オムニチャネル決済の基礎知識: 仕組みとプロバイダーの選び方

Payments
Payments

成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

もっと知る 
  1. はじめに
  2. オムニチャネル決済に含まれるチャネル
  3. オムニチャネル決済の仕組み
  4. 企業がオムニチャネル決済の戦略を策定することのメリット
  5. オムニチャネル決済のプロバイダーの選び方
    1. 要件の見きわめ
    2. 選択肢の調査
    3. 技術上の互換性の考慮
    4. テストランの実施
    5. コストをメリットと対比して評価
    6. 選択の確定
    7. 運用状況の監視

オムニチャネル決済とは、さまざまな決済手段と決済チャネルを一体化して、統一感のある顧客体験を提供する決済インフラです。このことばには、モバイルアプリ、オンラインストア、実店舗、電話注文をはじめとするオンラインとオフラインの決済環境が含まれます。オムニチャネル決済の目標は、購入者が取引履歴や個人設定を失うことなく簡単にチャネルを切り替えられるようにして、統一感のある、スムーズで柔軟な顧客体験を創出することにあります。好印象の顧客体験を提供することが事業の維持に不可欠であることはデータでも示されています。2018 年時点のアメリカで、不快な体験が一度でもあれば愛用のブランドから離れると回答したのは、購入者の 17% にのぼっています。この数字は、不快な体験が複数回に増えると 59% にまで跳ね上がります。

ここでは、適切なプロバイダーを選ぶ方法を含め、オムニチャネルの決済システムを構築する企業が知っておくべき事項を説明します。

この記事の内容

  • オムニチャネル決済に含まれるチャネル
  • オムニチャネル決済の仕組み
  • 企業がオムニチャネル決済の戦略を策定することのメリット
  • オムニチャネル決済のプロバイダーの選び方

オムニチャネル決済に含まれるチャネル

オムニチャネル決済には、購入者が取引を実行できるさまざまなタッチポイント (実店舗とデジタル環境) が含まれます。この種の決済システムに含まれるチャネルとしては、以下のものがあります。

  • 実店舗: 通常は従来の POS システムで決済が行われ、購入者は現金、カード、または非接触型決済を選択できます。

  • オンラインプラットフォーム: E コマースのウェブサイト上で、購入者はクレジットカードやデビットカード、デジタルウォレットなどのさまざまなデジタル決済オプションを利用できます。

  • モバイルアプリケーション: モバイルバンキングアプリをはじめ、アプリ内購入に対応しているその他のアプリも含みます。

  • ソーシャルメディア: ソーシャルプラットフォームによっては、ソーシャルメディアのインターフェイスで直接取引ができるものもあり、より直接的な購入体験が実現されています。

  • セルフサービス型のキオスク: 人間が介在することなく取引が発生するスタンドアロンのデバイスです。接客サービス業や公共交通機関をはじめ、さまざまな公共空間や業界で普及しています。

  • チャットボットとバーチャルアシスタント: メッセージングのプラットフォームやウェブサイトで、AI を活用したインターフェイスの案内に従って購入者に取引を進めてもらうことができます。

  • 電話注文: 一部の購入者は、電話を利用した取引をよく利用しています。通常、購入者はクレジットカード情報を提供します。

  • 自動継続型のサブスクリプション: スケジュールが設定された継続支払いが実行されます。初期設定が必要になりますが、以後は自動で手続きが完了します。

  • QR コード: 購入者は、スマートフォンで QR コードを読み取って支払いを完了します。多くの場合、これらのコードは実店舗または印刷物に掲示されています。

  • IoT デバイス: 「モノのインターネット」(IoT) 技術の普及に伴って、音声で操作するアシスタントなどのスマートデバイスが決済のプロセスに加わり始めています。

  • メールと SMS: 事業者は決済用の URL リンクを購入者に直接送信でき、購入者は使いたい決済手段を選択できます。

  • サードパーティーのマーケットプレイス: これらのプラットフォームは多くの場合自社固有の決済手段を提供していますが、小売業者の既存の決済システムとの連携が良好であることが求められます。

