企業は成長するにつれて、決済額の増加、決済方法の多様化、新しい商品やサービスによる収入源の増加など、より活動的で複雑化する傾向があります。このような変化は企業の財務諸表に大きな影響を与え、成長の各段階における多くの難題に対応できる機敏かつ繊細な会計へのアプローチが求められます。
収益認識は、あらゆるビジネスで実際に応用できる概念です。しかし、ある種の企業にとって、ASC 606 会計基準の遵守を維持するには、特定の収益認識方法が必要となります。ここでは、ASC 606 とは何か、なぜ企業にとって重要なのか、ASC 606 の枠組みの中でコンプライアンスを維持するための 5 ステップのプロセスなど、ASC 606 について知っておくべきことをご紹介します。
この記事の内容
- 収益認識とは?
- ASC 606 とは?
- なぜ ASC 606 の遵守が企業にとって重要なのか?
- ASC 606 収益認識の 5 ステップモデル
- 顧客との契約を明確にする
- 契約における履行義務を特定する
- 取引価格を決定する
- 取引価格を配分する
- 企業が履行義務を達成した時に収益を認識する
- 顧客との契約を明確にする
- Stripe を利用した収益認識
収益認識とは?
収益認識とは、一般に公正妥当と認められる会計原則 (GAAP) であり、企業が収益を「認識」する時期と方法を定義しています。つまり、企業の収益と経費が帰属する会計期間を定義するのが収益認識です。
収益の上がり方は、その時期や確実性など、企業によってさまざまです。そのため、収益認識の原則は企業が収益会計をどのように構成するかを標準化しています。収益認識では、収益が上がり、現金 (あるいは現金化可能) となった会計期間において、収益は認識されるべきと規定されています。これは支払いを受ける前かもしれませんし、後かもしれません。
ASC 606 とは?
ASC (会計基準コード化体系) 606 は、企業が顧客からの売上から収益を認識するための普遍的な枠組みを提供します。ASC 606 基準は、民間および公共のビジネスにおける価格設定と顧客契約に対して効力があり、それらの契約からの収益をどのように認識するべきかを規定しています。
2014 年 5 月、米国財務会計基準審議会 (FASB) と国際会計基準審議会 (IASB) は ASC 606 を共同で発表しました。ASC 606 は、業界や企業によって収益の機能の仕方が異なるにもかかわらず、企業の収益報告実務を業界を超えて整合させるという複雑な課題を解決するために作成されました。そのため、ASC 606 によって、収益の本質的な複雑性に対応できる収益認識について理解を共有することができます。
なぜ ASC 606 の遵守が企業にとって重要なのか?
多くの企業にとって、ASC 606 に準拠した収益認識は、財務状況を明確に把握するための有用な手段となっています。特に次のタイプの企業にとっては重要です。
- 年間売上高が 2,500 万ドルを超える上場企業または大企業。これらの企業は、ASC 606、GAAP、および国際会計基準 (IFRS) を遵守することが法的に義務付けられています
- 投資家からの資金調達や銀行融資の申請のために、発生主義会計の原則に従う必要があるスタートアップ
- 顧客が商品やサービスを受け取る前に支払いが行われる、デジタル商品や物理的な商品を販売するサブスクリプション- ビジネス、およびサービスに基づいたビジネス
ASC 606 収益認識の 5 ステップモデル
顧客のサブスクリプションの変更、返金、不審請求の申請、および比例配分を管理する必要があるサブスクリプションビジネスにとって、収益認識は特に複雑になりがちです。顧客のサブスクリプションの更新は、正確な収益の認識や繰り延べプロセスを複雑にする場合があります。このような複雑さを解消するために、サブスクリプションビジネスが一貫性を持って体系的に収益を認識できるようにするためには、以下の 5 ステップのアプローチが有効です。
1.顧客との契約を明確にする
このステップでは、企業が顧客と商品またはサービスの提供に関する契約を初めて締結する際に満たす必要がある条件を詳細に説明しています。ASC 606 が規定する契約の主要な要素は以下のとおりです。
- 契約の当事者は、契約を承認し (書面、口頭、またはその他の慣習的な業務慣行に従って)、それぞれの責務の履行を約束します。
- 企業と顧客は、提供される商品またはサービスに関するお互いの権利を特定できます。
- 当事者双方が、提供される商品またはサービスの支払い条件を特定できます。
- 契約には経済的実質があります。つまり、契約の結果、当事者における将来のキャッシュフローのリスク、タイミング、または金額に変化があると予想されます。
- 企業は、通常、顧客に提供する商品またはサービスと引き換えに、自身が受け取るべき支払いを徴収します。
2.契約における履行義務を特定する
履行義務とは、企業が商品やサービスを顧客に提供する約束のことを指します。このステップでは、企業はすべての履行義務をリストアップして明確にする必要があります。商品やサービスが顧客にとって価値があり、契約内の他の商品やサービスから独立しており、個別に提供できる場合、その商品やサービスは他と区別できるものとみなされます。
3.取引価格を決定する
次のステップでは、取引価格を算出します。取引価格には、契約に基づき企業が顧客から受け取る現金および現金以外の報酬を含めることができます。その際、企業は、割引、比例配分、アップグレード、あるいは価格設定のカスタマイズを考慮に入れる必要があります。
4.取引価格を配分する
このステップでは、企業は総取引価格を契約内の個別の履行義務に配分します。継続的支払いを用いるサブスクリプションベースの取引では、履行義務は継続的であるため、適切な繰り延べと配分は特に複雑であり、また重要となります。
5.企業が履行義務を達成した時に収益を認識する
このステップでは、契約を開始したときや、契約に関連する資金を受け取ったときではなく、各履行義務が達成されたときに収益を認識すべきであると規定しています。以下に 2 つの例を示します。
単一の履行義務の場合:
顧客がオーダーメイドのソファを購入し、製造から出荷まで 12 週間かかる場合、その契約からの収益は、最初に注文が成立した時点ではなく、注文が履行された会計期間に認識する必要があります。継続的な履行義務の場合:
顧客が月額 $29 のサブスクリプションソフトウェアサービスに対して 1 年間の契約を締結した場合、受注した企業は各月の支払いをそれぞれの会計期間に割り当てる必要があります。企業は、1 年分の全料金を一括して契約を締結した期間に認識するような処理をすべきではありません。
Stripe を利用した収益認識
ASC 606 への準拠は、5 ステップのプロセスによって理屈の上では明快になりますが、その実施は面倒で間違いやすいものです。手作業で収益認識をミスなく管理するのは容易なことではありません。ほとんどの企業にとって、このプロセスに対処する最良の方法は、収益認識を詳細に管理し、監査に耐えうる財務諸表を作成する自動化ソリューションを見つけることです。
Stripe Revenue Recognition は、企業の発生主義会計を効率化し、エンジニアリングリソースや複雑な設定を必要とすることなく、収益認識のプロセスを簡素化できます。また、最小限の労力で、ASC 606 および IFRS 15 の遵守に必要なレポーティングをカスタマイズし、自動化することができます。
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