Mastercard のデータによると、2021 年末時点で、スペイン企業の 83% が 販売時点情報管理 (POS) 端末を通じて非接触型決済を受け付けており、それ以前の 4 年間で 21% 増加しています。2023 年上半期末において、スペインにはすでに 420 万台以上の POS 端末がありました。
システムの利用には、ソフトウェアやカードリーダーなど、いくつかのコンポーネントを介しますが、スペインでは、銀行がカード端末の唯一のプロバイダーであると思い込んでいる人が未だに多く見られます。従来、対面取引用のカード端末は銀行から入手するのが最も簡単な方法でした。しかし、今日では、多くの企業が独立型カード端末と呼ばれることもあるバンクレスカード端末を選択しています。
本記事では、バンクレスカード端末の仕組みやメリットについて解説します。
本記事の内容
- バンクレスカード端末とは?
- バンクレスカード端末の仕組み
- スペインでバンクレスカード端末を選ぶ際の注意点
- スペインのバンクレスカード端末に関する FAQ
バンクレスカード端末とは?
バンクレスカード端末は、カード決済処理端末の一種です。従来のカードリーダーとは異なり、銀行との契約が不要なため、フリーランサーや企業はこれを柔軟に利用できます。
バンクレスカード端末の仕組み
バンクレスカード端末は、銀行が提供するものと同様に機能します。ただし、両者の間にはいくつか重要な違いがあります。バンクレスカード端末における決済プロセスの流れを順を追って見ていきましょう。
- バンクレスカード端末の登録:個人または企業は、バンクレスカード端末を提供するプロバイダーのプラットフォームに登録します。企業の場合、会社名と税務情報を提供する以外に、顧客からの支払いを受け取るための事業用銀行口座を関連付ける必要があります。
- インターネット接続:バンクレスカード端末は通常、Wi-Fi ネットワークを介してインターネットに接続されています。しかし、企業の中には、ワイヤレスネットワークの可用性や安定性に頼ることを好まないところもあります。その場合、加入者識別モジュール (SIM) カードをサポートするバンクレスカード端末を選択できます。これにより、スペインの 4G および 5G ネットワークに接続して端末を利用することが可能になります。同様に、企業はモバイルデバイスを使用して、タッチ決済による非接触型決済を受け付けられるようにもなります。
- 決済プラットフォームへの接続:バンクレスカード端末を利用する企業は、決済プロバイダーのプラットフォームに接続し、取引を管理することができます。たとえば、Stripe Terminal の非接触型カード端末は、Stripe の決済プラットフォームに接続した状態で対面取引を処理しています。
- 購入代金の支払い:顧客は、デビット / クレジットカードやデジタルウォレットなど、希望の決済手段を選択して取引を完了できます。
- カード発行会社との交信:バンクレスカード端末は、決済プラットフォームと通信して、顧客のカード発行会社 (一般に「イシュア」と呼ばれる) に支払い情報を送信します。カードリーダーはわずか数秒でカードデータを暗号化し、イシュアにオーソリをリクエストし、承認または拒否の結果を受信して、回答に応じたメッセージを表示します。
- 決済:イシュアが支払いを承認すると、取引金額が企業の口座に入金されます。この処理は通常、その日の終わりまでに完了します。
スペインでバンクレスカード端末を選ぶ際の注意点
バンクレスカード端末のモデルは多岐にわたるため、会社に適したものを見つけ出すのも苦労するかもしれません。ここでは、適切な端末を選択する際に考慮すべき機能をいくつかご紹介します。
決済手段との互換性
まずは、事業を行う国で利用頻度の高い決済手段をサポートしているバンクレスカード端末を選ぶことをお勧めします。たとえば、スペインで非接触型カード端末を導入する場合、Visa や Mastercard などの一般的なカードネットワークや、Google Pay や Apple Pay などのデジタルウォレットからの支払いを受け付けられるものでなければなりません。
POS
POS システムは、バンクレスカード端末に加えて、バーコードリーダーなどのソフトウェアやデバイスの組み合わせで構成されています。POS システムは、次の基本的機能を備えている必要があります。
- 一貫した決済体験:POS システムは、オンライン決済と対面決済の両方を単一のプラットフォームで表示または管理して、一貫した小売体験を提供できるようにする必要があります。
- 現行の法律:POS 端末の安全性とトレーサビリティを確保し、不正な会計処理を防止することを義務付ける不正利用防止法に準拠したシステムを選ぶようにしてください。
- セキュリティ:決済データが傍受されないよう、システムにはセキュリティ対策を講じる必要があります。たとえば、決済データを暗号化またはトークン化できるツールが端末に備えられていると望ましいです。
透明なコスト
銀行との契約関係はありませんが、バンクレスカード端末は通常、端末を介して処理された支払いに対して少額の手数料が請求されます。そのため、端末を提供する事業者が明朗で、料金体系を明確に示していることが重要なポイントになります。ここでは、バンクレスカード端末に付随する一般的な費用をいくつかご紹介します。
- 端末購入時の初期費用
- 決済処理手数料
- 決済手段に係る追加手数料 (欧州経済領域 (EEA) 外で発行されたカードへの請求手数料など)
スペインのバンクレスカード端末に関する FAQ
バンクレスカード端末とスペインの銀行は相互対応していますか?
一般に、バンクレスカード端末の互換性は、接続先の決済プラットフォームに依存します。バンクレスカード端末は銀行との契約を必要としませんが、それでも銀行は支払いプロセスで特定の役割を果たしています。接続する決済プラットフォームがスペインの銀行口座や企業に対応しているかどうかについては、必ず確認しておきましょう。
バンクレスカード端末にはインターネット接続が必要ですか?
必須ではありませんが、利用する場合は接続が推奨されています。スペインでは、Stripe Reader S700 や BBPOS WisePOS E など、オフライン決済対応のバンクレスカード端末を利用できます。これらのデバイスがオフラインモードで動作する場合、取引はリアルタイムで処理されません。代わりに、取引データが保存され、後でデバイスがインターネットに再接続されたときに支払いが処理されます。
支払いがその場で検証されないため、常にリスクが伴うことを把握しておかなければなりません。リスクの例としては、取引時点でカードに十分な残高がないことなどが挙げられます。しかし、インターネットサービスがダウンしている場合でも業務の中断を防げるといったメリットもあります。
バンクレスカード端末はスペイン国外でも利用できますか?
一般的に、バンクレスカード端末は、他の国でも利用できるモバイルソリューションです。スペインで利用できるバンクレスカード端末は通常、EU の規制に準拠しています。ただし、一部のプロバイダーは、端末の利用に地理的制限をかけています。サービスに登録する前に、事業を行う地域でバンクレスカード端末が利用できるかどうかの確認を必ずしておきましょう。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。