経済・商務・企業省の月次対外貿易報告書によると、2025 年のスペインのアメリカへの輸出額は 167 億ユーロを超えました。この数字はスペインの総輸出額の 4.3% を占め、アメリカはポーランドやオランダなどのヨーロッパ諸国を上回って第 6 位のスペイン商品輸入国となっており、EU 非加盟国の中では、歴史的にスペインと密接な関係を保ってきた隣国モロッコを抜いて首位に立っています。
ただし、アメリカに商品やサービスを輸出するには、さまざまな法的義務を遵守する必要があります。たとえば、取引ごとに請求書を発行することが求められますが、これらの請求書は追加情報の記載義務があるため、通常は国内向けの請求書よりも複雑になります。この記事では、スペインからアメリカへの請求書発行方法と、具体的なプロセスの詳細について説明します。
目次
- スペインからアメリカ企業へ請求書を発行する方法
- スペインからアメリカの個人顧客へ請求書を発行する方法
- スペインからアメリカへの請求書発行に関する規制
- スペインでアメリカの受取人に発行される請求書の必須情報
- Stripe でスペインからアメリカへの請求書発行を行う方法
スペインからアメリカ企業へ請求書を発行する方法
ほとんどの場合、スペインからアメリカの企業顧客に発行される請求書にスペインの付加価値税 (VAT) を含める必要はありません。ただし、輸出はすべて四半期ごとの VAT 申告書 (フォーム 303) で報告する必要があります。
さらに、取引に VAT が含まれない理由を説明する法定記載文言を、請求書に記載する必要があります。文言は以下のとおりです。
- VAT の対象とならない取引: 「法律 37/1992 第 69 条に基づく VAT の対象とならない取引」。
- VAT 非課税取引の場合: 「法律 37/1992 第 21 条に基づき VAT 非課税の輸出」。
アメリカ企業に発行される請求書への VAT の適用は、販売する商品やサービスによって異なります。
アメリカ企業に販売される商品の請求書
アメリカの企業への商品の販売は、次の条件を満たす場合、スペインの VAT が免除されます。
- 商品がスペインから販売される。
- 商品がアメリカへ輸送される。
- これらの取引が輸出に該当することをスペイン税務庁 (AEAT) に対して証明・立証するために必要な書類を保有していること。このような書類の例としては、単一行政文書 (SAD) が挙げられます。SAD は税関書類としての機能に加え、適用される税金や関税の判定にも使用されます。
逆に、企業がスペインで商品を購入し、その商品が国外に持ち出されない場合、取引はスペインの VAT の対象となります。
アメリカ企業に販売されるサービスの請求書
原則として、アメリカ企業へのサービスの販売は、規制によりサービスが顧客の国で行われると見なされるため、スペインの VAT の課税対象ではありません。したがって、請求書に VAT を記載する必要はありません。
ただし、サービスがスペインで物理的に提供または使用される場合は、顧客の本社がアメリカに所在するかどうかに関わらず、取引はスペインの VAT の対象となります。これは、不動産、イベントへのアクセス、ケータリング、短期レンタカー、旅客輸送に関連するサービスなどの場合に適用されます。
スペインからアメリカの個人顧客へ請求書を発行する方法
B2B (企業間) 取引と同様に、アメリカの個人に請求書を発行する場合には、いくつか注意すべき重要な点があります。
アメリカの個人顧客に販売される商品の請求書
有形商品販売の請求書の受取人がアメリカの個人である場合、受取人が企業の場合と同じルールが適用されます。有形商品が EU から出る限り、VAT を含める必要はありません。このような場合、請求書には VAT 免除の根拠が明確に記載され、SAD が保管されている必要があります。
アメリカの個人顧客に販売されるサービスの請求書
- 一般的なサービス
原則として、個人顧客へのサービスは、専門家がサービスを提供する国で課税されるため、アメリカの個人向けの請求書の多くにスペインの VAT が含まれます。ただし、スペインの VAT 法第 69 条第 2 項に規定されているように、特定のサービス (アドバイザリー、コンサルティング、翻訳サービスなど) は、事業者がスペインから提供している場合でも、アメリカで行われたものと見なされます。このような場合、アメリカの個人に発行される請求書は VAT 対象外取引と見なされるため、スペインの VAT を含めません。 - スペインで物理的に提供または使用されるサービス
B2B 取引と同様に、アメリカの個人がスペインでサービスを使用する場合は、請求書にスペインの VAT を含める必要があります。 - 電子サービス
