定期 ACH 決済の基礎知識: 概要とその役割

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  1. はじめに
  2. 定期 ACH 決済とは
  3. 定期 ACH 決済を利用できる場所
  4. 定期 ACH 決済の仕組み
  5. 定期 ACH 決済にかかる期間
  6. ビジネスが定期 ACH 決済を利用するメリット
  7. ビジネスが定期 ACH 決済を利用する際の課題

アメリカの大半のビジネスは ACH 決済を利用しています。これは、ほとんどの種類の取引を処理できる電子決済手段です。2023 年第 3 四半期に ACH ネットワークで処理された取引量は決済件数の合計で 78 億件となり、前年同期比で 3% 増加しました。ビジネスは、従業員への賃金の支給、投資家からの資金の受け取り、利用者からの支払いの受け取りに、ACH 送金を利用しています。

電信送金クレジットカード取引といったほかの電子決済手段と比べて、コスト効率のよい ACH 決済は、定期決済に適した手段になっています。ACH 送金は即時に完了するわけではありませんが、スピードとセキュリティを組み合わせて、通常では数営業日以内に完了します。

一部の ACH 決済は 1 回限りの取引ですが、多くの ACH 決済繰り返しに発生します。ビジネスには、これらの継続支払いを管理するための確かな運用戦略と、適切な決済システムサポートが必要です。ここからは、定期 ACH 決済についてビジネスが知っておくべきことについて説明します。

この記事の内容

  • 定期 ACH 決済とは
  • 定期 ACH 決済を利用できる場所
  • 定期 ACH 決済の仕組み
  • 定期 ACH 決済にかかる期間
  • ビジネスが定期 ACH 決済を利用するメリット
  • ビジネスが定期 ACH 決済を利用する際の課題

定期 ACH 決済とは

ACH 決済はアメリカでよく利用されている電子資金振替の方法です。この決済は ACH (Automated Clearing House) ネットワーク上で実行されます。ACH 決済は、紙の小切手や直接現金取引の代替手段であり、直接の銀行間送金を可能にします。ACH システムの主な用途は、雇用主による給与の口座振込と、利用者による請求書などの支払いです。

定期 ACH 決済では、電子技術を用いて資金を銀行から別の銀行へと定期に自動で移動します。住宅ローンや公共料金の請求書の支払い、サブスクリプション、会費など、金融取引が定期に行われる取り決めには、このシステムが広く利用されています。銀行と口座名義人は、特定の金額を定期間隔で引き落とす契約を締結します。この間隔は、週次、月次、または合意に基づくその他の頻度です。

このタイプの取引はよく利用されています。請求書の期日までに毎回手作業で支払いを行う必要がなくなるからです。スケジュールが設定されると、支払い金額は自動で引き落とされますので、口座名義人による追加操作なしで、請求書は期日までに支払われます。これは定期支出を管理する一般的な方法であり、個人とビジネスは、毎回の支払い期日を覚えずとも、適時支払い記録を維持できます。

定期 ACH 決済を利用できる場所

定期 ACH 決済は主にアメリカで利用できます。ACH (Automated Clearing House) ネットワークはアメリカを本拠地とするネットワークであり、Nacha (National Automated Clearing House Association) が管理しています。このネットワークでは、口座振込やダイレクト支払いなど、アメリカの金融機関の間での送金が処理されます。

ACH ネットワークはアメリカに固有のものですが、ほかの多くの国にも同じように機能する国内取引用の自動決済システムがあります。たとえば、カナダには Electronic Funds Transfer、イギリスには口座引き落としと口座振込のための Bacs Payment Schemes Limited があります。SEPA (Single Euro Payments Area) のユーロ建て送金は EU 全域で利用されています。

ACH ネットワークは、国際取引に直接対応していません。通常ではアメリカのビジネスと個人は、電信送金や、国際決済サービス、その他のソリューションなど、クロスボーダー決済のほかの手段を利用する必要があります。これらのサービスは、決済のために国内の銀行や世界中の金融機関と頻繁に連携しています。

