仮想 POS とは企業が仮想決済端末について知っておくべきこと

  1. はじめに
  2. 仮想 POS の構成要素
  3. 仮想 POS の仕組み
  4. 仮想 POS の選び方
    1. フェーズ 1: 事前評価
    2. フェーズ 2: 要件の定義
    3. フェーズ 3: ベンダーの分析
    4. フェーズ 4: 決定と導入
  5. Stripe で利用できる仮想 POS

仮想 POS システムとはソフトウェアベースのシステムであり、これを利用することで企業はレジやカードリーダーなどの物理的なハードウェアを使用せずに取引を処理できるようになります。仮想 POS では、企業はデビットカードやクレジットカードの情報などの支払い詳細をウェブインターフェイスまたはアプリケーションに入力します。仮想 POS システムには通常、インターネットに接続したコンピューター、タブレット、スマートフォンからアクセスできます。Expert Market Research のレポートによると、世界の仮想 POS 端末市場の規模は 2023 年に 200 億ドルでしたが、2032 年までに約 2,200 億ドルに達すると予測されています。このことは、E コマースビジネスにおける仮想 POS システムの重要性が高まっていることを示しています。

この記事では、仮想 POS の構成要素、仕組み、適切な仮想 POS 端末を選択する方法、Stripe の活用方法など、仮想 POS の導入に関して企業が知っておくべきことをまとめています。

この記事の内容

  • 仮想 POS の構成要素
  • 仮想 POS の仕組み
  • 仮想 POS の選び方
  • Stripe で利用できる仮想 POS

仮想 POS の構成要素

仮想 POS は、取引を円滑に進め、さまざまな事業運営に対応できるよう、複数のコンポーネントで構成されています。仮想 POS の構成要素には以下のようなものがあります。

  • ユーザーインターフェイス: 取引を実行する画面を指します。通常はウェブベースで構築されており、ブラウザーを使ってアクセスできます。アクセスの安全性を確保するためログイン認証が必要です。スタッフはこのインターフェイスを介して支払い情報の入力、返金処理、他の取引タイプの管理を実行できます。

  • ペイメントゲートウェイ: 支払い情報の確認と取引の確定を行います。ペイメントゲートウェイは仮想 POS と金融機関との間で通信を行い、支払いの承認または拒否を処理します。

  • データベース: 取引の詳細、顧客情報、商品の一覧を保管します。データベースを効果的に構築することで、情報を素早く取得したり、返品や過去の売上の追跡といった作業を簡単に行ったりできます。

  • 在庫管理: すべてではありませんが、仮想 POS システムの多くは、企業が在庫水準をモニタリングできる機能を搭載しています。中には、あらかじめ設定した水準まで在庫が落ち込んだ場合にアラートを送信する機能を備えているものもあります。このような機能を活用することで、在庫管理を簡単に行えるようになります。

  • ユーザー管理: 企業は各ユーザーに役割や権限を割り当てることができます。たとえば、マネージャーには分析やレポート機能などの高度な機能にアクセスできるようにし、レジ係には取引の処理だけを行えるようにします。

  • 分析とレポート機能: 多くの仮想 POS システムは分析機能を搭載しています。この機能を活用することで、販売傾向、最も購入されている商品、季節的需要といった重要業績評価指数 (KPI) の追跡に役立ちます。

  • 請求書・請求処理: デジタル請求書の作成や送付を行うことができます。多くの場合、カスタマイズ機能が備わっているため、企業のロゴ、規約、その他のブランディング要素を請求書に追加できます。

  • 税金の計算: 一部のシステムには、商品の種類や場所に基づいて税金を自動計算する機能が備わっています。この機能は企業の税務コンプライアンスをシンプルにします。

  • 複数通貨への対応: 国際取引を取り扱う企業の場合、この機能を利用すると、顧客はさまざまな通貨で支払えるようになります。為替レートは通常、市場の状況を反映して定期的に更新されます。

  • サブスクリプション管理: サブスクリプション型サービスを提供している企業の場合、この機能が継続支払いの計画や管理に役立ちます。この機能を利用することで、有効なサブスクリプション、更新期限の到来したサブスクリプション、失効したサブスクリプションを常に追跡できます。