オンライントレーニングやソフトウェアなどの電子サービスを販売する場合、その取引はアメリカで課税対象となるため、スペインの VAT を含めずに請求書を発行する必要があります。税務上、一般サービスと電子サービスの両方の販売は顧客の国で行われると見なされる点に注意してください。そのため、事業者がアメリカに物理的な拠点を持たない場合でも、特にアメリカでの電子サービスの販売量が非常に多い場合には、現地で該当する税金の納付が必要になることがあります。
この最後の要件については、国ごとに独自の規制があるため、管轄区域ごとに具体的な閾値を確認することが重要です。アメリカの場合、売上税率は州レベルだけでなく、郡や市によっても異なります。
アメリカには数千もの異なる売上税の管轄区域があり、税制が最も複雑な国の 1 つです。税金の徴収を簡素化し、潜在的な問題を回避するには、Stripe Tax などの税務自動化ツールを導入することをお勧めします。このツールは、特定の管轄区域で税金の徴収が必要となる売上の閾値に近づいたときに自動アラートで通知します。
スペインからアメリカへの請求書発行に関する規制
スペインでは、アメリカへの請求書発行プロセスは、主に次の 2 つの規制によって規定されています。
- 勅令 1619/2012
請求書発行義務規則 (Regulation Governing Invoicing Obligations) を承認した勅令 1619/2012 は、スペインから外国企業への請求書発行について第 2 条で明示的に言及しています。具体的には、EU 以外の顧客に商品を販売またはサービスを提供する際に、請求書とそのコピーの発行を義務付けています。 - 法律 37/1992
法律 37/1992 (VAT 法) では、スペインから外国企業または個人に発行される請求書に、スペインの VAT を含める必要があるか、含めてはならないかが規定されています。この目的のために、外国の顧客に請求された取引がスペイン国内で行われたものと見なされるか、国外で行われたものと見なされるかを判定する所在地ルールと例外を設けています。
スペインでアメリカの受取人に発行される請求書の必須情報
アメリカへの輸出の請求書を作成する際には、スペインで発行される請求書に記載する必要がある情報に加えて、一連の追加情報を含める必要があります。以下で詳しく見ていきましょう。
- 雇用者識別番号: B2B 取引を行う場合、顧客の雇用者識別番号 (EIN) を提供する必要があります。これは、アメリカ内国歳入庁 (IRS) がアメリカで事業を行う企業に割り当てる納税者識別番号です。
- HS コード: 出荷された商品を分類して識別する統一システムコード。税関当局はこのコードを使用して、輸出商品に適用される関税と税金を決定します。
- Incoterms (インコタームズ): リスクを誰が負うか、輸送コストがどのように配分されるかなど、契約の条件の概要を示す国際商業規約。
- 商品の原産地と仕向地: 請求書には、商品がスペインからアメリカへ出荷されていることを明確に記載しなければなりません。
- 取引に使用される通貨: 顧客の国に関係なく、支払いはユーロで行われるのが一般的ですが、アメリカへの輸出の請求書にアメリカドルを使用することは法的に認められています。
- 適用為替レート: 請求書がアメリカドルで発行されている場合、ユーロでの VAT 額を計算するために使用された為替レートを表示することが義務付けられています。
- 単価と合計価格: 請求書には、各商品またはサービスの金額と、商品の合計金額が記載されている必要があります。
- 支払条件: 請求書には、決済手段の詳細と、アメリカの顧客が商品を受け取ってから支払いを行う期限が記載されている必要があります。
- 運送費: 貨物の輸送費用に加え、アメリカへの輸送方法も記載しなければなりません。
- 保険金額: 貨物の配送に対して賠償責任保険に加入する場合、その金額を請求書に記載しなければなりません。
- 免除の根拠: 請求書に VAT が含まれていない場合は、免除の理由を記載する必要があります。最も一般的な方法は、法律 37/1992 第 21 条を引用することです。
要約すると、アメリカの顧客への請求書に VAT を含める必要があるかどうかを示す 2 つの表と、取引の種類に応じて含める必要がある追加情報を以下に示します。
アメリカ企業への B2B 請求書
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取引 |
VAT |
備考 |
追加の必須情報 |
|---|---|---|---|
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アメリカへ出荷される商品 |
