ギフトカードの受け付けに関する基礎知識: 事業者が知っておくべきこと

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

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  1. はじめに
  2. ギフトカードの種類
  3. ビジネスにとってのギフトカードを受け付けるメリット
  4. ギフトカード管理のベストプラクティス
  5. ギフトカード管理ソフトウェアの選び方

ギフトカードはデジタル通貨または従来の通貨が事前に入金されているプリロード型媒体です。現金やクレジットカード取引の代替手段として小売業界で定着しています。Allied Market Research の 2023 年のレポートによると、2022 年におけるギフトカードのグローバル市場は 8,350 億ドルと評価されており、2023 年には 4 兆ドルを超えると予測されています。ギフトカードは即時売上を促進し、しばしばビジネスのリピート利用につながる手段を利用者に提供します。

ここでは、ギフトカードを受け付けるためのクイックガイドを、ギフトカードの種類とギフトカード決済のメリットと併せてご紹介します。また、ギフトカードプログラムを構築する際に活用すべきベストプラクティスについても検証します。

本記事の内容

  • ギフトカードの種類
  • ビジネスにとってのギフトカードを受け付けるメリット
  • ギフトカード管理のベストプラクティス
  • ギフトカード管理ソフトウェアの選び方

ギフトカードの種類

ギフトカードにはいくつかの種類があり、それぞれ固有の目的や使用パターンなどの考慮事項があります。ギフトカードの種類は次のとおりです。

  • クローズドループのギフトカード
    クローズドループのギフトカードは、単一の小売業もしくは特定の関連事業グループで使用できます。その他では引き換えできません。これにより、利用者の選択肢は制限されるものの、ギフトカードを発行した事業者での資金の消費が保証されるため、売上の維持と顧客ロイヤルティの向上を実現できます。

  • オープンループのギフトカード
    クローズドループとは異なり、オープンループのギフトカードはさまざまなビジネスで利用できます。このタイプのギフトカードは、Visa や Mastercard などの決済ネットワークとブランド提携していることがよくあり、デビットカードとほぼ同じように機能します。利用者に柔軟性を提供する一方で、サービス手数料の請求が発生し、通常、特定の小売業者で顧客ロイヤルティが構築されることはありません。

  • 電子ギフトカード
    電子ギフトカードは、メールまたはショートメッセージサービス (SMS) を介して送信されるデジタルカードです。その便利さを背景に普及の勢いが増しており、テクノロジーに精通した人たちの間で高い人気を得ています。電子ギフトカードは、物理的なギフトカードのような製造や配布の費用がかからないため、ビジネスにとって経済的にメリットがあります。

  • 慈善目的のギフトカード
    カード保有者は、慈善目的のギフトカードを使って任意の慈善活動に寄付できます。主流の小売業では一般的ではありませんが、一定の道徳観を有する利用者層に受け入れられる可能性があります。

  • 体験ギフトカード
    商品ではなく、スパや冒険アクティビティといった体験と引き換えることができます。専門的な市場で利用され、利用の際には時間の制限が通常設けられます。

  • チャージ式ギフトカード
    チャージ式ギフトカードには、プリペイドデビットカードと同様に資金を追加できます。この機能は顧客ロイヤルティを大幅に向上させ、リピート購入を促進する傾向があります。

ビジネスにとってのギフトカードを受け付けるメリット

National Retail Federation の 2023 年の調査では、ホリデーシーズンの買い物客の 55% がプレゼントとしてギフトカードをもらいたいと述べており、ギフトカードは最も人気のあるプレゼントとなっています。ギフトカードプログラムを導入することで、即時売上の増加、利用者との関係の強化、その他のビジネス目標の達成を実現できます。以下に、ギフトカードを受け付けるメリットのいくつかを詳しく説明します。

  • 売上の即時増加
    ギフトカードの売上は前払いによる売上を生み出します。分割払いや条件付き契約といった将来的な行動または結果に依存する他の収入源とは異なり、ギフトカードは即時の現金流入をもたらします。これにより予測性と財務の安定性が高められるため、不均等または循環的な売上パターンが見られるビジネスにとっては特に有利なメリットです。

  • 利用者の追加消費
    「タダで貰った」という心理的側面は、ギフトカード保有者がカードの元の金額を超えて消費するのを促すことがあります。ある購入の基本的な金額はカードによってすでにカバーされるため、より高額なアイテムや追加のアイテムにより多く消費する傾向が強くなります。こうした個別取引額の増加は全体の売上額に実質的に影響します。

  • 顧客獲得とロイヤルティの強化
    ギフトカードはビジネスに新たな利用者をもたらすことがよくあります。既存顧客がギフトカードを贈ることでブランドの体験への招待が広められます。ギフトカードを受け取った人は、その贈呈者を信頼していると考えられるため、自身がリピーター、そして優良顧客になる可能性が高いといえます。

