グローバル決済 API の説明: その仕組みと利用方法

Payments
Payments

成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

もっと知る 
  1. はじめに
  2. グローバル決済 API の仕組み
  3. グローバル決済 API の種類
    1. ペイメントゲートウェイ API
    2. カード支払い API
    3. デジタルウォレット API
    4. 銀行振込 API
    5. 為替・通貨換算 API
    6. 主な特徴
    7. 不正防止・リスク管理 API
    8. 継続請求・サブスクリプション管理 API
    9. 入金 API
    10. 現地の決済手段 API
    11. ブロックチェーン・仮想通貨決済 API
    12. 埋め込み型金融 API
  4. グローバル決済 API を利用するメリット
  5. グローバル決済 API の導入における課題とその解決方法
    1. 導入
    2. 法規制の遵守
    3. 不正利用
    4. 通貨と決済手段
    5. 取引コストと入金遅延
    6. 顧客体験

グローバル決済アプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を利用することで、適切なペイメントゲートウェイ、銀行、金融ネットワークとつながり、世界中の顧客から決済を受け付けられるようになります。このような API により、グローバル決済を処理するための単一のインターフェイスが実現します。地域ごとに異なる決済手段や通貨を設定する必要はありません。そのため、グローバルな事業展開と各種通貨での決済の受け付けが容易になります。

クロスボーダー決済を可能にする API の重要性はますます高まっており、2028 年までにクロスボーダー取引が世界の E コマース支出の 33% を占めると予想されています。ここからは、グローバル決済 API の仕組み、メリットとともに、このソフトウェアインターフェイスを使用する際の一般的な課題を解決する方法についてご紹介します。

この記事の内容

  • グローバル決済 API の仕組み
  • グローバル決済 API の種類
  • グローバル決済 API を利用するメリット
  • グローバル決済 API の導入における課題とその解決方法

グローバル決済 API の仕組み

グローバル決済 API は、企業とさまざまな金融機関との仲介役として機能するため、異なる通貨、決済手段、国にまたがる取引が容易になります。グローバル決済 API により、一元的なインターフェイスが実現します。このインターフェイスを利用すると、現地の複数の決済代行業者や銀行と連携することなく、国際決済を受け付けて処理することができます。その仕組みは次のとおりです。

  • 企業がグローバル決済 API を自社のウェブサイト、アプリ、または POS システムと連携させます。通常、ソフトウェア開発キット (SDK) またはダイレクト API コールを使用して、自社のシステムがペイメントゲートウェイと通信できるようにします。

  • 顧客がカードの詳細を入力するかデジタルウォレットを選択して取引を開始すると、API が金額、通貨、顧客情報、決済手段の詳細などの支払いデータを収集します。

  • API は支払い情報を暗号化し、多くの場合トークン化します。これは、セキュリティ上の目的と、PCI データセキュリティ基準などの規制に準拠するためです。トークン化により、機密データが、その取引のコンテキスト以外では使用できない一意の識別子 (トークン) に置き換えられます。

  • グローバル決済 API が取引の最適なルーティングを決定し、顧客の所在地、希望する決済手段、通貨などの要因に基づいて、適切なペイメントゲートウェイに支払いデータを送信します。

  • API が通貨換算、外国為替 (FX) レート、現地の規制への準拠など、国境を越えたさまざまな決済に関する問題を処理します。多くのグローバル決済 API は、動的通貨換算を提供しています。顧客はこれにより、外国で購入する際に自国通貨で支払うことができます。

  • ペイメントゲートウェイが取引リクエストをアクワイアリング銀行に転送します。アクワイアリング銀行は、カードネットワーク (Visa、Mastercard など) または代替の決済手段の提供業者 (PayPal、Apple Pay など) と通信します。カードネットワークは顧客のカード発行会社に連絡し、利用可能な資金や不正利用チェックなどの要因に基づいて取引を承認または拒否します。

  • カード発行会社がペイメントネットワークを通じてアクワイアリング銀行に回答 (承認または拒否) を返します。アクワイアリング銀行はそのステータスをペイメントゲートウェイに通知し、ペイメントゲートウェイはグローバル決済 API に通知します。API は企業のシステムに通知し、顧客は確認またはエラーメッセージを通常はリアルタイムで受け取ります。

