重要業績評価指標 (KPI) とは何か、オンラインストアの成功度合いを測るのに重要な KPI はどれか、それらの指標を定期的に監視すべきなのはなぜかについて説明します。

本記事の内容

• EC ストアとは
  
• EC ストア KPI とは何か、それらが重要なのはなぜか
  
• EC ストアで最も重要な KPI
  
• KPI を常に相互に関連付けて計測すべき理由
  

EC ストアとは

EC ストアとは、インターネット上での商品やサービスの購入および販売のことを指します。EC ストアは、顧客基盤の拡大、より柔軟な製品範囲の提供、いつでも販売できる能力など、数多くの利点を事業者にもたらします。

EC ストアで成功するには、現在のトレンドや発展を理解し、それに対応することが重要です。これには、モバイルデバイスの最適化、ソーシャルメディアチャネルの販売プロセスへの導入などが含まれます。

EC ストア KPI とは何か、それらが重要なのはなぜか

EC ストアビジネスにとって、長期的に成功し続け、ビジネスを拡大するために、オンラインストアの成功を正確に測定および分析することが不可欠です。これを行うには、パフォーマンスの全体像を把握できるよう、適切な指標を測定する必要があります。これらの指標は、「重要業績評価指標」(略称「KPI」) と呼ばれます。KPI は、EC ストアビジネスにおける特定のプロセスまたはアクティビティがどれほど成功しているかを示す測定値です。これには、購入完了率、平均注文額、月ごとの注文数などが含まれます。

事業者が定期的に KPI を監視し、最適化するとき、ビジネスを成功に導くだけでなく、改善が必要な分野も示してくれます。KPI なしでは、どのビジネス分野またはプロセスがうまく機能していて、どれがしていないかを把握するのは困難です。KPI は、EC ストアビジネスの成功を正確に測定し、収益を向上させるための貴重な手段となります。このトピックに精通し、KPI を注意深く選択することは事業者にとって重要です。

EC ストアで最も重要な KPI

オンラインビジネスにおいて最も重要な KPI には、購入完了率 (訪問者と実際の購入者との比率)、平均注文額 (AOV) (店舗での平均購入の値を示す) が含まれます。顧客生涯価値 (CLTV) も重要な KPI の 1 つであり、これは個々の顧客が生涯中、その店舗でいくら費やすかを示します。

他にも、カゴ落ち率や返品率といった KPI があります。これらの指標を定期的に分析し、最適化することによって、店舗のパフォーマンスを向上させ、販売を伸ばすことができます。

以下の KPI に精通してください。

ウェブサイトのトラフィック
EC ストアビジネスの成功は、ウェブサイトに訪れる訪問者の数に大きく依存しています。ウェブサイトのトラフィック (訪問者数または 1 日にページを訪れる回数) は、自社のウェブサイトがどれほど訪問されているかを理解するうえで重要です。直帰率とセッション期間 (以下の定義を参照) も関係します。これらの指標から、ユーザーがサイトを閲覧する時間や、別のページに直接移動するかどうかについての情報が得られます。

トラフィックソース
トラフィックソースは、マーケティング活動の成功を測るうえで重要な指標です。この指標は、訪問者がどのような経路でサイトに到達したかを教えてくれます。トラフィックソースには、自然な興味や自主的な検索によるヒット、広告や有料プロモーションによるヒット、ソーシャルメディアなど、さまざまな種類があります。それぞれのソースには長所と短所があり、適切に分析する必要があります。
トラフィックソースを計測するもう 1 つの要素は、トレンドの特定です。データトラフィックにおけるパターンを把握することによって、すばやく行動し、戦略を最適化することができます。

購入完了率 (CR)
購入完了率 (CR) は、ウェブサイトの訪問者数に対して、目的を達成した比率を測定します。これらの目的には、購入、ニュースレターへの申し込み、問い合わせなどが含まれます。これらの目的を達成するには、オンラインストアをユーザフレンドリーで商品を見つけやすいものにする必要があります。

