2023 年にアメリカ国内で設立されたスタートアップは 2,000 社を超えており、創業者は事業の運営に必要な法的文書を知っておくことが重要です。正規の法的文書は、事業者の法律上の体制および関連する納税義務、法的責任、意思決定プロセスを確立するものになります。これは、株式会社または有限責任会社 (LLC) のどちらであっても変わりません。しかるべき体制が敷かれていない場合、創業者は、事業上の負債または紛争について個人で法的責任に直面する可能性があります。
法的文書では、所有権、投資家向け広報活動、知的財産保護を明確にします。所有権の条件、投資家の株主資本、役割、責任を定義して、創業者間または投資家との間で衝突が起こらないようにします。適切な法的手段によって知的財産を保護することで、イノベーションや企業価値を保護することにになります。
法的文書によって、スタートアップは法令遵守と規制順守を確立し、維持することができます。スタートアップは、業界固有の規制、雇用法、データ保護基準に従う必要があります。正規の文書は法令の遵守や規制の順守を保証するものであり、罰金、法的な異議申し立て、事業運営の中断を回避できるようにします。
また、投資家、顧客、パートナーといった利害関係者との信頼関係も法的文書によって築かれます。法的文書は、企業の適法性と専門家としての職業意識に対する義務を負うことを明示します。これにより、企業の評判を高め、より多くのビジネス機会と投資機会を呼び込むことができます。
ここでは、スタートアップの創業者がアメリカ国内で事業体を設立し、運営しようとする中で必要になる主な法的文書の概要をご紹介します。
この記事の内容
- 法人設立書類と規定書
- 知的財産譲渡契約書
- 機密保持契約書と非開示契約書
- 雇用契約と内定通知
- 株主間契約と創業者間契約
法人設立書類と規定書
法人設立書類と規定書は、企業の法律上および組織上の体制の根幹をなすものです。事業形態、所有権構成、定款、内部規則、取締役会の活動を定義します。
会社定款または定款: 会社定款 (または定款) は、株式会社または LLC のどちらであるかにかかわらず、法人を正式に構成するものです。名称、目的、体制などの基本的な内容を概説します。
付属定款 (株式会社の場合) または運営契約書 (LLC の場合): これらの文書には、取締役と役員の役割、会議手順、意思決定の方法など、組織の内部規則を詳述します。
取締役会の議事録: 議事録は取締役会が開催した会合の記録であり、取締役会の決議と行動を文書化したものです。
株主間契約: 株主間契約には、株主の権利と責任の概要を記載します。これには、株式の譲渡に関する規定、意思決定の方法、紛争の解決方法が記載されます。
株券: 株式を発行する株式会社の場合、株券は企業における株式の所有権を示します。
雇用者識別番号 (EIN) 登録: アメリカ内国歳入庁 (IRS) から取得する連邦納税者番号です。EIN は納税申告、従業員の雇用、事業用銀行口座の開設に必要です。
事業認可と許可書: 会社を適法に運営するには、事業形態と場所に応じてさまざまな認可と許可書が必要になる場合があります。
創業者間契約: スタートアップの場合は、創業者間で合意された役割、責任、資産所有権、その他の条件を創業者間契約に詳述します。
知的財産譲渡契約
知的財産譲渡契約は、特許、商標、著作権、営業秘密など、知的財産に関する企業の法的所有権を明らかにして保護します。
特許譲渡証書: 特許譲渡証書は、特許で保護されている発明の権利を発明者から企業に譲渡するものです。
商標譲渡証書: 商標譲渡証書は、商標 (ロゴやブランド名など) に関連する権利を個人から企業に譲渡するものです。
著作権譲渡証書: 著作権譲渡証書は、文章作品、音楽作品、美術作品、またはその他の創作物の権利を原著作者から企業に譲渡するものです。
営業秘密契約: 営業秘密契約は、金銭的価値のある機密の事業情報として定義される営業秘密を、従業員または請負業者が開示または悪用することを禁止します。
職務著作契約: 職務著作契約は、従業員または請負業者によって職務の過程で作成された成果物が、企業によって所有されることを指定します。
発明譲渡契約: 発明譲渡契約は従業員または請負業者によって署名される契約であり、従業員または請負業者によって業務中または契約期間中に作成される発明が、企業の所有物であると規定します。
ソフトウェア譲渡契約: ソフトウェア譲渡契約は、ソフトウェアの所有権を開発者から企業に譲渡するものです。
機密保持契約書と非開示契約書
機密保持契約書と非開示契約書 (NDA) は、企業の機密情報を知ることになった当事者を守秘義務で法的に拘束することにより、企業の機密情報を保護します。
