グローバル化した現代社会では、複数の州や国で事業を行う企業が増えています。その結果、より多くの市場で支持を得るチャンスが広がるのと同時に、複雑な税の問題も発生します。
「ネクサス」と「売上税ネクサス」という 2 つの重要な税務用語を理解することは、売上税の納税義務を遵守する必要のあるビジネスを拡大していくうえで不可欠です。これを怠ると、多額の罰金を科されかねません。売上税の納税義務を適切に管理していない企業は、評判を下げ、法的な措置を講じられる恐れさえあります。また、売上税ネクサスを理解することは、売上税の徴収および納付義務のある場所を企業が理解し、さまざまな管轄区域でビジネスを行うためのコストを正確に計算し、税法を遵守するのに役立ちます。
この記事では、ネクサスと売上税ネクサスとは何かを説明します。たとえば、売上税ネクサスが生じるアクティビティ、さまざまなタイプのネクサス、および特定の管轄区域に売上税ネクサスがあるかどうかを企業が判断する方法について説明します。また、企業が売上税の納税義務を管理し、コンプライアンスを維持し、罰金や法的な措置を受けないようにするのに役立つベストプラクティスについても説明します。
この記事の内容
- ネクサス税とは
- 売上税ネクサスのタイプ
- 売上税ネクサス
- Stripe にできること
ネクサス税とは
ネクサス税は、「ネクサス手数料」や「ネクサス追加料金」とも呼ばれる税または手数料の一種です。州または管轄地域によって課され、その境界内で売上税ネクサスを持つ企業が対象です。売上税ネクサスが生じるのは、企業が、ある州や管轄区域に対し、物理的な拠点や経済活動などの形で十分な関係や存在を持ち、売上税の徴収義務が発生する場合です。
ネクサス税は、企業が売上税ネクサスを持つ州または管轄区域の特定の規則または率に基づいて計算されます。通常、ネクサス税は、企業が州または管轄区域内で生み出す総売上または総収入に対する割合で決まります。正確な割合は、州または管轄区域によって大きく異なり、州によっては追加の手数料や追加料金が課される場合もあります。
売上税ネクサスを持つ企業が、その州内で得た課税対象の売上に対して州および地方の売上税を徴収および納付する必要のある州の例を以下に示します。
カリフォルニア州
カリフォルニア州の売上税は現在 7.25% ですが、地方売上税率は具体的な場所によって 0.1% から 2.5% まで差があります。ニューヨーク州
ニューヨーク州の売上税は現在 4% ですが、地方売上税率は具体的な場所によって 3% から 4.875% まで差があります。テキサス州
テキサス州の売上税は現在 6.25% ですが、地方売上税率は具体的な場所によって 0.5% から 2% まで差があります。
売上税ネクサスのタイプ
売上税ネクサスとは、企業と、売上税の納税義務が発生する州または管轄区域との間のつながりまたは関係のことです。売上税の徴収および納付の義務が発生する売上税ネクサスには、次のタイプがあります。
物理的ネクサス
物理的ネクサスが生じるのは、企業が店舗、倉庫、オフィスなどの物理的な拠点を、その州または管轄区域内に持つ場合です。このタイプのネクサスは、売上税徴収の伝統的な基準となるもので、さまざまな裁判例を通じて確立されています。物理的ネクサスの例には、州内に物理的な拠点、従業員、在庫を持つ企業が含まれます。エコノミックネクサス
企業がある州または管轄区域内に物理的な拠点を持たないとしても、その領域内で一定レベルの経済活動を行う場合、エコノミックネクサスが生じます。通常、エコノミックネクサス法では、州内で発生する売上、取引、収入に対するしきい値が設定されます。そのしきい値に達するかしきい値を超過した企業には、売上税を徴収および納付する義務が発生します。近年、多くの州がエコノミックネクサス法を採択してきましたが、これは サウスダコタ州対Wayfair の最高裁判決 を受けたものです。この判決では、企業に対し、たとえ物理的な拠点を持たない州であっても、1 年に取引が 200 件を超えるか売上が $100,000 を超える州では、取引の売上税を徴収および納付することが義務付けられています。アフィリエイトネクサス
アフィリエイトネクサスは、企業が、ある州に物理的な拠点を持つ別の企業と関係を持つ場合に生じます。これが起こり得るのは、企業が、ある州に、オーナーやブランディングが共通であるなど、自社に関係のある関連会社や子会社を持つ場合です。その企業の関連会社がその州に物理的な拠点を持つ場合、一般に、アフィリエイトネクサス法では、その企業に対し、売上税の徴収および納付を行うよう義務付けています。クリックスルーネクサス
クリックスルーネクサスは、企業が、ある州のサードパーティーの売り手または紹介業者と関係を持つ場合に生じます。これは、サードパーティーがそのウェブサイトやマーケティング活動で得た売上に対して、企業が委託手数料や紹介手数料を支払う場合に発生することがあります。一般に、クリックスルーネクサス法では、その企業に対し、そのサードパーティーがその州に物理的な拠点を持つ場合、売上税の徴収および納付を行うよう義務付けています。
