eCheck とは: その概要と決済手段としての受け付け方法

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

もっと知る 
  1. はじめに
  2. eCheck の仕組み
  3. 事業者が eCheck を受け付けるメリット
  4. eCheck の受け付けをめぐる課題
  5. eCheck の受け付けに関するベストプラクティス
  6. Stripe Payments がどのように役立つか

紙の小切手や電信送金などの従来の決済手段に頼っている企業は、決済の遅延、高い処理手数料、セキュリティリスクなどに直面しやすくなります。eCheck決済は、顧客の銀行口座から売上金を徴収しつつキャッシュフローを改善できる、より迅速で費用対効果の高い決済ソリューションです。

一般に「eCheck」と呼ばれる電子小切手は、紙による従来の小切手のデジタル版です。eCheck を使用すると、資金が支払人の当座預金口座から受取人の口座へ ACH 決済により電子的に送金されます。紙の小切手で行われるプロセスに似てはいますが、eCheck の方がはるかに速く、物理的な要素が介在しません。

ACH 決済 を管理するシステムである Nacha は、2022 年に 300 億件の取引を処理し、76兆7000億ドル相当の価値に達すると報告されています。取引件数とその総額は、過去 10 年間で一貫して増加しています。企業にとって、eCheck を受け付けることは、特に家賃や高額の購入など、大口または継続的な決済を行う上で効率的な方法です。

以下の記事では、どのような決済手段を利用しているかにかかわらず、顧客から可能な限り安全かつ効率的に eCheck を受け付けるために事業者が知っておくべきことをご説明しています。

この記事の内容

  • eCheck の仕組み
  • 事業者が eCheck を受け付けるメリット
  • eCheck の受け付けをめぐる課題
  • eCheck の受け付けに関するベストプラクティス
  • Stripe Payments はどのように役立つか

eCheck の仕組み

eCheck の決済処理では、ACH ネットワークを介して、ある銀行口座から別の銀行口座に電子的に送金できます。eCheck 決済はデジタル形式であるため、このプロセスを迅速化できるだけでなく、紙の小切手よりも便利で安全です。プロセスの概要は以下の通りです。

  • オーソリ: まず、支払人が自身の銀行口座から電子的に引き出される支払い金額について明示的な許可を与える必要があります。支払人は、安全なオンラインフォーム、電話、または署名入りの文書によって取引を承認することができます。

  • 銀行口座情報の収集: 承認を得た受取人は、必要な銀行情報を支払人から収集します。これには通常、銀行の金融番号と支払人の口座番号が含まれます。

  • 処理のための提出: 支払先は事前に取得した承認と銀行口座情報をもとに、eCheck 専用のペイメントゲートウェイまたは他の決済ソフトウェアを介してこの情報を提供します。この提出により、資金の移動を開始する電子的な処理が自動的に実行されます。

  • ACH 取引の開始: ACH (Automated Clearing House) ネットワークにより、関係銀行間での資金と情報の移動がスムーズに行われます。支払先の銀行は決済情報を ACH ネットワークに送信し、情報を受け取った ACH ネットワークは、支払人の銀行と連携しながら本人確認と送金に向けたプロセスを行います。

  • 確認: 送金依頼を受けた支払人の銀行は、口座情報と十分な資金の有無を確認します。すべて問題がないことを確認したら、銀行はその取引を承認し、後続の処理を開始できるようにします。

  • 送金: 承認され次第、ACH は支払人の銀行口座から受取人の銀行口座に送金します。タイミングは、関係機関や、ACH ネットワークの具体的な処理スケジュールなど、さまざまな要因に左右されるためです (ACH は 1 日に 4 回の決済処理を行いますが、土日祝日は稼働していません)。

  • 確定と記録の保管: 取引が正常に完了すると、通常、両当事者は取引確定の領収書を受け取ります。このような電子記録は、紙の記録に比べて管理と保管が容易であり、監査や取引履歴の確認に必要な記録を簡単に取り出すことができます。

  • 売上処理: 最後に、ACHは銀行とのすべての取引を売上処理します。

事業者が eCheck を受け付けるメリット

電子小切手を受け付けることにどのくらいのメリットがあるかは、事業者が自社の決済エコシステム全体の中で電子小切手をどの程度適切に管理できているかによります。ここでは、事業者にとってメリットとなり得る点をいくつかご紹介します。

  • 費用対効果: eCheck は、クレジットカード決済や電信送金と比較して処理手数料が低くなります。これは、取引量が多い場合に特に影響します。

  • セキュリティ対策: eCheck の場合、取引の処理に ACH ネットワークが利用されます。ACH ネットワークには、暗号化や認証、不正利用防止など、数多くのセキュリティプロトコルが実装されています。これらの機能により、事業者と顧客の双方にとって、より安全な取引環境が実現され、銀行口座番号などの機密データが保護されます。

  • 処理時間の短縮: 従来型の小切手は処理が完了するまでに数日かかることがありますが、eCheck は多くの場合、1 営業日以内に処理が完了します。このように処理がスピーディーに完了することから、事業者は入金された資金を素早く利用することができるため、営業利益率の厳しい事業者にとっては特にメリットとなります。

