スタートアップにとって、どこで資金を調達するかというのは最も大きな決断のひとつです。資金の調達方法には、ブートストラップ、助成金、クラウドソーシング、融資、外部投資家の資本など、さまざまな選択肢があります。どの資金源が適しているかは、スタートアップの種類やステージによって異なります。資金源として、エンジェル投資家とベンチャーキャピタリストの 2 つがよく利用されます。
スタートアップがどのタイプの資金源を利用するかを決定する際、エンジェル投資家とベンチャーキャピタリストの違いと類似点を理解することが重要です。この記事では、エンジェル投資家とベンチャーキャピタリストについてご紹介し、それぞれがどのようなタイプのスタートアップに投資する傾向があるのかについて両者を比較します。また、スタートアップがそれらの資金源から資金を調達するかどうかを決める際に考慮すべき点についてご説明します。
この記事の内容
- エンジェル投資家とは
- エンジェル投資家はどのようなタイプのスタートアップに投資するか
- ベンチャーキャピタリストとは
- ベンチャーキャピタリストはどのようなタイプのスタートアップに投資するか
- エンジェル投資家とベンチャーキャピタリストの違いと共通点
- エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの法的および財務的な考慮事項
- エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの長期的な影響
- スタートアップに適した投資家の選び方
エンジェル投資家とは
エンジェル投資家とは、スタートアップ企業に資本を提供する裕福な個人のことで、通常は所有権の持ち分または転換社債と引き換えに資本を提供します。一般に、成功した起業家や退職した企業幹部が多く、豊富な経験と高い純資産を所有しています。
エンジェル投資家は、通常、アーリーステージで投資を行い、多くの場合、従来の資金調達の選択肢が限られている企業のシード期やスタートアップ期に投資を行います。投資の規模は数千ドルから数百万ドルに及ぶことがあり、その金額は投資家のリソースやビジネスのニーズによって異なります。
利点
メンターシップと経験: エンジェル投資家は、多くの場合、貴重な業界経験を持っており、支援対象の起業家に戦略的アドバイスやメンターシップを提供します。このガイダンスは、ビジネス界の複雑さを理解しながら進むアーリーステージの企業にとって重要な意味を持ちます。
柔軟性: 伝統的なベンチャーキャピタルと比べ、エンジェル投資家は、通常、より柔軟な投資アプローチを採用します。意思決定は、起業家のビジョンに対する個人的な関心や信念に基づいて行われることが多く、より柔軟性の高い条件で投資を受けることができます。
制限事項
資金調達額: エンジェル投資家が提供する資本金は、一般に、ベンチャーキャピタルが提供できる資本金よりも低額です。この制限は、多額の資本を要する事業者や、迅速に規模を拡大したい事業者にとっては制約となる可能性があります。
リソースとネットワーク: 多くのエンジェル投資家は豊富な経験とネットワークを持っていますが、リソースや人脈のレベルは大手のベンチャーキャピタルに及ばない場合があります。これは、スタートアップの成長や人脈形成の機会を制限する要因となる可能性があります。
エンジェル投資家はどのようなタイプのスタートアップに投資するか
エンジェル投資家は、さまざまな種類のスタートアップにとって良い資金源となり得ますが、通常、アーリーステージの企業に投資します。エンジェル投資家グループの投資状況を見ると、2021 年には 1,000 社以上の企業に対して約 9 億 5,000 万ドルを投資しており、1 グループあたりの投資額は 2020 年から 15% 増加しています。ここでは、エンジェル投資家が最もよく投資するスタートアップの特徴をご紹介します。
アーリーステージ: エンジェル投資家は、通常、アーリーステージのスタートアップに資金を提供し、チームがビジネスや製品を立ち上げるための最初のシードマネーを提供します。
高い成長の可能性: 現実的でありながらも野心的な収益成長計画は、会社がビジネスの財務についての理解を持ち、可能な限り大きく成長しようという計画を立てていることをエンジェル投資家に示します。
市場の機会: エンジェル投資家は、高い収益率が期待できる機会を求めています。これは通常、スタートアップが主要な市場需要に対応し、その市場の大きなシェアを獲得する計画を持つ必要があることを意味します。
初期段階でのトラクション: エンジェル投資家にとって魅力的なのは、初期段階でのトラクションが見られるスタートアップです。そのような例として、戦略的パートナーシップや有望なベータ製品などが挙げられます。