  • クロスボーダー対応のプラットフォーム: 異なる国との決済がスムーズになり、通貨換算や地域固有の決済手段に対応できます。

  • オンライン購入と店舗での受け取り: 購入者は品物の代金をオンラインで支払い、実店舗で受け取ります。

オムニチャネル決済の仕組み

オムニチャネル決済を処理するには、さまざまな決済チャネルが連携および同期して、統一感と汎用性のある決済体験を創出しなければなりません。一般に、この相互接続性はアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を通じて提供され、互いに独立している複数のシステムがデータを交換して、協調的に動作する機能を実行できます。

その仕組みは次のとおりです。

  • データの同期: あるチャネルで購入者が手順を進めると、カート内のアイテムや過去の購入など、生成されたデータがすべてのチャネルにわたって更新されます。この同期によって、購入者がチャネル (オンラインプラットフォームやモバイルアプリなど) を切り替えても、取引の関連情報が失われなくなります。

  • 決済の承認: 購入者がどのチャネルで決済を開始したかにかかわらず、承認のリクエストはペイメントゲートウェイに送信されます。通常は、ここで不正利用の分析や利用可能な資金の確認など、いくつかのステップがほぼ即時に発生することになります。

  • 取引のログ記録: 決済の承認と処理が完了すると、取引の詳細が一元化されたデータベースログに記録されます。これにより、リアルタイムの在庫管理が可能になり、いくつものチャネルからアクセスできる有益な取引履歴が提供されます。

  • 通知と確認: 取引が完了すると、購入者が選択した手段 (通常はメール、SMS、またはモバイル通知) を通じて、購入者に通知と確認の詳細が送信されます。これらの通知はどのチャネルでも一貫した内容であるため、体験における統一感が確保指されます。

  • データの分析: 取引中に生成されたデータを高度な分析ソフトウェアで分析し、個々人に合わせたマーケティングの微調整、在庫の最適化、カスタマーサービスの向上など、さまざまな用途に利用できます。

  • セキュリティ対策: 多要素認証、暗号化、リアルタイムの監視により、いくつものタッチポイントの全体で高水準のセキュリティが維持されます。

  • カスタマーサポート: カスタマーサポートの機能が搭載されているため、どのチャネルを利用中であるかにかかわらず、購入者は決済プロセスのあらゆる段階でサポートや説明を求めることができます。

  • 規制順守: ステップ全体にわたって重要なことは、カード支払いに関する PCI データセキュリティ基準など、適用されるすべての法的基準および規制のすべてに従うことです。

  • 更新とメンテナンス: 更新とメンテナンス点検を定期的に実施することで、すべてのチャネルが適正に機能することを確認し、新しい機能やセキュリティプロトコルを複数のチャネルにわたって同時に導入することができます。

オムニチャネルの決済システムを構築するには、ソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストから顧客体験デザイナーや規制順守責任者に至るまで、複数の分野にわたる専門家のチームを編成することが必要な場合もあります。適切な決済処理ソリューションを選ぶことは、優れたオムニチャネル決済システムを構築する際に重要な要素の 1 つです。

企業がオムニチャネル決済の戦略を策定することのメリット

企業がオムニチャネル決済によって得られるメリットとしては、以下のものがあります。

  • 購入者の利便性: 購入者は、いくつものチャネルを簡単に切り替えることができます。このような柔軟性は、顧客ロイヤルティを引き上げる強力な要因になり得ます。

  • データの一貫性: 統一的な決済プラットフォームによって、より正確で範囲の広いデータセットが提供され、ターゲットを絞り込んだマーケティングや事業運営上の意思決定に活用できるようになります。

  • 在庫管理: オンラインとオフラインのチャネルをリアルタイムで同期して、在庫レベルの管理を改善できます。これにより、商品の過剰販売や安値売りのリスクを最小限に抑えて、在庫管理コストを最適化できます。

  • セキュリティ: すべての決済チャネルが単一のシステムにまとめられているため、セキュリティプロトコルを一元化できます。これにより、取引に不正行為がないかどうかを監視したり、すべてのチャネルに統一的なセキュリティ対策を適用したりすることが簡単になります。

