タイ国内外で競争が激化する中、長期的な顧客関係の構築は、あらゆる事業の持続的な成長において重要な要因となっています。この点で広く活用され、高い効果を発揮している戦略がロイヤルティプログラムです。レストラン、コーヒーショップ、EC プラットフォーム、旅行・配送アプリ、航空会社など、幅広い事業で採用されています。
本記事では、タイにおけるロイヤルティプログラムと特典プログラムとは何か、なぜ普及しているのか、成功に寄与する主な要因について解説します。また、タイの顧客ニーズに応えるロイヤルティプログラムの設計戦略と、成果を体系的に測定する方法についても取り上げます。さらに、すべての顧客取引についてリアルタイムでデータを記録し、ポイントを自動付与する機能を備えた、ロイヤルティプログラムの管理を効率化・簡素化するソリューションも紹介します。
目次
- ロイヤルティプログラムと特典プログラムの概要
- タイのロイヤルティプログラムを理解する
- タイ市場でロイヤルティプログラムが人気を集めている理由
- ロイヤルティプログラムの設計方法
- ロイヤルティプログラムの成功を測定する方法
- Stripe がお役に立てること
ロイヤルティプログラムと特典プログラムの概要
ロイヤルティプログラムは、企業が顧客との関係を育み、ブランドロイヤルティを高めるために使用するマーケティング戦略です。顧客が行動に基づいてポイントを貯められるシステムを設けることで実現されます。リピート購入や支出目標の達成の見返りとして、顧客は割引、特典、特別優待を受け取ります。
ロイヤルティプログラムには、ブランド認知度の向上、顧客ロイヤルティの強化、リピート購入の促進、既存顧客基盤の維持 (顧客維持)、顧客生涯価値 (CLV) の向上など、複数の目的があります。これらはすべて、デジタルマーケティング時代の事業にとって重要な要素です。
タイのロイヤルティプログラムを理解する
ロイヤルティプログラムは、コーヒーショップや理髪店などで使われていた従来のスタンプカードから始まりました。顧客は紙のカードにスタンプを 10 個集め、無料の飲み物やヘアカットサービスと交換していました。その後、映画館やガソリンスタンドなどで見られるような、プラスチックカード形式の会員カードシステムが登場しました。ロイヤルティプログラムは、航空業界やホテル業界で特に広く普及しました。これらの業界では、サービス利用に応じてポイントを付与し、さまざまな特典に交換できるようにすることで、顧客との長期的な関係構築を目指していました。代表的な例が、1993 年に正式に開始されたタイ国際航空のロイヤルオーキッドプラスプログラムです。
その後、デジタルテクノロジーの役割がますます大きくなるにつれて、タイのロイヤルティプログラムも進化し、小売業、レストラン、コーヒーショップ、百貨店、クレジットカードサービスなど、他の業種にも広がりました。やがてスマートフォンの普及により、顧客はアプリやオンラインプラットフォームで、ポイントの確認、特典の受け取りや交換をより便利に行えるようになりました。さらに、顧客行動の分析や、個人のニーズに合わせたプロモーションの提供にデータが活用されるようになりました。これはパーソナライゼーションと呼ばれます。
ロイヤルティプログラムの種類
一般に、タイのロイヤルティプログラムは主に 5 種類に分けられ、それぞれに固有の強みがあり、適した事業も異なります。事業に適した種類のプログラムを選ぶことで、以下のように顧客ロイヤルティを高め、競争優位性を生み出すことができます。
ポイントベースのプログラム
顧客は商品やサービスの購入を通じてポイントを獲得し、そのポイントを特典や割引に交換できます。これは、タイで最も一般的に見られるロイヤルティプログラムの種類です。例として、ユーザーが BTS (バンコク大量輸送システム) への乗車や参加盟店での商品購入でポイントを獲得し、無料乗車や店舗割引に交換できる Rabbit Rewards、Beauty Insider プログラムを通じて商品や無料ギフトと交換できるポイントを顧客が獲得できる Sephora、会員が Stars を集めて無料の飲み物や商品に交換できる Starbucks Rewards などがあります。
階層型メンバーシッププログラム
階層型プログラムには会員ランクがあり、利用額が多いほど多くの特典を受けられます。この仕組みによって、顧客はより高いランクに上がるために支出を増やすよう促され、特別感が高まります。シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンドなどの会員ランクは、通常、累計利用額や購入頻度に基づいて割り当てられます。上位ランクの会員は、限定割引、送料無料、無料ギフトなど、より多くの特典を受けられます。階層型メンバーシッププログラムの例としては、AirAsia Rewards、GrabCoins、Shopee Rewards などがあります。