  • 効果的な在庫管理
    ギフトカードは利用者の消費を方向付けるのにも役立ちます。例えば、ギフトカード向けのプロモーションを、過剰在庫または季節限定の特定の商品に紐付けることができます。ビジネスは、綿密に計画されたキャンペーンで、特定のアイテムの購入を動機付けることで、在庫レベルのバランスを取り、在庫保管コストを削減することができます。

  • 運営コストの削減
    一般的に、ギフトカード、特にデジタルカードは優れた費用対メリットを実現します。デジタルカードでは、印刷、保管、配送のコストがかからないため、最終的な収益を健全に保つのに役立ちます。発行済みのギフトカードは一定の割合で未利用のままになるため、運営上の複雑性が増すことなくギフトカードプログラムの全体的な経済状況がさらに向上します。

  • 利用者に関するインサイト
    ギフトカードの引き換えを通じて収集される取引データは、利用者の行動に関する豊富な情報源となる場合があります。こうしたデータは、利用者が好む商品、引き換えが最も多いタイミング、リピーターとの比較における新規利用者のカード利用方法といった情報を示すことができます。これらのデータを分析することで、在庫や価格設定戦略、マーケティングキャンペーン、顧客エンゲージメントの取り組みを微調整することができます。

  • ブランド認知の持続
    利用者がギフトカードで取引するたびにブランドとのエンゲージメントが生まれます。これは、ギフトカード取引に限ったことではありません。財布やウォレット、メールでギフトカードを目にするときでも、そのたびにブランドが強化され、さらなるエンゲージメントとロイヤルティ構築の機会が生まれます。

  • 最小限の決済リスク
    ギフトカードは、物品やサービスの将来的な購入のための前払いであるため、財務面での一定の不確実性が排除されます。債務不履行やチャージバックが起こり得る小切手やクレジットカードの決済とは異なり、ギフトカードはすでに送金済みの資金と捉えることができます。

  • 制定済みの規制へのコンプライアンス
    規制へのコンプライアンスを一つの障壁と考える事業者は多くいますが、一般的にギフトカードにまつわる規制は明確に定義されており対応が可能なものです。そのため、ギフトカードプログラムの運営に関する法的側面は簡素化されます。

ギフトカード管理のベストプラクティス

ギフトカードプログラムの管理では、入念な計画と継続的な監視、さらには実際のパフォーマンスと変化する市場状況に基づいた戦略の調整が必要になります。ギフトカードプログラムのパフォーマンスを最大限に高めるためのベストプラクティスを以下にご紹介します。

  • 透明性のあるコミュニケーション
    ビジネスは、有効期限やサービス手数料など、ギフトカードに関する利用規約を完全に開示する必要があります。透明性のあるコミュニケーションとは、規制ガイドラインを遵守し、利用者の信頼を築くものです。自社のウェブサイトにギフトカードポリシー専用の「よくある質問」セクションは、利用者が簡単にアクセスできるリソースとなります。

  • 強力な追跡システム
    適切に設計された追跡システムを実装して、ギフトカードの売上と引き換えを監視します。追跡システムでは、ギフトカードを利用して頻繁に購入されているアイテムや季節的な消費パターンといった詳細なデータを取得する必要があります。こうしたリアルタイムの情報は、極めて有益なビジネスインサイトを提供し、不正利用の検出と防止に役立てることができます。

  • マルチチャネルでの可用性
    実店舗とオンラインの両方でギフトカードを提供することで複数の収入源を獲得できます。オンライン購入やデジタル配信の便利さは、リモートで買い物を楽しむ顧客層にアピールできる一方、実店舗で販売される物理カードは従来の購入者をターゲットに設定できます。これら両方のチャネルで利用可能なオプションを提供することでリーチと収益性を最大化できます。

  • 定期的な監査
    ギフトカードプログラムの定期的な監査により、その強みと弱みを明らかにできます。こうした監査では、プログラムの保護と財務的な妥当性を維持するために、会計慣行やデータセキュリティ対策などのトピックに重点を置く必要があります。監査の結果からは、プログラム運営の適時な調整を促す情報を得られます。

  • 顧客エンゲージメントへの取り組み
    ギフトカードを引き換えた後の利用者とのエンゲージメントにより、追加の売上を生むことができます。引き換え後のエンゲージメントには、ターゲットメールキャンペーンや、今後の購入で利用できる特別割引、限定イベントへの招待などがあります。こうした取り組みにより、利用者のライフサイクルを延ばし、売上を強化できます。

  • 戦略的パートナーシップ
    補完的な役割を持つビジネスとのコラボレーションでギフトカードプログラムの有用性と魅力を高めることができます。例えば、書店は地域のカフェとパートナー提携して、両方の店舗でギフトカードを利用できるようにすることができます。このような提携が実現するクロストラフィックの促進と顧客体験の向上は双方のパートナーに恩恵をもたらします。

  • セキュリティ対策
    ギフトカードは現金に相当するため、その安全性を確保することは重要です。デジタルギフトカードには多要素認証を実装し、物理カードには改ざん防止の梱包を使用することで、不正利用のリスクを低減できます。不審な活動を継続的に監視することにより、不正取引を最小限に抑えることができます。

