recognition は、取引や決済の変更を自動的に把握し、レポート全体に反映させます。Stripe 以外での取引をインポートすることもできるため、すべての販売が Stripe を通じたものでない場合でも企業収益の全体像をつかむことができます。

  • 拡張された管理機能
    ユーザーはレポートを調整して、前受収益の計上、特定の収益タイプの除外、収益レポートへの外部データソースの組み込み、その他さまざまな会計設定の実装を行うことができます。この機能は、各ビジネスの運用と設定に合わせて収益レポートを調整できる最大限の柔軟性をユーザーに提供することを目標としています。

  • 手間のかからない統合
    Stripe Billing や Stripe Invoicing を含む Stripe の決済プラットフォームと完全に統合されている Revenue Recognition は、IT の手を借りずに実装でき、手間なくすぐに利用できるソリューションです。

  • 法令遵守サポート
    Revenue Recognition には、監査の準備が整った明細書が用意されています。また、ASC 606 や IFRS 15 といったグローバル基準の遵守を維持できるようビジネスを全面的にサポートします。

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