  • 運用の柔軟性: 市場の変化や顧客の好みに敏速に適応できます。たとえば、特定の決済手段が普及した場合、その決済手段を既存の柔軟で無駄のない環境に導入でき、その手順も細分化されているシステムに組み込む場合よりもシンプルです。

  • カゴ落ち率の低減: シンプルで統一感のある、スピーディーな決済プロセスによって、ショッピングカートのカゴ落ち率を下げることができます。また、取引を完了し忘れている可能性がある購入者に対して、完了を促せます。

  • 購入者に関するインサイト: 企業が複数の決済オプションから収集するデータに基づいて、好まれる決済手段、購入履歴、チャネルの使用状況など、購入者の行動に関する貴重なインサイトを導出できます。このインサイトは、セグメンテーション、パーソナライゼーション、ターゲットを絞り込んだマーケティング戦略に関して、重要な意味を持つものになり得ます。

  • 収益の拡大: 決済の選択肢が増えて利便性が高まると、通常は取引量の増加という成果につながります。これを、在庫管理の効率化による運用コストの低減と合わせると、収益に好影響をもたらすことができます。

  • グローバル規模の事業拡大: システムの連携がとれていると、新たな市場、特に国際市場に参入する作業を合理化できます。普及している多くの通貨や決済手段に地域ごとに対応して、グローバルな規模での成長を後押しできます。

  • 法令遵守とガバナンス: 監視対象の決済プラットフォームが 1 つのみである場合、遵守要件への対応が簡単になる可能性があります。一元的なアプローチによって、新たな規制に合わせたシステムの更新を進めやすくなり、法律上のリスクが低減します。

  • 回復力: オムニチャネル決済システムの設計が優れていれば、多くの場合、サービス停止や障害からの回復力が高まります。ある決済手段で問題が発生した場合も、購入者は別の手段に簡単に切り替えることができるため、取引プロセスの混乱は最小限で済みます。

  • 顧客エンゲージメント: チャネルを切り替えることができるため、より魅力的で満足感の高いショッピング体験を購入者に提供できます。これにより、多くの場合、リピーターやロイヤルティの高い顧客基盤の形成につながります。

オムニチャネル決済のプロバイダーの選び方

企業固有の要素や必要に基づいてオムニチャネル決済の戦略を策定することは、決済システムを構築するための第一歩になります。二歩目にあたるのが、適切なペイメントプロバイダーを選ぶことです。ここでは、採用を決定する際にどのようなアプローチを取るべきかについてご紹介します。

要件の見きわめ

  • 要件と目標のリストを作成する
    現在の要件と長期の目標について、包括的なリストを作成します。たとえば、現在の主力がオンライン小売事業であっても、将来的に実店舗の展開も計画している場合は、決済システムでオンライン取引と対面取引の両方に対応できるようにする必要があります。事業の国外進出を計画している場合は、複数の通貨とクロスボーダー取引に対応できるペイメントプロバイダーを検討します。

  • 購入者の行動パターンの再確認
    クレジットカード、デジタルウォレット、またはその他の何らかの決済手段の中で、購入者の利用が多いものを確認します。購入者の習慣をより深く理解するほど、購入者の満足度やブランドロイヤルティの維持につながる決済システムを選択できる可能性も高くなります。