定期 ACH 決済の仕組み

  • 承認の設定
    最初に、口座名義人 (すなわち支払人) が、自分の銀行口座からの自動引き落としに同意する必要があります。それには、口座番号、金融番号、引き落とし額といった支払い詳細をフォームに入力する必要があります。公共料金の請求書の場合は毎月、ローン返済の場合は隔週など、支払いスケジュールもこのフォームに入力します。

  • 支払いスケジュールの設定
    承認後には、受取人 (資金を受け取る企業または個人) が合意した条件に基づいて、銀行と支払いスケジュールを設定します。受取人が、日付と金額をバンキングシステムに入力して、支払人銀行口座の資金を定期間隔でリクエストするように準備します。

  • 取引の開始
    定期決済日になると、受取人の銀行が ACH ネットワーク経由で決済プロセスを開始します。受取人の銀行が、指定金額のリクエストを支払人の銀行へ送信します。

  • 送金
    支払人の銀行が、このリクエストを受信して、その口座に十分な資金があるかどうかを確認します。取引のための十分な資金がその口座にある場合は、支払人の銀行が支払人の口座から指定金額を引き落としてから、送金したことを確認するメッセージを ACH ネットワーク経由で送信します。

  • 確認と受け取り
    その資金は受取人の銀行口座の貸方に記入されます。受取人の銀行は、資金を受け取ったことの確認を支払人の銀行へ送信します。口座名義人も、通常では銀行口座明細書かオンラインバンキング通知で、資金が引き落とされたことを知らされます。

  • 継続的なモニタリング
    支払人と受取人の両者が、進行する取引をモニタリングします。口座名義人は、手数料や支払い拒否を避けるために、毎回の定期決済前に、自分の口座に十分な資金があることを確認します。受取人は、毎回の支払いを期日までに受け取ったことを確認し、財務追跡用にすべての取引の記録を維持します。

  • 調整またはキャンセル
    口座名義人が支払い額または頻度を変更する必要がある場合や、サービスをキャンセルする必要がある場合は、受取人に連絡して契約内容を変更してもらいます。受取人がバンキングシステムで支払いスケジュールを必要に応じて調整すると、支払いスケジュールは新たな条件に従って継続 (または停止) します。

定期 ACH 決済にかかる期間

定期 ACH 決済の処理は、通常では数営業日かかります。このプロセスの各ステップにかかる時間をここで説明します。

  • 取引の開始
    決済は、必要な処理時間を考慮して、通常では実際の期日の 1 日前に開始されます。これは「リードタイム」とよく呼ばれます。

  • 処理期間
    取引が開始されると、ACH ネットワークで支払いがほかの支払いとともに、翌営業日に一括で処理されます。このときに、支払人の銀行は口座から資金を正式に送金します。

  • 決済期間
    通常では一括処理後の翌営業日に、受け取り側の銀行のシステムに取引が表示されます。ただし、受け取った資金は決済が完了するまで受取人の口座に入金されない場合があります。

  • 入金
    受け取り側の銀行が取引を受信してから、その資金が受取人の口座に入金されるまでに、通常では 1 営業日かかります。銀行によっては、自行の方針により、それよりも短い時間で入金が完了します。

決済が開始されてから、資金が受取人の口座に入金されるまで、ACH 取引プロセスにかかる時間は合計で、3 ~ 5 営業日です。銀行は週末と銀行休業日に ACH 取引を処理しないため、それらの日によってこの期間が長くなる場合があります。

ビジネスが定期 ACH 決済を利用するメリット

便利でさまざまな決済ユースケースに適用できる ACH 決済は、広く利用されています。ビジネスにとっては主に次のようなメリットがあります。

  • 安定した収益源
    定期 ACH 決済を利用していると、収益が予測しやすくなります。収益の確実性が増すことで、財務計画とリソース配分が向上します。必要なときに利用できる資金があることを確信して、業務活動をスケジュールできます。

  • 管理タスクの削減
    自動 ACH 決済によって、各取引で必要なデータの手入力と監視業務が少なくなります。その結果、決済処理の時間を節約し、ヒューマンエラーを最小限に抑えられます。従業員は、繰り返される請求タスクではなく、ビジネスの成長に影響する戦略的な活動に集中して取り組むことができるようになります。

