19%、7% または 0%企業が自社の製品やサービスの請求書を作成する際には、法律によって義務付けられる税率を注意深く確認することは重要です。本記事では、付加価値税とは何か、その支払い義務の対象となる企業、適用される税率について説明します。さらに、軽減税率対象の物品およびサービス、ドイツおよびその他の EU 加盟国において請求書を発行する際に考慮すべきことを説明します。
本記事の内容
- 付加価値税とは
- 付加価値税の適用対象
- 付加価値税率
- 軽減付加価値税率の対象
- 請求書での付加価値税の記載方法
付加価値税とは
付加価値税 (VAT) とは、すべての個人消費と公共消費に対して課される消費税です。物品やサービスの提供者によって徴収されることが義務付けられている付加価値税は、商品を購入したりサービスを受けたりするときに支払われる必要があります。付加価値税は、国、州、地方自治体レベルにおいて最も重要な収入源であり、ドイツ連邦国の全税収の 30% 以上を占めています。
ドイツでは 1968 年に付加価値税と、税の水準を特定する付加価値税率が導入されました。1968 年における標準税率は 10% で、軽減税率は 5% でした。それ以降、これらの税率は継続的に上昇しており、現在では標準税率が 19%、軽減税率は 7% となっています。
消費税と付加価値税の違い
日常的な会話では、「付加価値税」と「売上税」は同意的に使われることがよくあります。厳密には、付加価値税は仕入税と売上税の両方を含む総称です。仕入税と売上税は根本的に同じであり、購入者やサービス利用者が支払うのが売上税で、購入を行ったりサービスを利用したりする企業が支払うのが仕入税というように、単に立場の違いにより使い分けられます。例えば、ある商品を 119 ユーロで購入する場合、その価格には 19% の売上税、すなわち 19 ユーロが含まれています。この 19 ユーロは、当該購入に関与する企業から税務当局に納付される必要があります。購入者が支払う売上税は、販売側の企業にとっては付加価値税となります。これは、付加価値税が末端消費者への間接的な課税であることを意味します。この税金は販売側の企業によって徴収されるものの、その企業は最終的に購入者によって支払われるものを単に受け渡ししているだけです。
個人は税務当局に仕入税の還付を請求することはできません。その一方で、付加価値税の義務を負う他社から物品やサービスを購入する企業は費用を差し引いて仕入税の還付金を税務当局に請求することができます。先ほどの例では個人が商品に対して 119 ユーロを支払いしたが、企業が最終的に支払うのは 100 ユーロのみです。
ドイツの税法では、「Mehrwertsteuer」(「付加価値税」) よりも「Umsatzsteuer」(「売上税」) の方が用語として優先的に使用されています。しかし、請求書や領収書で普段目にするのは、通常「VAT」と略される「付加価値税」です。
付加価値税の適用対象
ドイツ VAT 法 (UStG) 第 1 条第 1.1 項に基づき、「国内に拠点をおく企業が、事業活動の一環として、支払いに対して提供するすべての供給物およびその他のサービス」は付加価値税の対象となります。そのため、付加価値税はドイツ国内のすべての企業に適用されます。これには自営業者も含まれます。ただし、収入を得るために商業活動または専門的な活動を独立展開する企業家であることが条件として定められています。
小規模の事業者は付加価値税を徴収する義務が免除されています。UStG 第 19 条に定められている小規模の事業者の免除に基づき、前年度売上高が 22,000 ユーロであり、本年度売上高が 50,000 ユーロを超えないと予測される企業は付加価値税の徴収義務が免除されます。ただし希望する場合は、小規模の事業者も自主的に付加価値税を徴収することができます。
医療従事者も UStG 第 4 条に基づき売上高に関係なく付加価値税の徴収義務から免除されます。これには医師、心理療法士、ホメオパシー医などが含まれます。徴収義務の免除は、助産師、マッサージ師、理学療法士、および同様の医療活動を行う人にも適用されます。病院や老人ホーム、介護施設などの介護・支援サービスも適用対象です。
付加価値税は以下のサービスに対して徴収されません。
- 不動産の販売や賃貸による収益
- 住宅所有者組合によるサービス
- 保険による収益
- 社会保障プロバイダー、社会事業、戦争犠牲者への引当金または給付による収益
- 学校および教育分野におけるサービス
- 船舶輸送または航空輸送による収益
- 宝くじやレース賭博などの賭博による特定の収益
- 議会や組合でのボランティア活動、介護・支援分野での仕事
- 児童および若者の養育および支援に関連するサービス
付加価値税率
通常、ドイツでの付加価値税率には 19%、7% および 0% の 3 通りがあります。商品の購入やサービスの利用に対する標準税率は 19% です。ただし、一部の商品およびサービスには軽減税率が課せられ、特定の日用品には 7% のみの税率が徴収されます。税金支払い義務の一切ない付加価値税率 0% が適用されるのは極めて限られた数のサービスだけです (本記事の「付加価値税の適用対象」を参照)。
軽減付加価値税率の対象
