顧客の決済手段と企業の決済受付手段を変革する決済トレンド

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

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  1. はじめに
  2. 決済の最新トレンド
    1. デジタルウォレットと非接触型決済がデフォルトに
    2. 日常の支出行動の一部となった後払い (BNPL) 決済
    3. リアルタイム決済の想定
    4. AI の不正利用検出能力の向上
    5. 規制と企業連携による市場の再構築
    6. 仮想通貨の影響先が既存通貨からインフラストラクチャへ
  3. 支払いの柔軟性が競争上の差別化要因になりつつある理由
    1. 購入完了率に直接影響する支払い設定
    2. 適切なオプションが新たな顧客層を誘因
    3. 柔軟性が顧客維持率の向上に貢献
  4. 企業による決済フローの見直し
    1. オンライン決済の再構築と再設計
    2. 高速決済の需要の増加
    3. モバイルファーストデザインのスタンダード化
    4. 包括的なセキュリティに代わるスマートなリスク防止システム
    5. モバイルデバイスを利用した対面決済
  5. 複数の決済モデルの管理方法
    1. 一体型の決済プラットフォーム
    2. 複数の決済代行業者
    3. 多彩な自動化
    4. 決済アーキテクチャの改善

以前は、製品を開発すれば決済というのは後回しにされていました。しかし、現在では決済そのものが、製品、あるいは顧客体験重を形作る重要な要素となっています。決済フローから不正利用防止、グローバル展開まで、ビジネスにおける資金の流れは、成長の速度、リーチできる顧客層、ブランドへの信頼度に影響を与えます。本記事は、現在の決済トレンドと、企業がどのように適応しているかを紹介するガイドです。

この記事の内容

  • 最新の決済トレンド
  • 支払いの柔軟性が競争上の差別化要因になりつつある理由
  • 企業による決済フローの見直し
  • 複数の決済モデルの管理方法

決済の最新トレンド

今日、グローバル決済を取り巻く環境は急速に変化しています。買い手の決済手段、企業の決済受付手段、システム間での資金移動の仕組みはすべて再定義されつつあります。2025 年に決済業界に訪れる重大な変化を以下にご紹介します。

デジタルウォレットと非接触型決済がデフォルトに

非接触型決済は、多くの地域で単なるオプションから基本機能に変わりました。たとえば、Mastercard ネットワークでは、対面購入で使用されている決済手段の 3 分の 2 以上が非接触型決済です。

デジタルウォレットも、物理的なウォレットよりも普及が進んでいます。2022 年時点のアジア、中東、アフリカでのデジタルウォレット決済の利用比率は、対面カード決済の比率を上回っており、2030 年まですべての地域で利用率が増加し続けることが予想されています。

日常の支出行動の一部となった後払い (BNPL) 決済

分割払いは今や日常生活で定番の決済手段となっており、BNPL の利用ももはや高額商品の購入に限定されていません。BNPL 市場は、2024 年の 2,315 億 1,100 万ドルから 2025 年には 3,435 億 2,200 万ドルの規模に成長し、食料品、自動車修理、医療サービスなどの分野にも拡大することが見込まれています。

BNPL は、決済フローのほか購買行動にも影響します。 多くの買い物客は、分割払いを利用できる条件で絞り込んだ後、BNPL マーケットプレイスでの購入フローを開始します。

リアルタイム決済の想定

顧客は、返金の受け取り、サービスプロバイダーへのチップの支払い、フリーランスに対する報酬付与などの場面において、ショートメッセージと同じくらいの速さで資金が移動することを期待しています。競争が激しい市場のプラットフォームやマーケットプレイスにとって即時決済を提供することは、ユーザー満足度を高める上で必要不可欠です。

リアルタイム決済は現在、70 カ国以上の国で利用できるようになっています。このネットワークにより、24 時間年中無休の即時送金が可能になるため、バッチ決済が完了するのを待たずに済みます。一説では、2028 年までに世界の電子決済の約 27% がリアルタイム決済に置き換わるとも予想されています。

AI の不正利用検出能力の向上

生成 AI の躍進は、新たな不正利用の脅威を生み出す要因にもなりましたが、一方で効果的な防御手段として期待されつつあります。大規模言語モデルの場合、膨大なデータセットをミリ秒でスキャンし、人間や従来のルールベースのシステムよりもはるかに早く不審パターンを特定できます。

大手金融機関の AI 駆動型システムは、平均検出率 91% を達成していますが、ルールベースのシステムだと 65%~70% にとどまります。指紋認証、フェイス ID、パスキーログインなどの生体認証は、セキュリティ処理の大部分をバックグラウンドで行うため、ユーザー体験の中断を最小限に抑えることが可能です。

規制と企業連携による市場の再構築

より接続性の高いシステムへの移行により、従来の機関と新しい企業の境界線は薄れてきています。その結果、決済はよりモジュール化され、規制の強化と相互依存性の高まりが進んでいます。