  • セキュリティ機能: 暗号化方式や 2 段階認証などのセキュリティプロトコルは、企業と顧客の保護に役立ちます。

  • 顧客関係管理 (CRM) との連携: 一部の仮想 POS システムは CRM と連携し、顧客情報、購入履歴、やり取りのログを保管できます。それらのデータを活用して、マーケティングのパーソナライズや顧客サービスを改善できます。

上記の各コンポーネントは取引の円滑化、データの保護、業務管理の向上に役立ちます。

仮想 POS の仕組み

企業が仮想 POS を使って取引を円滑化する際の手順を以下にご説明します。

  • 初期セットアップ: まずは、仮想 POS サービスに登録する必要があります。具体的には、アカウントの作成、ユーザーのセットアップ、決済設定や動作設定などを行います。

  • ユーザーログイン: スタッフがユーザーインターフェイスに認証情報を入力してシステムにアクセスします。通常、インターフェイスにはウェブブラウザーや専用アプリを使ってアクセスできます。

  • 取引の開始: 取引開始時、スタッフは顧客が購入しようとしている商品やサービスを選択し、顧客の支払い情報をシステムに手動で入力します。

  • 支払い認証: 顧客の支払い情報をシステムに入力すると、取引がペイメントゲートウェイに転送されます。このステップでは、カードの有効性チェック、利用可能残高の照会、不正利用対策などの検証プロセスが実施されます。

  • 支払いのオーソリ: ペイメントゲートウェイによる取引の認証が完了すると、最終オーソリのためにその情報がそれぞれの金融機関に転送されます。仮想 POS システムに結果 (取引の確定または拒否) が届きます。

  • 取引の完了: 支払いがオーソリされるとその取引は完了です。電子媒体または紙の領収書 (プリンターとの接続の有無による) を顧客に渡します。

  • データ保管: 取引に関する情報をシステムのデータベースに保管します。具体的には、販売した商品、取引金額、顧客の情報 (該当する場合) などの情報を保管します。

  • 在庫の更新: 仮想 POS が在庫管理コンポーネントを搭載している場合、販売した商品の在庫水準が自動的に更新されます。

  • 請求書の生成: システムによっては即時に請求書を発行できます。サービスの実施後に請求を行うサービス中心の企業の場合は特に、請求書の即時発行ができると便利です。

  • 税金の適用: 課税対象の商品・サービスが関わる取引の場合、自動的に適用税率が算定され、取引の合計額に加算されます。

  • 分析の更新: 取引の処理が完了すると販売データが分析コンポーネントに送信されます。企業によるパフォーマンス指標のモニタリングに役立ちます。

  • ユーザーログアウト: セッションの取引が完了したら、システムの安全性を維持するためにユーザーはログアウトします。

プロセスは全体として、多様な企業や業界のニーズに対応しながら、簡単で使いやすく構成されています。

仮想 POS の選び方

適切な仮想 POS を選択するには、自社が抱えるニーズ、市場の状況、技術的な制約を多方面から評価する必要があります。そのための詳しい手順を以下にご説明します。

フェーズ 1: 事前評価

  • 業務の範囲: 自社の業務運営の規模と範囲を評価します。実店舗は 1 カ所だけですか?それとも複数ですか?海外で事業を展開していますか?

  • 取引の種類: 自社で最も頻度が高い取引の種類は何ですか?クレジットカードデジタルウォレットですか?仮想通貨ですか?

  • チームのスキルレベル: 社内チームの技術的専門知識を考慮します。システムが複雑な場合、高度なトレーニングが必要になる可能性があります。

  • 予算の制約: 初期投資や継続的な運用にどの程度の予算をかけることができますか?導入費用だけでなく、サブスクリプション料金やその他の継続的な費用も詳しく調べてください。

フェーズ 2: 要件の定義

  • 機能の列挙: 在庫管理、分析、複数通貨への対応など、絶対に必要な機能を一覧にまとめます。

  • 法令遵守や規制準拠に関する要件: PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) など、支払いカードのセキュリティに関して自社の属する業界で遵守が義務付けられる法令や金融規制について調査します。

  • 連携: 会計ソフトや顧客関係管理 (CRM) システムといった手持ちのシステムと仮想 POS を連携させる必要はありますか?

