バーチャル IBAN:ドイツ企業が知っておくべきこと

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  1. はじめに
  2. バーチャル IBAN とは?
  3. ドイツで適用されるバーチャル IBAN に関する規制
  4. バーチャル IBAN の利用メリット
    1. 効率性の改善
    2. シンプルなキャッシュフロー管理
    3. 手軽な国際決済
    4. セキュリティの向上
  5. バーチャル IBAN に関連する課題
    1. 規制要件
    2. 技術構築
    3. コスト構造
    4. 不正利用防止
    5. Stripe のサポート
  6. バーチャル IBAN の利用者

仮想国際銀行口座番号 (vIBAN) は、従来の銀行口座と最新の金融サービスを結び付けるデジタル口座番号です。この番号を使用することで、取引をより簡単にし、効率を向上させることができます。そのため、今後の利用率も高まっていくことが予想されます。この状況に備え、事業主は vIBAN を利用して取引を完了する方法を理解しておく必要があります。
本記事では vIBAN の概要を紹介するとともに、そのメリットとデメリット、ドイツにおける関連規制について解説します。

この記事の内容

  • バーチャル IBAN とは?
  • ドイツで適用されるバーチャル IBAN に関する規制
  • バーチャル IBAN の利用メリット
  • バーチャル IBAN に関連する課題
  • バーチャル IBAN の利用者

バーチャル IBAN とは?

IBAN は、標準化された国際的な銀行口座番号であり、世界中で利用されています。そして、バーチャル IBAN (vIBAN) はより複雑な性質を持ちます。通常、この一意のデジタル口座番号は、1 つのメイン口座に関連付けられます。

企業は、顧客や取引ごとに一意の vIBAN を作成できます。購入が完了すると、顧客は企業のメイン口座に関連付けられている指定の vIBAN に支払いを直接送金します。

ドイツで適用されるバーチャル IBAN に関する規制

ドイツにおいて vIBAN は、さまざまな規制の対象となっています。ドイツ銀行法 (KWG) 第 24c 条第 1 項の定めるところにより、ドイツ連邦金融監督庁 (BaFin) は、決済代行業者 に発行したすべての IBAN (vIBAN を含む) をファイルシステムに記録することをクレジット機関に義務付けています。2020 年 12 月、BaFin は KWG 第 6 条 (3) および第 24c 条 (1) に基づく一般規則を根拠に、この要件を規定しました。

改正以降、信用機関は新たに発行されたすべての vIBAN を迅速、正確、かつ完全にファイルシステムに記録することが求められています。加えて、vIBAN に割り当てられている個人の名前も記録しなければなりません。この要件は、透明性を高め、マネーロンダリングを防止することを目的としています。

また、ドイツの vIBAN には、決済サービス監督法 (ZAG) の一般規則も適用されます。この法律は、信用機関が決済サービスを提供し、電子マネーを発行する方法を規定しています。vIBAN のプロバイダーは、必要な BaFin の認可を取得し、マネーロンダリング法 (GwG) の規定に従う必要があります。同法は、マネーロンダリングやテロ資金供与を防止するための対策として、顧客の本人確認や疑わしい取引の報告をプロバイダーに義務付けています。

上記以外にも、信用機関は IBAN の生成と利用に関する一般規則 (ドイツ連邦銀行規定) に従うことを求められます。IBAN は複数の要素で構成されており、それぞれが特定の役割を持ちます。ドイツの IBAN は 22 桁で構成されます。

  • ドイツで発行された IBAN は、「DE」の国コードで始まります。このコードは、国別に割り当てられているものです。
  • 次の部分は 2 桁の確認番号で、エラーの検出に役立ちます。これは自動的に出力されます。
  • その次は口座名義人の銀行を表す銀行コードです。ドイツでは、この部分は 8 桁で構成されます。
  • 最後の 10 桁は顧客の銀行口座番号です。口座番号が 10 桁未満の場合は、ゼロが埋め込まれます。