  • 必要な機能の詳細の把握
    要件と将来の目標を明確に把握した後は、それらの達成に有益な機能を検討します。ここでは、検討すべき領域をいくつかご紹介します。

    • 決済タイプ: クレジットカードとデビットカードによる基本的な取引に加えて、モバイル決済、銀行振込、デジタルウォレットなどの広範な決済オプションも受け付けることができるシステムを探します。
    • 通貨対応: 事業のフットプリントがグローバルな規模にわたっている場合、またはグローバル展開を計画している場合は、決済システムで多通貨の取引に対応できなければなりません。
    • レポート作成と分析: 取引履歴、顧客属性、季節ごとの売上高の変動に関するデータなど、総合的なレポートの作成ツールを備えているシステムを選びます。
    • 使いやすさ: ユーザーにとって使いやすいデザインや、直感的に使えるインターフェイスを備えているものを優先します。社内チームと顧客の双方にとって使いやすいシステムは、トレーニングの所要時間を短縮し、取引エラーの発生率を低減できます。
    • 顧客体験: 取引処理のスピードから UI のシンプルさに至るまで、顧客体験の全体がスムーズでなければなりません。煩雑な決済プロセスや紛らわしい決済プロセスでは、顧客の欲求不満を招くおそれがあります。

選択肢の調査

  • 採用候補リストの作成
    妥当と考えられるペイメントプロバイダーのリストを作成します。プロバイダーを探す方法はさまざまです。

    • 口コミ: 自社の関係者、相談相手、または競合他社からの推奨コメントを調べてください。これらの人物の体験談は、さまざまなプロバイダーの強みと弱みに関する貴重なインサイトになり得ます。
    • ネット上のレビューと評価: 消費者レビューのウェブサイト、技術ブログ、ビジネスフォーラムでは、詳細なレビューやユーザーのコメントが掲載されていることが少なくありません。これらは、プロバイダーに関する全般的な声を評価するうえで参考になります。
    • ケーススタディ: プロバイダーが企業の具体的な問題をどのような方法で解決したのか、事例を確認できます。
    • 業界レポート: 定評のある市場調査会社の業界レポートに目を通します。多くの場合、判断に影響し得る市場動向の分析とともに、決済代行業界の主な事業者に関する総合的なレビューが掲載されています。
  • 機能の比較
    プロバイダー候補のリストが完成したら、比較用のグラフやスプレッドシートを作成して、各業者が提供しているサービスを調べます。リストには以下の事項を含めてください。

    • 取引手数料: 大多数のプロバイダーは取引ごとに手数料を請求しており、手数料に大きな差が存在することもあります。自社で大量の取引を扱っている場合、手数料の差がわずかであっても長期的には大きな影響を及ぼすおそれがあります。
    • 受け付けている決済タイプ: 必要な決済タイプのリストと突き合わせて確認してください。新たな市場に進出する場合、購入者が好む決済手段は国ごとに大きく異なっていることもあります。各種の決済手段を柔軟に受け付けることによって、大きな優位性を得られる可能性があります。
    • カスタマイズ: 決済のプロセスに手を加えてブランドに適したものにできるかどうかを確認しましょう。カスタマイズには、決済ポータルのデザインの制御機能や、ロイヤルティプログラムやパーソナライズされたオファーなどの追加的なサービスを組み込めるかどうかも含まれます。
    • 規制順守: PCI DSS や、関連する地域固有の規制または国際的な規制などの基準をプロバイダーが順守していることを確認します。
    • 拡張性: 事業が成長したときに、プロバイダーが取引量の増加や必要になり得る追加の機能に対応できることを確認します。

技術上の互換性の考慮

  • 導入しやすさ
    決済システムは、既存の技術との共存が簡単でなければなりません。考慮すべきいくつかの要素を以下にご紹介します。

    • 既存のソフトウェアとの互換性: 決済システムが、現在の会計ソフトウェア、在庫管理システム、顧客関係管理 (CRM) ツールとどの程度連携して機能するかを評価します。望ましいのは、データをこれらのプラットフォームと簡単に共有できる決済システムであり、時間のかかる手動のデータ転送が不要なものが理想です。
    • API と開発者向けリソース: 通常、プロバイダーが大量の API と開発者向けリソースを提供している場合は、既存の環境への導入時の負担が少なくなります。このような特長があれば、システムをカスタマイズし、事業運営上の固有の要件に対応できます。
    • 所要時間とコスト: 導入に必要な人的資源と金銭的リソースを評価します。設定が複雑なシステムはリソースの消耗を招くおそれがあるため、その点を長期的なメリットと照らし合わせて判断してください。
  • 成長の余地
    決済システムは、事業の状況に応じた成長が可能でなければなりません。ここでは、検討すべき要素をご紹介します。