  • パフォーマンス指標の分析
    柔軟な姿勢は効果的なギフトカードプログラムを維持するための鍵となります。パフォーマンス指標の定期的な分析は、アクションを起こしやすいインサイトをもたらします。例えば、ギフトカードは主に新規顧客によって利用されているかや、既存顧客を維持するのに役立っているか、引き換え率は満足の行くものか、などといった疑問を解消することで、自社の戦略を効果的に適応させることができます。

  • 一貫性のある明確なブランディング
    ギフトカードはブランドのアンバサダーです。そのデザインにはブランドのアイデンティティを反映する必要があります。これには、物理カードの外観や雰囲気、デジタルカードのユーザーインターフェイスなどが含まれます。まとまりのあるブランディングにより、統一された顧客体験を生み出し、利用者にブランドを覚えてもらうことができます。

  • 法令遵守
    他の業務運営と比較して、ギフトカードに関する法的要件の遵守はそれほど煩雑ではありませんが、それでも慎重な管理が必要になります。法律改定に関する最新情報を常に確認し、それに応じて利用規約を更新して、ギフトカードプログラムの法律遵守を維持する必要があります。

ギフトカード管理ソフトウェアの選び方

適切なギフトカード管理ソフトウェアを選ぶ際には、以下のような複数の考慮事項があります。

  • 機能と特長
    まずソフトウェアに期待するものを検討します。例えば、オンラインと実店舗のマルチチャネルサポートを必要とするビジネスもあれば、高度な追跡・分析機能が必要なビジネスもあります。ソフトウェアは、デジタルカードと物理カードの両方の発行、取引監視の実施、プロモーションキャンペーンの実施など、自社のニーズに対応している必要があります。

  • 使いやすさ
    操作が簡単なソフトウェアソリューションは短期間で習得でき、業務の正確さの向上につながります。事前にソフトウェアをテストして、ユーザーインターフェイスやナビゲーション構造、全体的な使いやすさに関するフィードバックを取得します。優れた操作性はギフトカードプログラムの成功確率を高めます。

  • データの分析とレポート
    高品質なソフトウェアは豊富なレポート機能を備えています。これには、基本的な取引履歴機能や、使用状況パターンや購入の最繁時などの詳細分析機能などが含まれます。こうしたデータは、ターゲットマーケティングキャンペーンから在庫管理に至るまで、さまざまなビジネス上の意思決定に役立ちます。

  • セキュリティ
    ギフトカード管理ソフトウェアは強力なセキュリティ対策が組み込まれている必要があります。例えば、保管中および転送中のデータの暗号化や強力な認証メカニズムなどが挙げられます。セキュリティの脆弱性に対応するための定期的なソフトウェアアップデートも、巧妙化する脅威に対するシステム保護を維持するために重要です。

  • 拡張性
    ビジネスの成長に合わせて拡張できるソフトウェアソリューションを選択します。こうしたシステムは、取引量の増加への対応、より広範なデータ分析の実施、必要に応じた機能の追加に対応できる必要があります。事後のシステム変更は大きな費用がかかり、ビジネスに支障をもたらすことがあります。

  • 費用と予算
    初期費用だけに注目するのではなく、長期的な価値を評価します。購入価格とサブスクリプション手数料を検討するだけでなく、トレーニングやメンテナンス、将来的に必要になる可能性のある追加機能に伴う費用も調査します。

  • 法令遵守と適法性
    ギフトカードに関する法律と業界標準を遵守しているソフトウェアを選択する必要があります。これには、データ保護や消費者の権利、財務報告に関する規制が含まれます。コンプライアンス違反は法律上の複雑な問題や評判の喪失につながる場合があります。

  • プロバイダーの評判とサポート
    プロバイダーの評判の良さから製品の信頼性を判断できることがよくあります。レビューや顧客フィードバック、事業年数はベンダーの信頼性を評価するのに役立ちます。トラブルシューティングや定期的なアップデートなど、優れたカスタマーサポートも継続的なプログラム運営にとって欠かすことのできない重要な要素です。

  • ソフトウェア連携
    POS システム、E コマースプラットフォーム、CRM ソフトウェアなどの既存のシステムに対するソフトウェアの連携性を調べます。円滑な連携により、時間と労力を大幅に節約できます。詳しくは、Stripe の決済ソリューションに対応するギフトカードやクーポンの作成方法をご覧ください。

  • カスタマイズ機能
    デジタルギフトカードのロゴや色彩設計といったブランディング要素からレポート機能に至るまで、自社の特定のニーズに合わせてカスタマイズできるようなソフトウェアを探します。こうしたカスタマイズは、プログラムに価値を付加し、顧客体験を高めます。

具体的なビジネス要件と将来的な成長を見据えて、ギフトカード管理ソフトウェアを慎重に選びましょう。機能性とセキュリティ、拡張性を優先することで、効率的で持続可能なギフトカードプログラムを構築することができます。

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