  • カスタマイズ機能: 業務により適合するようにシステムを調整する必要はありますか?

  • ベンダーの評判: 優秀なカスタマーサービス、安定した稼働時間、優れた性能で評価を得ているベンダーを探します。

フェーズ 3: ベンダーの分析

  • 無料試用やデモ版: 要件を満たしていると思われるシステムをいくつか試します。各機能の使用、ユーザーインターフェイスの確認、速度や応答性のテストを行ってください。

  • カスタマーレビュー: 同じ業界に属する企業のレビューを確認します。

  • 費用便益分析: 各システムのメリットとデメリットを比較します。短期的なメリット・デメリットと長期的なメリット・デメリットの両方を比較します。

  • 契約上の義務: 解約手数料、データ移行サポート、その他の潜在的な問題について契約書の細則を確認します。

フェーズ 4: 決定と導入

ベンダーの選定: 定義した要件を基に最適なベンダーを選びます。

  • 契約書の確認: 契約書を細部まで調べて、自社のニーズを満たしていることを確認します。

  • トレーニング: 選定したシステムを最大限に活用できるよう、スタッフに十分なトレーニングを実施します。

  • パイロットテスト: パイロットテストを実施して問題を解消し、ユーザーのフィードバックを収集して調整を加えます。

  • 展開: 準備が整ったら、システムをビジネス全体に展開します。

  • 継続的な評価: パフォーマンス指標や投資利益率 (ROI) を継続的に追跡します。

上記のような体系的な評価・選定プロセスを実施することで、自社の業務プロファイル、技術的要件、成長目標に適した仮想 POS を選ぶことができます。

Stripe で利用できる仮想 POS

Stripe が提供している仮想端末はオンラインベースの POS システムです。このシステムを通じて、企業はクレジットカード情報やその他の支払い情報をオンラインインターフェイスに手動で入力できます。POS ハードウェアシステムとは異なり、仮想端末ではコンピューターとインターネット接続以外の物理的機器が不要です。

仮想端末を利用する重要なメリットを以下にご紹介します。

  • アクセスのしやすさ: 仮想端末にはインターネット接続デバイスからアクセスできるため、場所を問わずに取引を処理できます。

  • 導入費用の安さ: 専用のハードウェアが不要なため、通常は仮想 POS の導入にかかる初期費用を低く抑えられます。

  • 導入期間の短縮: 仮想端末はウェブベースのアプリケーションです。新規従業員への使用方法に関するトレーニングにかかる時間が非仮想の POS システムよりも短いため、時間やリソースを節約できます。

  • 柔軟性: 対面取引だけに依存していない企業や、リモートで業務を行うフリーランサーやコンサルタントの場合は特に仮想端末が役立ちます。

  • データ連携: Stripe の仮想端末は他の Stripe サービスと連携できるほか、いくつかのサードパーティー製アプリケーションとも連携が可能です。これにより、単一のダッシュボードから企業の財務取引に関するさまざまな事柄を管理できるようになります。

  • 請求書の作成: Stripe の仮想端末を含め、多くの仮想端末には端末から請求書の作成や送付を直接行える機能が備わっています。商品ではなくサービスを提供している企業の場合は特にこの機能が役立ちます。

  • 決済手段: クレジットカードやデビットカードのような複数の支払い方法に対応しています。これにより、顧客の好みに対応しやすくなります。

  • PCI 準拠: Stripe の仮想端末は支払いカード業界 (PCI) 基準に準拠しているため、データ侵害や不正行為のリスクを低減できます。

  • 長期契約不要: 仮想端末は Stripe が提供しているサービスの 1 つであるため、通常、長期契約は不要です。そのため、企業は柔軟性を保ちながら状況の変化に適応できます。

  • 複数通貨への対応: 海外で事業を行う企業や多様な顧客基盤を持つ企業の場合は特に、複数の通貨で取引を処理できることが重要です。

  • 決済のスケジュール設定: 一部の仮想端末では、決済のスケジュール設定が可能です。サブスクリプションベースのビジネスモデルではこの機能が役立ちます。

Stripe の仮想 POS 端末が、金融取引を処理するための柔軟で利便性の高いオプションをどのように提供しているかについて、詳細をご覧ください。

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