デジタル時代において、起業家、自営業者、創業者は、プロセスの最適化とデジタル化を継続的に試みています。電子的な請求処理の一種である電子請求書は、時間とリソースを節約しながら管理を大幅に削減する効果的な方法であることが証明されています。この記事では、電子請求書とは何か、その作成方法、メリットとデメリット、および満たすべき法的要件について説明します。
この記事の内容
- 電子請求書とは
- 電子請求書の義務化に関する法律
- 電子請求書の規制遵守の方法
- 電子請求書の作成方法
- 電子請求書の利用にあたり企業が満たすべき要件
- 電子請求書の義務化に関する法律が企業に及ぼす影響
- 電子請求書を送信するメリットとデメリット
- 有効な電子請求書の要件
- 電子請求書のアーカイブ化に関する法律遵守の方法
- Stripe Invoicing および Stripe Billing を使用した電子請求書の仕組み
電子請求書とは
電子請求書とは、電子メールで送信される PDF ファイルや紙の請求書などの非構造化形式とは対照的に、標準化された機械可読の電子形式で作成および送受信される請求書を指します。この形式により、従来の紙の請求書が、オンラインで共有できるデジタルドキュメントに置き換えられます。電子請求書には、製品やサービスの詳細、価格、税金、支払いの詳細など、紙の請求書と同じ情報が記載されていますが、より簡単に処理、保存、アーカイブを行うことができます。
不正利用や脱税の防止に役立つため、電子請求書が法律によって奨励されている国もあります。また、他にも多くの利点があります。電子請求書が正式な支払い要求とみなされるには、特定の法的要件を満たしている必要があります。
XRechnung: ドイツの電子請求規格
XRechnung は、公共部門向けに特別に開発されたドイツの電子請求の規格です。これは、効率の向上、エラーの削減、請求書処理の高速化を目的とした、請求書データを送信するための標準化されたデジタル形式です。XRechnung は、公的機関のデジタル化に関する取り組みの一環であり、公共部門の契約における電子請求の促進に関する欧州連合指令 2014/55/EU の要件を満たしています。
XRechnung 規格では、媒体を変更せずに自動処理を行えるように、電子請求書に含めるべき一連の構造化データが規定されています。これには、請求書発行者、請求書受領者、請求期間、請求金額、税務情報などの情報が含まれます。この規格は、意味的・構文的一貫性に対応しており、データは事前に定義された構造かつ明確で機械可読な形式で送信されます。
XRechnung は、ドイツの公的機関と取引のあるサプライヤーやサービスプロバイダーにとって特に重要となります。2020 年 11 月 27 日現在、ドイツのすべての公共契約機関は、XRechnung などを介して電子形式で請求書を受け取り、処理する必要があります。これにより、公共部門の透明性と効率性が向上し、ビジネスにおける電子請求書のより広範な使用と採用にも貢献しています。
電子請求書の義務化に関する法律
2025 年から、ドイツのすべての B2B 企業が、成長機会法 (Wachstumschancengesetzes) の一環として、電子形式の請求書を電子請求書として受理し、処理することが義務付けられます。ある程度の移行期間が過ぎると、電子請求書の発行も義務付けられます。これにより、エンドツーエンドのデジタル処理が可能になり、プロセス効率が向上し、請求書処理コストが削減されます。
この法律では、送信されるデータの完全性と機密性を保証するために、厳格なセキュリティとデータ保護基準を規定しています。企業は、潜在的な罰則を回避するために、システムが法的要件を確実に満たすようにする必要があります。
処理を円滑に行うために、電子請求書は標準化された形式で作成する必要があります。ZUGFeRD や XRechnung など、広く普及している共通規格を使用することで、異なる会計システム間の互換性が向上します。
法律の要件を遵守しない企業は、制裁を受ける可能性があります。この制裁は、罰金から公共入札への参加制限まで多岐にわたります。
中小企業 (SME) の場合は、移行期間の延長が認められ、電子請求書への切り替えを促進する特別な支援措置を受けることができます。これには、情報キャンペーン、財政助成金、技術サポートが含まれます。
ドイツ連邦財務省 (BMF) は、報告を標準化するために、後日国内の B2B 売上の電子報告システムを導入することを計画しています。
電子請求書の規制遵守の方法
2025 年 1 月 1 日以降、ドイツ国内のすべての B2B 企業は、電子請求書を受理し、処理することが義務付けられます。設定された移行期間を過ぎると、(紙や非標準の電子請求書ではなく) 標準規格の電子請求書を発行することも義務付けられます。
- 2025 年と 2026 年は、電子請求書だけではなく、非標準の電子請求書と紙の請求書も許容されます。