  • キャッシュ管理の向上: 処理時間が短縮されることで、事業者は利用可能な売上をより正確に予測できるようになります。そのため、投資、給与、その他短期的な流動性を要する費用に関する意思決定を改善できます。

  • 利便性: eCheck は事業者と顧客の双方にとって便利なものです。小切手の入金のために銀行に出向く必要がなくなり、また多くの財務ソフトウェアシステムでは、eCheck による取引を自動的に記録できるため、事務作業の負担が軽減されます。

  • 不審請求申請の減少: ACH 決済では通常、銀行アカウントの確認が必要であり、顧客は引き落とされた銀行口座にアクセスできることを示す証拠を提出する必要があります。このような機能により不正取引が減り、結果として不審請求の申請が減って売上損失のリスク低減につながる可能性があります。

  • 環境への配慮: eCheck はペーパーレスの決済手段であり、今日の多くの消費者および事業者の環境保護意識と合致しています。紙の小切手の使用が減ることで、物理的な保管スペースの必要性も減少します。

  • 顧客満足度の向上: eCheck を含め、複数の決済手段を提供することで、幅広い顧客の決済手段の好みに対応できるようになるため、顧客は貴社と取引しやすくなります。このような柔軟性により、顧客満足度とロイヤルティを向上させることができます。

  • より広範な市場へのアクセス: 一部の消費者および事業者は、手数料の高さや債務が累積する可能性など、さまざまな懸念から、クレジットカードの使用を避けています。eCheck を代替手段として提供することで、貴社のビジネスの魅力をこうした消費者層に向けて高めることができるため、顧客基盤を拡大できる可能性があります。

  • 継続支払いとサブスクリプション: eCheck は手数料が低く、セキュリティ機能が保護されているため、サブスクリプション のような継続支払いの構造に非常に適しています。

eCheck の受け付けをめぐる課題

電子小切手による決済は、事業者と顧客にとって安全であると考えられていますが、潜在的なリスクと課題も残っています。eCheck で決済を行う事業者は、円滑な運営とリスク軽減のために、これらの要素を考慮する必要があります。

ここでは、決済手段として eCheck を受け付けることで生じる一般的な課題についてご説明します。

  • 不正利用リスク: どのような決済手段でも不正利用を完全に防ぐことはできません。アカウントの乗っ取りや盗んだアカウント情報の悪用といった手口は依然として使われており、不正取引につながる可能性があります。取引の監視、アカウントの確認、セキュリティ強化など、リスクを軽減するために予防策を講じることが重要です。

  • 残高の不足: 従来の小切手と同様に、eCheck にも支払人の口座の残高不足というリスクがあります。決済処理の前に利用可能な残高を確認するリアルタイムの承認の仕組みはありません。

  • 業務の調整: これまで eCheck を受け付けていなかった事業者は、この新しい決済手段に対応するために、会計や簿記の方式に変更を加える必要があるでしょう。その場合、ソフトウェアシステムを変更したり、スタッフ研修を新たに行ったりしなければならない可能性があり、時間とリソースが必要になります。

  • 取引の差戻し: eCheck による取引では、受取人の口座へ入金された後でも差戻しが可能なため、収入の保証が困難です。このような差戻しは、取引から最大 60 日後まで発生する可能性があり、収入が確定しない期間が長くなります。

  • 限定的な海外使用: ACH ネットワークは、主にアメリカの金融機関に対応しています。自社の顧客基盤の大部分が国外にある場合、グローバルな取引には別の決済手段を使用する必要があります。具体的には電信送金やクレジットカード決済などです。

  • 初期セットアップ料金と継続的なコストの発生: 金融機関やビジネスの運営内容によっては、初期セットアップ料金がかかる場合があります。これらの費用は一般的にクレジットカード取引手数料よりも安いものの、見落とさないように注意が必要です。また一部の eCheck サービスでは、月額料金、取引手数料、または決済ごとの手数料などがかかり、これらが事業のキャッシュフローを圧迫する可能性があります。

  • 顧客の消極的な態度: eCheck はそのメリットにもかかわらず、現在でもクレジットカードや従来の小切手ほどは普及しておらず、理解もされていません。eCheck のメリットやセキュリティ機能について顧客教育を進めるには、マーケティングや情報資源への投資が必要でしょう。

  • 規制の複雑さ: eChecksは電子送金 (EFT) 規制の対象となっている決済手段であるため、消費者の権利保護や不正利用対策など、一連の法的義務を負っています。こうした複雑さは、法務の専門スタッフがいない中小企業にとっては特に難しい問題となる可能性があります。

  • 取引確認の遅延: 通常、eCheck の場合は紙の小切手よりも早く処理が完了しますが、クレジットカードやデビットカードによる取引のような即時の支払い確認はできません。この点は、即時承認が必要な、またはそのメリットを享受したい場合には不利に働く可能性があります。