バーチャル IBAN の利用メリット

バーチャル IBAN には、通常の IBAN を利用するよりも多くのメリットがあります。たとえば、企業が商品やサービスを販売すると支払いの受け取りが発生しますが、具体的な決済プロセスはその時々で異なります。カード決済単一ユーロ決済圏 (SEPA) ダイレクトデビットのプロセスとは異なり、銀行振込では顧客が支払いのタイミングと金額を決定します。加えて、口座とクレジットカードの情報を自分で完全に管理できるため、顧客には安心感がもたらされます。

しかし、この柔軟な対応によって付加的な作業が発生するため、通常の IBAN を利用している企業は手間を感じるかもしれません。また、顧客が誤った金額を入力したり、IBAN 番号を混同したりする可能性もあります。さらに、事業用口座では通常、複数の顧客からの支払いが処理されます。その後、各支払いは、経理部門によって対応する顧客または請求書と手動で照合されます。このプロセスは時間がかかるだけでなく、エラーのリスクも高めます。また、事業拠点や地域ごとに銀行口座を設定することもできます。しかし、口座を増やすことによる管理業務や銀行手数料の増加は避けられません。

vIBAN を利用するとこれらの手順の多くが省かれ、企業は決済処理にかかる時間と費用を節約しながらセキュリティを強化できるようになります。以下で vIBAN の主なメリットを詳しく見てみましょう。

効率性の改善

各取引または顧客には、一意の vIBAN が割り当てられます。この仕組みにより、入金を自動的かつ正確に割り当てられるようになるため、事務コストや銀行口座手数料が削減されます。

シンプルなキャッシュフロー管理

vIBAN はいずれも、メイン口座に関連付けられます。そのため、企業は財務状況を明確に把握し、キャッシュフローをより効率的に管理できるようになります。

手軽な国際決済

バーチャル IBAN では異なる通貨を利用できるため、国際決済が容易になり、通貨換算が不要になります。また、現地銀行の銀行口座をシミュレーションして、顧客が自国内で支払いを行えるようにすることもできます。これにより、顧客満足度が向上します。

セキュリティの向上

バーチャル IBAN は、メイン口座に紐づけられた被仕向口座としてのみ機能するため、高い安全性が期待できます。また、被仕向口座であることから、出金や送金には利用できません。vIBAN が誤用されたとしても、資金を引き出すことは不可能です。企業は口座の制御を保ちながら、疑わしい vIBAN を即座に無効化または置換できるため、メイン口座が危険にさらされることもありません。

データ保護もまた、重要なメリットです。企業は、実際の銀行情報を非公開にして、取引では vIBAN のみを利用することもできます。こうすることで、攻撃者はメイン口座に直接アクセスできなくなるため、不正利用の試みがより困難になります。

バーチャル IBAN に関連する課題

vIBAN を発行するにあたり、企業にはいくつかの課題が立ちはだかります。規制、テクノロジー、コスト、セキュリティなど、課題の種類はさまざまです。

規制要件

企業は、すべての法的要件、特にマネーロンダリング防止に関する要件を確実に遵守する必要があります。BaFin によると、2025 年も引き続きマネーロンダリングとテロ資金供与のリスクは高水準にあるため、厳重な警戒が求められます。vIBAN を利用すると、送金人、受取人、地理的位置情報の特定が難しくなるため、取引の監視や追跡も困難になる可能性があります。そしてこのデメリットは、第 6 次 EU マネーロンダリング防止指令に基づくデューデリジェンス要件への準拠を困難にします。

vIBAN には、メイン口座に関連付けられている国コードとは異なる国コードを指定することもできます。これにより、口座が国内で管理され、国内の規制や監視下にあるという印象を取引先に与えられます。一方で、国コードの変更は顧客に誤解を与える可能性もあります。

技術構築

企業は、vIBAN を既存の金融システムに組み込む必要があります。金融システムには、会計ソフト、企業資源計画 (ERP)) システム、ペイメントゲートウェイなどが含まれます。また企業は、vIBAN を利用する際に入金が正しい顧客や請求書と自動的に照合されるよう環境を構築しなければなりません。そのためには、既存のシステムに接続して通信するアプリケーション・プログラミング・インターフェイス (API) が必要です。

