電信送金の基礎知識: 事業者が知っておくべきこと

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  1. はじめに
  2. 電信送金とは
  3. 電信送金の仕組み
  4. 電信送金と ACH 送金の違い
  5. 国際電信送金
  6. 電信送金の所要時間
  7. 電信送金の安全性
  8. 電信送金は差戻し可能か
  9. 電信送金の手数料
  10. 企業にとっての電信送金のメリットとデメリット
    1. メリット
    2. デメリット

電信送金は 2 者間で送金を行う一般的な方法です。2021 年には、2 億件を超える電信送金が行われ、前年比で 11% 増となりました。貴社のビジネスにおいて、資金の送受金の戦略に電信送金を含めるべきか考えてみましょう。ここでは、電信送金の仕組みと、事業者にとっての潜在的なメリットとデメリットについて、知っておくべきことをご説明します。

この記事の内容

  • 電信送金とは
  • 電信送金の仕組み
  • 電信送金と ACH 送金の違い
  • 国際電信送金
  • 電信送金の所要時間
  • 電信送金の安全性
  • 電信送金における差戻し
  • 電信送金の手数料
  • 事業者にとっての電信送金のメリットとデメリット

電信送金とは

電信送金は、ある当事者から別の当事者に資金を電子送金する方法です。2 つの銀行口座間で直接行われることもあれば、MoneyGram や Western Union など銀行以外の第三者の電信送金サービスを使用して、個人から個人へと送金されることもあります。電信送金を使用すると、国内外を問わず、スピーディーで安全かつ信頼性に優れた方法で資金を移動できます。

電信送金の仕組み

従来の銀行間の電信送金では、電信ネットワーク経由で資金が送金されます。アメリカでは、銀行が電信送金による資金の送受金に使用するネットワークを、連邦準備銀行が管理しています。このネットワークは Federal Reserve Wire Network と呼ばれ、「フェドワイヤー」として広く知られています。フェドワイヤーは中央銀行の資金のリアルタイム売上処理システムであり、金融機関同士での電子的な取引を円滑化するために使用されています。このネットワークは、事業者、消費者、銀行、政府機関が、送金を安全かつ高速で行うために利用されます。

電信送金は使いやすく高速であるため、広く利用されており、フェドワイヤーは大量の送金トラフィックを処理しています。フェドワイヤーの定期報告書によると、2022 年 3 月、個人と企業による電子送金の件数は 1,800 万件を超えました

口座所有者は、金融機関を通じて直接電信送金を開始できます。電信送金を行うために、送信者は以下の情報を提供する必要があります。

  • 送信者の銀行口座番号と ABA 金融番号
  • 受取人の名前
  • 受取人の銀行名
  • 受取人の銀行口座番号と ABA 金融番号
  • 受取人の住所
  • 送金額

口座所有者は銀行から電信送金を直接開始でき、送金に対応できるだけの資金が口座にある場合にのみ送金が承認されるため、受取人は送金が承認されるのを待つ必要はありません。ほとんどの場合、国内の電信送金では、送金をリクエストした日に送金が開始されます。

電信送金と ACH 送金の違い

電信送金と ACH 送金は、紙幣、小切手、クレジッ カードを使用せずに資金を送受金する際に使用される電子資金送金 (EFT) のタイプとして、一般的です。どちらも第三者機関が維持するネットワークを使用して、異なる金融機関の間で資金を移動します。ただし、電信送金と ACH 送金には互換性がなく、実際には主に次のような違いがあります。

1.使用するネットワーク
ACH 送金では自動決済機関 (ACH) を使用して口座間で送金を行います。ACH は、銀行と信用組合による電子決済と送金のやり取りを一元管理するアメリカの金融ネットワークです。銀行、信用組合、決済処理会社からなる大規模なグループが運営する独立した組織である全米自動決済協会 (NACHA) が管理しています。一方、電信送金はフェドワイヤーを利用しています。

2. 送金時間
リアルタイムで行われる電信送金の場合、処理時間は数時間から 2 営業日で、一般的には高速の方法であると考えられています。対照的に、ACH 送金は通常 1~4 営業日かかります。2021 年 3 月、NACHA の運営規則が変更されて、ACH 取引で同日決済の利用が拡大し、ほとんどの ACH 取引で同日中に決済を完了させられるようになりました。

3. 費用
電信送金は通常、ACH 送金よりも費用がかかります。ACH 送金は無料または数ドル程度で利用できますが、国内電信送金は最大 35 ドル、国際電信送金は 35~50 ドルかかる場合があります。

4. 地理的条件
ACH 送金はアメリカを拠点とする銀行口座間でのみ利用できます。一方、電信送金は国内送金と国際送金の両方で利用できます。

ACH 送金
電信送金
ネットワーク
National Automated Clearing House Association (NACHA: 全米自動決済協会) Federal Reserve Wire Network (Fedwire: フェドワイヤー)
スピード
1 ~ 4 日 数時間、最大 2 日間
送信コスト
通常は無料、それ以外の場合は数ドル 国内: 最大 $35 海外: $35–$50