技能と経験を兼ね備えた経営陣: 経験豊かで積極的な創業者と経営陣の存在が重要です。エンジェル投資家は、チームが事業計画を実行できるかどうかを知りたがっています。
黒字化への道筋: スタートアップが最終的にどのように黒字化するかを盛り込んだ事業計画を作成すれば、エンジェル投資家を引き付けることができます。
出口戦略: エンジェル投資家は、自分たちの投資から最終的に収益を得る方法として、明確な出口戦略 (株式公開や買収など) を高く評価します。
投資の焦点との一致: エンジェル投資家によっては、持続可能性や AI といった特定の業界に焦点を当て、その関心に合致するスタートアップにのみ資金を提供する場合があります。
ベンチャーキャピタリストとは
ベンチャーキャピタリスト (VC) は、高い成長が見込まれる企業に資本を提供するプロの投資会社で、通常、株式の持ち分と引き換えに資本を提供します。ベンチャーキャピタル企業は、年金基金、企業、裕福な個人、寄付といったさまざまな資金源から資金を集めています。これらの企業は、通常、有望なスタートアップの発掘、デューデリジェンスの実施、投資先への戦略的ガイダンスの提供に精通した専門家チームによって運営されています。
ベンチャーキャピタリストは、通常、最初のスタートアップ段階を終えた事業者に投資し、多くの場合、シリーズ A 以降の投資ステージにある事業者に投資を行います。ベンチャーキャピタル企業は、すでにある程度の事業性が実証されている企業や、高い成長が見込まれる企業に関心を寄せています。ベンチャーキャピタリストの投資額はエンジェル投資家の投資額よりもかなり大きく、一般に数百万ドルから数千万ドル、場合によってはそれ以上となります。
利点
より多額の資金: ベンチャーキャピタリストは多額の資金を提供できるため、急成長している企業にとって有効です。多額の資金による支援は、大規模な製品開発、市場の大幅な拡大、チームの大きな成長をサポートします。
広範なリソースとネットワーク: ベンチャーキャピタルは、広範なネットワーク、業界とのつながり、専門知識も持ち合わせています。そのため、重要な従業員の採用、戦略的パートナーシップの構築、さらなる資本の提供を支援することができます。
制限事項
より厳しい要件: ベンチャーキャピタリストは、より厳格なデューデリジェンスプロセスと投資基準を設けています。ベンチャーキャピタルの投資を求める企業は、高い収益率の大きな可能性、拡張性のあるビジネスモデル、堅実な経営陣を実証しなければなりません。
支配力を失う可能性: ベンチャーキャピタリストは、多くの場合、多額の投資と引き換えに、相当額の株式と、場合によっては会社の取締役会の役職を要求します。これにより、ベンチャーキャピタリストが主要なビジネス上の意思決定に影響を及ぼすようになる可能性があるため、元の創業者の支配力が失われるおそれがあります。
ベンチャーキャピタリストはどのようなタイプのスタートアップに投資するか
ベンチャーキャピタリストのセクターは規模が大きく、多様性に富んでいます。世界のベンチャーキャピタル投資は、2020 年に 3,470 億ドルであったのが、2021 年には 3 万 8,600 件以上の取引で過去最高の 6,710 億ドルに増加しました。ベンチャーファンドにはそれぞれ重点分野があります。これは、投資先のスタートアップのステージ、事業分野、市場、創業者の人物などによって定義されます。こうした好みの差にかかわらず、ベンチャーキャピタリストが最もよく投資するスタートアップの一般的な特徴をいくつかご紹介します。
革新的なビジネスモデルやテクノロジー: 業界を変革するソリューション、画期的なテクノロジー、革新的なビジネスモデルを提供するスタートアップは、投資対象として非常に有望視されます。こうした企業は、市場で満たされていないニーズに対応したり、既存のビジネス方法に革命を起こしたりすることがよくあります。
拡張性のある製品またはサービス: 拡張性の可能性があることは重要です。ベンチャーキャピタルは、コストを増やさずに事業と収益を大きく伸ばせるスタートアップを探しています。
強力な市場ポテンシャル: 大規模市場や急成長市場で事業を展開するスタートアップは、ベンチャーキャピタリストにとって魅力的です。大規模市場は投資に対する高い収益率の可能性を秘めています。
競争上の優位性: 独自の技術、特許、独自の事業提携など、明確な競争優位性を持つ企業は、ベンチャーキャピタルにとって魅力的です。この優位性は、競合他社にとって参入障壁となるはずだからです。
経験豊富な熟練した経営陣: 経験豊富で熱心かつ強力な経営陣は、しばしば重要な要素となります。ベンチャーキャピタリストは、業界の専門知識、起業経験、成功の実績を兼ね備えたチームに投資します。
