電話での決済を受け付けることは、事業者にとって戦略上の手段の一つとも言えるものです。新たな市場に展開し、その他の手段では獲得できない売上を手にし、さらに多様な顧客体験を作り出せるからです。しかし、課題がないわけではありません。データセキュリティに関する考慮事項から高額な処理手数料まで、考えられる落とし穴に足をとられないように慎重に進める必要があります。この記事では、電話で決済を効果的かつ安全に受け付ける方法をご紹介します。
この記事の内容
- 電話でクレジットカード決済を受け付けることは可能か
- 電話での決済を受け付ける必要がある業種
- 電話での決済の受け付けに付随するコスト
- 電話での決済の受け付けのメリットとリスク
- 電話で顧客の決済を受け付ける方法
電話でクレジットカード決済を受け付けることは可能か
可能です。このプロセスは一般的に MOTO 決済 (通信販売/電話販売) と呼ばれています。非対面カード支払い (CNP) 取引の一種であり、購入者に対面でカードを提示してもらうのではなく、事業者が購入者のクレジットカード情報を手動で入力することを指します。
電話での決済を受け付ける必要がある業種
業種によっては、電話で決済を受け付けると、各社固有の事業モデルやカスタマーサービス戦略に応じて、さまざまな業種でメリットが得られます。
サービスプロバイダー
家の修理、コンサルティング、ケータリングなどのサービスを提供している事業者は、予約や前受金を受け取る際に電話で決済を受け付けると有利になる場合があります。リモート販売事業者
テレマーケティング企業やカタログ販売事業者など、電話で商品を販売する企業は、通話中に決済を処理することができます。レストランやテイクアウト飲食店
多くのフードデリバリーサービスや店舗受け取りサービスを提供している事業者が、電話でのカード支払いを受け付けています。旅行代理店やホテル
この種の事業者は、カスタマイズした旅行プランやグループ旅行などの予約の際に電話で決済を受け付けることができます。医療機関や薬局
医療系サービスは遠隔医療の予約や処方薬の注文の際に電話で決済を受け付けることができます。プロフェッショナルサービス
弁護士、会計士、フリーランサーはサービス代金を受け取る際、特に依頼料や請求書の支払いなどで、電話で決済を受け付けることができます。
電話での決済の受け付けに付随するコスト
電話での決済の受け付けに付随するコストは、利用している決済代行業者や加盟店契約の条件によって異なります一般的に、このような決済は CNP 取引と見なされるため、手数料は 対面のカード提示取引よりも高額になります。その理由は、非対面カード支払い取引では不正利用やチャージバックのリスクが高くなるためです。手数料率は変更されることがあり、決済代行業者との各契約に応じて異なる場合があります。チャージバック、返金、国際取引や、仮想端末の利用に関連する追加の手数料が発生することもあります。たとえば、Stripe では、オンライン取引の場合、成功したカード支払いごとに 2.9% + 30 セントがかかり、Stripe Terminal を使用した対面支払いの場合、取引ごとに 2.7% + 5 セントの料金がかかります。
電話での決済の受け付けのメリットとリスク
電話で決済を受け付けると、利便性が高く柔軟な方法で購入者からの決済を処理できるようになります。また、新たな販売機会も獲得できます。しかし、どの決済手段でもそうですが、それぞれにメリットもあればデメリットもあります。
電話での決済の受け付けのメリット
利便性と利用のしやすさ
電話での決済は、電話サービスが通じている場所であればどこからでも決済できるため、実店舗を訪れることができない購入者やオンライン決済システムを使えない購入者にも便利な選択肢を提供できます。キャッシュフローが改善され、収益機会を最大化できる
電話での決済で、即時決済ができるようにすると、他の方法では獲得できない売上を獲得できる可能性があります。予約、注文、サービスをすぐに確保して、請求書が未払いになるリスクを軽減できます。個人に合わせたカスタマーサービスを提供できる
電話で取引すると、購入者と直接やり取りしながら、質問に答えたり、商品やサービスのアップセルやクロスセルに結びつけることができます。顧客基盤を拡大できる
