スペインでは近年、分割払いの普及が着実に進んでいます。2024 年の時点でスペインの消費者の約 50% が分割払いによる購入資金の調達に関心を示し、すでに スペインのオンラインショッピングの 5% で「今買って後で支払う(後払い)」 (BNPL) が利用されています。
同様に、従来の支払方法に加えて分割払いの選択も可能だった 15 万件の取引を分析した Stripe の最近のレポート を見ると、BNPL 型決済を提供した効果で、企業の収益が 14%も増加したことがわかります。柔軟性の高い決済方法を提供することによって、チェックアウト時のコンバージョン率がアップするだけでなく、平均購入額も増加しました。
それでは、貴社が分割払いを提供する際に考慮しなければならない重要なポイントを検討しましょう。
この記事の内容
- 分割払いとは
- 分割払いの仕組み
- スペインで使われる分割払いの種類
- 分割払いの利点と欠点
- スペインでの分割払いに関するよくある質問
分割払いとは
分割払いは 部分返済 とも呼ばれます。顧客は購入代金の総額を長期にわたって少額ずつ、スケジュールに従って分割で支払うことができます。この決済方法のよくある例として、今買って、あとで支払う (後払い) が挙げられます。この方法を選択した顧客は、所定の期間にわたり、2 回以上に分けて購入金額の全額を返済します。
分割払いの仕組み
一般に、分割払いは金額をどのような方法で分割するかに関わらず、同じような形で運用されます。
- 顧客が購入する商品を選択します。
- そこで、企業は顧客に 1 種類または複数種の分割払いを提供します。
- 顧客は分割払いの利用規約を読み、これに同意します。企業は、頭金、および分割払いに手数料が含まれるか否かを明記しなければなりません。
- 当該企業または決済手段プロバイダーが提携する金融機関による分割払い計画の審査と承認が必要な場合もあります。一般に購入額が比較的少額の場合、承認手続きは即時実行されます。
- 顧客が初回返済を行います。ほとんどの場合、BNPL と同じように、企業は売上金の全額を直ちに受け取ります。
- 顧客は、契約に記載された返済スケジュールに従い、債務が全額弁済されるまで定期的に分割で支払いを行います。
分割払いの回数
顧客の返済額を分割する回数は返済方法によって異なります。BNPL の場合、概ねどの方式でも、顧客は無利息の 3 回払い、6 回払い、9 回払い、または 12 回払いで支払いを繰り延べることが可能です。
たとえば、ヨーロッパの決済手段 Scalapay の場合、無利息で 3 回または 4 回に返済を分割し、2 週または 4 週間隔で返済を行うことができます。
このほか、Klarna などの分割払いシステムでは、大口購入のための融資が用意され、最長 36 カ月の分割払いを利用できます (顧客の返済額には金利が加算されます)。
スペインで提供可能な分割払いの種類
貴社が顧客に提供できる分割払いには次のような種類があります。
後払い
スペインでは、顧客が無利息の後払いを歓迎するという理由でBNPL 方式による返済を受け入れる 企業が増え始めています。一般にスペインの後払いでは、顧客が期日までに返済しなかった場合に限り手数料が課されます。したがって、BNPL がスペインの顧客に人気の決済方法の1つになったことはごく当然と言えます。Stripe Payments を利用すれば、貴社は BNPL を含めて 100 種類以上の返済方法を受け入れることができます。ここで、スペインの企業が利用できる BNPL をいくつかご紹介しましょう。
Klarna
ほとんどの BNPL 方式と同じように、Klarna を導入した企業は、購入代金を直ちに全額受け取ることができます。したがって、顧客が分割払いをすべて完了するまで待つ必要がありません。Klarna の分割払いで一番人気なのは 3 回払いと 4 回払いです。このように柔軟性を持たせたことがスペインでの大成功につながり、2021 年の時点で早くも、Klarna の国内ユーザーは 100 万人を突破しました。スペインでのサービス開始からわずか 1 年という速さでした。
seQura
スペインには、BNPL 返済法がもう一つあります。それはseQura です。顧客は 3 回払い、6 回払い、9 回払い、または 12 回払いで代金を決済できます。Klarna と同じく seQura でも、取引確定後直ちに購入代金全額が企業に支払われます。
Aplazame
Aplazame は、スペインの銀行 WiZink が考案した BNPL 返済法です。最低金利は 0% ですが、企業は独自の手数料を設定して利率を引き上げることができます。Aplazame では最長で 36 回払いを利用できるため、顧客は毎回の返済金額を抑えながら商品の購入代金を支払うことができます。Aplazame は、Stripe の外部決済手段 としてご利用いただくことができます。