  • 手数料を差し引かれた売上が顧客の銀行から企業の口座に送金されます。グローバル決済 API は通常、複数の通貨での売上を処理し、企業の財務管理に役立つ消し込みレポートを作成します。

グローバル決済 API の種類

グローバル決済 API にはいくつかの種類があり、それぞれがクロスボーダー取引の処理について異なるビジネスニーズに対応しています。グローバル決済 API には主に以下の種類があります。

ペイメントゲートウェイ API

ペイメントゲートウェイ API を利用すると、クレジットカード、デビットカード、デジタルウォレット、銀行振込、現地の決済手段など、さまざまな決済手段の受け付けが容易になります。ペイメントゲートウェイ API により、さまざまな国の支払いを処理できる一元化されたインターフェイスが実現します。Stripe もペイメントゲートウェイ API です。

主な特徴

  • 多通貨対応

  • 現地の決済手段 (例: オランダの iDEAL、中国の Alipay) への対応

  • 支払いのトークン化と暗号化

  • 取引ステータスのリアルタイム更新

カード支払い API

カード支払い API は、特に国際的なカード支払い (クレジット、デビット、プリペイドなど) の処理に重点を置いています。この API は通常、保存されたカードのサポート、継続支払い、チャージバック管理などの追加機能を提供します。Visa Cybersource、Mastercard Gateway、American Express Payment Gateway はすべて、カード支払い API の例です。

主な特徴

  • 高度な不正検出ツール

  • 3Dセキュア認証

  • 継続請求とサブスクリプションの管理

  • 多通貨処理と動的通貨換算

デジタルウォレット API

デジタルウォレット API を利用すると、一般的なデジタルウォレットとの連携が可能になり、顧客は Apple Pay、Google Pay、Samsung Pay などのプラットフォームを介して支払えるようになります。Apple Pay API、Google Pay API、PayPal API はすべて、デジタルウォレット API の例です。

主な特徴

  • スピーディーで安全な決済プロセス

  • 生体認証 (Face ID、Touch ID など)

  • アプリ内決済、ウェブ決済、POS 決済への対応

  • ロイヤルティプログラムや特典との連携

銀行振込 API

銀行振込 API により、銀行間の直接送金が容易になります。銀行振込 API は、大規模な取引を処理する企業や、カード支払いの代替手段に重点を置く企業にとって必要となる可能性があります。銀行振込 API の例としては、SWIFT API、Wise API、単一ユーロ決済圏 (SEPA) API があります。

主な特徴

  • Automated Clearing House (ACH)、SEPA、その他の地域銀行振込システムへの対応

  • 通貨換算と国際送金

  • 取引ステータスと売上処理のリアルタイム更新

  • 従来の電信送金よりも低い手数料

為替・通貨換算 API

為替・通貨換算 API は、リアルタイムの通貨換算レートを提供し、為替操作を処理します。企業はこの API により、現地通貨で価格を提示し、希望する通貨で決済できます。XE Currency API、Open Exchange Rates API、OANDA API はすべて、為替・通貨換算 API の例です。

主な特徴

  • リアルタイムの為替レートデータと履歴データへのアクセス

  • 多通貨での価格設定と換算

  • 為替レート変動のリスク管理ツール

  • エンドツーエンド処理のためのグローバルペイメントゲートウェイとの連携

不正防止・リスク管理 API

不正防止・リスク管理 API は、機械学習アルゴリズム、ルールベースのフィルター、リアルタイム監視を通じて、不正取引の検知と防止に重点を置いています。Signifyd API、Riskified API、Sift API はすべて、不正防止・リスク管理 API の例です。

主な特徴

  • 不正利用検知のための機械学習モデル

  • リアルタイムの取引スコアリングとアラート

  • チャージバックの管理と防止ツール

  • 包括的な保護のためのグローバルペイメントゲートウェイとの連携

継続請求・サブスクリプション管理 API

継続請求・サブスクリプション管理 API は、サブスクリプションベースのビジネスの継続支払いを管理します。この API は、自動請求、サブスクリプションのライフサイクル管理、請求書発行に対応します。Stripe Billing API もこの種の API に該当します。

主な特徴

  • サブスクリプションプランの作成と管理

  • 失敗した支払いの督促管理 (顧客に決済手段の更新を促す)

