売掛金年齢表は、顧客からの未払いの請求書や未使用の貸方票を、未払いの期間を 30 日間隔 (0 ~ 30 日、31 ~ 60 日、61 ~ 90 日など) で分類して一覧にしたものです。企業は売掛金年齢表を基に、支払い期限が超過した請求書を特定し、売掛金の財務健全性を評価することができます。2022 年に Due ソフトウェアを利用して送信された請求書 250,000 件を分析したところ、1 回限りの請求書の 63% が発行後 30 日以内に支払われていました。したがって、3 分の 1 は売掛金年齢表の対象になっていたことになります。
このガイドでは、売掛金年齢表の仕組み、作成方法、メリットを含め、売掛金年齢表について事業者が知っておくべきことをご紹介します。
この記事の内容
- 売掛金年齢表に含まれる項目
- 売掛金年齢表の作成方法と使い方
- 売掛金年齢表の計算方法
- 売掛金年齢表のメリット
売掛金年齢表に含まれる項目
売掛金年齢表には、通常、以下の項目が含まれています。
顧客情報: 顧客名または社名。連絡先の詳細や口座番号も参考として記載されている場合があります。
請求書の詳細: 請求書番号、発行日、請求金額。
滞留期間の分類: 滞留期間は請求書が未払いとなっている期間であり、一般的に、0 ~ 30 日、31 ~ 60 日、61 ~ 90 日、91日以上に分類されます。
請求金額: 顧客ごとの滞留期間別の請求金額と、顧客ごとのすべての滞留期間の合計請求金額。すべての未収売掛金の総額が記載される場合もあります。
貸方票: 売掛金年齢表には、未使用の貸方票 の詳細が含まれる可能性があります。貸方票は請求書に貸方記入される項目です。
コメント: 具体的な回収努力、支払いに関する合意事項、その他の関連情報の詳細を記載したコメントや注記を売掛金年齢表に含める場合があります。
売掛金年齢表の作成方法と使い方
売掛金年齢表を作成する
売掛金年齢表はスプレッドシートを使って手動で作成することも、会計ソフトウェアや請求ソフトウェアを使って売掛金元帳からデータを直接抽出して自動的に作成することもできます。会計ソフトウェアには、支払いの催促を顧客に自動的に送付する機能が搭載されている場合があります。企業によっては、売掛金年齢表と顧客関係管理 (CRM) システムを連携させて、財務データと顧客とのやり取りのデータをまとめて管理している場合もあります。
必要に応じて、売掛金年齢表に支払い条件、それまでに行った回収努力、顧客とのやり取りのメモなどの追加情報が含まれるようにカスタマイズしている企業もあります。売掛金年齢表の基本的な作成手順は以下のとおりです。
- 請求書をまとめる。
- 分類する期間 (0 ~ 30 日、31 ~ 60 日など) を設定する。
- 請求書を未払い期間ごとに分類する。
- 分類ごとに顧客の残高を計算する。
- 分類ごとに残高合計を計算する。
このように作成した売掛金年齢表を定期的に更新します (多くの企業は毎月更新することを選んでいます)。売掛金年齢表は、売掛金の現状を反映したものであり、財務監査時の貴重な資料となります。
売掛金年齢表を分析する
売掛金年齢表の定期的なレビューの予定を組みます。通常は週 1 回または月 1 回のレビューを実施し、売掛金の状況を細かく監視し、期日を超過している顧客を早期に見つけます。売掛金年齢表は、以下の関心領域を評価するために使用します。
延滞している顧客: どの顧客の支払いが滞っていて、その請求書の支払いがどの程度遅延しているかを特定します。著しく期日を過ぎている顧客に注目してください。このような顧客は問題であり、早急な対応が必要です。
掛け売りの方針: 掛け売りの方針と手続きの有効性を、支払いの明確な条件、支払い遅延に対する罰金、早期支払いに対する潜在的インセンティブなどを含めて評価します。古い停滞期間の分類に頻繁にまたは大きな残高がある場合、方針が緩すぎるか、効果的に実施されていないことを意味する可能性があります。
回収不能金: 回収不能金のリスクを評価します。請求書の未払い期間が長引くほど、支払いを回収できる可能性が低くなります。2022 年の Due の分析では、受領後 90 日以内に支払いが行われなかった請求書のうち、実際に支払いが行われたもの比率は非常に低く、わずか 18% でした。
パターンや傾向: より大きな問題を示唆している傾向がないか、調べます。たとえば、特定の顧客の支払いが頻繁に遅れている、特定の商品またはサービスに関する問題が支払いの問題や遅延を招いている、などです。どの滞留期間に、未払いの売掛金が最も多く累積しているかを確認してください。