トラクションの証拠: 顧客基盤の拡大、収益の大幅な増加、パイロットプロジェクトの成功など、ある程度のトラクションを示しているスタートアップは、より高い確率でベンチャーキャピタルの関心を集めることができます。
収益性への明確な道筋: 即座の収益性は必ずしも必要ではありませんが、将来的に収益性を達成するための明確で実現可能な計画が必要です。
高い収益率の可能性: ベンチャーキャピタリストは、高い収益率が期待できる投資先を求めており、多くの場合、初期投資額の数倍の収益が期待できる投資機会を探しています。
出口戦略: 株式公開や買収のような明確に定義された出口戦略は、投資から最終的に収益を得る方法の大筋を示しているため、ベンチャーキャピタルにとって重要です。
投資の焦点との一致: 多くのベンチャーキャピタルは、ヘルスケア、テクノロジー、クリーンエネルギー、アーリーステージ投資など、特定のテーマやセクターに焦点を当てています。これらの投資分野にうまく合致するスタートアップは、より高い確率で出資を受けることができます。
エンジェル投資家とベンチャーキャピタリストの違いと共通点
エンジェル投資家もベンチャーキャピタリストも、将来性の高いスタートアップに投資して収益を得るという目標を掲げている点では共通しています。両者とも、新しい事業に対してリスクを負うことを厭わず、アドバイスや専門知識、人脈を提供してくれます。エンジェル投資家とベンチャーキャピタルは、スタートアップの成長におけるさまざまな段階で重要な役割を果たし、革新的なビジネスやテクノロジーの発展に貢献しています。ここでは、その違いと共通点の概要をご説明します。
投資の規模とタイミング
エンジェル投資家: エンジェル投資家は、通常、スタートアップの初期段階 (多くの場合、シードステージやコンセプトステージ) に資本を提供します。投資額はそれほど大きくなく、通常、数千ドルから数百万ドルの範囲で投資を行います。多くの場合、友人や家族からの初期投資と、ベンチャーキャピタルによる大規模な投資とのギャップを埋める役割を果たします。
ベンチャーキャピタリスト: ベンチャーキャピタリストは、スタートアップがある程度市場牽引力や実行可能性を実証した後の、シリーズ A 以降のようなより進んだ段階で投資する傾向があります。投資額はかなり大きく、多くの場合、数百万ドルから数千万ドルに及びます。これは、ベンチャーキャピタル企業の資本基盤が大きいということと、将来の見通しが確実なビジネスの拡大に重点を置いていることを反映しています。
投資判断の方法
エンジェル投資家: エンジェル投資家は、多くの場合、より個人的かつ主観的な判断に基づき意思決定を行います。エンジェル投資家の意思決定は、個人的な判断、起業家の情熱とビジョン、アイデア自体の可能性に大きく依存することがあります。そのプロセスは一般に形式ばったものではなく、多くの場合意思決定は迅速に行われます。
ベンチャーキャピタリスト: ベンチャーキャピタルは、通常、より構造化された厳格な意思決定プロセスに基づき投資判断を行います。このプロセスでは、詳細なデューデリジェンス、市場分析、ビジネスモデルの評価、スタートアップの成長可能性の判断などが行われます。また、意思決定は個人ではなく、チームや委員会が行います。
事業運営への関与と指導
エンジェル投資家: エンジェル投資家は、投資先企業に対してより実践的なアプローチを取ることが多く、指導やメンターシップを提供し、自らの経験やネットワークを活用してスタートアップを支援します。エンジェル投資家は、通常、投資先に対してどちらかというと個人的に関与しますが、事業の初期段階ではそのような関与が重要となります。
ベンチャーキャピタリスト: ベンチャーキャピタリストも投資先のビジネスに関与しますが、エンジェル投資家ほど実践的ではありません。ベンチャーキャピタリストの関与は、多くの場合、戦略的なアドバイスを提供したり、事業の成長、パートナーシップ、さらなる資金調達のための広範なネットワークを活用したりすることを通じて行われます。また、主要な戦略的決定を左右する取締役会の役職への就任を目指すこともあります。
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの法的および財務的な考慮事項
外部からの投資を受け入れる場合、一般に法的および財務的な注意事項を考慮する必要があります。ここでは、知っておくべきことをご紹介します。
株式と希薄化に関する理解
スタートアップがエンジェル投資家やベンチャーキャピタリストから資金を受け入れる場合、通常、これらの投資家に株式を発行するため、株式の希薄化を招いてしまいます。これは、既存の株主の持ち株比率が低下することを意味します。この希薄化の影響は、エンジェル投資とベンチャーキャピタルで大きく異なります。