  • 比例配分 (日割り / 秒割り計算) と従量課金

  • 多通貨対応と請求書発行

入金 API

入金 API を利用すると、世界中のユーザー、サプライヤー、パートナーに送金できます。この API は、ギグエコノミープラットフォーム、マーケットプレイス、アフィリエイトプログラムでよく利用されます。Stripe Connect API もこの種の API に該当します。

主な特徴

  • 多通貨入金への対応

  • 一括・大量支払い

  • 銀行振込、デジタルウォレット、カード入金への対応

  • 現地の入金規制の遵守

現地の決済手段 API

現地の決済手段 API を利用すると、提供地域が限られている地域固有の決済手段を利用できるようになります。また、現地の顧客の好みに対応するのにも役立ちます。WeChat Pay API、Alipay API、LINE Pay API はすべて、現地の決済手段 API の例です。

主な特徴

  • 各国固有の決済手段への対応

  • 現地通貨への対応と売上処理

  • グローバルな決済プラットフォームとの連携により、より広範なリーチを実現

  • 各地域に合わせて支払いページをカスタマイズ可能

ブロックチェーン・仮想通貨決済 API

ブロックチェーン・仮想通貨決済 API は、ビットコイン、イーサリアム、ステーブルコインなどの仮想通貨を受け付けるのに役立ちます。この API は、法定通貨への即時変換オプションを提供するため、ボラティリティリスクを回避するのに役立ちます。Coinbase Commerce API、BitPay API、CoinGate API はすべて、ブロックチェーン・仮想通貨 API の例です。

主な特徴

  • 複数の仮想通貨への対応

  • 即時の通貨換算と売上処理

  • 構築済みのウォレットサービスとカストディソリューション

  • マルチシグネチャや 2 段階認証などのセキュリティ機能の向上

埋め込み型金融 API

組み込み型金融 API を利用すると、金融サービスを自社プラットフォームと直接連携させ、後払い (BNPL)、分割払い、信用引受などのオプションを提供できます。Klarna API、Affirm API、Afterpay API はすべて、埋め込み型金融 API の例です。

主な特徴

  • 金融商品のシンプルな連携

  • クレジットリスク評価・引受ツール

  • 顧客向けの柔軟な返済オプション

グローバル決済 API を利用するメリット

グローバル決済 API は、海外の顧客に販売する企業の支払い処理を効率化します。このソフトウェアインターフェイスのメリットは次のとおりです。

  • システム連携が簡単: グローバル決済 API は、さまざまな国や通貨間での決済を処理するための単一のプラットフォームを提供します。そのため、開発者の時間と労力を節約できます。

  • 多数の決済オプションに対応: グローバル決済 API を利用すると、クレジットカード、Apple Pay や Google Pay などのデジタルウォレット、銀行振込、さらには各市場に固有の決済手段など、幅広い決済手段に対応できます。このような多様性により、現地の決済手段に重点を置いた対応が可能になるため、売上アップとカゴ落ちの削減を実現できます。Stripe は 135 以上の通貨に加え、オランダの iDEAL や中国の Alipay など、多数の現地の決済手段にも対応しています。

  • 複数の通貨に対応: この API を利用すると、さまざまな通貨での取引を簡単に管理できます。API によっては動的通貨換算も提供しています。動的通貨換算を利用すると、現地通貨で価格を表示できます。そのため、顧客はより身近なショッピング体験が得られ、企業は新しい市場への参入が容易になります。Stripe の API には自動通貨換算機能が備わっており、よりパーソナライズされたショッピング体験を実現するのに最適です。

  • セキュリティと不正防止機能が標準装備: グローバル決済 API は、強力な不正利用検知、トークン化、暗号化によって不正利用からユーザーを保護します。さらに、PCI DSS や決済サービス指令改訂版 (PSD2) などの基準への準拠を確保します。また、不正防止ツール Stripe Radar は、機械学習を使用して数十億ものデータポイントを分析し、リアルタイムで不正取引を防止します。

  • 拡張性が高い: グローバル決済 API は、ビジネスの成長や新しい地域への事業拡大に合わせて拡張できます。複数の国での決済に対応しているため、新しい市場に参入するたびに決済設定を新たに構築する必要はありません。Stripe のプラットフォームを利用すると、グローバルな事業拡大が容易になります。たとえば、支払い成功率を向上させる現地アクワイアリングや、マーケットプレイスやプラットフォームがグローバルに事業拡大する際に入金と法令遵守への対応を効率化できる Stripe Connect を利用できます。