国際電信送金

国際電信送金は「remittance transfer」としても知られ、アメリカ国内の利用者から他の国の個人または企業に送金される EFT を表す用語です。国際電信送金は連邦政府による保護の対象です。米国消費者金融保護局は 2012 年 10 月、国外送金を行うアメリカの消費者を保護するための一連の規則を導入しました。こうした規制には、消費者のリスクを低減することを目的とした以下の条項が含まれます。

  • 開示
    国際電信送金を行う金融機関は、送金を実行する前に、消費者に対して以下の特定の情報を開示する必要があります。

    • 為替レート。送金元の通貨 (この場合は米ドル) の金額を送金先の国の現地通貨で換算したもの
    • すべての手数料。送金を行う銀行 (またはその他の機関) の手数料、受け取り側の手数料、国外の仲介業者の手数料を含む
    • 手数料と税金を差し引いた、最終的に受け取る金額
  • 領収書
    電信送金の開始後、送信者は以下の情報を含む領収書を受け取る必要があります。

    • 送信先への資金の着金予定日
    • 送信者が取引をキャンセルできるキャンセル可能期間 (通常は 30 分)
    • 取引をキャンセルするために送信者が行う手順
    • 送金に関連する苦情やその他の意見の提出方法

また、この規則は、送信者の代理人 (通常は銀行または第三者の電信送金業者) が前述の項目を実行する方法についても定めています。代理人は送金前に送信者に情報を開示し、送金完了後に領収明細書を送信者に提供する必要があります。

電信送金の所要時間

電信送金が多く利用されている最大の理由は、そのスピードです。国内電信送金は通常は 1 営業日以内に処理され、送金されます。ただし、送金が金曜日の遅い時間に開始された場合は、翌週の月曜日にならないと着金しない可能性があります (月曜日が祝日の場合は翌営業日)。

アメリカから送信される国際電信送金は通常、受取人に着金するまでに 1~5 営業日かかります。処理時間が長くなる要因のひとつとして、国際銀行間送金に伴う不正利用とマネーロンダリングのリスク低減を目的とした追加のセキュリティ要件が考えられます。さらに、こうした送金では多くの場合、通貨換算が必要になるため、処理時間が長くなります。

電信送金の安全性

電信送金は、送金先を把握している限り、銀行口座間で資金を移動するための安全な方法であると広く認識されています。電信送金サービスを提供する機関は、厳格な一連の規則と規制の対象となります。また、電信ネットワーク自体は一般的に安全だと考えられています。ただし、ハッカーによる攻撃に対して確実に保護されるわけではありません。

電信送金は差戻し可能か

通常、電信送金は一度送金されたら差戻すことはできません。国際電信送金は開始後 30 分以内であれば、資金の処理と入金がまだ行われていない限り、キャンセルできることがあります。

電信送金の手数料

他の送金方法と比較して、電信送金は比較的高額です。費用は以下のようないくつかの要素によって異なります。

  • 送金を開始した場所
  • 資金の送金先
  • 送信者か受取人か

金融機関ごとに電信送金の利用にかかる費用は異なります。アメリカ国内の他者に送金する場合、一般的な費用は定額の 25 ドルで、国際電信送金の場合は 35~50 ドルです。銀行によっては、電信送金の受取人は、10~20 ドルの受取手数料を支払わなければならないことがあります。アメリカの大手銀行の一部が設定している電信送金の受取手数料については、こちらから詳細をご確認いただけます。

Stripe では、ユーザーが電信送金の支払いを受け取る際に手数料を申し受けています。

企業にとっての電信送金のメリットとデメリット

自社のビジネスにとって電信送金は適切な選択でしょうか。以下のメリットとデメリットを考慮してみてください。

メリット

  • 高速
    電信送金はカード決済ほど高速ではありませんが、電子送金のための最も高速な方法のひとつです。

  • 安全性
    電信送金は、当事者間で資金を送金する安全な方法です。

  • 信頼性
    電信送金で資金を送受金する場合、送金予定の日付と場所を把握できます。送信者が受取人の口座情報を誤って入力しない限り、電信送金ではエラーが発生する可能性はほとんどありません。

デメリット

  • キャンセルが難しい
    電信送金は処理開始後すぐに決済が完了するため、いったん送信するとキャンセルするのは困難または不可能です。

  • 高額
    これは電信送金の最大の欠点です。高額であるがために、多くの企業は、日々の事業運営で資金を送受金するための主な手段として電信送金の利用を敬遠しています。電信送金での送金 (または受け取り) に関連する手数料を合計すると、この方法は、費用対効果に優れた決済戦略とは言えません。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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