また、ノンバンクの決済代行業者に対する監視も強まっています。アメリカと海外では、フィンテック企業や決済仲介業者をより適切に管理するために、規制当局によるルール改定が行われています

同時に、業種間の連携も加速しています。銀行、プラットフォーム、テクノロジー企業は、デジタル ID、埋め込み型ウォレット、共有インフラの相互運用性を高めるために協働しています。

仮想通貨の影響先が既存通貨からインフラストラクチャへ

仮想通貨決済は依然として利用率の低い決済手段ですが、インフラに及ぼす影響は拡大しています。ステーブルコインとブロックチェーンレールのシステム開発は、越境取引や支払い照合のテスト段階まで来ています。中央銀行デジタル通貨 (CBDC) のパイロットプロジェクトと Web3 の統合は進展していますが、まだ一般的な利用には至っていません。

支払いの柔軟性が競争上の差別化要因になりつつある理由

2025 年現在、顧客にどのように支払いをさせるかは、販売する商品と同じくらい重要な要素となっています。さまざまな方法、条件、モデルに対応できる柔軟な決済手段は、収益、リーチ、顧客維持力を高める上でも重要です。その理由を以下で詳しく見てみましょう。

購入完了率に直接影響する支払い設定

Stripe を利用する企業を調査したところ、カード以外の決済手段を 1 つ追加すると平均で購入完了率が約 7% 増加したというデータが得られました。市場によっては、割合がさらに大きくなる傾向にあります。また、中国の顧客向けに Alipay を追加した企業は、購入完了率が 91% 増加したという結果も Stripe の調査で判明しています。オランダの場合、iDEAL をサポートすることで、購入完了率が 39% 増加しています。全体で見ると、平均的なデジタルウォレットユーザーは、他の決済手段を利用する顧客よりも 31% 多く消費しています。

適切なオプションが新たな顧客層を誘因

BNPL の利用者は、検索エンジンや小売業者のサイトではなく、BNPL 対応のマーケットプレイスで買い物を始めることができます。アメリカ成人の 30% が少なくとも 1 つの BNPL サービスを利用していることから、これらのプロバイダーは新しい顧客を獲得したい企業にとって頼りになる存在といえます。

嗜好は国によって大きく異なります。現地固有の決済手段 (例:ポーランドの BLIK、ブラジルの Pix) をサポートすることは、多くの場合、顧客を引き付ける上で重要なことです。

柔軟性が顧客維持率の向上に貢献

顧客が決済手段を簡単に更新したり、請求プランを切り替えたり、サブスクリプションを一時停止したりできるようにすることで、顧客との関係はより長く維持されるようになります。

B2B や SaaS (サービスとしてのソフトウェア) モデルでは、ネットタームや従量課金などのオプションを提供することで、より幅広い買い手のニーズに応えることができます。

顧客は慣れ親しんだものに安心感を覚えるものです。自社の決済フローが確立されたロジックに従っていないものだと、顧客は躊躇するかもしれませんし、完全に離れてしまうかもしれません。

企業による決済フローの見直し

多くの企業は、煩雑な決済フローが購入完了率の減少を引き起こすことを理解しています。2025 年は、さまざまな企業でこうした障害を体系的に排除する動きが本格化していくことでしょう。各企業は、オンラインとオフラインの両方で決済プロセスのステップを細分化し、支払いを簡素化および迅速化するとともに、障害を目立たぬまま排除することを目指しています。このトレンドが実際にどのように具現化されているか、その例をいくつかご紹介します。

オンライン決済の再構築と再設計

多くの企業は、不要なフィールド、複数のページ、アカウント作成要件など、決済フローの完了を遅らせている問題の解決に取り組んでいます。ゲスト購入、フォームのリアルタイム検証、スマートオートフィルは今やデフォルトのオプションです。リピーターの顧客情報は保存され、カード情報はトークン化を通じて安全に保管されます。リピート購入は数秒で完了することが可能です。これらの時短化策は、特に規模が大きくなればなるほど、収益に大きな影響を与えます。

高速決済の需要の増加

Apple Pay、Google Pay、Samsung Pay などのデジタルウォレットは、顧客にとって迅速で便利ですが、カード番号の入力には余分な時間がかかります。もし、顧客がワンクリックで支払えるようになれば、決済完了までの障害も少なくなります。

モバイルファーストデザインのスタンダード化

E コマースのトラフィックの大部分がスマートフォンから送られている今日、企業は小画面のデバイス向けにインタラクションを微調整しています。つまり、ボタンの肥大化、フォーム項目の削減、ロード時間の短縮、カードスキャンや顔認証などのネイティブデバイス機能との統合が進められている状況です。モバイル決済用のソフトウェア開発キット (SDK) はよりスマート化されており、メッセージアプリやメールから直接、ディープリンク、事前入力済みの請求書、スキャン決済機能を利用できるようになっています。