  • キャッシュフローが改善、入金がスピーディー: グローバル決済 API によっては、売上処理のサイクルが速く、現地通貨での直接入金によりスピーディーに売上を受け取ることができます。Stripe には、一部の国で Instant Payouts などの機能をご利用いただけます。この機能を利用すると、通常の売上処理期間の終了を待たずに、すぐに売上を利用できます。

  • 規制への準拠をサポート: グローバル決済 API を利用すると、一般データ保護規則 (GDPR) やカリフォルニア州消費者プライバシー法 (CCPA) など、さまざまな地域の法律や規制に準拠するのが容易になります。Stripe の API には、税金の自動計算や強力な顧客認証 (SCA) などのツールが備わっています。

  • レポート作成と分析機能を利用可能: この API を利用すると、取引、顧客行動、支払い傾向に関する貴重な分析情報を得られます。このデータは、決済プロセスの調整、顧客体験の向上、ビジネス上の意思決定の高度化に役立ちます。Stripe には、詳細なレポート作成と分析機能を備えたダッシュボードがあります。また、自社の分析ツールに取引データを取り込むための API も利用可能です。これにより、決済戦略を綿密に監視し、必要に応じて調整することができます。

  • 運用コストが低い:グローバル決済 API により、運用コストを削減できます。1 つのプラットフォームですべての決済ニーズに対応し、消し込みや会計処理などのタスクを効率化できるためです。これにより、社内のチームはより多くの時間を事業拡大に費やすことができます。Stripe には自動消し込みツールと一元的な財務レポート作成機能があるため、決済管理に伴う手作業が減るだけでなく、業務の効率化とコスト削減を実現できます。

グローバル決済 API の導入における課題とその解決方法

ここでは、グローバル決済 API を利用する際の一般的な課題とその解決策をいくつかご紹介します。

導入

グローバル決済 API を自社の既存のシステムに導入する際に困難が伴う場合があります。グローバル決済 API がさまざまな決済手段と通貨に対応する必要がある場合は、特に困難が予想されます。この問題に対処するには、十分かつ適切なドキュメント、使いやすい SDK、事前構築済みのユーザーインターフェイスコンポーネントを備えたプロバイダーが役立ちます。たとえば Stripe には、複数のプログラミング言語によるガイドとライブラリのドキュメントが豊富に用意されています。

法規制の遵守

企業によっては、事業を展開する各地域の規制遵守要件への対応が課題となることがあります。その場合、自動税額計算や SCA 用ツールなど、規制遵守機能が組み込まれた API が役立ちます。

不正利用

Stripe Radar などの不正利用の検知ツールが組み込まれた API は、グローバルなセキュリティの脅威から自社を守るのに役立ちます。Stripe Radar は、機械学習を使用して不審な行為を検知し、阻止します。また、企業はセキュリティプロトコルを最新の状態に保ち、トークン化を使用して機密データを保護する必要があります。

通貨と決済手段

企業は、さまざまな通貨や地域の決済手段への対応に苦慮することがあります。そのような場合は、通貨の自動換算や現地の決済手段への対応をサポートする API が役立ちます。たとえば、Stripe は通貨換算と為替レートの処理に対応しています。

取引コストと入金遅延

クロスボーダー取引は高額になることがあり、支払いの売上処理が完了するのを待っていると、キャッシュフローが複雑になる可能性があります。この問題に対処するには、他社と比べて手数料が低く、かつ入金がスピーディーなペイメントプロバイダーが役立ちます。Stripe は複数の地域で現地アクワイアリングを提供しています。そのため Stripe を利用すると、コストを削減し、売上をスピーディーに受け取ることができます。

顧客体験

事業を展開する市場ごとに、その地域に適した体験を提供することが難しい場合があります。その場合、カスタマイズ機能を備えた API を利用すると、現地の言語、通貨、人気のある決済手段に対応できます。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

今すぐ始めましょう

アカウントを作成し、支払いの受け付けを開始しましょう。契約や、銀行情報の提出などの手続きは不要です。貴社ビジネスに合わせたカスタムパッケージのご提案については、営業担当にお問い合わせください。
Payments

Payments

あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、世界中のあらゆる場所でオンライン決済と対面決済を受け付けましょう。

Payments のドキュメント

Stripe の支払い API の導入方法について、ガイドをご覧ください。