- 2027 年には、2026 年の総売上が 800,000 ユーロ未満の企業にのみこれが適用されます。
- 2028 年以降は、電子請求書の発行のみが許可されます。
電子請求書の義務化とは、各企業が構造化された機械可読形式で B2B 請求書を作成、送信、受信して、電子処理を可能にしなければならない、ということを意味します。ただし、燃料の領収書やホスピタリティの領収書など、250 ユーロ未満の少額の請求書は例外とみなされます。さらに、免税取引の請求書や旅行チケットの請求書も例外となります (ドイツ VAT 実施条例第 34 条を参照)。ただし、これらの請求書を発行する側の企業も、電子請求書を受理し、処理することができなければなりません。
次に、新しい電子請求書に含めるべき具体的な情報と、作成または送信形式について説明します。
電子請求書の作成方法
電子請求書を作成するには、指定された電子形式で請求書を作成できる請求書作成ソフトウェアまたはオンラインサービスが必要です。
電子請求書の重要な要素は以下のとおりです。
- 請求書の発行者 (納税者番号を含む) および受取人
- 一意の請求書番号
- 請求日
- 提供された商品またはサービスの説明
- 請求額および税金
請求書作成ソフトウェアは、法的要件を満たす請求書を作成でき、安全な方法で電子的に送信できるものであることが必要です。XML 形式は、請求書データを交換するための構造および標準化された方法となっており、電子請求に特に役立つことが証明されています。
電子請求書を XML 形式で作成するステップバイステップガイド
- XML テンプレートを開く: 任意のワープロソフトウェアを起動し、電子請求書の XML テンプレートを開きます。このテンプレートには、請求書ヘッダー、顧客情報、製品情報、支払い明細の各種タグといった、基本的な構造がすでに用意されています。
- 必須フィールドに入力する: テンプレートに目を通し、すべての必須フィールドに関連情報を入力します。一般的には、請求日、請求書番号、顧客の氏名と住所、商品の説明、数量、単価、総額などを入力します。
- 情報が正しいかチェックする: すべての情報を入力したら、データが正確であることを注意深くチェックします。すべての金額が正しく計算され、関連するすべての情報が漏れなく正確に入力されていることを確認してください。
- XML ファイルを検証する: ワープロソフトウェアの XML 検証ツールまたは同様の機能を使用して、XML ファイルが必要な標準を満たしていることを確認します。これは、請求書が適切に処理され、受理されるようにするために重要です。
- XMLファイルを保存する: XML 電子請求書が正確かつ完全であることを確認したら、ファイルをコンピューターまたはクラウドストレージに保存します。請求書を明確に識別できるよう、わかりやすいファイル名を使用してください。
電子請求書の利用にあたり企業が満たすべき要件
まず確認しておきたいのは、現在お持ちのソフトウェアを使用して、請求書のデータを電子請求書または XML 形式に変換できるかどうかです。これができない場合は、他のソフトウェアまたはオンライン作成ツールを使用することをお勧めします。
さらに、XRechnungen と ZUGFeRD 請求書のどちらを送信するかという基本的な方針を決定する必要があります。ZUGFeRD は構造化データと視覚的な PDF を組み合わせますが、XRechnung は構造化データのみに依存しています。
請求書の送信方法も重要な要素です。各種組織に複数の請求書を送信しなければならない場合、電子メールは最適な選択肢ではありません。PEPPOL を使用するという選択肢があります。EU によって開発された PEPPOL (Pan-European Public Procurement Online) を使用すると、1 つのアクセスポイントから各種組織との複数のリンクを設定できます。
この新しいテクノロジーを会計プロセスに導入するには、技術的な要件を決定し、関連する従業員に適切なトレーニングを行う必要があります。会社の規模や会計システムによっては、移行にコストと時間がかかる場合があるため、余裕をもって事前プロセスを開始しておく必要があります。
電子請求書の義務化に関する法律が企業に及ぼす影響
電子請求書の義務化では、機会と課題の両方がもたらされます。企業は新しい法的要件を満たすため、システムとプロセスを再評価し、更新する必要があります。
移行にはコストと労力を伴うかもしれませんが、効率の向上、コスト削減、環境の持続可能性、法令遵守の強化など、長期的には大きなメリットがあります。電子請求書は、デジタル化の重要なステップであり、持続可能なビジネス慣行を促進します。ただし、スムーズに移行するには、初期段階の課題を慎重に見極め、管理する必要があります。