    • 拡張性: 事業の拡大に伴って増加する取引とデータの量に対処できるかどうかについて、システムのキャパシティーを評価します。システムによっては反復的なアップグレードが提供され、機能を必要に応じて追加することができます。
    • 柔軟性: 柔軟性に優れているシステムは、新しい決済手段、データ保護規制の改定、市況の変化に適応できます。これらの変化に歩調を合わせられるシステムを探してください。
  • 安全対策
    金融取引と顧客データのセキュリティが保証されていることは必須条件です。ここでは、確認すべきポイントをご紹介します。

    • 業界標準への準拠: PCI DSS など、一般に認められているセキュリティ標準に準拠しているプロバイダーを選びます。
    • 追加のセキュリティレイヤー: 2 段階認証、データ暗号化、不正検知メカニズムなどの基準以上のセキュリティレイヤーをプロバイダーが提供していれば、企業もその顧客も安心感を得られます。
    • セキュリティに関する評価: プロバイダーの実績を調査します。これまでにデータ侵害に遭ったことがないか、システムの信頼性とセキュリティに関するユーザーの意見はどのようなものであるかなどを調べてください。

テストランの実施

テストランのフェーズでは、事業運営や顧客満足度に影響を与えかねない問題を事前に特定して、解決することができます。また、システムがベンダーの主張どおりに稼働しているかどうか、要件を満たしているかどうかの検証も行うことができます。このテストランの構成ステップは、以下のとおりです。

  • 初期設定とトレーニング
    以下に、システムの設定とチームのトレーニングを最大限に活用する方法をご紹介します。

    • 試用期間またはテスト環境: ベンダーから提供される試用期間またはサンドボックス環境を利用します。これにより、本番環境に影響を与えることなくシステムの挙動を詳しく観察できます。
    • チームの関与: システムの操作に直接携わる担当者を含めます。担当者からの知見は、使いやすさを評価し、習熟しやすさや課題を見きわめるうえで貴重なものになる可能性があります。
    • 文書とサポート: 設定作業の進行中は、ベンダーのサポートリソースの質に注意を向けます。ユーザーにとって使いやすいガイド、動画チュートリアル、応答が早いカスタマーサービスチームは存在しているでしょうか。
  • パフォーマンスの監視
    システムの運用を開始した後は、本番環境の条件またはシミュレーション条件でパフォーマンスを監視します。以下に、考慮すべき事項をいくつかご紹介します。

    • 取引のスピード: システムで各種の取引を処理する際の所要時間を確認します。遅延が生じると、購入者の不満やカゴ落ちを招くおそれがあります。
    • エラーの発生率: テストラン中に生じるエラーまたは不具合をすべて追跡します。問題が一切ないシステムは存在しませんが、問題が頻繁に生じている場合、プラットフォームに潜んでいる深刻な問題の兆候を示している可能性もあります。
    • ユーザー体験: 購入者の立場で体験を評価します。決済のプロセスはわかりやすいか、購入者の混乱やためらいの原因になり得る手順はないかなどを確認してください。
    • データの正確性: すべての取引が適切に記録され、レポートの対象になっていることを確認します。財務データや顧客データが不正確であると、会計の誤りから規制順守に関するものまで、大量の問題につながるおそれがあります。
    • リソースの使用率: システムが他の業務にどの程度の影響を及ぼすかに留意します。他のシステムの動作を阻げることなく機能しているか、または大量のコンピューティングリソースを消費しているかなどを調べます。

コストをメリットと対比して評価

決済システムに付随して生じる可能性がある、あらゆる費用を考慮に入れることが重要です。次に、その内容を紹介します。

  • すべてのコストの再確認

    • 明瞭な料金体系: 明瞭な事前提示の料金体系を提供しているプロバイダーを探します。表面化していない諸費用も、積み重なると最終的な金額に影響を及ぼすおそれがあります。
    • 料金の内訳: 該当する各種の料金の明細を作成します。たとえば、取引ごとの請求額、設定手数料、月間または年間のサブスクリプション料金、特殊な機能やサービスに関する追加料金などです。この詳細な内訳によって、費用の総額をより正確に把握できます。
    • 契約条件: 追加のコストが発生し得る契約条項の細目は、徹底的に調査します。たとえば、早期解約の手数料や、取引の最小件数を満たしていない場合の違約金などです。
  • 長期的な価値
    ここでは、決済システムの長期的なメリットを判断するにあたって考慮すべき事項をご紹介します。

