ドイツにおける電子請求書: 事業者が知っておくべきこと

  1. はじめに
  2. 電子請求書とは?
  3. XRechnung: ドイツの電子請求書規格
  4. 電子請求書の作成方法
    1. 電子請求書を XML 形式で作成する手順
  5. 電子請求書のメリットとデメリット
    1. メリット
    2. デメリット
  6. 電子請求書が有効であるための要件
  7. 電子請求書のアーカイブ化に関する法律を遵守する方法
    1. 電子文書のアーカイブ化に関する法律の主な側面

デジタル時代の今、起業家、自営業者、創業者は、プロセスの最適化とデジタル化を絶えず試みています。電子形式の請求書である電子請求書は、管理業務の負担を大幅に削減しつつ時間とリソースを効果的に節約する方法であることが証明されています。この記事では、電子請求書とは何か、電子請求書の作成方法、メリットとデメリット、および電子請求書が満たすべき法的要件について説明します。

この記事の内容

  • 電子請求書とは?
  • XRechnung: ドイツの電子請求書規格
  • 電子請求書の作成方法
  • 電子請求書のメリットとデメリット
  • 電子請求書が有効であるための要件
  • 電子請求書のアーカイブ化に関する法律を遵守する方法

電子請求書とは?

電子請求書 (しばしば e 請求書と略される) は、電子的に作成、送信、受信される請求書です。この形式は、従来の紙の請求書をオンラインで共有できるデジタル文書に置き換えたものです。電子請求書に含まれる情報は、商品やサービスの詳細、価格、税金、支払明細など、物理的な請求書と同じですが、電子請求書は、処理、保管、アーカイブ化を簡単に行うことができます。

電子請求書は詐欺や脱税の撲滅に役立つため、電子請求書の使用が法律によって推奨されている国もあります。ほかにもさまざまなメリットがあります。正式な支払依頼と見なされるためには、電子請求書は一定の法的要件を満たす必要があります。

XRechnung: ドイツの電子請求書規格

XRechnung は、公共部門向けに作成された、ドイツにおける電子請求書の標準規格です。これは、請求書のデータをデジタル形式で送信するための標準規格で、効率の向上、エラーの削減、請求処理の迅速化を目的としています。XRechnung は、公的機関によるデジタル化の取り組みの一環として作成されたもので、公共部門の契約における電子請求書の推進に関する欧州連合指令 2014/55/EU の要件を満たしています。

XRechnung 規格では、媒体を変更することなく自動処理を行えるようにするため、電子請求書に含めるべき一連の構造化データが規定されています。そのような情報として、請求書発行者、請求書受領者、請求期間、請求金額、税金情報などが挙げられます。この規格は、意味的な統一性と構文的な統一性の両方をサポートしています。すなわち、この規格に従えば、あらかじめ定義された構造でデータが送信されるだけでなく、明確かつ機械で読み取り可能な形式でデータが送信されることを意味します。

XRechnung は、特に、ドイツの公的機関と取引するサプライヤーやサービスプロバイダーと深く関係しています。2020 年 11 月 27 日以降、ドイツのすべての公共契約機関は、XRechnung などの電子形式で請求書を受け取って処理しなければならなくなりました。これにより、公共部門の透明性と効率が向上するとともに、ビジネスにおける電子請求書の利用が広がってより幅広い支持が得られるようになります。

電子請求書の作成方法

電子請求書を作成するには、あらかじめ定義された電子形式で請求書を作成できる請求書作成ソフトウェアまたは請求書作成オンラインサービスを利用する必要があります。

電子請求書に含めるべき重要な要素は以下のとおりです。

  • 請求書の発行者 (納税者番号を含む) および受取人
  • 一意の請求書番号
  • 請求日
  • 提供された商品またはサービスの説明
  • 請求金額および税額

このソフトウェアは、法的要件を満たす請求書を作成でき、その請求書を電子的手段で安全に送付できるものでなければなりません。電子請求書を利用する場合、構造化された標準的な方法で請求書のデータをやり取りできる XML 形式を使用すると非常に効率的に処理できることが証明されています。