ここでは、電子請求書の義務化に伴い、企業が考慮する必要がある主な影響と調整内容をいくつか紹介します。
- 法令遵守要件: 企業は、プロセス、請求書および会計システムが、ドイツの ZUGFeRD や XRechnung などの特定の形式への準拠を含む、技術的および法的要件に準拠していることを確認する必要があります。ドイツの厳格なデータ保護法を考えると、企業は電子請求書の処理が一般データ保護規則 (GDPR) およびその他の関連するデータ保護規制に準拠していることを確認する必要があります。
- デジタルトランスフォーメーション: 企業は、電子請求書を作成、送信、受信するために、新しい IT システムや改良された IT システムへの投資が必要になることがあります。これには、ソフトウェアのアップグレードや、場合によってはハードウェアの購入が含まれます。電子請求書ソリューションは、シームレスな処理を確保するために、既存の会計およびエンタープライズリソースプランニング (ERP) システムとの互換性が欠かせません。
- 効率の向上: 電子請求書は紙の請求書よりも迅速に処理できるため、会計プロセス全体がスピードアップします。これにより、支払い処理が高速化され、流動性が向上します。電子請求書を使用することで、多くのプロセスを自動化できるため、手作業によるエラーが減り、効率が向上します。
- 持続可能性: 電子請求書への切り替えにより、紙の消費量が削減し、その結果企業のエコロジカルフットプリントが削減するため、企業の環境維持に貢献します。
- 顧客満足度の向上: 企業は、より効率的で正確な請求プロセスを通じて顧客満足度を高めることができます。デジタル標準に素早く適応する企業は、対応の遅い競合他社よりも優位に立つことができる可能性があります。
- 社員教育: 企業は、従業員が新しいシステムやプロセスを把握できるよう、教育に投資しなければならない場合があります。
電子請求書を送信するメリットとデメリット
請求書をデジタルデータで送信することが、ますます一般的になってきています。この普及には、あらゆる規模の企業や公的機関に当てはまるメリットとデメリットが存在します。
メリット
- 迅速な支払い: 電子請求書は受取人にすぐ届くため、支払いプロセス全体がスピードアップされます。多くのシステムでワンクリック決済を選ぶこともできますので、支払いまでの時間がさらに短縮されます。
- コストの削減: 電子請求書を送るようにすれば、印刷と郵送のコストがかかりません。またデジタル処理を行うことで、手作業に費やしていた労働時間を節約できます。
- 効率の向上: 請求書をデジタルで作成、送信、処理することで、会計作業の効率が向上します。手入力によるエラーが減り、プロセス全体が高速化されます。
- 環境への配慮: 紙を使わないことは環境保護につながり、二酸化炭素排出量の削減に貢献できます。
- トレーサビリティの向上: 電子請求書は保存とアーカイブ化が簡単で、必要なときに取り出すことができます。これにより会計処理が合理化され、法的アーカイブ化要件をより容易に遵守できます。
- セキュリティの強化: 多くの電子請求書システムには、不正利用や損失のリスクを軽減する高度なセキュリティ機能が搭載されています。デジタル署名と暗号化により、請求書の真正性と整合性が保証されます。
デメリット
- 技術的要件: IT 環境によってはソフトウェアやサービスへの投資が必要です。
- 変化への抵抗: 顧客やサプライヤーが紙の請求書からの移行をためらう可能性があります。
- 互換性の問題: 規格や形式が複数あるため、送信者と受信者のシステム間で互換性の問題が生じて、電子請求書のやり取りが困難になる可能性があります。
- セキュリティ上の懸念: セキュリティ基準は高いものの、プライバシー、データセキュリティ、サイバー攻撃のリスクに対する懸念が残ります。最新のセキュリティ機能でシステムを確実に守ることが必要です。
- 規制要件: 電子請求書に関する法的要件 (真正性、整合性、可読性の要件を含む) への準拠は、簡単にはいかない場合があります。また、法的要件は国によって異なります。
有効な電子請求書の要件
電子請求書が有効とみなされるには、特定の法的要件と技術的要件を満たす必要があります。これらの基準は、電子請求書は税務当局に確実に受理され、記載されているデータが真正であり改ざんがないと、保証する上で重要です。
発行元の真正性
発行元の真正性とは、請求書の供給者または発行者の身元を保証することです。これは、デジタル署名や電子データ交換 (EDI) などの各種方法で実現できます。または、請求書と対象商品・サービスの間に信頼性ある監査証跡を確立するための、内部確認プロセスによって達成されます。内容の整合性
内容の整合性とは、請求書の送信後に内容が改ざんされていないことを意味します。デジタル署名や EDI 手順は、請求書データを改ざんできないようにするためのプロセスでもあります。可読性