従業員守秘義務契約: 従業員が雇用期間中または雇用期間の終了後、機密情報を開示または悪用することを法的に禁止します。
コンサルタント / 請負業者秘密保持契約: コンサルタントまたは請負業者が企業との業務の遂行中に接触した機密情報について、コンサルタントまたは請負業者が開示または悪用することを法的に禁止します。
相互秘密保持契約: 他方当事者の機密情報を開示することを両当事者に対して禁止します。多くの場合、他の企業との交渉中または共同事業の進行中に使用されます。
投資家候補に課す秘密保持契約: 事業計画やその他の機密データなど、機密情報の伝達を投資者候補に対して禁止します。
退職者面接守秘義務契約: 企業の機密情報を開示してはならないという義務について、退職する従業員にあらためて通知します。
競業避止義務契約: 元従業員または関係者が企業の直接の競合事業者となることを阻止するために使用されます。多くの場合、機密情報の秘密保持に関する条項が含まれています。
発明またはソフトウェアの譲渡契約: 従業員または請負業者によって作成された発明またはソフトウェアの所有権を企業に譲渡する譲渡契約には、多くの場合、関連情報を保護するための守秘義務条項が含まれています。
雇用契約と内定通知
これらの文書では、雇用者と被雇用者の関係を定義します。雇用期間中の役割、責任、期待事項を規定します。
雇用内定通知: 採用候補者に最初に提供される文書です。役職、給与、開始日、その他の雇用条件を含めて、雇用オファーの条件の概略を記載します。
雇用契約: オファーが了解された後、雇用の条件の概略を記載した詳細な契約です。条件には、職務、報酬、手当、終了条件、守秘義務が記載されます。
競業避止契約: 退職後の一定の期間にわたって従業員が企業の競合事業者となることまたは競合他社で就業することを制限します。
勧誘禁止契約: 元従業員が退職後に企業の顧客または従業員を勧誘することを禁止します。
仲裁合意: 雇用に関する紛争を、訴訟ではなく仲裁によって解決することを規定します。多くの場合、雇用契約に条項として盛り込まれています。
従業員ハンドブック受領通知: 従業員が企業の従業員ハンドブックを受領および閲覧し、順守に同意したことを通知します。
業績改善計画 (PIP): 従業員の業績で改善が必要になっている具体的な領域および所定の期間以内に達成しなければならない目標について、概要を示します。
退職合意書: 雇用者に対する申し立ての権利を放棄することと引き換えに、退職時に従業員に対して受領権限が付与される退職金、手当、その他の報酬を詳述します。
インターンシップ契約: 役割、責任、期間、提供される報酬または信用供与を含め、インターンシップの条件を定義します。
株主間契約と創業者間契約
株主間契約と創業者間契約では、株主と企業の関係を定義します。また、特に株式の売却または譲渡に関して、関係するすべての当事者の役割、権利、責任も詳述します。
創業者間契約書: 企業の創業者間で合意された役割、責任、資産所有権、その他の条件について概要を示します。また、創業者が企業を退職した場合の措置も規定できます。
株主間契約書: 株式の購入、売却、譲渡の方法および株主が影響を受ける意思決定の方法を含め、株主の権利と義務を詳述します。
株式購入契約書: 企業と株主の間で行われる株式の売却または譲渡について、詳細を文書化します。これには、売却株式数、価格、その他の売却条件が記載されます。
投資家権利合意書: 通常はベンチャーキャピタル取引で使用され、投資家の情報請求権、第一先買権、共同売却権の概要を示します。
議決権合意: 特定の問題について株主が株式の議決権を行使する方法を指定します。多くの場合、設立時からの株主が、特定の決定について支配権を維持するために使用されます。
先買権および共同売却権に関する契約書: この種の契約書は、株式が外部当事者に売却される前に、既存の株主に株式の購入権を提供するものです (先買権)。株主は、別の株主が株式を売却する場合に参加 (共同売却) できるようになります。
持株売買契約: 脱退する株主の株式を買い取るプロセスを規定します。多くの場合、企業の継続性と安定性を確保するために使用されます。
ストックオプションプラン: 企業の株式を設定価格で購入できる選択権を従業員に付与します。多くの場合、人材の誘引や維持の手段として使用されます。
株券: 企業が発行し、株式会社の一定数の株式の所有権を証明する文書です。
株式発行を承認する取締役会決議: 新株の発行に関する取締役会決議の記録であり、発行条件の概要を記述します。
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