さらに別の技術課題として、銀行や決済代行業者との同期を確保する問題が挙げられます。すべてのシステムが vIBAN をサポートしているわけではありません。企業は、システムをカスタマイズしたり、vIBAN 管理をシンプルにする決済代行業者と提携することでこの問題を解決できます。

コスト構造

企業は、銀行や決済代行業者が vIBAN の設定や取引の処理に手数料を課すかどうかを確認しておく必要があります。料金体系はプロバイダー、あるいは会社のニーズによって異なるため注意が必要です。

不正利用防止

バーチャル IBAN はデジタル決済システムを構成する一要素であり、サイバー攻撃、不正利用、フィッシングの標的になることがあります。集中管理されたプラットフォームで vIBAN を安全に管理することは、ロバストなシステムで支払いの追跡や割り当てを行うことと同じくらい重要です。バーチャル IBAN は、2 段階認証 (2FA) や高度な暗号化技術などの厳格なセキュリティプロトコルに従った安全な環境で管理する必要があります。

メリット

課題

  • 効率性の改善:取引の自動割り当て

  • シンプルなキャッシュフロー管理:すべての入金を 1 つの口座に振り分け

  • 国際ビジネス:通貨換算を伴わない越境決済

  • セキュリティの向上:銀行口座情報の共有なし

  • 規制要件:ドイツ連邦銀行規定の履行

  • 技術構築:財務プロセスへの vIBAN の導入

  • コスト構造:コストの事前把握

  • 不正利用防止:サイバー攻撃や不正利用への対策

Stripe のサポート

Stripe Connect を使用すると、従来のビジネス、マーケットプレイス、プラットフォームでもユーザーの仮想口座を管理できるようになります。送信する請求書ごとに一意の vIBAN が割り当てられます。顧客は、メイン口座に自動的に関連付けられる個々の仮想口座に支払いを送金します。Stripe は多通貨で支払いを処理できるだけでなく、多くの場合、従来の銀行が提示するレートよりも魅力的な通貨換算レートでこれを行っています。

顧客が誤って過払いをした場合でも、企業は Stripe ダッシュボードを通じてこのエラーを修正できます。このメソッドは、返金と返品のプロセスを簡素化するためにも利用できます。

さらに、Stripe Treasury は、企業がバンキング機能を自社のプラットフォームに導入できるようにする、API 指向のソリューションを提供しています。Stripe Issuing は、支払い取引用の一意のアカウントデータの作成を可能にします。Stripe は、企業が銀行との複雑な連携を自社で構築することなく、vIBAN を既存のシステムにシームレスに導入できるようサポートします。

Stripe は、PCI データセキュリティ基準 (PCI DSS) レベル 1 など、最高レベルのセキュリティ基準に準拠しています。PCI DSS は、カード保有者情報、機密性の高い認証データ、またはその両方を保存、処理、転送する組織向けのグローバルなセキュリティ基準です。Stripe Radar のテクノロジーは、機械学習を活用して疑わしい取引をリアルタイムで特定し、不正な vIBAN や支払いの改ざんによる不正利用のリスクを最小限に抑えます。

バーチャル IBAN の利用者

近年、デジタル決済業界の企業にとって vIBAN は、重要かつ適応性の高いソリューションになりつつあります。特に、オンラインビジネス、マーケットプレイス、Airbnb などのプラットフォームでは、vIBAN を利用して複数の顧客に効率的に支払いを指示しています。

ストリーミングプラットフォームや SaaS (サービスとしてのソフトウェア) プロバイダーなどが提供するサブスクリプションサービスでも、継続支払いの管理に vIBAN が利用されています。金融サービスプロバイダーや決済代行業者が取引の安全性と透明性を高めていく中、国際企業は vIBAN を利用して越境決済を簡素化しています。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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