電子請求書は、人が簡単に読めるものでなければなりません。すなわち請求書は、PDF 文書など、関係者が読むことができる形式で提供する必要があります。可読性は、法定の保管期間全体にわたって保証されなければなりません。法的要件の遵守
電子請求書は、紙の請求書に適用されるのと同じ法的要件を満たさなければなりません。要件として、発行日、一意の請求書番号。サービスプロバイダーの納税者番号または付加価値税 (VAT) ID 番号、サービスプロバイダーと受取人の両方の氏名と住所、供給された商品の数量と種類または提供されたサービスの範囲と種類、報酬、納税額、適用される税率、または免税の通知などの情報が挙げられます。保管とアーカイブ化
電子請求書の発行者と受取人はどちらも、法的に義務付けられている期間 (多くの国で 10 年間)、請求書を保管しなければなりません。請求書は、合理的な期間内にアクセスできるように、また保管期間中に真正性、整合性、および可読性の要件が維持されるように、保管する必要があります。受取人の同意
多くの管轄区域において、紙の請求書の代わりに電子請求書を送信するには、受取人の事前の同意が必要です。この同意は明示的でも黙示的でもかまいませんが、法的要件を満たす必要があります。
電子請求書のアーカイブ化に関する法律遵守の方法
電子請求書のアーカイブ化は、保管期間の維持や保管期間にわたる可読性の確保などの、法的要件に準拠する必要があります。電子請求書をいつでも取得できるように、また必要に応じて元の文書に対応する形式で提示できるように、確実に保管しなければなりません。
これらの規制は、指定された期間にわたって電子文書の真正性、整合性、可読性を保証できるように設計されています。具体的な要件は国によって異なりますが、特定の基本原則はほぼ標準化されています。
電子請求書のアーカイブ化に関する法律の重要点
真正性と整合性
アーカイブ化では、電子請求書の真正性 (真の発行元) と整合性 (内容の改ざんなし) が保管期間にわたり維持されることを、保証しなければなりません。すなわち、請求書が対象の送信者から送信され、発行されてから変更されていないと証明できることが必要です。デジタル署名または改ざんを防止しながら保管できる特殊なアーカイブシステムといった、テクノロジーを用いることが重要です。可読性とアクセシビリティ
電子請求書は、保管期間全体にわたり人が読める形式でアーカイブ化する必要があります。また請求書は、合理的な期間内に確認および監査に利用できるようにしなければなりません。これを満たすには多くの場合、長期的に文書を読みやすく簡単に取得できるように保つ、専用のソフトウェアソリューションが必要です。保管期間
電子請求書の法定保管期間は国によって異なりますが、ドイツでは 10 年です。この期間中、アーカイブ化されたすべての請求書を、要請に応じて税務当局に提供できることが必要です。具体的な期間や要件については、現地の税務当局または税務アドバイザーにお問い合わせください。データ保護
電子請求書をアーカイブ化する際には、データ保護規制を遵守することが重要です。請求書に含まれる個人を特定できる情報は、欧州連合の GDPR など、関連するデータ保護法に従って保護する必要があります。保護の手段としては、データセキュリティ対策を講ずる、データのアクセスと処理を制限する、などが挙げられます。技術的・組織的対策
アーカイブ化規制を遵守するためには、技術的および組織的な対策を講じる必要があります。具体的には、適したアーカイブシステムの選択、データセキュリティの監視、データ損失からの保護などが挙げられます。堅牢なドキュメント管理システムを実装することは、多くの場合、このような要件を満たす上で重要なステップとなります。
Stripe Invoicing および Stripe Billing を使用した電子請求書の仕組み
Stripe Billing と Stripe Invoicing は、電子請求書アプリを追加で実装せずに、電子請求書を作成したり、送信したりすることはできません。代わりに、Stripe は、Stripe Invoicing および Stripe Billing のアプリパートナー (Billit など) を介した電子請求書の作成と転送に対応しており、この方法はコードを必要とせず、セットアップが非常に簡単です。
電子請求書アプリのインストール後、API を使用して自動的に、または Stripe ダッシュボードを使用して手動で顧客に電子請求書を送信するように設定できます。さらに、これらのアプリは他の多くの地域でも同様の要件をサポートしています。
電子請求書アプリがどのように統合され、機能するか、そしてこれらの要件に対応できる Stripe App Marketplace の Billit アプリについて、詳細をご確認ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。