売上税ネクサス
売上税ネクサスは、企業と州または地方自治体との間に存在する、売上税の徴収および納付の義務が生じる関係を説明するために使用される用語です。これは、ある州で企業が売上税の徴収と納付の義務を負うかどうかを決める、活動の最小のしきい値です。
たとえば、ハンドメイドのキャンドルを販売するオンラインストアを経営しているとします。企業の拠点はアリゾナ州にありますが、カリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州でもキャンドルを販売しています。州ごとに独自の売上税法と売上税率が定められているため、自分が売上税ネクサスの対象になるかどうかを州ごとに判断する必要があります。
たとえば、カリフォルニア州では、今年または前年の売上が $500,000 を超える場合、売上税ネクサスが確立されます。2019 年 4 月 25 日に、カリフォルニア州は取引件数に関する以前のしきい値を撤廃しました。一方、コロラド州では、企業の 1 年の売上が $100,000 を超えると、売上税ネクサスの対象になります。
売上税ネクサスは、ある州または管轄区域内の物理的な拠点の存在、経済活動、アフィリエイト関係、クリックスルー関係など、さまざまな活動や要素によって生じます。売上税ネクサスが確立されると、企業は、その州または管轄区域内で得た課税対象の売上に対して、売上税を徴収および納付する義務を負います。売上税ネクサスの規則と要件は州および管轄区域によって異なるため、罰金や法的な措置を受けないようにするには、企業が売上税ネクサスの義務を理解し、該当するすべての税法を遵守することが必要になります。
売上税ネクサスの確立基準
売上税ネクサスを確立する普遍的な基準は存在しませんが、一般的には、いくつかの要素を考慮することで、企業が特定の州または管轄区域で売上税の納税義務を負うかどうかを判断できます。売上税ネクサスの一般的な確立基準としては、次のものがあります。
物理的な拠点
ある州または管轄区域内に物理的な拠点があると、売上税ネクサスが確立される場合があります。これには、その州に物理的なオフィス、店舗、倉庫、または他の施設を有することや、従業員や独立請負業者がその州で働いていることが含まれます。経済活動
多くの州ではエコノミックネクサス法を採用しています。この法では、その州で発生する売上、取引、収入が一定のしきい値を満たす企業に対し、売上税の納税義務が生じます。これらのしきい値は、州ごとに大きく異なる場合があり、変更される場合もあります。アメリカの各州の完全なエコノミックネクサス基準の一覧 を参照してください。アフィリエイト関係
一部の州ではアフィリエイトネクサス法が制定されています。この法では、その州で関連会社または子会社との関係を持つ企業に対して、売上税の納税義務が発生します。これが起こり得るのは、企業と州内の関係会社または子会社との間で、オーナーやブランディングが共通などの関係がある場合です。クリックスルー関係
一部の州ではクリックスルーネクサス法が制定されています。この法では、その州でサードパーティーの売り手または紹介業者との関係を持つ企業に対して、売上税の納税義務が発生します。これは、サードパーティーがそのウェブサイトやマーケティング活動で得た売上に対して、企業が委託手数料や紹介手数料を支払う場合に発生することがあります。
ビジネスに対する売上税ネクサスの影響
売上税ネクサスは、州または管轄区域の特定の状況や要件によっては、ビジネスに大きな影響を与える場合があります。企業は、自社が売上税ネクサスを持つ州および管轄区域とその影響について理解している必要があります。これには次が含まれます。
コンプライアンスのコスト
ビジネスに対する売上税ネクサスの最も大きな影響の 1 つは、州や地方の税法を遵守するためのコストです。複数の州または管轄区域で売上税ネクサスを持つ企業では、売上税の許可登録、課税対象の売上に対する売上税の徴収と納付、定期的な売上税の申告、売上および徴収税の詳細な記録維持などが必要になる場合があります。罰金と利息
売上税ネクサスの義務を遵守していない企業は、申告や支払いの遅延または誤りに対して、罰金や利息を課される場合があります。罰金はかなりの額になることや急速に膨れ上がることがあり、企業にとって追加コストや大きな財務負担につながります。競争上の不利益
売上税の納税義務を適切に管理していない企業は、税法を遵守している企業と比べて、競争上の不利益に直面する可能性があります。遵守している企業はさまざまな管轄区域でビジネスを行うためのコストを正確に計算できますが、遵守していない企業は価格面でも他の面でも競争が困難になる場合があります。評判への悪影響