エンジェル投資家: エンジェル投資家は早い段階から投資を行うことが多く、アーリーステージのスタートアップに関連するリスクが高いことから、エンジェル投資家が受け取る株式は投資額に対してかなり多くなる可能性があります。創業者は、将来の資金調達ラウンドにおける過度の希薄化を避けるため、初期のラウンドでどれだけの株式を手放すかに留意する必要があります。
ベンチャーキャピタル: ベンチャーキャピタルの場合、一般に投資額が大きいため、ベンチャーキャピタルによって相当額の株式が要求される可能性があります。しかし、ベンチャーキャピタルは、より進んだ段階、すなわち会社の評価額が高くなる段階で投資することが多いため、エンジェル投資家と比べると投資額あたりの相対的な希薄化率は低くなります。それでも、ベンチャーキャピタルとの資金調達ラウンドが続いた場合、創業者が持つ株式の大幅な希薄化につながる可能性があります。
スタートアップは、株式構成を慎重に計画し、各投資ラウンドが全体的な所有権と支配力にどのような影響を与えるかを理解する必要があります。
デューデリジェンスの準備
エンジェル投資家もベンチャーキャピタリストも、投資を決定する前にデューデリジェンスを行いますが、その深さや範囲はさまざまです。
エンジェル投資家: エンジェル投資家のデューデリジェンスプロセスは、一般にベンチャーキャピタリストのデューデリジェンスプロセスほど厳格ではありません。エンジェル投資家のデューデリジェンスプロセスでは、創業者の経歴、事業アイデアの可能性、基本的な財務の健全性などに焦点が当てられる場合もあります。ただしその場合であっても、エンジェル投資家は、法人設立書類、特許や知的財産に関する書類、基本的な財務記録など、法律上および財務上の書類が整っていることを要求します。
ベンチャーキャピタル: ベンチャーキャピタルでは、より包括的で正式なプロセスとしてデューデリジェンスが行われます。このプロセスでは、企業のビジネスモデル、市場の可能性、競合状況、財務予測、法的構造、ガバナンスについて、徹底的な審査が行われます。このプロセスには、多くの場合、法務チームや財務監査人が関与します。スタートアップは、詳細な事業計画、監査済みの財務諸表、詳細な市場分析、知的財産所有権の証明、顧客との契約、経営陣の経歴の概要などを準備する必要があります。
その他の法的および財務的な準備に関する考慮事項
投資を受けるには、さらに法的および財務的な準備を行う必要があります。それらの準備は、いくつかの点において重要な意味を持っています。
資本表の管理: 正確な資本表を維持管理することが重要です。この資本表には、株式所有状況、転換証券、オプションの概要を漏れなく記載します。明確に記載された資本表は、現在および将来の資金調達ラウンドで必要となります。
コーポレートガバナンス: コーポレートガバナンスを早期に確立することが重要です。そのような取り組みとして、取締役会の設置、役割と責任の明確化、規制要件の遵守の徹底などが挙げられます。
投資契約: スタートアップは、タームシート、株主契約書、および投資条件を規定するその他の法的文書について、慎重に交渉および検討する必要があります。これらの条件として、企業価値評価、ガバナンス権、残余財産優先分配権、希薄化防止条項、出口シナリオなどが挙げられます。
雇用契約とストックオプション: 投資家は、デューデリジェンスにおいて、雇用契約とストックオプションの内容を精査することが多いため、明確な雇用契約書 (特に主要な要員に関する雇用契約書)、および従業員向けの明確なストックオプションプランを作成する必要があります。
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの長期的な影響
スタートアップの初期であっても、資金調達手段の選択はスタートアップの将来に長期的な影響を及ぼす可能性があります。ここでは、外部からの投資を受け入れる前に知っておくべき影響をいくつかご紹介します。
成長軌道と将来の資金調達ラウンド
最初の資金調達の影響
最初の資金調達の種類と資金源は、スタートアップの成長軌道、および将来の資金調達ラウンドにおける魅力に大きく影響します。エンジェル投資家による投資は一般に規模が小さく、その時期も早いため、概念実証や初期の製品開発に重点を置くアーリーステージのスタートアップに適しています。一方、ベンチャーキャピタルによる投資は金額がかなり大きいため、通常、事業規模や市場参入の準備が整ったスタートアップを対象としています。将来の資金調達の機会