❌ |
商品が EU を離脱する場合は免除、SAD の保持が必要 |
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スペインで購入された商品 |
✅ |
商品が EU から出ない場合はスペインの VAT を含める |
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一般的なサービス |
❌ |
サービスは法的にアメリカで提供されると見なされるため、スペインの VAT を含めない |
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スペインで使用されるサービスと例外 |
✅ |
不動産、イベントへのアクセス、ケータリング、短期レンタカー、旅客輸送に関連するサービスにスペインの VAT が適用されます |
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アメリカの個人顧客への B2C 請求書
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取引 |
VAT |
備考 |
追加の必須情報 |
|---|---|---|---|
|
有形商品 |
❌ |
商品が EU を離脱する場合は免除、SAD の保持が必要 |
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一般的なサービス |
✅ |
原則として、スペインの VAT が含まれます |
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サービスの例外 |
❌ |
アドバイザリーサービスやコンサルティングサービスなど、一般規則の対象外となるサービスは、スペインの VAT の課税対象とはなりません |
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電子サービス |
❌ |
これらは顧客の国で課税されるため、アメリカの税制に準拠する必要がある |
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スペインで使用されるサービス |
✅ |
サービスがスペインで物理的に使用される場合は、スペインの VAT を含める |
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Stripe でスペインからアメリカへの請求書発行を行う方法
経済・商務・企業省のデータによると、2025 年のスペインの対米輸出は前年比 8% の減少を記録しました。こうした取引の法務・税務コンプライアンスの複雑さが、この減少の一因となりました。しかし、現行の規制に準拠した信頼できる国際ペイメントゲートウェイを介して決済を処理することで、スペインからアメリカへの請求書発行がよりスムーズになります。Stripe Payments を使用すると、クレジットカードやデビットカード、デジタルウォレット、さらには Klarna などの後払い (BNPL) サービスによる分割払いオプションなど、アメリカの顧客が好む決済手段で決済を受け付けることができます。
さらに、Adaptive Pricing では、レートが顧客の所在地に合わせて自動的に調整されるため、150 カ国以上で現地通貨での価格表示が可能になります。
企業のアメリカへの輸出をさらに円滑にするために、Stripe App Marketplace は、決済プラットフォームとシームレスに連携し、ビジネスの最も具体的なニーズに適応するアプリのライブラリを提供しています。
App Marketplace で利用できるアプリの 1 つに Billit があります。Billit は、EU 全域のさまざまな電子請求書発行要件の法令遵守に重点を置いた、ヨーロッパの先駆的な電子請求書発行プラットフォームです。このプラットフォームでは、顧客の納税者番号に基づいて正しい形式と送付ネットワークを自動的に選択できるため、国外の顧客への電子請求書の送信が簡素化されます。
一方、Invopop はスペインで開発されたソリューションであり、スペインの法令遵守に特化した機能を備えています。最も重要な機能の 1 つは、VERI*FACTU システムとの完全統合です。これにより、スペインからアメリカに発行された請求書の記録が、改ざんなくリアルタイムで AEAT に送信されます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。