売上税ネクサスの義務を遵守しないと、企業の評判に悪影響が及ぶ恐れがあります。顧客は税法違反の過去がある企業とはビジネスをしたがらない場合があり、ネガティブな評判や法的措置は企業の評判やブランドを傷つけかねません。
企業が売上税ネクサス法を遵守するために行えるステップ
売上税ネクサス法を遵守することは、企業にとって複雑な課題となる場合があります。複数の州または管轄区域で売上税の納税義務を負う場合は特にそうです。以下に、企業が売上税ネクサス法を遵守するために行えるステップを説明します。
売上税ネクサスを持つ地域を判断する
売上税ネクサス法を遵守するための最初のステップは、企業が売上税の納税義務を負う地域を判断することです。これには、企業が物理的な拠点、経済活動、アフィリエイト関係、クリックスルー関係を持っている地域を特定することと、経済活動を行っている州または管轄区域それぞれの売上税ネクサス要件を理解することが含まれます。売上税の許可登録を行う
売上税の納税義務を負う地域を特定したら、ネクサスを持つ州または管轄区域それぞれで、売上税の許可登録を行うことが必要になります。通常、これには、申請書の記入に加えて、連邦納税者番号、ビジネスタイプ、連絡先情報などのビジネスに関する情報提供が含まれます。売上税を徴収および納付する
売上税の許可登録が済んだら、ネクサスを持つ州または管轄区域ごとに、課税対象の売上に対する売上税を徴収および納付する必要があります。通常、これには、顧客に適切な売上税率を課すこと、売上と徴収した税を追跡すること、定期的に売上税を申告すること、州または管轄区域に売上税を納付することが含まれます。詳細な記録を保持する
売上税ネクサス法を遵守するには、すべての売上と徴収税についての詳細な記録を保存することが不可欠です。これには、売上請求書、レシート、および売上税の徴収と納付をサポートするその他の文書の記録を管理することが含まれます。最新の売上税ネクサス要件を常に確認する
売上税ネクサス要件は頻繁に変わることがあるため、ネクサスを持つ州または管轄区域ごとに、最新の売上税法と規制を常に把握している必要があります。これには、売上税率、しきい値、規則の変更を確認することと、資格のある税務専門家との提携により該当するすべての税法を確実に遵守することが含まれます。
Stripe にできること
税金、法令遵守、法律や規制の継続的な変更監視を可能な限り効率的に処理したいと考える企業向けに、ハイテクを駆使したソリューションが提供されており、それらを使用することで従来は必要だった手作業を省略できます。Stripe Tax は、決済に関する税金の計算、徴収、申告を、企業が一度の導入でグローバルに自動化できる包括的な税務ソリューションです。企業は、このソリューションを使用することにより、登録すべき地域の確認、適切な税額の自動徴収、税金の申告に必要なすべてのレポートの生成を処理できます。
以下に、Stripe Tax が企業にもたらす売上税ネクサス関連のメリットのいくつかを説明します。
売上税の自動計算
Stripe Tax では、リアルタイムで売上税率と規則を使用し、企業が売上税の納税義務を負う州または管轄区域それぞれの特定の売上税ネクサス要件を考慮に入れて、取引ごとの売上税を自動計算します。これにより、企業は、適正な売上税額を確実に徴収し、生じ得る法令遵守の問題を避けることができます。包括的な売上税対応
Stripe Tax は、アメリカの 50 州すべてとワシントン D.C. に加えて、多くの国際的な管轄区域の売上税ネクサス要件に対応しており、Stripe Tax を使用する企業は、複数の州や管轄区域の売上税要件を簡単に遵守できます。シンプルな売上税管理
Stripe Tax は、売上税のレポート生成や売上税の申告を企業に代わって自動処理することにより、売上税管理を簡素化します。これにより、複数の州または管轄区域で売上税の納税義務を追跡して申告を行うための手作業に必要な時間とリソースを大幅に節約できます。拡張可能な売上税ソリューション
Stripe Tax は、ビジネスの成長と業務の拡張に伴って拡張できるように設計されています。企業は、新しい州または管轄区域で売上税ネクサスが確立されたときに、新しい売上税の納税義務を簡単に追加できるため、売上税の法令遵守を自力で管理することを心配する必要がなくなります。
Stripe Tax は、売上税の法令遵守義務、特に売上税ネクサス関連の取り組みを簡素化し、自動化する方法を探している企業にとって強力なソリューションです。Stripe Tax を使用することにより、企業は、売上税の納税義務を負う州または管轄区域ごとに売上税を正確に徴収および納付でき、複雑な売上税の規則や要件に自力で対応する必要がなくなります。詳細については、こちらをご覧ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。