エンジェル投資家による投資は、スタートアップの可能性について早い段階で確信していることを意味するため、将来の投資家に対してポジティブなシグナルとなる可能性があります。しかし、エンジェル投資家を主な資金源とするスタートアップが将来的にベンチャーキャピタルからの資金調達を呼び込むためには、著しい成長を示す必要があるかもしれません。ベンチャーキャピタルは通常、より確立されたオペレーションと市場の検証を求めるからです。早い段階でベンチャーキャピタルの投資を獲得すれば、さらに有名なベンチャー投資家への扉を開くことができますが、成長と業績に関するハードルは高くなります。
出口戦略と投資家の期待
出口シナリオに対する期待の違い
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルは、出口戦略に対する期待が異なります。エンジェル投資家は、一般に投資額が少ないため、出口の時期や性質に対する要求はそれほど厳しくありません。エンジェル投資家は、長期間にわたり適度な利益を得ることに満足する可能性があります。ベンチャーキャピタリストは、投資額が大きく、投資家に対する説明責任があるため、一般に大きな利益を要求します。ベンチャーキャピタリストは、新規公開株式 (IPO) や買収など、特定のタイプの出口を一定期間内に求める可能性があります。出口戦略の影響
選択された出口戦略は、スタートアップにとって重要な意味を持ちます。IPO は、多額の資金と社会的認知をもたらしますが、監視や規制遵守の要件が厳しくなります。戦略的買収は、投資家に大きな利益を直ちにもたらしますが、スタートアップの独立性が失われるおそれがあります。ベンチャーキャピタリスト、特に取締役会の役職に就いているベンチャーキャピタリストは、スタートアップをより挑戦的な出口戦略へと導く可能性があります。投資家の期待と事業目標の一致
スタートアップは、投資家の期待と長期的な事業目標を一致させる必要があります。適切な投資家を選ぶこと、つまり、出口戦略のタイムラインや期待する戦略がスタートアップのビジョンに合致する投資家を選ぶことは、投資で得られる資金の額と同じくらい重要です。
スタートアップに適した投資家の選び方
ここでは、これまで述べてきたことを念頭に置きながら、どのタイプの投資家がスタートアップの資金源として最も適しているかを判断する方法をご説明します。
スタートアップのステージとニーズの評価
ビジネスのステージを理解する
最初のステップは、スタートアップが現在置かれているステージを明確に理解することです。リスクが高く、ビジネスモデルがまだ証明されていないアイデアやコンセプトの段階なのか。それとも、より進んだ段階にあり、実用的な製品である程度の市場検証がなされているのか。エンジェル投資家は、通常、初期段階に適しており、ベンチャーキャピタルは、より進んだ段階、すなわち事業の拡大に焦点が移る段階に適しています。支援と資本のニーズの特定
スタートアップが必要とする支援と資本の種類と金額を検討します。少額の資本注入が必要で、メンターシップや業界とのコネクションを重視するなら、エンジェル投資家を選択するのが正解でしょう。より大きな資本ニーズの充足、構造化された成長、市場の拡大を求める場合は、ベンチャーキャピタルが適しています。ビジネスの助走期間、すなわち資本をどれくらいの期間持たせる必要があるのかを検討し、その期間内にどのようなマイルストーンを達成できるかを検討します。
投資家の期待との適合性
投資家の目標との一致
投資家によって目標は異なります。エンジェル投資家は、自分が情熱を注いでいる業界を支援し、長期間にわたり適度な利益を得ることに満足する可能性があります。しかし、ベンチャーキャピタリストの場合は背後に投資家がいるため、一般に短期間でより高い利益を要求します。これらの目標を理解し、スタートアップのビジョンやタイムラインと一致していることを確認してください。適切な関与のレベルを決定する
投資家からどの程度の指導を受けられるかも重要な要素です。実践的な指導が必要な場合は、自ら進んでメンターシップを提供し、スタートアップの指導に関わる時間があるエンジェル投資家の方が有益でしょう。ベンチャーキャピタリストは貴重なネットワークと専門知識を提供してくれますが、エンジェル投資家ほど個人的な指導はしてくれない可能性があります。長期的な提携を考える
投資家と提携することの長期的な影響を考えます。追加の資金を提供してくれるか。投資家が抱く出口戦略への期待は、スタートアップの期待と一致しているか。投資家の関与は、スタートアップの文化や意思決定にどのような影響を与えるか。投資家と提携する際に重要なのは、決してお金だけの問題ではありません。ビジネスの成長を長期にわたり維持およびサポートできる提携関係を築くことが重要です。
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