    • 事業運営上の節減額: 適切に連携された信頼性の高い決済システムでは、データを手動で入力する必要性の低減、エラーの修正、取引に関する不審請求の申請の解決によって、長期的なコスト節減が可能になります。
    • 顧客満足度: スムーズで安全な決済体験は、顧客満足度の向上やリピート利用につながる可能性を秘めています。
    • 戦略上の優位性: 用途の広い決済システムを導入すると、新規市場への参入、新しい支払いタイプへの対応、絶えず進化する規制基準への準拠をはじめとして、変化に素早く適応するための態勢を整えることができます。このような機能によって、適応が遅い競合他社に対する優位性を得られる可能性があります。
    • データに関するインサイト: 高度なレポート作成オプションを利用すると、購入者の行動や売上の傾向について貴重なインサイトを獲得できます。これらは、事業戦略をさらに緻密なものにできる有用な情報です。
    • 評判と信頼: 信頼性が高い安全な決済プロセスを導入すると、お客様のビジネスの評判が高まり、顧客からの信頼や全体的な市場認知度に好影響が波及する可能性があります。

選択の確定

徹底的な評価を得て、十分な情報に基づいて環境を選択した後は、契約条件を交渉して明確にします。

  • 契約条件の交渉

    • 支払い条件: サービスへの対価の支払い方法を定義します。プロバイダーから請求されるのは、定額の月額料金、取引ごとの手数料、またはこの両者の組み合わせであるかなどを確認しましょう。
    • 契約解除条項: 契約を早期に終了する場合のプロセスと影響について協議します。早期解除の違約金が発生するかどうかを確認します。お客様の選択肢と付随するコストを把握しておくと、要件が変化した場合も柔軟に対処できます。
    • サポートレベル: どのような種類のカスタマーサポートを利用できるのかを明確にします。週 7 日、24 時間体制のサポートが提供されるか、電話、メール、チャットなど、使用可能な連絡チャネルなどを確認しましょう。スピーディーで効果的なサポートは、取引量が多い時期や問題の発生時に特に貴重です。
  • 関係書類の作成

    • 契約書の書面: 料金、サポートレベル、契約解除条項など、協議を経て合意した詳細が書面に漏れなく記載されていることを確認します。
    • 法律面での助言: 専門家に法律面での助言を求めます。専門家に契約の確認を依頼すると、自社に不利な条項がないかどうかを特定し、表現があいまいな箇所の意味を明確にできます。
    • データに関する法律の遵守: 業界または市場に適用されるデータ保護法の遵守について、契約に明記されていることを確認します。
    • 署名と保管: 契約について社内の承認を得た後、契約書に署名して締結します。複製を安全な場所に保管して、すぐに参照できるようにします。

運用状況の監視

採用する環境を選び、新しいシステムを設定した後は、システムの運用状況を監視します。決済の所要時間と決済体験の顧客満足度に注目してください。定期的に再評価を実施し、必要な変更を加えることによって、成長に応じて変化する事業の要件を継続的に満たせるようにします。

オムニチャネル決済への Stripe の対応状況について、詳細はこちらをご覧ください。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

今すぐ始めましょう

アカウントを作成し、支払いの受け付けを開始しましょう。契約や、銀行情報の提出などの手続きは不要です。貴社ビジネスに合わせたカスタムパッケージのご提案については、営業担当にお問い合わせください。
Payments

Payments

あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、世界中のあらゆる場所でオンライン決済と対面決済を受け付けましょう。

Payments のドキュメント

Stripe の支払い API の導入方法について、ガイドをご覧ください。