キャッシュバックまたは特典ベースのプログラム
顧客は支出に基づいてキャッシュバックや割引を受け取り、わかりやすく即時性のある還元を得られます。このモデルは、クレジットカードサービスや EC プラットフォームで人気があります。キャッシュバックに加えて、これらのプログラムでは、先行提供版、会員限定プロモーション、無料ギフト、追加サービスなどの限定特典を提供する場合があります。キャッシュバックまたは特典ベースのプログラムの例としては、セブン - イレブンの ALL Member ロイヤルティポイントシステムや、次回以降の購入に利用できるリベートを提供する Lazada などがあります。
有料メンバーシッププログラム
顧客はメンバーシップ料金を支払うことで、送料無料、限定割引、メンバー限定サービスなどの追加特典を受け取ります。このモデルは常連顧客に最適で、予測可能な収益を生み出します。メンバーはメンバーシップの価値を最大限に活用しようとして、サービスをより頻繁に利用するよう促されるためです。例としては、コワーキングスペースのメンバーシップ、食品の割引や無料配達を受けられる GrabUnlimited、広告なしの視聴や限定機能を利用できる YouTube Premium などがあります。
提携型プログラム
提携型プログラムは、同じロイヤルティプログラムに参加する提携組織やブランド向けのポイント蓄積システムです。顧客はネットワーク内のどのブランドでもポイントをより早く貯めて利用でき、拡張されたエコシステムを通じて利便性と価値が高まります。代表的な例としては、ANA、エバー航空、ルフトハンザ、シンガポール航空、タイ国際航空、ユナイテッド航空などが加盟する世界最大の航空連合ネットワークであるスターアライアンスや、Central Group の Central デパート、Robinson、Tops、Power Buy、B2S などの各事業で利用できる The 1 ロイヤルティメンバーシッププログラムがあります。
タイ市場でロイヤルティプログラムが人気を集めている理由
タイ市場でロイヤルティプログラムが人気を集めているのは、顧客が費用対効果を重視し、プロモーションを好むためです。割引、ポイント蓄積システム、フラッシュセールやゾロ目の日 (9.9 や 11.11 など) といった短期プロモーション、メンバー限定特典など、形態はさまざまです。こうした施策は、日々の支出に対するお得感を顧客にもたらします。さらに、デジタルプラットフォームやアプリの成長により、ロイヤルティプログラムはさらに便利に利用できるようになり、ポイントの獲得、特別特典の確認、割引や特典の利用といった作業が簡素化されました。
同時に、事業間の競争が激化したことで、ブランドは既存顧客を維持し、リピート購入を促し、ブランドロイヤルティを強化するためにロイヤルティプログラムを活用するようになりました。さらに、ロイヤルティプログラムは、マーケティング戦略の策定や競争優位性の向上に役立つ顧客インサイトを得るために、顧客データを記録・分析する重要なツールです。
タイ市場で成功しているロイヤルティプログラムの例
7-Eleven の ALL Member: このメンバーシップシステムは、ポイントを貯めて限定特典を利用できるように設計されています。7-Eleven アプリまたは登録済みの電話番号からアクセスできるこのプログラムは、1,000 万人以上の顧客とつながっています。このプログラムでは、購入のたびにポイントを獲得でき、ポイントは現金同様に使用したり、商品と交換したり、割引に引き換えたりできます。また、メンバー限定の特典やプレミアム特典も用意されています。
Singha Rewards: Singha 飲料水のキャップ裏にある QR コードを使用し、Singha LINE 公式アカウントを通じてポイントを貯めます。このアカウントは一般消費者にリーチしやすく、物理カードが不要で、「飲めば飲むほどポイントが貯まる」キャンペーンを通じて、ポイントを即座に特典と交換したり、抽選に参加したりできます。この取り組みは、タイで広く利用されている身近なチャットプラットフォーム上で展開されているため、高いエンゲージメントを達成しています。