売掛金年齢表に基づいて行動する
売掛金年齢表から得られたインサイトに基づいて、掛け売りの方針や顧客とのコミュニケーション戦略を改善し、売掛金管理プロセス全体を改善します。売掛金年齢表に基づいて、以下を行うことができます。
回収努力に優先順位を付ける: 売掛金年齢表を使って回収活動の優先順位を設定します。最初に、最も古い売掛金に重点的に取り組みます。回収不能金になるリスクが最も高いためです。
支払いの催促を送る: 支払いの期限が過ぎている顧客に連絡を取ります。請求書に関する問題などがあれば、対処します。
法的手段を取る: 回収努力を行ったにもかかわらず、未払いが長期間続く場合は、売上回収のために法的手段を取る価値があるかを検討します。この手続きには時間と費用がかかるため、他の回収手段がすべて失敗した場合の最後の手段として考える必要があります。
返済計画を交渉する: 未払い金を少しずつ回収するために、支払い計画について顧客と交渉することができます。
掛け売りの方針を調整する: 特定の顧客または業種からの支払い遅延のパターンに気付いた場合、その顧客や業種の掛け売り条件を見直し、調整する時期かもしれません。掛け売り条件を調整して、より迅速な支払いを求めたり、前払いや代金引換 (COD) の条件に切り替えたりすることができます。
キャッシュフローを予測する: 売掛金年齢表に示されている予定収入に基づいて、財務予測を調整します。
回収不能金を貸倒処理する: 債権を回収不要と見なした場合、その金額を貸倒費用として会計処理することを決定できます。
未然防止策を導入する: 新規顧客の信用調査を実施する、大口の注文やサービスの場合は前金や代金の一部前払いを求めるなどの未然防止策を取ることを検討しましょう。
売掛金年齢表の計算方法
請求書データを収集する
すべての未払いの請求書の情報を収集しましょう。請求日、顧客名、請求金額を文書化します。滞留期間を判断する
売掛金年齢表に使用する時間枠を決めます。各請求書を分類する
各請求書の未払い日数を計算し、該当する滞留期間に分類します。顧客の合計額を計算する
請求書を顧客別、滞留期間別に分類し、滞留期間ごとの未払い金額合計を顧客ごとに計算します。売掛金年齢表を作成する
各顧客を縦 (列)、滞留期間を横 (行) に並べた表またはスプレッドシートを作成します。顧客別、滞留期間別の合計金額をこの表に記入します。各列の一番下に合計を追加して、各滞留期間の分類での売掛金合計金額が分かるようにします。
計算例
計算例として、ある会社に、以下の 3 つの未払いの請求書があるとします。
請求書 A: 1,000 ドルで、発行日から 20 日経過
請求書 B: 2,000 ドルで、発行日から 40 日経過
請求書 C: 3,000 ドルで、発行日から 75 日経過
滞留期間の計算に基づき、請求書 A は 0 ~ 30 日、請求書 B は 31 ~ 60 日、請求書 C は 61 ~ 90 日に分類されます。売掛金年齢表にはこの分類や、分類別の合計金額が反映されます。合計金額は、0 ~ 30 日は 1,000 ドル31 ~ 60 日は 2,000 ドル、61 ~ 90 日は 3,000 ドルになります。
売掛金年齢表のメリット
キャッシュフローの管理を改善する: 期日を過ぎた請求書を把握して対処することで、事業の運営や投資に必要な資金を確保することができます。
回収不能金が減る: 期限が超過している顧客を特定して早期に対処することにより、回収不能になる可能性を減らすことができます。
顧客の信用調査: 売掛金年齢表を基に、顧客の信用を評価し、その結果に応じて掛け売り条件を調整することができます。
回収プロセスを効率化できる: 売掛金年齢表に基づいて、最も古い売掛金に、戦略的な回収プロセスを優先的に実施することができます。
情報に基づいた財務計画を立案できる: 売掛金年齢表によって、売掛金から予想される資金収入を把握できるため、財務計画に必要な情報が得られます。
法令遵守と報告義務: 売掛金年齢表は、法令遵守に対する企業の取り組みを示し、報告義務を満たすことができます。
関係管理に役立つ: 売掛金年齢表から、財政難に直面している顧客を特定し、自社と顧客の双方にメリットのある解決策を見つけるために連絡を取ることができます。これが、良好な顧客関係に寄与します。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。