電話での決済を受け付けると、電話でのやり取りを好む人やオンライン決済を利用しない人を含め、顧客基盤の展開対象を拡大できる可能性があります。
電話での決済の受け付けに付随するリスクと考慮事項
処理手数料の高額化
通常、電話での決済による処理手数料はより高額になります。これは電話での決済が CNP 取引と見なされ、不正利用やチャージバックのリスクが高いことに起因しています。不正利用のリスクが増大する
電話での決済を受け付ける際に事業者が確認する物理的なカードは必要ないため、こうした取引では不正利用が起こりやすくなります。事業者は、通話相手の本人確認や提示されたカード情報の真正性を確認するために必要な措置を講じる必要があります。データセキュリティ
機密情報であるカード情報を電話で扱うためには、PCI-DSS (PCI データセキュリティー基準) のルールを遵守して、顧客データを保護する必要があります。電話での決済でこうした基準を遵守することは、通常の場合よりも難しくなりますが、遵守できなければ、反則金を求められるおそれがあります。手入力によるミス
カード情報を手入力すると、人為的ミスが発生しやすく、取引の失敗や顧客満足度の低下につながる可能性があります。
電話で決済を受け付けることでしか実現できないメリットもありますが、関連するリスクに対処できるように、厳格なセキュリティプロコトルを取り入れ、スタッフを適切に教育することが重要です。
電話で顧客の決済を受け付ける方法
使用する決済手段や事業者の全体的な決済システムに応じて、さまざまな方法で、電話で決済を受け付けることができます。Stripe などのサービスを利用して電話で決済を受け付ける一般的なプロセスをご紹介します。プロセスの詳細は、各決済代行業者によって異なる場合がありますのでご注意ください。
アカウントを設定する
まず、決済処理サービスの加盟店アカウントを設定する必要があります。この設定プロセスでは、必要な自社の情報と銀行情報を提供します。仮想端末を利用する
ほとんどの決済代行業者は仮想端末を提供しています。これは、物理クレジットカード端末や POS システムのオンラインバージョンに相当するものです。Stripe を利用する場合は、ダッシュボードで直接、構築済みの仮想端末を利用することができます。電話で決済の詳細を取得する
購入者が決済を希望した場合、クレジットカード情報を尋ねる必要があります。これには、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどが含まれます。また、決済代行業者が求めるセキュリティ確認のレベルに応じて、郵便番号やその他の識別情報も必要になる場合があります。必ず、データ保護のベストプラクティスに準拠した、機密を保持できる安全な方法で情報を聞き出すようにしてください。支払い情報を入力する
仮想端末で、購入者のクレジットカード情報と請求額を手入力します。Stripe の場合は、ダッシュボードの「支払い」セクションで、「+ 作成」、「支払い」の順にクリックして入力します。決済を処理する
必要な情報を入力したら、送信して決済を処理します。決済代行業者がカード保有者の発行会社/銀行と連携して取引を処理し、取引が承認または拒否されたときに通知します。領収書を送付する
取引の後に、購入者に領収書を送付する必要があります。決済代行業者の多くは、デジタル領収書をメールで自動送信できます。Stripe の場合、決済を作成するときに「領収書のメールを送信する」をオンにすることで送付できます。正確な記録を保管する
会計処理や、不審請求の申請が発生した場合の問題解決に利用できるように、取引を記録に残すことが重要です。決済代行業者は各取引の詳細な記録を提供し、加盟店アカウントのダッシュボードで確認できるようにしているはずです。データを安全に取り扱う
機密情報である個人情報を扱うため、会話やデータを取り扱う際は必ず PCI-DSS 規則に準拠することが重要です。クレジットカード情報をメモすることは避け、適切なセキュリティ対策が施されていないところにカードデータを保存しないようにします。
Stripe を利用して電話で決済を受け付ける方法について、詳細はこちらをご覧ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。