直帰率 (BR)
直帰率 (BR) は、オンラインストアを見て回らずにウェブサイトを去った訪問者数や、購入せずに去った訪問者数を示します。直帰率が高いことは、ウェブサイトに何か問題があるため、より多くの顧客に到達してもらい、高い購入完了率を達成するには変更が必要な場合があることを示しています。

クリック率 (CTR)
CTR は、広告のクリック数とその広告が表示された回数 (インプレッションとも呼ばれる) との比率を表します。インプレッションは、ユーザーがウェブサイトや広告を表示した回数を示します。ユーザーの画面に広告が表示されるたびに、インプレッションとしてカウントされます。
高い CTR は、対象のグループが事業者のメッセージに良い反応を示しており、提供されている内容に興味を持っていることを示しています。購入完了率も考慮に入れることが重要です。購入完了率は、ウェブサイト上で実際に望ましいアクションを実行するユーザーの数を示します。

顧客獲得単価 (CAC)
顧客獲得単価 (CAC) は、新しい顧客を獲得するためにかかるコストを示しています。これは、新規顧客を獲得し、維持するために費やされたすべてのマーケティングおよびカスタマーケアの支出を計算したものです。CAC を測定することにより、事業者はマーケティング戦略を最適化し、施策の有効性を監視できます。

顧客生涯価値 (CLV)
CLV は、顧客が事業者との関係を通じて商品やサービスに費やすと予想される金額を示します。高い CLV は、顧客が長期的に事業者に利益をもたらすため、ロイヤルティへの投資に価値があることを意味します。
CLV を計算する際には、顧客の平均注文額、頻度、事業者へのロイヤルティなど、さまざまな要因を考慮する必要があります。

平均注文額 (AOV)
平均注文額 (AOV) は、オンライン加盟店との取引において、顧客が 1 注文あたりにかける平均コストを測定します。この KPI は、事業者が注文ごとの費用と利益を理解するのに役立ちます。AOV は、顧客の購買行動のトレンドを認識するのに役立ち、事業者の市場調査と競争力に関する貴重な情報源になります。

カゴ落ち率 (CAR)
カゴ落ち率 (CAR) は、顧客が購入を完了せずに支払いプロセスを中断する頻度を示します。高い CAR は、ウェブサイトのナビゲーションの問題、決済手段の制約、高い配送料など、さまざまな要因に起因する可能性があります。

返品率 (RoR)
返品率 (RoR) は、顧客が購入後に返品した商品の数を示します。事業者はこの情報を活用して、返品率を低減させるためにより良くカスタマイズされた戦略を策定できます。

サイト滞在時間 (TOS)
サイト滞在時間 (ページごとの訪問の長さ) は、訪問者がウェブサイト (またはそのサブページ) にどれくらいの時間を費やすか、およびどのページを訪れるかに関する情報を提供します。サイト滞在時間が長い場合、それは顧客が興味を持ち、購入の可能性が高いことを示しています。一方、サイト滞在時間が短い場合、ウェブサイトに関連性がない、ナビゲーションが難しい、または視覚的に魅力がないことを示している可能性があります。

セッション期間
セッション期間は、ウェブサイト上で定期的にアクティブなインタラクションが行われる期間を表します。セッションは、30 分以内にさらなるアクションが取られない場合に終了とされます。サイト滞在時間とは異なり、セッション期間は顧客がウェブサイトに費やす総時間全体を考慮に入れます。このデータを基に、ウェブサイトの最適化が行われることがあります。

KPI を常に他の KPI と関連付けて計測すべき理由

EC ストアビジネスの成功をできるだけ効果的に測定するためには、KPI を個別に考慮しないようにすることが重要です。そうせずに、常に他の KPI と関連付けて計測する必要があります。そうすることで、事業者と顧客の体験に関する包括的な理解が得られるようになります。個々の KPI を個別に考慮するだけでは、ビジネス戦略に関して情報に基づいた決定を下すには不十分な情報しか得られない可能性があります。

個々の KPI を計算する方法の詳細については、SaaS の指標に関する記事を参照してください。KPI から得られる情報を活用して、EC ストアビジネスを次のレベルに引き上げましょう。