UStG 第 12 条に基づき、7% の軽減税率が適用されるものには、以下の物品やサービスがあります。
- 食品
- 食肉および食用内臓
- 魚、カニ、軟体動物 (観賞魚、ザリガニ、ロブスター、牡蠣、カタツムリを除く)
- 牛乳および乳製品
- 生鮮野菜、乾燥野菜、一時保存された野菜
- 穀物および粉体食品 (小麦粉、挽き割り粉、粗挽粉など)
- 食用の果物および木の実
- 食用の動物性および植物性の脂肪および油
- 香辛料
- 砂糖および菓子
- コーヒー、紅茶およびマテ茶
- 水 (包装済み飲料水、スプリングウォーター、テーブルウォーター、ヒーリングウォーター、水蒸気を除く)
- 食肉および食用内臓
- ミツバチ、国産牛、豚、羊、ウサギなどの生きた動物
- 実をつけない花、実をつける花、葉、枝、植物のその他の部位、結束または装飾の目的で使われる草、苔、地衣類
- 動物または植物由来の肥料 (フンを除く)-
- 薪 (丸太、木片、枝、木束など) または木くず製品、廃木材、木くず (後にペレット、ブリケットまたはその他の形状に加工するものも含む)
- 書籍、冊子、新聞、雑誌、写真集、絵描きと塗り絵の本、印刷されたまたは手書きの記録、切手、あらゆる種類の地図 (世界地図や地球儀など)
- 音声記録としての朗読のみを含んでいるレコード
- 車椅子、障がい者を移動するためのその他の手段
- 義肢、整形外科関連の器具とその他の装置、機能的障害または欠陥を改善するための装置 (語頭音添加、義肢、補聴器、ペースメーカーなど)
- 生理用品 (タンポンやナプキンなど)
- 絵画や線画などの芸術作品、オリジナル版画、カットおよびリトグラフ、あらゆる素材のオリジナル彫刻
- 動物学、植物学、鉱物学、解剖学上の収集品、および歴史学、考古学、古生物学、民俗学、貨幣学的に価値のある収集品
- 劇場、コンサート、博物館および同様のアーティストパフォーマンスへの入場チケット
- 地方自治体内または 50 キロ未満の距離の公共交通
- 生活および就寝スペース、第三者の一時的な宿泊のためのキャンプ場のレンタル
新型コロナウイルス対策の一環として、議会は特定の物品やサービスについて付加価値税の一時的な軽減を実施することも決定しました。例えば、レストランや料理サービスには 2023 12 月 31 日まで 7% の軽減税率が適用されます。飲み物はこの規則から除外されます。天然ガスおよび暖房ネットワークを介するガスおよび暖房設備の付加価値税率も 2024 年 3 月 31 日まで 7% に軽減されます。
請求書での付加価値税の記載方法
付加価値税は、個人または他社に送付するかに関係なく、企業が発行するすべての請求書に記載すべき基本項目の 1 つです (UStG 第 14 条 第 4 項を参照)。商品またはサービスのネット金額 (税抜)、付加価値税率、算出された付加価値税額、およびグロス金額 (税込) のすべてを請求書に記載します。付加価値税により、請求書でネットとグロスの区別が生じます。
付加価値税の明細の例:
商品 / サービスのネット価格: 100 ユーロ
19% 適用時の付加価値税額: 19 ユーロ
グロス価格: 119 ユーロ
他の EU 加盟国に請求書を送付する企業は、少なくとも個人に送付する場合は、基本的にドイツ国内での請求書と同じ方法で取り扱うことができます。この場合、引渡地はドイツ国内と見なされるため、付加価値税を請求書に記載し、税務当局に納付する必要があります。
ドイツの企業が他の EU 加盟国に拠点を置く企業に請求書を送付する場合は異なります。この場合、引渡地およびサービスの発生地は受領側の国内であるため、付加価値税が徴収される必要があり、受領側の企業が付加価値税をその国の税務当局に納付しなければなりません。これは比較的に複雑であるため、こうしたケースでは特別な取り決めとしてリバースチャージ方式が使用されます。この方式では、付加価値税を支払う義務が転嫁されるため、請求書を発行するドイツの企業ではなく、受領側の企業がその国内で付加価値税を納付する必要があります。請求書作成の観点からすると、これは、他の EU 加盟国の企業に対して請求書を作成する際にドイツの企業が付加価値税を請求する必要がないことを意味します。請求書はネット金額のみを対象として発行し、そこに「リバースチャージ方式」と記載するか、「受領側への納税責任の移譲」という文言を加える必要があります。
EU 外の企業に請求書を送付する場合も付加価値税を記載しません。場合によっては、送付先の国において適用される義務を確認する必要があります。多くの国では、VAT の登録が義務付けられているか、税務代理人の指定が必須となっています。ヨーロッパ外では法的規制は国によって異なります。ヨーロッパ外の企業に対する請求書を作成する際には、「輸出」または「免税輸出」などと注記する必要があります。
企業は請求書作成の目的で認定済みの決済サービスプロバイダーを利用することができます。これらの決済サービスプロバイダーは、スマートな請求書作成プログラムに基づいた自動化プロセスを提供しており、税額の計算などの誤りといったエラーが発生する確率を大幅に抑えることができます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。