Shopee Coins: このプログラムでは、参加店舗で商品を購入すると、対象商品の購入金額 ฿ 1 ごとに 1 コインを受け取ります。追加のコインは、毎日チェックインしたり、アプリ内のアクティビティやゲームに参加したり、商品のレビューを書いたりすることで獲得できます。Shopee Coins の 1 コインは ฿ 1 に相当しますが、指定された期間内に使用しないと失効します。
Starbucks: この非常に成功したロイヤルティプログラムは、顧客が 25 バーツを使うごとに 1 つのスターを獲得できるアプリ内会員システムを通じて運営されています。このプログラムには、グリーンとゴールドという 2 つの主要な会員ランクがあります。顧客はスターを使用して、無料のドリンクや食べ物、ドリンクの無料サイズアップ、割引や誕生日ギフトなどの特別な特典と引き換えることができます。このシステムは、顧客のリピート購入を促します。
The 1: タイ市場最大のロイヤルティプログラムである The 1 は、デパート、ホテル、スーパーマーケットなど、Central Group の多様な事業ポートフォリオ全体にわたる 2,200 万人以上の会員データにアクセスして分析できます。これにより、提携ブランドは精度の高いコミュニケーションを行い、会員との関連性が高く、強く訴求するアプリ内プロモーションを提供できます。
ロイヤルティプログラムの設計方法
タイの顧客のニーズに応えるロイヤルティプログラムを設計するには、以下のガイドラインに従って進めることができます。
目標設定
ロイヤルティプログラムは当初から、明確なターゲットグループと目標を設定する必要があります。たとえば、平均取引額の引き上げ、購入頻度の向上、既存顧客の維持、顧客データベースの構築などが目標として挙げられます。また、マーケティング戦略に合致し、各顧客グループのニーズに応える特典を提供するために、行動パターンや顧客価値 (新規顧客、常連客、VIP など) に基づいてターゲットグループを明確にセグメント化する必要があります。
ロイヤルティプログラムソリューションの設計と選択
設定した目標に沿って、ポイント付与の仕組み、利用規約、有効期間、会員ランク (設ける場合) を定め、便利で利用しやすいユーザー体験を設計します。顧客がポイントをすばやく簡単に貯めて引き換えられるよう、プロセスを効率化します。Stripe Loyalty and Rewards アプリなどのロイヤルティプログラムソリューションを設計または選択できます。主な機能は以下のとおりです。
ポイントの自動付与: 所定の条件を満たす場合、決済が完了すると顧客に即座に特典ポイントが付与されます。
ボーナスポイントの付与: 顧客が対象商品を購入したときにボーナスポイントを付与するオプションを追加できます。
多様な特典に対応する: 顧客は、割引、無料ギフト、限定サービスなど、事業者が設計した幅広い特典にポイントを柔軟に引き換えられます。事業者は、ロイヤルティプログラムの特典カタログを簡単にカスタマイズして更新できます。
会員ランク制度: 累計利用額や購入頻度などの特定の基準に基づいて、顧客をシルバー、ゴールド、プラチナなどの異なるランクに分類し、各ランクに固有の特典や特別サービスを提供できます。
ロイヤルティプログラムを他のシステムと連携させる
ロイヤルティプログラムは、アプリケーションプログラミングインターフェイス (API)、プラグイン、アドオンアプリを介して、他の主要な業務システムとシームレスに連携し、データをリアルタイムで記録・更新できる必要があります。これにより、すべてのプラットフォームでデータの一貫性が確保されます。連携すべきシステムには、以下のようなものがあります。
決済システム:Stripe Payments のような包括的なソリューションを選択して、決済システムをロイヤルティプログラムとシームレスに連携させます。これにより、あらゆるセグメントの顧客が、デジタルウォレット、PromptPay、モバイルバンキングなどの幅広いチャネルを使用して便利に決済できるだけでなく、決済プロセスでロイヤルティポイントを使用したり、特典に交換したりできます。
基幹業務 (ERP) システム: ERP システムは、倉庫管理、販売、製造、会計をリアルタイムで連携する中央データハブであり、取引が発生するとすぐに在庫管理とデータ更新を行えるようにします。これにより、特にプロモーションキャンペーン期間中に、正確な在庫水準を維持し、在庫不足を軽減できます。
顧客関係管理 (CRM) システム: CRM システムは、購入履歴やブランドとのやり取りに基づく個々の顧客行動に合わせて、ロイヤルティプログラムのプロモーションや特別な優待を調整するのに役立ちます。