電子請求書を XML 形式で作成する手順

  • XML テンプレートを開く: 普段使用しているテキスト処理アプリケーションを起動し、電子請求書作成用の XML テンプレートを開きます。このテンプレートでは、通常、請求書のヘッダー、顧客情報、商品情報、支払明細に関するタグといった基本的な構造がすでに用意されています。
  • 必要事項を入力する: テンプレートに目を通し、すべての必須フィールドに関連情報を入力します。一般に、請求日、請求書番号、顧客の氏名と住所、商品の説明、数量、単価、総額などを入力します。
  • データが正しいかチェックする: すべての情報を入力したら、データがすべて正しいかどうかを注意深くチェックします。すべての金額が正しく計算され、関連するすべての情報が漏れなく正確に入力されていることを確認してください。
  • XML ファイルを検証する: テキスト処理ソフトウェアの XML 検証ツールまたは同様の機能を使用して、XML ファイルが必要な基準を満たしていることを確認します。これは、請求書が適切に処理され、受理されるようにするための重要な手順です。
  • XML ファイルを保存する: XML 形式の電子請求書が正確かつ完全であることを確認したら、ファイルをコンピューターまたはクラウドストレージに保存します。その際、請求書を明確に識別できるように、意味のあるファイル名を付けてください。

電子請求書のメリットとデメリット

請求書をデジタルデータで送ることがますます一般的になってきています。電子請求書の普及には、あらゆる規模の事業者や公的機関に当てはまるメリットとデメリットが存在します。

メリット

  • コストの削減: 電子請求書を送ることで、印刷と発送にかかるコストが削減されます。また、請求書をデジタル処理することで、手作業に費やしていた労働時間を削減することもできます。
  • 迅速な支払い: 電子請求書は受取人にすぐ届くため、支払い処理をスピードアップさせることができます。システムによってはワンクリック決済が可能であるため、支払いまでの期間をさらに短縮できます。
  • 効率の向上: 請求書をデジタル的に作成、送信、処理することで、会計処理の効率が向上します。また、手作業によるデータ入力のミスが減り、プロセス全体が高速化されます。
  • 環境への配慮: 紙を使わないことは環境保護に役立ち、二酸化炭素排出量の削減に貢献します。
  • トレーサビリティの向上: 電子請求書は保存とアーカイブ化を簡単に行うことができ、必要なときにいつでも取り出すことができます。これにより、帳簿管理が簡素化され、保管に関する法的要件に容易に準拠することができます。
  • セキュリティの強化: 多くの電子請求書発行システムには、不正行為や紛失のリスクを軽減するための強固なセキュリティ対策が備わっています。デジタル署名と暗号化により、請求書の真正性と完全性が保証されます。

デメリット

  • 技術的要件: 関連するソフトウェアやサービスへの投資が必要になります。
  • 変化への抵抗: 顧客やサプライヤーが紙の請求書からの移行をためらう可能性があります。
  • 互換性の問題: 規格や形式が異なる場合、発行者と受領者のシステムの間で互換性の問題が生じ、電子請求書のやり取りが困難になります。
  • セキュリティ上の懸念: セキュリティ基準が高いものの、データ保護、データセキュリティ、サイバー攻撃のリスクに対する懸念が存在します。最新技術を使用してシステムを最新の状態に保つ必要があります。
  • 法的要件: 電子請求書に関する法的要件 (真正性、完全性、可読性など) を満たすのは、場合によってはそう簡単ではありません。加えて、法的要件は国によって異なります。

このようなデメリットはあるものの、ほとんどの事業者や公的機関にとって、電子請求書のメリットはデメリットを上回ります。デジタル化の進展と技術的ソリューションの改善によって、変革のハードルは下がる一方であり、電子請求書を選択する事業者はますます増えています。

電子請求書が有効であるための要件

電子請求書が有効であるためには、以下の法的要件と技術的要件を満たす必要があります。これらの基準を満たすことで、電子請求書が金融当局に確実に受け入れられるとともに、電子請求書のデータが改ざんされていない信頼できるものであることが保証されます。

  • 発行元の真正性
    発行元の真正性とは、請求書が指定された発行元から実際に発行されたものであることを保証することを意味します。デジタル署名や電子データ交換 (EDI) などの各種方法を利用することで、または提供された商品やサービスと請求書がきちんと対応しているかどうかを確認する内部手続きによって保証されます。