クレジットカードの分割払い
Santander、CaixaBank などいくつかの銀行では、クレジットカードでの決済を分割払いにすることができます。条件は銀行によって大きく異なる場合があります。たとえば、Santander の場合は、顧客が自行のクレジットカードで購入代金を決済した場合に限り、分割払いを申し込みむことができます。
消費者ローンの分割返済
スペインの多くの銀行が、大型高額商品の購入を目的とする消費者ローンを提供しています。大抵の場合、この種の分割返済は他の決済方法より高金利です。
個別契約
サプライヤーや代理店、さらに場合によっては顧客と契約を結び、商品代金の決済を所定の回数に分けて行わせるスペイン企業もあります。分割払いが終わる前に約束手形を振り出す場合もあります。
大規模小売業者が個別に提供する分割払い
スペインの大規模小売業者が、契約を結んでいる金融機関に応じて独自の分割払いを提供するケースも多く見られます。月賦 を選択できるAmazon など、独自の分割払いを用意している小売業者もあります。
分割払いの利点と欠点
分割払いには多くの利点がありますが、隠れた欠点を見逃さないことが重要です。ここで、企業と顧客の双方に影響を与える利点と欠点について検討することにします。
企業側から見た分割払いの利点
- コンバージョン率が高まる。
- 平均購入金額が増加する。
- 詐欺や支払不能への対策が強化できる。
- 購入確定後、直ちに代金が店舗に全額入金される方式なので、キャッシュフロー 管理が円滑化される。
企業側から見た分割払いの欠点
- カード決済やデジタルウォレット と比べて手数料が高い。
- 延滞や踏み倒しのリスクがある。
- 顧客が弁済するまで資金を受け取れない場合、企業の資金流動性が低下する。
顧客側から見た分割払いの利点
- 一括払いでは購入できないような高額商品を購入できる。
- 分割払いを選択できることによって資金調達の柔軟性が高まる。
顧客側から見た分割払いの欠点
- 分割払いの中には利息や手数料がかかるものがある。
- 債務が累積して返済不能に陥る危険性が高まる。
スペインでの分割払いに関するよくあるご質問
分割払いはローンと同じですか。
いいえ、分割払いとローンは同じではありません。どちらも購入金額を分割して支払いますが、ローンは銀行やクレジット会社が提供するものであり、利息がかかります。分割払いには、サプライヤーとの弁済契約や BNPL 方式など、さまざまな形式があります。多くの場合、期日までに返済すれば、顧客が手数料や利息を課されることはありません。
スペインでは一般にどのような種類の商品に分割払いが使われるのですか。
分割払いは、電化製品、家具、授業料といった高額の購入によく使われます。一部の BNPL 方式では、少額の購入でも融資が利用できます。例えば、スペインでは Klarna を使えば 35 ユーロ以上の購入代金を無利息の分割払いで返済できます。
分割払いは有利子ですか。
無利子か有利子かは分割払いの種類によって異なります。一般に銀行は貸付に金利を課しますが、多くの BNPL 決済方式は、顧客が期日までに返済を行えば追加料金を課しません。柔軟度の高い融資方式の場合、少額の手数料が定額で課されることがあります。たとえば、seQura は毎回の返済時に定額の手数料を課します。 手数料は購入代金の総額によって変わります。(たとえば、200 ドルの商品を 12 回払いで購入した場合、返済の都度 3 ドルの手数料が加算されます)。
スペインで商品の分割払いを利用する際の条件を教えてください。
分割払いを利用するための基本的な条件は、顧客が 18 歳以上であることと、国民身分証明書 (DNI) などの身分証明書を所持していることですが、決済プロバイダーまたは銀行によっては、それ以外にも追加的な条件が課されることがあります。
分割払いの導入をお勧めする業種
Eコマースプラットフォームや高額商品を販売する企業は、分割払いを提供することによって最大のメリットを引き出すことができます。ただし、BNPL 型決済の効果に関する Stripe の調査 によれば、25 ~ 50 ドルの小口取引でも、この決済方法を提供後、コンバージョン率が約 10 %増加しています。
分割払いの繰上げ返済は可能ですか。
スペインでは一般に可能ですが、分割払いを繰上げ返済できるかどうかは契約条件によります。例えば、seQura の 3 回払い の場合、顧客はクレジットカードもしくはデビットカード または銀行振込 で残金を返済することができます。多くの場合、こうした繰上げ返済に違約金は課されませんが、分割払いに手数料が加算されないように契約条件を確認することをお勧めします。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。