  • システムの互換性: すべての会計ソフトウェアが eCheck を取り扱えるように構成されているわけではありません。そのため、事業者は既存のシステムを更新するか、新しいソフトウェアに投資しなければならない場合があります。この移行には金銭的投資が必要であり、スタッフの教育も必要になることがあります。

eCheck の受け付けに関するベストプラクティス

電子小切手を受け付けて管理するための最適なアプローチを取り入れるするには、貴社のニーズ、特有の弱点、顧客の好みを理解する必要があります。会社ごとに企業戦略は異なるかもしれませんが、業界のベストプラクティスを採用することで業務を改善し、不正利用のリスクを軽減し、キャッシュフローを増やすことができます。

eCheck を受け付けるうえで広く認められているベストプラクティスとしては次のようなものがあります。

  • 認証プロセスの厳格化: 口座情報と本人確認のためにサードパーティーサービスを選ぶ際には、リアルタイムの銀行口座データと照合できる機能があるかを確認しましょう。その目的は、取引が発生する前に矛盾点を見つけ、不正利用のリスクを大幅に低減することです。取引の開始時と終了時に顧客の本人確認を行う二重検証プロセスを実装することを推奨しています。この二重検証方法によって送金される前にエラーや不正なアクティビティーを検出することができるため、不正利用防止のもうひとつの機会がもたらされます。

  • アドバンスセキュリティ設定: 決済ソフトウェア内に役割ベースのアクセス管理システムを実装します。従業員の職務内容に基づいてアクセス権を階層化することで、内部不正利用やデータ操作のリスクを軽減できます。またAIアルゴリズムを活用して、時間の経過とともに取引行動を継続的に監視します。これらのアルゴリズムは通常の取引パターンに適応し、静的なルールベースの検知と比較して、不審なアクティビティや不正利用の可能性をさらに正確に検出できます。さらに、すべての銀行口座番号や決済情報を暗号化して、データ侵害を防ぎます。

  • 取引とセキュリティの監査:取引ログからは行動分析のためのデータを得られます。AIを適用してログを分析し、不正行為を示す可能性のあるパターンを特定します。定期的な内部監査には、セキュリティ対策のストレス テストと、悪用される可能性のあるプロセス内の潜在的な脆弱性の特定も含める必要があります。自動消し込みツールを実装して、重複するeCheck取引を検証し、決済処理が1回になるようにします。

  • 顧客教育: eCheck 取引のステータスをリアルタイムで追跡できるインタラクティブなデジタルダッシュボードを顧客に提供します。このダッシュボードには、取引の重要なマイルストーンに関するプッシュ通知などの機能が備えられており、顧客の積極的な関与を促します。決済の失敗不審請求の申し立てなど、顧客が直面する可能性のある問題のシナリオをを使って顧客にガイドを与えるコンテンツリソースを作成します。これらのガイドで特定のソリューションを提供し、顧客に権限を付与することで、顧客サービス窓口への依存を減らします。eCheck のメリットと、電信送金やクレジットカード決済など、他の支払い方法との違いを明確に説明することで、導入率を向上させることができます。

  • プロセスとツールの改善: トラフィックの多い時間帯や、小切手の発行から決済までにかかる通常の機関などの統計データにもとづいて、eCheck 処理のスケジュールを設定することができます。これを最適化することで、システムリソースの負担を最小限に抑え、コストを削減し、取引の完了時期をより正確に把握することができます。決済エコシステムの将来の変化に適応できる、拡張性の高いペイメント・ゲートウェイを選択できます。技術が急速なペースで進化していることを考えれば、融通の利かないシステムに縛られると、将来的には効率が悪化し、ビジネスチャンスを見逃す可能性があります。

Stripe Payments がどのように役立つか

Stripe Payments は、成長中のスタートアップから大企業まで、あらゆる企業がオンライン、対面、世界各地で決済を導入することを支援する統合グローバル決済ソリューションを提供します。

Stripe Payments は以下の方法でお役に立てます。

  • 決済体験の最適化: 事前構築された決済 UI と、ABA 金融番号が必要なものを含む 100 以上の決済手段へのアクセスにより、スムーズな顧客体験を実現し、数千時間のエンジニアリング工数を節約できます。電信送金から ACH Direct Debit まで、導入は簡単です。
  • 決済の自動照合: 顧客ごとの仮想銀行口座とトラブルシューティングツールを活用した自動照合エンジンにより、ABA 金融番号を使用する決済の照合を簡素化できます。
  • 返金管理の簡素化: 銀行振込であっても返金や余剰資金の返還を簡単に実行できます。
  • 新市場への迅速な展開: 195 か国、135 以上の通貨で利用可能な国際間決済オプションにより、世界中の顧客にリーチし、多通貨管理の複雑性とコストを軽減できます。
  • __ 決済パフォーマンスの向上:__ ノーコード不正利用対策機能や承認率向上のための高度な機能を含む、カスタマイズ可能で設定が簡単な幅広い決済ツールにより収入を増加できます。
  • __ 柔軟で信頼性の高いプラットフォームによる迅速な成長:__ 99.999% のアップタイムと業界最高レベルの信頼性を備えた、お客様と共に成長するよう設計されたプラットフォーム上で構築できます。

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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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