  • 取引コストの削減
    ACH 決済の手数料は、ほとんどの場合にクレジットカード決済より低額であるため、ビジネスの全体の取引コストを削減できます。大量の取引を処理するビジネスにとっては、この節約が相当な金額になり、資金をほかのイニシアチブに配分できるようになる場合があります。

  • キャッシュ管理の向上
    自動決済スケジュールにより、入出金がいつ発生するのかがわかりやすくなるため、現金管理が向上します。堅実な現金残高を維持し、コストのかかる可能性がある当座借越のシナリオを回避できます。

  • 顧客維持率の向上
    利用者が ACH 決済の利便性を気に入り、そのことが満足度の向上やロイヤルティの強化につながって、利用者が取引関係を継続するかどうかの判断に影響する場合があります。これらの効果で顧客生涯価値が向上する可能性があります。

  • 環境への影響の減少
    紙の請求書と小切手の必要性を減らす ACH 決済は、ビジネスの持続可能性イニチアチブに一役買います。それにより、環境にやさしい活動を重視する利用者からの評価が高まる可能性があります。

  • 支払い遅延の減少
    ACH 決済はスケジュールされて自動で実行されるため、支払いの遅延が少なくなり、貸借対照表を堅実に維持できます。支払いの遅延が、キャッシュフローの悪化につながることがあります。フォローアップの実施や、回収のための会計担当者の派遣に、余分な労力が必要になる場合があります。

  • 追加のセキュリティ機能
    ACH の取引には、不正利用を防止するセキュリティプロトコルが適用されます。認証や暗号化、ビジネスと利用者の財務データを守る銀行規制が、安心感を与え、不正取引のリスクを軽減します。

ビジネスが定期 ACH 決済を利用する際の課題

ACH 決済の利用を戦略的に準備するためには、生じ得る課題を認識する必要があります。これらには以下が含まれます。

  • 処理時間
    ACH 決済は即時に処理されません。決済の完了までに 3 ~ 5 営業日かかることを見越して計画する必要があり、そのために資金の利用が遅れ、短期財務計画に影響が及ぶことがあります。

  • 取引銀行の変更
    利用者がビジネスに通告せずに銀行口座を解約して、取引が失敗することがあります。そのような口座変更により、余分な管理業務が発生して、決済サイクルが乱れることがあります。

  • 残高不足
    利用者の口座の残高不足のために、ACH 決済が拒否されることがあります。支払いを回収するためのフォローアップ活動によって、顧客関係が悪化し、管理リソースに負担がかかる場合があります。

  • エラーの解決
    ACH 取引でエラーが発生したときに、解決プロセスが長引く場合があります。不正確な金額が引き落とされたときや、口座詳細の更新が必要なときには、銀行と連携して解決しますが、解決までにかなりの時間がかかる場合もあります。

  • 設定とメンテナンス
    ACH 決済処理を設定するには、時間とリソースの先行投資が必要です。銀行規制の遵守を維持するために、デューデリジェンスを継続して実施し、セキュリティ対策を更新する必要があります。

  • 取引限度額
    銀行によっては、ACH で取引できる金額に限度を設けているため、高額な取引があるビジネスは制限されてしまいます。そのような制限のために、決済を分割するか、代替手段を探す必要が生じる場合があります。

  • 利用者による不審請求の申請とチャージバック
    利用者には、ACH の不審請求を申請し、特定の期間内に返金をリクエストする権利があります。この返金をチャージバックといいます。不審請求の申請は管理が難しい場合があり、収益損失や余分な管理業務が生じることがあります。

  • 不正使用リスク
    ACH 決済は大抵安全ですが、不正に利用されないとは限りません。不正行為の検知と防止のために、セキュリティ対策への投資が必要になり、業務コストの増加につながる場合があります。

  • 規制遵守
    ACH を利用するビジネスは、Nacha が定める規制を遵守しなければならず、複雑な遵守条件があります。最新の規制に後れを取らないようするには、法令監視に取り組む必要があり、専門の法務チームがないビジネスにとっては難しい場合があります。

  • 国際取引に不向き
    ACH は主にアメリカに根差したネットワークです。国際取引の場合は、ほかの決済手段を利用しなければならないことが多く、コストが嵩むことがあるために、取引先が限られ、業務の複雑さが増す場合があります。

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