スペイン銀行が 2021 年に公表した全国調査の結果によると、事業者の 93% がカード決済を受け入れており、わずか 16% がカード決済に最低金額を設定 しています。その 3 年後には、スペインの人口の 88% がクレジットカードまたはデビットカードを所有 しており、特に 24 歳未満の世代では、電子ウォレット (Google Pay、Apple Pay など) が好まれています。対面決済におけるこのような変化から、多くの事業者が売上を失わないように、カード決済の最低金額設定を取りやめるようになりました。実際、現金を持ち歩かないと答えた人の割合が、2023 年から 2024 年の間に 2 倍に上昇 しました。
スペインでは一部の事業者が、収入を失う可能性があるにもかかわらず依然としてカード利用に最低金額を設けています。店舗がそのようにする理由は?それは合法なのか?このガイドでは、これらの疑問にお答えしてお客様の事業にも顧客にも有益な決済ポリシーを設定するお手伝いをしています。
目次
- スペインにおけるカード決済に最低金額を設定する仕組み
- スペインにおけるカード決済の最低金額設定: 事業者が最低金額を設定する理由
- カード決済に最低金額を設定することの欠点
- カード決済に最低額を設定することはスペインでは合法ですか?
スペインにおけるカード決済に最低金額を設定する仕組み
カード決済 の最低金額設定は、スペイン企業にとって一般的な慣行です。その仕組みを見てみましょう。
最低金額の設定
事業者は、クレジットカード決済の最低金額を決定します。スペイン銀行の最新の報告書によると、平均は 11 ユーロです。顧客への通知
事業者は顧客にカード決済の最低金額を通知します。設定金額にかかわらず、店舗内にその旨を明示する必要があります。例えば入口に決済オプションのリストを貼る、カウンターに見やすい看板を出すなどの方法があります。制限の適用
設定された最低金額に達するまで店舗がカード決済を受け付けないと、購入者には次の 2 つの可能性が提案されることになります。- 最低金額に達するまでさらに商品を購入する
- 現金で支払う。これはスペインでは カード決済以外 の最も一般的な支払い方法です。スペイン銀行によると、現金決済は 2024 年に 実店舗で最も利用された支払い方法 です
- 最低金額に達するまでさらに商品を購入する
スペインにおけるカード決済の最低金額設定: 事業者が最低金額を設定する理由
スペインでは地域密着型の従来型の事業者がカード決済に最低金額を設定する傾向があります。その主な理由は次の通りです。
購入意欲を高める
スペイン銀行によると、実店舗におけるカード決済は 2022 年から 2024 年の間に 4% 増加 しました。カード決済 を好む購入者が増えていることを表しています。購入者がカード払いを望んでいて、最低金額に達するために価格の安い商品を追加購入しなければならないとすると、購入する方を選ぶ可能性があります。カード端末の利用を回避する
従来型の事業では、カード端末の利用が課題となる可能性があります。非接触型決済 は、NFC (近距離無線通信技術) 機能の故障、POS 端末やカードリーダー 自体の不具合などの理由で、読み込みエラーが発生するためうまく行かないことがあります。店舗によっては取引のキャンセルと再試行を繰り返すことは少額の販売から得られるわずかな収益に見合わないと考えるところもあります。手数料を抑える
EU 規則 2015/751号 はクレジットカードおよびデビットカードの手数料 (カードネットワークが請求する処理手数料) を規制するものです。その公表に伴い、カード会社の処理手数料はクレジットカードが 0.3%、デビットカードが 0.2% に引き下げられました。しかし、特に純 利益率 が非常に小さい事業者は、そのカード処理手数料が収益に大きく影響すると考えます。
デジタルツールを使用すると、カードをどこからでも収益性高く、効率的に受け付けることができます。例えば Stripe Terminal は Stripe の決済プラットフォーム と標準機能として統合されている POS ソリューションです。Terminal では対面およびオンライン決済を一カ所で把握、管理することができるため、一元管理による統一的な業務 体験が得られます。さらに銀行が提供する端末と違って、Stripe Reader S700 や BBPOS WisePOS E といった ポータブルカード端末 の場合、追加のサービスを契約する必要がありません。
カード決済に最低金額を設定することの欠点
事業者の中には、カード決済に最低金額を設定する正当な理由がある場合もあります。しかし、最低金額を下回る支払いについて デビットカードやクレジットカード決済 を拒否することには欠点があることを理解することが重要です。中でも次の理由が最も重要です。
顧客体験の悪化
決済体験は顧客体験でもあります。したがってあまり好まない方法で支払わないといけない場合、多くの顧客ががっかりして店を去ることになります。マイナスイメージの醸成
スペインでカード利用に最低金額を設定すると、様々なレベルでマイナスイメージを醸成することになります。それは現代の 決済トレンド に対応していないため デジタルトランスフォーメーション に逆行しているというイメージから、顧客の好みを理解する柔軟性がないというイメージまで、多岐にわたります。衝動買いの減少
少額の購入はたいていが衝動買いです (例: 駅に時間より早く到着したときにコーヒーや雑誌を買う場合)。そのときにカードで支払いができないと、購入を諦める可能性が高くなります。長い目で見ると、少額ではあっても頻繁に発生しうる販売による収入を失うことになり得ます。
カード決済に最低額を設定することはスペインでは合法ですか?
先ほど説明したような欠点があるにもかかわらず、スペインの事業者の中にはカード決済に最低額を設定しているところもあります。そして法律もその権利を保護しています。支出上限の設定を認める規制はありませんが、それを禁じる規制もありません。事業者は自由に決済最低額を設定することができるのです。ただし、次のような義務があります。
追加手数料を課さない
金額がいかに低くても、顧客がカード払いを希望した場合、事業者は追加手数料を課すことができません(2018 年王令法第 19 号 第 35 条第 3 項)。ただし、特定の決済方法を勧めるために割引価格やその他の特典を提供することはできます。例えば、少額をカードではなく現金で支払うよう勧めることができます。明確な通知を行うこと
スペインでは、明確に通知されれば、しきい値を設定することが法律で認められています。FACUA (消費者行動連盟) によると、企業がカード決済を (カード不可であること、または最低金額が設定されていることを明示せずに) 拒否した場合、店舗は 顧客に代替の決済方法を提供 する必要があります。現金決済を強制する代わりに、例えば SEPA 送金、Bizum を通じて電話番号経由で送金する方法などがあります。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。