包括的なセキュリティに代わるスマートなリスク防止システム

従来の不正利用チェックは、しばしば摩擦を生み出しています。2025 年には、多くの企業が Stripe Radar のようなツールを使用してリアルタイムのリスクスコアリングを行い、低リスク取引の処理を迅速化することが予想されます。このようなツールを使用すれば、警告サインを上げる取引のみがブロックされるようになります。

目的は、正当な顧客にペナルティを与えることなく不正を摘発することです。これが効果的に行われれば、オーソリ成功率も上がり、顧客体験の向上へとつながります。

モバイルデバイスを利用した対面決済

非接触型技術は今やどのシーンでも見られます。この技術は、スマートフォンを決済端末に変えるだけでなく、ハードウェアの追加を抑制します。レストランや小売業者の場合、従来のように顧客をレジに誘導して長蛇の列に待たせるのではなく、携帯端末や QR コードを使用して支払いを終えることを可能にしています。

また中には、決済ステップを完全に省略している企業も存在します。ライドシェアや配達アプリのような、支払いが自動的に行われるケースを思い浮かべてみてください。このモデルを採用する業界は年々広がっています。決済機能の埋め込み化が進み、自動化されるほど、顧客が離脱する可能性は低くなります。

複数の決済モデルの管理方法

顧客向けの決済インフラが柔軟になるにつれて、企業が行う処理もより複雑化しています。多くの企業は現在、サブスクリプション、1 回限りの購入、マーケットプレイス、従量課金のすべてに対応する必要を迫られている状況です。

たとえば、SaaS プラットフォームは、サブスクリプションの販売とアドオンのアップセルを行う形でマーケットプレイスを運営していたりします。小売業者の場合は、D2C の E コマース、対面決済対応のポップアップストア、有料会員プログラムを展開することができます。これらのフローはそれぞれリスク要素、法令遵守要件、請求サイクル、税務会計処理が異なります。特に、複数の地域や通貨が絡む場合、プロセスは大幅に複雑化します。この記事を通して、企業がこの複雑なフローをどのように処理しているのか詳しく見てみましょう。

一体型の決済プラットフォーム

ポイントソリューションや手動プロセスのウェブを作成する必要がないため、企業は決済システムを一元化させることができます。一体型の決済プラットフォームは、単一のシステムで複数のモデルをネイティブにサポートします。管理しているベンダーやデータサイロを削減するだけでなく、チャネルや国をまたいで収益を照合する場所を 1 カ所に絞れるようになるため、経費の削減につながります。Stripe では、サブスクリプション、オンデマンド決済、入金、グローバル決済フローをすべて同じシステムで処理しています。また、比例配分、請求書発行、税金の徴収など、より複雑なタスクも処理することが可能です。

複数の決済代行業者

大規模な企業は、コストやパフォーマンスを改善するために複数の決済代行業者と提携することがよくあります。このような場合、決済オーケストレーションが有効です。オーケストレーションは、より高度な制御と冗長性を補完しつつ、保守管理に必要なレイヤーを追加します。これらのレイヤーは、地域、支払いタイプ、またはフォールバックロジックに応じて取引を動的に振り分けます。また、あるプロバイダーで取引が失敗した場合は、別のプロバイダーで自動的に再試行できる仕組みになっています。一部のオーケストレーションツールは、決済手段ごとに決済を分割することもあります (例:デジタルウォレットから一部支払い、残りをカードから支払うなど)。

多彩な自動化

かつては手動で行われていた多くのプロセス (照合、再試行、請求処理、コンプライアンスチェック) も今や自動化されており、サブスクリプションプラットフォームでは、督促フロー、収益認識、比例配分などにその技術が応用されています。決済システムは、取引を記録し、不一致をフラグ付けするために会計ツールや ERP ツールと同期しています。また、給与サイクルや過去の顧客行動に基づくスマート再試行ロジックを取り入れ、支払いの失敗を抑制します。

決済アーキテクチャの改善

決済を管理するチームがパフォーマンスアナリストの役割を担うというケースは、今日においてよく見られます。彼らは、インフラやコンバージョンファネルの改善と同様、決済アーキテクチャの改善に真摯に取り組んでいます。新しいモデル、市場、ユースケースに対応できる柔軟性の高いシステムを構築している企業は、混乱を招くことなく事業拡大を図ることができます。決済アーキテクチャはその基盤として機能しますが、アーキテクチャを適切に構築している企業は以下の点を重視しています。

  • 決済手段、国、プロバイダーごとの承認 / 拒否率

  • 支払い失敗または請求処理の問題によって生じる解約率

  • 売り手や請負業者に対する入金フローの遅延

  • プロバイダー、通貨、ガードレール間のコストトレードオフ

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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