  • 内容の完全性
    内容の完全性とは、請求書の内容が送信後に改ざんされていないことを意味します。デジタル署名や EDI プロセスは、請求書のデータが改ざんされていないことを保証するための仕組みとしても利用できます。

  • 請求書の見やすさ
    電子請求書は、人が読めるものでなければなりません。すなわち、電子請求書は PDF 文書のように関係者が閲覧できる形式でなければなりません。可読性は、法律で義務付けられている全保存期間にわたって保証されなければなりません。

  • 法規制遵守
    電子請求書は、紙の請求書と同じ法的要件を満たさなければなりません。そのような要件として、発行日、一意の請求番号、サービスプロバイダーの納税者番号または付加価値税 (VAT) 税納税者番号、サービスプロバイダーおよび受取人のフルネームと所在地、提供された商品の数量と種類または提供されたサービスの範囲と性質、支払い額と納税額、適用される税率または免税通知などが挙げられます。

  • 保管とアーカイブ化
    電子請求書の発行者と受領者は、法律で定められた期間 (多くの国では 10 年間)、その請求書を保管する必要があります。保管システムは、合理的な期間内に請求書にアクセスできるものでなければならず、真正性、完全性、可読性に関する上記の要件が全保存期間にわたって満たされなければなりません。

  • 受取人の同意
    多くの法制度において、紙の請求書の代わりに電子請求書を送るには受け取る側の事前の同意が必要であると定められています。同意は明示的であっても黙示的であっても構いませんが、法令の規定に従わなければなりません。

電子請求書のアーカイブ化に関する法律を遵守する方法

電子請求書のアーカイブ化は、保存期間に関する規制や、全期間を通じての可読性の確保など、法律で定められた規定を遵守しなければなりません。事業者は、いつでもアクセスできる方法で電子請求書が保存され、なおかつ元の文書と同じ形式で閲覧可能な方法で電子請求書が保存されていることを保証しなければなりません。
これらの規制は、定められた期間にわたって電子文書の真正性、完全性、可読性を保証することを目的としています。具体的な要件は国によって異なりますが、いくつかの基本原則はほぼ統一されています。

電子文書のアーカイブ化に関する法律の主な側面

  • 真正性と完全性
    アーカイブシステムは、電子文書の発行元の真正性および電子文書の内容の完全性がアーカイブ期間全体にわたって維持されることを保証できるものでなければなりません。すなわち、請求書が指定された発行元から実際に発行されたものであることを証明できると同時に、発行後に内容が改ざんされていないことを証明できなければなりません。デジタル署名や、ファイルを編集不可能な状態で保存する特殊なアーカイブシステムなどの技術は、この点に関して中心的な役割を果たしています。

  • 読みやすさとアクセシビリティ
    電子請求書は、人が読めるファイルであることが全保存期間にわたって保証される形式でアーカイブ化されなければなりません。さらに請求書は、合理的な期間内に実施される検査や監査の際に入手可能でなければなりません。このような要件を満たすには、多くの場合、文書の長期的な可読性と迅速な検索を容易に実現できる専用のソフトウェアが必要になります。

  • 保存期間
    上で述べた電子請求書の法定保存期間は、国によって異なります。ドイツでの法定保存期間は 10 年です。この期間中、アーカイブ化されたすべての請求書を要求に応じて金融当局に提供できなければなりません。具体的な期間や要件については、関連する税務当局または税務コンサルタントにお問い合わせください。

  • データのプライバシー
    電子請求書をアーカイブ化する際には、データ保護に関する規制も遵守しなければなりません。請求書に含まれる個人を特定できる情報は、欧州連合の一般データ保護規則 (GDPR) などの関連するデータ保護法に従って保護されなければなりません。データ保護の手段として、データセキュリティ対策を講じたり、データのアクセスと処理を制限したりすることなどが挙げられます。

  • 技術的・組織的対策
    アーカイブ化に関する規制を確実に遵守するには、技術的・組織的な対策を講じる必要があります。そのような対策として、適切なアーカイブシステムの選択、データセキュリティの定期的なチェック、データ損失からの保護などが挙げられます。信頼性の高い文書管理システムの導入は、多くの場合、こうした要件を満たす上で重要なステップとなります。

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