データ分析システム: データ分析システムにより、キャンペーンの効果をより高い精度で追跡・測定・評価できます。顧客がどの優待や特典に最もポイントを交換したいと考えているかを分析し、顧客ニーズにより合ったオファーを設計する必要があります。
情報を明確に伝える
ロイヤルティプログラムの利用規約や条件を、分かりやすく、網羅的で透明性の高い形で明確に伝えます。また、従業員がプログラムを十分に理解できるよう研修を実施し、接客担当スタッフが顧客に定期的に紹介して参加を促すうえで重要な役割を担うようにします。この取り組みは、ソーシャルメディア、広告、メール、LINE 公式アカウントなど、すべてのブランドチャネルを通じたコミュニケーションと組み合わせ、プロモーション、特典、現在のポイント残高について顧客に知らせます。
プログラムをモニタリング・分析する
顧客行動をモニタリング・分析してロイヤルティプログラムの効果を評価し、どのキャンペーンが成功しているか、どの顧客グループのエンゲージメントが高いか、どの時期に売上が最も伸びるかといった指標を把握します。このデータを活用して特典や優待の構成を改善し、顧客行動により合った魅力的な内容にします。プログラムは継続的にテストと改善を重ね、長期にわたって効果を維持できるようにする必要があります。
ロイヤルティプログラムの成功を測定する方法
成果を測定し、ロイヤルティプログラムの成功を評価して、そのプログラムに価値があるかどうかを判断するには、以下の重要業績評価指標 (KPI) を検討します。
顧客維持率
この指標は、顧客満足度とブランドロイヤルティを示す指標となります。既存顧客を維持することは、マーケティングコストの削減に役立つだけでなく、会社の製品やサービスの品質も反映します。既存顧客の維持コストは新規顧客の獲得コストよりも低く、既存顧客はリピート購入や紹介を行う可能性も高くなります。したがって、現在の顧客維持率が上昇した場合、実施したプログラムが効果的であることを示しています。
平均注文金額 (AOV)
各顧客の平均注文金額が増加した場合、プログラムが成功していることを示しています。効果的なロイヤルティプログラムは、多くの場合、クロスセルやアップセルを促進します。
リピート購入率
リピート購入率は、顧客が再び購入する頻度を測定する指標です。顧客満足度、信頼、会社の製品やサービスから顧客が感じている価値のレベルを反映する重要な指標となります。次の式で計算します。
(リピート顧客数 ÷ 初回顧客数) x 100 = リピート購入率
リピート購入率が高い場合、顧客が肯定的な体験をしており、長期的にブランドにロイヤルティを持つ可能性が高いことを示します。これは、ロイヤルティプログラムがリピート購入を効果的に促進していることを意味します。
引き換え率
ポイント、特典、割引の引き換え率は、キャンペーンの重要業績評価指標であり、顧客が蓄積したポイントや特典をどの程度利用しているかを測定します。引き換え率が高すぎる場合は、適切な戦略的調整を行えるよう、価値を見直す必要があります。一方、低すぎる場合は、特典やプロモーションが十分に魅力的でないか、引き換えにくい可能性があります。
顧客エンゲージメント指標
この指標は、顧客の関与度、具体的には、顧客がロイヤルティプログラムを認識し、積極的に参加している程度を測定するために使用されます。例として、ログイン数やアプリの利用セッション数、顧客が参加したアクティビティの数、プロモーションメッセージのクリック数や開封数などがあります。エンゲージメント率が高いことは、顧客ロイヤルティと満足度が高いことを示しており、リピート購入の機会増加と売上高の向上につながります。
投資収益率 (ROI)
この指標は、プログラムが投資に見合う収益を生み出しているかどうかを評価するためのベンチマークです。増収分は、投資したコストを賄えるだけの十分な額である必要があります。計算には次の簡単な式を使用します。
(増収分 - プログラムコスト) ÷ プログラムコスト = ROI
ROI が 0 を上回る場合、そのロイヤルティプログラムは利益を生み出せることを示します。
Stripe Billing でできること
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業務効率の向上: Stripe のモジュール型税務管理、収益レポート、データツールを活用して複数の収益管理システムを 1 カ所に統合。外部のソフトウェアとも簡単に連携できます。
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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。